魔都精兵のスレイヤー   作:マーベルチョコ

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第5話 敵地へ

温泉での一戦を終えて恋は肌がツヤツヤと輝いていており、その逆に剣至は疲れた様子だった。

 

「んぅー!スッキリしたわ♪」

 

「……そうかい」

 

裸にタオルで胸元を隠した恋は背伸びをして、爽快感が表情に表れていた。

剣至は下半身にパンツとズボンを履いてベンチに座り、恋を見ないように背中を向けていた。

恋は背中を向けている剣至を横目で見ながら着替え始める。

 

「そうそう。貴方に魔防隊との合同調査をお願いしたいの」

 

「合同調査?珍しいな今まで魔防隊、鬼殺隊はそれぞれスタンドプレーで調査を行なっていただろ?」

 

「今回の標的は特殊なのよ。鬼殺隊である貴方の見解が欲しいの」

 

スパッツまで履いた恋が剣至の背中に抱きついて首に回した腕から資料を見せる。

勿論、上の下着は付けていないので恋のハリがある美乳の柔肌と頂点に硬いナニかの感触がダイレクトに伝わってくる。

 

「おい恋、下着を付けろよ」

 

「フフッ、なら貴方が付けてくれるかしら」

 

「………」

 

恋の挑発に剣至は黙ることしかできずにいる様子を見て、可愛いと思って剣至の頬を指でつつく。

 

「可愛いわね。……ほら、これが資料。一緒に調査して欲しいのは一番組よ」

 

「一番組……りうさんの所か」

 

「ええ、お願いね。それと……チュゥッ」

 

恋は突然首筋に強く口付けをした。

しかも出かける前に天花が残したキスマークを上書きするように上からしたのだ。

 

「あっ!お前!?」

 

「フフッ、誰の所有物か分からせないとね」

 

「だから俺は天花と付き合っているって……」

 

「昔の約束、忘れた訳じゃないわよね?」

 

「…………」

 

その一言に剣至は黙ってしまい、恋は剣至の頬を撫でて離れていく。

 

「お願いね♡」

 

「はぁ……くそっ、天花にバレたら不味いことになる」

 

剣至の予想は当たってしまい、キスマークを上書きされたことをバレて、その日は部屋の外で寝ることになってしまった。

 

 

後日、天花の機嫌をある程度取り戻した剣至が六番組に作られた自室で恋から渡された資料を確認していた。

その内容は一番組が管理している魔都と現世のエリアで醜鬼か鬼なのか判別ができない敵が現れたらしい、とのこと。

 

(この醜鬼は現世で活動し、人を喰らわず捕らえて姿を消したか……確かにこの行動は醜鬼ではなく鬼の行動習性だ)

 

更に資料を読み込もうとすると突然扉が開かれた。

 

「ケンくん!」

 

「あー……寝室に戻ること許された?そろそろデスクチェアで寝るのキツくなってきたんだよ」

 

「馬鹿なこと言ってないで!……奴隷くんが人型醜鬼に攫われたらしい」

 

「……すぐに行こう」

 

剣至と六番組はすぐに準備をはじめて七番組に向かった。

 

 

その頃、攫われた優希は犯人が醜鬼化してしまった自身の姉 青葉であり、自分の今の境遇を説明して、魔防隊と戦おうとする青葉と彼女の仲間を止めようとしていた。

 

「魔防隊が信じられないなら……鬼殺隊だってある!」

 

「っ!」

 

「きさつ……たい……!」

 

「うぅ……」

 

 優希が鬼殺隊の名前を出すと青葉は顔が青ざめ、彼女の仲間であるココと波音は怯えて体が震えだした。

 

「え……姉ちゃんたちどうしたんだよ!?」

 

「優希、アンタは……鬼殺隊と知り合いなの?」

 

青葉は恐怖を押し殺しながら質問する。

 

「知り合い、というより柱の人に鍛えてもらっているんだ……」

 

「っ!今すぐそんな奴のことは忘れなさい!!あんな人殺し集団と一緒にいちゃいけないわ!!」

 

青葉の剣幕にたじろぐ優希は勇気を振り絞って質問する。

 

「な、何があったの?」

 

「……私が波音たちを陰陽寮から助けた時に妨害にあったわ。そこの警備員どもは大したことなかったけど………奴は別格だった」

 

青葉は震える腕を押さえ込むように体を抱き締める。

 

「全員を逃がそうとしたけど半分は奴に殺された。私も深傷を負ったわ」

 

そう言って青葉は背中を見せた。

そこには痛々しい刀傷が火傷のように残っていた。

 

「その傷……!」

 

「あたしの唾液には治癒能力があるって言ったよな?それでも残っちまうんだよ」

 

「あの人を人と思わない瞳……今でも思い出すだけで身体の震えが止まらない……!」

 

ココと波音は恐怖に染まった顔で話す。

 

「それをやったのが……鬼殺隊なのか?」

 

「そうね……いい優希。敵は魔防隊と陰陽寮だけど鬼殺隊は関わっちゃいけないわ」

 

優希は真剣な青葉の話を聞いて冷や汗が流れた。

その時、青葉の強化された五感が敵を捉えた。

 

