どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!? 作:銀の弾丸
「うはー、やってるやってる」
最終的には橋の上、とことんやるなぁ。
「根性だけなら一人前ってとこか」
いいね根性、俺もよく頼る力だから親近感はある。
しかし……うむ。
「身体ガッチガチ……ってわけでもなさそうなのに、なんか弱く見えるの何なんだ」
いや見た限りの実力じゃあ弱いんだけど、何だろうな。
なーんか引っかかる。
「強く見られるだけで弱い俺だからかねぇ」
いや親近感湧いてんのは相手に失礼か。
んー……あー、あれか、あの歩法。
「爺さんのソレだなありゃ」
あいつらの歩き方に似てるのか、ああそりゃ強そうに見えるわ。
正式名称は知らん、伝統的なのかもな。
「……何かしらの武道経験者?」
爺さんは道場の師範代で……ああ、俺の祖父じゃねぇってことだけ言っとく。
爺さんはマジで道場の爺さんだよ。
「にしては立ち回りがおざなりってか、何と言うか……」
武道経験者ならアリア相手にあそこまでボコボコにされるのかって話。
染み付いてる感じの動きだし素人って線は薄いハズ。
「……ダメだわ、不良門徒の俺にはこれ以上の考察は無理だ」
真面目に行ってなかったんだわ。
あの頃は別に強くなりたい願望ないし、遠山が主人公街道突っ走ると思ってたし。
「んーまあ俺の話はどうでもいいんだよ、うん」
誰に向かって話してんだって感じだな、周り誰もいないんだから。
『ちょっと! 聞いてるの!?」
「あん? エンブレムの途中だろうが何やってんだ」
『どうせいるんでしょ? ならあたし達がいる橋の下を見て』
いやそりゃ、お前の荷物持ってんのにあの場で待つだけってわけにもいかんでしょう。
「橋の下……って、ああそういうこと、なら俺がやるよ」
考え過ぎてたな、なんかいるわ。
『あんたも関わったことある? 蛇みたいな刺青の集団』
「ん? ……あー……ああ! お前と戦う前にやったわ、あいつら」
『任務ってあいつらだったのね』
「俺がやったのは多分、下っ端も下っ端なんだがな」
詳しい事情は知らんのだがな。
「じゃあ俺がやるからお前らは」
『援護と後から来るやつ、頼むわね!』
「ちょっ」
飛び降りやがった。
お前時間制限付きのエンブレムやってたよな?
「エンブレムはどうした!」
『並行よ、それがルールだから』
「そうかい!」
あールールか、ルールねぇ。
「それじゃ、さっさと片付けてやらねぇとな」
『頼りにしてるわ』
「そりゃどーもっ!」
……それはそれとして、アリアの信頼重たいんだが?
やっぱあの1年なんかおかしいわ。
「車の鍵といいアリアのエンブレムといい、なんかあるな」
「あんたもそう思う?」
「おおアリアか。……まぁな」
一度は偶然、二度は幸運、三度は必然だからなぁ。
1個目と2個目変わらないだろって? 造語だからあんまり中身とか気にすんな。
「ふわっとした感想だけどな。それ抜きしても、根性とあの耐久は伸びる側の人間だと思うぞ」
「随分とあの子を評価するじゃない」
「そりゃ、努力と根性でSまで来れたのが俺だし」
「……そっか。そう言う意味じゃ、将来有望なのかしらね」
「お前とあいつ次第だろうさ」
努力だけでなれるものではないのも、俺は痛感してる。
まあ、隠してるものも適切に使えるんなら……ってとこじゃないか。
「あ、あの石川先輩っ」
「……? おう、どうした」
「さ、さっきはありがとうごじゃいましたっ! ……っ〜!?」
「どういたしまして、だな」
顔を真っ赤にして噛んじゃった……と呟いている、落ち着け落ち着け。
「まあまずは落ち着いて話すといいさ。俺もすぐにはいなくなるわけじゃない」
「ひゃ……は、はいっ」
「あかり、知ってそうだけどこっちのはヨリト。あたしと今パーティを組んでるの」
「石川ヨリトだ、よろしく頼むよ後輩」
「わぁ……! あ、間宮あかりですっ、よろしくお願いしますっ!」
「ヨリト、あんた八木組み立てられる?」
「八木? 一応できるが何でそんなもん」
「今度の件は
「ほー……あいよ、基本的なのでいいんだよな?」
「ええ。説明書もあるから後で渡すわ」
「おう」
「ヤギ……???」
頭にハテナマーク浮かべてそうな表情だ、わかりやすいな。
「間宮は多分、必要だったらこれから習う技術だ。あんまり気にしなくていい」
「……はいっ」
「でも、色々できるに越したことはないんだから、覚えられるなら覚えといた方がいいわよ」
「はいっ!」
元気だねぇ。
アリアとは相性良さそうか。
「ちょうどいいしヨリト、あんたこれから私の部屋で組み立て方とか色々あかりに教えてあげなさいよ」
「えっ」
「
「色々準備することがあるのよ」
「……! お、お願いしますっ!」
「いや、教えることに異論があるわけじゃないからな間宮」
しかしまあ、『武偵殺し』捜索は基本アリアに任せているという負い目があるのも事実だがな。
「どうせ来るんだから、構わないでしょ」
「……あいよ」
「……って、感じだが、理解はできてるか間宮」
「えっと、その……これがこうで……あれ?」
「できてなさそうだな」
うぅむ、俺も教えるのが上手い、と言うわけではないからなぁ。
てかアリアよ、英語の説明書渡されてんだが、これ俺がいなかったらどうしてたんだ? つかそもそも俺が英語読めなかったらどうしてたんだ。
「まあ、今すぐ全部できるようになれ、とは言わないし、言われないはずだ。ゆっくりと飲み込みな」
「ぅ……はい」
「あんまり気負うなよ。最初はできないのが当たり前ってやつだ」
……そう、最初はできなくて当たり前なんだ。
最初からできる、過ぎるやつなんてのは、いても嬉しいもんじゃあないのさ。
「先輩?」
「ん? ……あぁ、すまんぼーっとしてた。続けても大丈夫そうか?」
「先輩が可愛い……!」
「間宮?」
「あっ、大丈夫ですっ!」
大丈夫かなこの子。
まあなかなかなアリア好きであるようだが、テンションの上下の振れ幅が激し過ぎると思うんだ。
何かしらで上、失敗して下、みたいな。
と、そんなこんなしていると携帯から着信が入る。
「ん、どちら様か……と?」
「?」
ふむ、なんか珍しい気がしなくもないが。
峰からのメールというのもな、大体学校でわいわいと話して終わるのがいつもの流れだし。
「校舎裏、ね」
『話したいことがあるから、校舎裏で待ってるねっ ヨリくん愛しの理子より☆』……とのこと。
愛しの理子というのは思い当たる節がないが、あいつなりの冗談と捉えておこう。
「すまん間宮、ちょっと出てくる」
「え、えぇっ!? こ、これはどうしたら……」
「あとはもうそのパーツを組むだけさ。わからなかったらアリアに任せてもいい」
アリアにも『用事ができた。間宮を残してちょっと出てくる』と送っておいてと。
「なんの厄介事かね、現代の怪盗殿は」
あれで才能がないって言われてんだから恐ろしいよなこの世界。
遅くなりました、あけましておめでとうございます。