ペンライトの光明   作:ゴリラとの逢瀬

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良い体験には出来る限り応えたい、趣味程度のものですが、見守ってもらえる事に感謝を。

それはそれとして、当初は交友関係広めだった子がいるんですよね、広登君です、レオニとモジャンに交友関係持たせたら書いてて処理できないと思い辞めました、今思えば、ニーゴの関係性を考えるだけでもカツカツだったので、ほんとに変えてよかったです。


十一話 いつかの話

心とは、無くせないものだ、彼女の泣き顔を見て尚のこと思う。

 無くしてしまえば彼女の様に泣くことも、こうやって胸が締め付けられるような痛みに襲われることもないはずだから。

 

 だから僕は無くなる筈がないと言い張る為に、僕は胸の痛みや喉から競り上がるような圧迫感に、悲しいと名前を付けるし、目の奥に熱を持ち、胸が震え続けるこの感覚を嬉しいと名前を付ける。

 

 そうでもしないと、大事であるはずの想いを忘れてしまうから。

 

 そうでもしないと、目の前に居る、たった一人の想いにすら応えられないから。

 

「息抜きに何をしていたかも、お母さんが作ってくれたご飯の味も、何で褒められて嬉しかったのかも…全部、全部全部!わからないの…」

 

 そうでもしないと、彼女だけじゃ無い、他の誰かに、共感なんてできる筈も無いから。

 …あの日の事をちゃんと感じることが出来たならば、僕は正しく生きられたんだろうか、それとも…。

 

「螢…私、どうしたら良い?戻りたいよ…こんな私のままなら、消えたい…」

 

 或いは、このままの方が良いのだろうか。

 この想いの名前は分からない、でも、でもなんと無く、漠然とこう思った。

 

「戻りたいなら手伝うよ、消えたいなら、いつか一緒に消えるよ」

 

 この子を救えば、何かが変えれるかも、と。

 …一緒に探せと言った手前、この言葉は無責任だと、自分でも思う。

 

「…螢、でも」

 

「君は我慢してた、これまでも、きっとこれからもそうしてしまうから。でも消えたいと思うのは、きっと全部やり切って、底の底のまで辿り着いてしまったその時だけで良い」

 

「…私は、じゃあ私はどうしたら良いの?このまま、分かりもしないまま、言えないまま、なの?」

 

「…分からない、でも、そうやって一人で苦しみ続けるなら、二人の方がきっと、変われると思うから」

 

「きっとって、いつまでこのままなの」

 

 俯いたまままふゆがそう聴く、当然表情は窺えない、だけどこの先に希望を持ちたい、そう願う声色に聞こえるのは僕の願いなのだろうか。

 

「分からない」

 

「分からないなら側に居ないで…一緒に探すなんて言わないでよ!」

 

「…ただ、君を放っておくなんて、出来ない」

 

「そんなの…」

 

 …言葉を続けるまふゆを見なかった事にする。

 それをしたら、僕はきっと後悔する、名前を付けるまでもなく、そう思う。

 

「今の傷だらけの君を無視して生きてたら、また僕は後悔するから」

 

『また』の意味を理解せず、そうやって言葉にする、今日は無意識のうちに行動に出る日だと、ひとりでに思う。

 また、落としたく無いから?でも、まふゆにそんな想いを寄せる理由は、思いつかないや。

 

「こう、かい?」

 

「…ごめん忘れて、勝手に口から出ただけだから、でもまふゆを助けたいって、放って置けないって気持ちは、本当だから」

 

「…」

 

「とにかく、まふゆを救いたい、力になりたいって想いは、本当だから」

 

 放って置けない、君を無視して生きられない。

 この想いに名前を付けれていない。これは、何て言うんだろう。

 

「…私は…私は、また笑えるのかな。

 ちゃんとお母さんの言う、良い子に戻れるかな」

 

「良い子、君の言う良い子って、何?」

 

「お母さんの言うことを、ちゃんと聞いて、悲しませない子」

 

「…でも今まで、そうやって生きて来れたんじゃないの?」

 

「でも、バレたらきっとまた、お母さんを悲しませて…」

 

