設定集ってかなり需要あったりします…?
…ともあれ、見守ってくだされば幸いです。
あと…個人的にお説教じみた事を喋らせるの嫌なんです、自分の思考介入させて都合よく進ませてる感じして。
現在時刻、3時半。
まふゆとの喧嘩とすら言えない言葉の応酬は、振り返ってみれば1時間程度の短い会話だった。
それが彼女にとって一定以上の価値があった物だと思いたい、だけど世界はそんなに都合よく回らない。
価値があった物だったとしても、日を跨げば形を変える、週を跨げば飛び立つ蝶の様にそこにあったか胡乱になる。
…何も無くなって欲しく無いと思い至ったその日の想いも、自分にとっては既に消えた物の筈なのに、未だに縋るのも滑稽だ。
そう言えばと、ふと思う。
「なんでまふゆを救いたいって、思ったんだっけ」
あの日、珍しく門限の時間になってもまふゆが帰ってこないと、おばさんが如何にも心配だ不安だと、こちらの家を訪ねた時だったか。
…
「…まふゆが帰ってこないんですか?」
「そうなのよ、まふゆが門限を守らないなんて事、今までなかったから、私心配で…」
それは心配だ、中学に上がってからというもの、登校中でしか話していないが、それでも一朝一夕の関係では無いつもりだし、今までそういった在り方を貫いてきた彼女にしては、やはり珍しい。
「では、僕の方からも探しておきます、最近あまり話せてはいませんが、それでも幼馴染ですし、心配です」
「本当に?ごめんね螢君、
…そう思うのなら、貴女は貴女なりにまふゆを探して欲しいと思うが、彼女の性質は信じて待つ傾向が強い。
言ったところで束縛が強くなるだけで無意味だろう、予想している通りなら余計に。
「いえ、僕もまふゆが心配なので、それに困った時はお互い様、でしょう?」
「…本当にごめんね?私の方も探すから、見つかったら電話して欲しいわ」
あぁだけど、しでかすかどうか分からないが、釘を刺すのは問題ないだろう。
「…申し訳ないついでに、頼んでも良いでしょうか」
「ええ、なんでも言って頂戴」
「こうやって、まふゆが門限を過ぎても帰ってこないのは当然ダメなことだと思うんです、でもその事で、まふゆを問い詰めることはしないで欲しいんです」
「…どうゆう事かしら?」
「あの子はあの子なりに自分はどうすべきかを一人で考えたいと思っている筈なんです。
それできっと一人で考えたいと思った結果、こうなったと思いまして。
親として、なんて僕が言ってもおかしいと思いますが、出来る限りは見守ってあげて欲しいんです」
「…そう、確かにあの子は一人の時間が少ないけど、それでも私はちゃんと息抜きはさせてるつもりよ?」
そう言って、おばさんは僕の言葉を交わす様に言葉を続ける。
分かっていたが、彼女は他人が関わる問題を自己完結するきらいがある。
…ならば何故僕のことを大事にしてくれるのか、慮るのか、不明だが。
未だ分からない。
「そうだとしても、一人で向き合う時間が短いなら見守ってやるべきだと思うんです。ごめんなさい、偉そうに」
「…確かに、自分で考える時間は必要ね、私が悪かったわ、それに、螢君が謝る必要なんて無いのよ?」
そう言うと、おばさんは僕の肩を抱いて、落ち着かせる様に頭を撫ぜた。
…前々から、あの時以来ずっと思うのだが、まふゆに対してこうやって慰める行為そのものを、おばさんは今できているのだろうか、それが二人にとって重要だと思うのだが…それとも、もう遅いのだろうか?
