冤罪先生   作:モノクロさん

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第8話

ー先生sideー

 カンナに連れられ、ヴァルキューレ警察学校まで同行した先生。

 

 周りの生徒の目からは『信じられない』『なんで先生が?』といった、困惑の感情が見て取れる。

 

 しかし、カンナはそんな周囲の視線など気にした様子もなく、淡々と歩き続ける。

 

「すみません。皆、今回の事件で動揺しているだけです。私含めて、多くの生徒達が、本当に先生が犯人だなんて思ってません」

 

 立場上、不適切とも取れる発言なのだが、これまでの先生の功績を考えれば、上からの命令とはいえ、カンナが先生の味方をするのも納得出来る。

 

「今回の件で、貴方と接触出来るのは此処までです。本当でしたら私が担当したかったのですが、私と先生とでは、公正な判断が出来ないと、そう判断されました」

 

 本来なら、シャーレから此処まで先生を護送する役目は、別の生徒達が担う筈だった。

 

 それを、無理を通して護送までの過程を、担当させてもらったのだろう。

 

「ありがとう、カンナ。心配してくれて」

 

「いえ……その……これまでの先生の事を考えれば……っ」

 

 カンナはそう言うと、何か言いたそうに口籠る。しかし、すぐに頭を振ると、先生に向かって頭を下げた。

 

「申し訳ありません。今のは忘れて下さい。それでは失礼します」

 

 そう言って、局内で待機していた生徒達に引き継ぎを任せると、先生に一礼した後、カンナは去って行った。

 

 カンナと別れた後、先生は施設内にある一室へと案内された。

 

 薄暗く、如何にもな取調室の雰囲気の中、先生はパイプ椅子に座るよう促されると、静かに腰を下ろした。

 

 大丈夫。何かの間違いで連れて来られたが、きっとすぐに解放される筈だ。

 

 そう自分に言い聞かせ、取り調べを受けるも、一向に解放される様子はなく、時間だけが過ぎていった。

 

 そして、数時間後。日が沈み始めた頃、漸く取り調べから解放された先生は、局内の留置所に入れられた。

 

 留置所の中は、まるで刑務所のようであり、独房のような部屋が幾つかある。その内の一つに通されると、部屋の鍵を閉められた後、看守から説明を受ける。

 

「明日の朝までこの部屋で待機だ」

 

 それだけ告げると、看守は部屋の前から去って行く。

 

 独房のような部屋に1人残される先生。部屋は3畳程の大きさであり、室内に置かれた家具等はトイレと簡易ベットのみとなっている。

 

 薄暗く、ジメジメとした独房のような部屋。

 

「…………」

 

 先生は無言で室内を見渡す。そして、ベットの上に座りながら、これからの事を考えた。

 

 このまま、何時まで此処に拘留されるのだろうか?

 

 仕事の事もあるし、生徒達だって心配している筈だ。

 

 無事に釈放されたら生徒達に会いに行こう。無事に釈放されたと伝えれば、安心してくれる筈。

 

 いや、その前に、生徒を殺めた犯人を探さなくてはならない。私の事はその後でいい。

 

 私がどうなろうと関係ない。生徒の人生を狂わせた事だけは、絶対に許さない。

 

 先生として、大人としての義務を果たさなくては。

 

「…………」

 

 先生はベットに横になると、静かに瞳を閉じた。

 

 明日の取り調べの為に、体力は温存しなくては。

 

 そう思い、心労が溜まった疲れもあり、先生は静かに意識を手放した。

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