魔都精兵のスレイヤー   作:マーベルチョコ

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第6話 人殺し集団

天花たちは隙を見て、優希を助け出して青葉から離れたところで身を隠していた。

 

「天花、悪いがここで褒美を済ませる」

 

「わかった。少し離れているね」

 

優希への褒美が始まり、天花は周囲を警戒していたが背後から聞こえてくる音に意識を向けてしまい、チラ見で様子を窺ってしまう。

 

(あんなことまでするんだ……思っていた以上に過激だね)

 

優希の指をいやらしく舐める京香を見て、それを自分と剣至に置き換えて見てしまう。

 

(最近、触れ合っていないから結構溜まっちゃってるかも……ケンくんがあんなことしなければ今頃愛しあってたのに)

 

だんだんと疼いてきた天花は自身の体を抱き締めて熱を抑えこむ。

 

(もうそろそろ許してあげようかな?そうしたら……まずはショッピングに付き合ってもらって、ディナーはケンくんが好きな焼肉かステーキにして……デザートは私♡なんて……♡)

 

イヤンイヤン♡と体を振る天花だがそこに一本角の鬼とそれに乗る青羽が現れた。

 

「見つけた!」

 

「京ちん!」

 

「あぁっ!こっちも済ませた!」

 

身構える両者の間に優希が立った。

 

「待った!!!話を聞いて姉ちゃん!!頼むよ!!」

 

優希の頼みに青羽は戦意潜め、天花と京香も構えを解いた。

 

 

その頃、剣至は迫り来る多くの醜鬼を次々と切り捨てていた。

雑魚の醜鬼が絶え間なく、襲い掛かり抜け出そうにも隙が作れない。

しかし、このまま上に戻っても醜鬼を連れて行ってしまい、かえって状況が悪くなると考えて倒し尽くすことを選んだ。

大勢で押し寄せてくる醜鬼に対して迎え打つ剣至の剣戟は残光のように煌めき、その速さは目では追えない程だ。

暫く、斬り続けていくと数が減ってきたのが見て分かり、一気に片付けようと動く。

 

「終わりにするぞ!」

 

剣至は独特な呼吸音を響かせて刀を横に構える。

 

「血の呼吸 漆ノ型 紅光三蓮華(べっこうさんれんげ)

 

三連続の回転斬りが全ての醜鬼を吹き飛ばし、全滅させる。

残りがいないことを確認してから壁にワイヤーを投げて、壁を伝って上へと向かった。

さっきまで響いていた激しい戦闘音が止まってしまい、戦いの決着がついたのかと思い急ぐ。

 

(無事でいてくれよ)

 

時間は少し戻り、青羽を説得して京香たちとの戦いを止めようとしたがそれは叶わず、天花は青羽と京香は一本角の鬼と戦うことになってしまった。

青羽はその常人離れした身体能力で天花を追い込もうとするが天花の能力はそれ以上の性能で連続の瞬間移動によって全てかわしていく。

 

(話しを聞いてくれるようにするには行動不能にするしかない。奴隷くんには悪いけど一旦倒させてもらうよ)

 

天花は青羽がいる地点の空間を裂こうとして、空間を歪ませるがその僅かな異変を感じ取った青羽は凄まじい速度で天花に向かって突進する。

 

「っ!?」

 

「私の感覚は鋭いのよ!」

 

人外の感覚と身体能力により天花を追い詰めていく。

次に青羽は能力で変幻自在に動く髪を自身の腕に纏わりつかせて鎧のような状態にする。

 

「こっから本気で行くわ」

 

そう言い、先程と同じように天花に攻撃しかけるがその速さは髪を纏う前と比べて早くなっていた。

天花はそれを避けるが腕に纏っていた髪が伸びて天花を切り裂く。

 

「っ!……油断したつもりはないんだけどね」

 

「アンタら以上の敵を倒すのに鍛えてんのよ!」

 

青羽の攻撃は制服を切り裂き、天花の胸が僅かに露出してしまう。

露出した部分を腕で隠しながら天花は質問する。

 

「私たち以上?先も話していたけど貴女たちは魔防隊と陰陽寮を倒すつもりでしょ?それ以外に敵がいるのかな?」

 

なるべく情報を引き出そうと会話を続ける。

その会話を始めた途端に青羽は怒りで染まった顔で叫ぶように話し出す。

 

「鬼殺隊よ……!あの人殺し集団はアンタらを倒した後に潰すッ!!」

 

その言葉に天花のこめかみがピクリと動いた。

 

「どうして?彼らは人々を守っている」

 

「守っている?見た目で鬼と分かれば問答無用で切り掛かってくる野蛮な奴らが!?奴らのせいで陰陽寮に捕まっていた子たちは目の前で見せられるように斬り殺された!」

 

青羽は怒りと悲しみをぶちまけるかのように叫ぶ。

叫ぶ青羽の話を天花は黙って聞いているがその拳はキツく握りしめていた。

 

「アイツらが人々を守ってなんかいない!人を守ると言いながら人斬りを楽しんでいるだけ!さっき落ちて行った奴も同じよ!!」

 

無意識のうちに溜まっていた不安を吐き出した青羽は肩を上下させながら息を整えて落ち着くのを見て天花は話し出す。

 

「貴女の言い分は分かったよ。鬼殺隊は人々を守る組織だけど、それ以外の人もいるかもしれない」

 

青羽を落ち着かせるように語りかける天花だが自分にも落ち着かせるようにしているが我慢ができず、怒りが溢れ出てしまう。

 

「だけどね。私がよく知る彼は決してそんな人じゃない。彼は人を守る為に刀を振るって死んでいった人たちのために涙を流す人だよ。そんな彼を傷つけようとする奴は……私が許さない」