「…あの、おばさん?流石に夜で人目が無いとはいえ、恥ずかしいです」
「あら、ごめんね…それと、まふゆの事、お願いね?」
「はい」
その会話を最後に、おばさんは家に戻った。
大凡外に出る準備をしているのだろう、携帯も置いてきた様子であったし。
「携帯と家の鍵はある、ならもう行こう」
心当たりがある場所にいれば良いのだが…公園、学校、大穴で遊園地か。
流石に入れ違いになるのなら、おばさんから連絡は入るだろう。
「行ったとして、何になるのか、分からないけど」
とりあえず、彼女の学校…宮益坂女子学園に向かったが、校門は閉まっており、警備員の方が警備している。
こちらは完全に部外者だが、話を聞いてもらえるだろうか?いずれにせよ、話を聴くしか道はないのだが。
「…夜分遅くにすいません」
「ここの生徒では無い様だけど、どうしたのかな?」
「こちらの生徒が門限を過ぎても家に帰ってきていないと言われ、それで心配になって、ここに来ていないかどうかを聴きに来ました」
「そうか、いや、夜は人っ子一人来ていないね、力になれず申し訳無い」
「いえ、こちらも夜遅く、怪しい人間でしょうに質問に答えて頂きありがとうございます」
「君も帰り道には気をつけてね?」
…完全な無駄足だった、そもそも一人でいたいと言う前提の上ではあるが、警備員がいる以上ここにまふゆが居る可能性は低くなるだろう、何をやっているんだ。
「はい、ではおやすみなさい」
いずれにせよ夜間の外に出れる時間までに探さないと話にならない。
となれば、大穴の遊園地は除外しよう、いずれにせよ人が集まる場所にわざわざ行くとは思えないし、それに、多分まふゆにとって嫌な思い出が混じる場所だ。
「…なら、公園しかないか」
だが、あそこに思い出なんて、おばさんやおじさんと遊んだ思い出か…一瞬だけ、考えついたものがあるが、思い上がりだ。
だけど、そうやって思い出にあると言うなら、きっと僕は嬉しいんだと思う。
「…思えば、一番の近場はここなんだから、最初にここに行けばよかった」
焦っていたのだろうか、それとも遠い場所からしらみ潰しに探せば良いとしたのだろうか、無意識下の行動はそれだけで無駄だな。
…いた、俯いたまま、ブランコにぶら下がっている。
「まふゆ、どうしたの?こんな時間に…おばさんが心配してたよ?」
「…螢?」
その顔はひどく憔悴していて、今にも消えてしまいそうな顔をこちらに向けていた。
…なんで、胸が痛いんだろう。
「えっと、本当にどうしたの、その顔?もしかして家に帰るのが嫌…?」
「ううん、そんな事ない、今から帰るから」
そんな事の無い人間はそうやって隠す様に帰るとは思えないが。
…まだ痛む、なんで?
「だけど、辛そうだよ、僕で良ければ話を…」
「なんでも!なんでも無いから、大丈夫だから」
ただ心配そうに声をかけると、遮る様に自分は大丈夫だと、拒絶する様にまふゆは言った。
…なんでそれなのに、構うのを辞めないんだろう?
だって、そんな顔をした人を見るのは、初めてじゃないのに。
「そんな…おばさんが…」
「お母さんは関係ない!!!悪いのは、全部、私だから…」
…あぁ、これは、話さないとなぁ。
「…ねぇ、まふゆは、何もかも分からなくなって、それで苦しいの?」
「…え?」
「なら一緒に、探してくれないかな」
「…」
僕を見るまふゆの目は、独りじゃないと安堵する子供の様に見えた。
少しだけ、痛みが和らいだ気がする、だとするなら。
「何もする気も起きなかった、だからって何かに縋ることもする気は起きなかった、ずっと、何かに縛られた様に」
恥ずかしい想いだ、意地汚い考えだと、そう考える頭とは裏腹に、喋る口は止まらない。
「…それ、は」
それでもまふゆは、期待する目を辞めない。
なら、それで良いや。
「何も、何も分からないまま、何もせずに、偶然今の君を見つけて…ふと、君となら見つけれるかもって…探すために、協力して、くれないかな?」
そう言い終わった後、まふゆは再び、俯いて
「…私ね、自分の夢も、おいしいも、ぜんぶわからなくなっちゃった…っ」
そう、泣きながら言った。
眺めていると、胸の痛みがまた強くなった。
最後まで見ていただきありがとうございます。
なまじまふゆ母って、善人寄りの感性してるのである程度距離の近い人物からとやかく言わないとちょっと難しそうなんですよね…論外なセリフはいくつもありますが、それはそれ。
愛って素敵ですよね、伝えようとしたところで絶対に伝わらない代物ですもの、隣で感じ合ってるとか宣って馬鹿を見たり、信じていなかった癖に不意に受ける無償の愛に戸惑ったり、色々です、素敵です。
そう言ったものを文字に起こしたいと、思うんですがね…。