 …ああ、これで何と無くわかった。

 おばさんとまふゆは、噛み合っていないんだ、なら僕が出来ることは…言ったところで、意味があるかわからないけど、無いよりマシだと、思いたいな。

 

「またの意味はわからないけど、どうしても、辛くて、疲れてしまったら、僕のところに来れば良いよ、」

 

「…!いいの?」

 

 再びまふゆがこちらを見た、不安そうな顔で、期待する様な声で。

 

 「僕は君の味方をする、そう決めたから、疲れて何も出来なくなったなら、きっと…きっと休むのも、正解のはずだから」

 

 二人が噛み合っていないことはわかった、だけどおじさんは?合っているならば、きっとそれは、まふゆの居場所がどこにも無いと言うことの証拠になる。

 学校にも、無いだろうか?

 

「何が出来るわけでも無いけど、それでも、僕の家で出来る限り休んでいって欲しい、そして探そう?君の分からないもの全部。いつになるかは分からないけど、見つけられるその時まで、一緒に居るから」

 

「…うん、ありがとう」

 

 言葉を交わして想いが通じる、それはきっと嬉しいことだ、だけど目の奥は熱くならず胸は震えない、寧ろ、張り詰めた空気が抜ける感覚だった。

 これも、嬉しいなのかな、それとも、別の想いなのかな。

 

 …分からないな。

 

「…とりあえず、おばさんに見つかったって連絡するから、一緒に帰ろう?」

 

「うん、ごめん」

 

 …やっぱり謝られるのは違和感あるな、何でだろう。

 まふゆの顔をしばらく見て、思い至る。

 

「…ねぇ、まふゆ」

 

「何?」

 

「申し訳ないって思ってないなら、僕の前では言わなくて良いよ、きっとまふゆ自身を見つけにくくなってしまうと思うから」

 

「わかった、次からそうする、ごめ…あ」

 

「少しずつで、大丈夫だよ」

 

「…うん」

 

 そうやって、僕はおばさんの携帯に電話をかけた。

 

 …

 

思い返して見ても、僕がまふゆを救いたいって感じた理由はわからないまま、わからないままだけど。

 

「…でも、救いたいって想いは、変わらない」

 

 あの時の僕は何もわからなかった、だから調べた。心に響く物は何か、心を落ち着かせる物は何か、心を呼び起こす物とは何なのか。

 …病院を紹介したら、おばさんが介入する、おじさんも何をするか不明瞭で、そんな真似をしたら、まふゆが追い詰められるだろうから、調べた。

 

 偶然だった、音楽、お茶の効能、偶然知っていたものがあったから、まふゆに対して働きかけることができた。

 なければきっと、僕はただの口先だけの愚図だっただろう。

 

「奏には、感謝しても足りないな…」

 

 学校に来なくなってから、交流は無い子の事をふと思い出す。

 …家の呼び鈴を鳴らしても反応は無く、鍵もかかっていた為、それっきり顔を覗かせることは無くなったが、それでも、音楽を知るきっかけとなった人物だ。

 先生に話を聞けば、父親が倒れたらしく、それで予定が立て込んでしまったらしい。

 

 …彼女の父親の苦悩について察しはついていたが、それでも、何かしてやれることもなかった。

 もう過去になった事で、どうなる訳でも無いけど。

 

「また、会えたら、謝れるかな」

 

 言ったところで、何か変わるのだろうか、あれっきり、すれ違ってすらいない。

 

「奏…まだ、音楽を続けてるのかな、だとするなら」

 

 …そんな偶然、ある訳ないか。

 




最後までお読みくださりありがとうございます。

やりたい展開に説得力持たせる、バックボーンの補強とか意識するとできていなくてもどかしい。
ついでにたかだか2500文字程度で難産しまくるのは、私のダメな部分ですわね…
 
申し訳ありません、編集をまた大きく入れました…何がやらかしたって、奏の内情知らないのに人を救うワードを螢君が知っているって事です、頭パプリカですかね私。

本当に見てもらっている方に申し訳ない、こうゆうのどんどんコメントで指摘して頂けると助かります…。
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