「説明の途中なのに……前哨戦よ」

 

 

剣至と天花たちは七番組と合流して、京香の能力が反応を示す場所に向かった。

そこには洞窟が広がっていた。

 

「私の能力はこの先を目指している」

 

京香が指さす先は壁があった。

 

「洞窟だな。風が奥に流れている。……来るぞ」

 

剣至が呟くと地面から複数の醜鬼が現れる。

 

「作戦通りのメンバーで迎撃していくぞ!」

 

「OK、私達は移動するよ」

 

朱々とサハラは現れた醜鬼を迎撃するためにその場に残り、残りのメンバーは天花の能力で奥へと進んでいく。

 

 

剣至たちは更に奥へと進んでいく。

 

「敵地だけどもっと奥に瞬間移動する?」

 

「待て、どこかに出るぞ!」

 

剣至たちは洞窟を抜けて開けた場所に着いた。

目の前には崖になっており対岸には醜鬼と武器を持つ特殊醜鬼が待ち構えており、その向こう側に更に奥へと続く道が見えた。

 

「武器を持つ醜鬼……やるぞ」

 

「奴隷クンはもう少し先なんだよね?」

 

「ああ、能力が反応している」

 

京香と天花が戦う気を見せると八千穂と日万凛が顔を見合わさてうなづく。

 

「救出優先です!組長たちは先に進んでください!」

 

「……わかった。任せる」

 

「やっちゃって。ケンくん行くよ」

 

「待ってくれ。隠れている奴がいる。……上か」

 

剣至は天井に向かって鬼殺隊の装備である投げナイフを投げた。

全集中の呼吸を伴ったナイフは紅い軌跡を描いて天井にささり、爆発を起こした。

爆発に巻き込まれて能力で潜伏していた波音が落ちてきた。

 

「きゃあっ!?」

 

「伏兵!?」

 

「天井に隠れておったか。小賢しい奴め」

 

地面に落ちた波音はすぐに立ち上がり、剣至の姿を見ると呼吸が荒くなり体が震え始めた。

 

「様子がおかしい。剣至を見て怯えているようだ」

 

「またこの女たらしは何かしたのかな?かな?」

 

「いや、全く記憶がないんだけど……ここにいると誤解を招きそうだから八千穂と日万凛ちゃんに任せて奥行くぞ!」

 

天花の責めるような視線に耐えられなくなった剣至は天花と京香を伴って奥へと進んでいく。

 

「出雲組長と剣至さん、何かあったの?」

 

「知らんがここ最近組長は武藤を無視しておるなぁ。武藤が何かやらかしたんじゃろ」

 

話をそこで終わりにしてこちらを睨みつける敵に集中する。

波音は剣至がいなくなって怯えた表情を変えて、八千穂と日万凛を見据える。

 

「鬼殺隊がいない今なら……」

 

「私様たちを侮ってもらっては困るのう!」

 

「組長たちの邪魔はさせないわよ!」

 

 

剣至たちは更に奥へと進んで行くと京香が立ち止まる。

 

「近い。もうすぐ着くぞ」

 

「俺と京香が敵の前に立とう。天花は隠れながら隙を見て和倉くんを助け出してくれ」

 

「……分かったよ」

 

天花は口数少なくその場から転移して姿を消した。

その様子を見ていた京香が剣至に話しかける。

 

「天花と喧嘩でもしたのか?いつも熱苦し……んん"っ、仲睦まじいじゃないか?」

 

「あー……まぁ、ちょっと天花を怒らせた……」

 

やがて2人は待ち構えていた青葉と対峙する。

青葉の背後には彼女の配下であり京香の仇である一本角の鬼と優希が立っていた。

 

「京香さん!」

 

「もうここまで来てるとはね。それとお前は鬼殺隊の人間か」

 

青葉は剣至を睨みつける。

 

(陰陽寮にいた奴とは違うけど、見て分かった。コイツ強い)

 

意識を剣至に集中させながら、京香にも視線を向ける。

 

「優希を返してもらおうか」

 

「私の弟なのだからどうしようと勝手でしょ?」

 

京香と青葉が睨み合う中、剣至はふと地面から違和感を感じて地面に視線を向けた瞬間、地面から青葉の鋭く硬質化した髪が剣至が立つ地面に穴を開けた。

 

「チッ」

 

「剣至!?」

 

咄嗟のことに反応できずに剣至は開けられた穴に落ちてしまった。

 

「俺のことは気にするな!!後で合流する!!」

 

京香は悔しそうな顔をしながらも剣至の言葉を信じて青葉と対峙する。

 

 

底が見えない暗闇を落ちていた剣至は左手首に装着してあったガジェットを展開させて壁に投げてワイヤーを伸ばして壁に着地する。

 

「結構落ちたな」

 

僅かに見える天井の光を見て、とりあえず地面に降りると大量の醜鬼が地面から現れた。

それだけではなく地面や天井からも虫のようにワラワラと現る。

 

「俺だけの対策としては豪勢だが、邪魔だ」

 

剣至は刀を抜いて襲いかかってくる醜鬼を切り裂いた。

 

 

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