 

天花は空間を切り裂くための座標を狙う構えではなく、()()()()()()を取った。

それを見て青羽は鼻で笑う。

 

「私と接近戦をするつもり?自殺でもしたいのかしら?」

 

「やってみないと分からないよ」

 

鼻で笑われても表情を変えない天花に気に入らないと思いながら再び天花に突撃する。

 

(確かにアイツの能力は強力だ。空間移動と空間の断絶。その2つだけでも凄いけど明らかな弱点がある。それは空間の断絶は近距離では使えないこと。あれは強力すぎて自分の近くでは使えない。恐らく最低でも中距離の距離を取らないといけないはず)

 

髪を纏った爪を鋭く伸ばし天花に突き刺そうとする。

 

「私と接近戦を仕掛けたことが間違いなのよ!!」

 

しかし、天花に突き刺さろうとした爪は直前で捻れて千切れていく。

 

「っ!!?」

 

慌てて手を引っ込めた青羽は距離を取る。

 

(何が起きたの!?)

 

「ケンくんは魔都担当でこっちにいるからよく訓練するんだけど、する度に凄さを感じさせられるよ。瞬間移動しても接近してるんだもの。何度負けたことか……」

 

悔しそうに話す天花だがその表情は愛しい日々の思い出を語っているようで微笑んでいる。

 

「だから発想を変えたんだ。離れても接近されるなら接近されても問題ないようにしちゃえばいいってね」

 

天花を中心に周りの景色が歪む。

まるでその空間だけ歪んでいるようだ。

 

「これが私の新技、天御ノ羽衣(あめのはごろも)

 

天花の新技、天御ノ羽衣は歪ませた空間を常に自分の周りに常に展開し、強力な防御と攻撃を併せた技となった。

 

「こっちから行くよ!」

 

「チッ!」

 

今度は天花が青羽に向かっていく。

青羽も負けじと迎撃しようとするが展開されている天御ノ羽衣のせいで躊躇してしまう。

天花が拳を振るい、青羽はそれをかわすが僅かに衣服と髪が抉り取られたようになる。

 

「くっ……!(こいつの技の範囲が分かりづらい!下手に手を出したらやられる!)」

 

その後も天花の攻撃を全て避ける事しかできずにいた。

追ってくる天花に痺れを切らした青羽は髪を操作して攻撃を仕掛ける。

その攻撃も勿論空間で防がれたか、一部は通り抜け天花の頬を僅かに傷つけた。

 

「は?(……そういうことか!)」

 

青羽はニヤリと笑うと腕に纏っていた髪を解いて、全方位から天花を攻撃する。

すると天花は苦しそうな顔をしながら転移して青羽から少し離れた所に逃げた。

その表情は疲労が色濃く出ており、汗を流している。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 

「やっぱりね。アンタのその技、まだ未完成でしょ?強力だけど効果範囲が狭いし、何より体力の消耗が激しいんじゃない?」

 

青羽の言っていることは合っていた。

天花の天御ノ羽衣は常に空間を歪ませないといけない。

しかも常に自分の周囲に展開していないといけないため、集中力が相当必要になり、空間転移をする余裕がない。

また、空間の歪みは天花自身にも被害が及ぶためある一定の距離を保たないといけない。

さらに戦闘をしながら自分を傷つけず歪ませられる範囲はまだ狭く、良くて腕の部分ぐらいの範囲しか出来ない。

その2つのせいで常に頭を使っている状態のため能力を使用しながら戦うのは組長といえど疲労が大きい。

 

「そんな状態で私に勝てるとでも?」

 

「遠距離で戦ってもジリ貧だったからね。まだこっちの方が可能性があるよ」

 

「……ふーん、舐められたもの、ねっ!!」

 

青羽は侮られたと思い、額に血管を浮かべて怒りを顕にしながら再び天花に向かって突撃し、天花も再び天御ノ羽衣を展開して迎え打つ。

青羽は打撃と髪の攻撃を織り交ぜて攻撃し、天花はそれを空間の盾で防ぎながら攻撃を仕掛けるがやはり段々と追い詰められていく。

 

「ほらほらァッ!!そんなものなのかしらっ!?」

 

「私のは当たれば一発で終わりだからね。ハンデをあげてるんだよ」

 

「っ!!馬鹿にしてぇッ!!」

 

激昂した青羽がトドメをさそうと疲労した天花の隙を見つけて飛びかかり、天花は目を見開いて驚く。

しかし、それはすぐに笑みを浮かべた。

 

「予定通り」

 

次の瞬間、青羽の横から一本角の鬼がぶつかってきた。

 

「しまった!?誘われた!?」

 

「桜の呼吸、壱ノ型 桜花斬!!」

 

「ぐあっ!?」

 

京香が一本角の鬼と一緒に青羽を吹き飛ばし、天花は少し離れたところで構えていた。

 

「このまま戦ってもこっちが不利になるだけだったからね。罠を仕掛けて貰ったよ」

 

天花は一本角と青羽を捉えて、大きく空間を歪ませて断裂させようとする。

 

「終わりだよ」

 

トドメを刺そうとした瞬間、洞窟の天井が爆発して魔都の空が見え、そこに人影が見える。

遠目でもわかるその異質な存在感がまるで神のように舞い降りた。

 




用語集
・クモイト
鬼殺隊の基本装備の1つ。
腕に装着する立体的な行動をするための道具。
ワイヤーの先に鉤爪が着いており、崖、壁を登ることも武器としても使われる。

・青髪ノ鎧(あおがみのよろい)
青羽の技。
鬼殺隊といずれ戦う時のために編み出した技。
能力で動く髪を自身の体に巻きつけて鎧にする。
身体能力が著しく強力。

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