どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!? 作:銀の弾丸
「よ、峰」
呼ばれて参るは校舎裏。
流石に時間が時間だからか、辺りは暗い。
「……ヨリくん」
「こんな時間に、どうしたんだ」
武偵としての峰……というとメタい話なのだが、その時のこいつは基本的に敵を作らない、特に男子。
同性からの嫉妬やら何やらはまぁ防ぎようもないのかも知れない、俺には経験のないもんだがね。
それでもやっぱり、基本は好かれているのが峰理子という女の子になる。
「んー……何でだったっけ?」
「いや、俺は知らんのだが」
少し考える素振りを見せ、あ、そうだったと呟く峰。
しっかりしてくれると助かるが、眠いのかね。
「……えへへ」
「今日は月が綺麗だね。ヨリくん」
「お前の方が綺麗だろ」
「わお、はちゃめちゃな返し方に、流石の理子も驚いちゃった。ヨリくんってばプレイボーイだねぇ」
「そういうのじゃねぇよ。俺の月の捉え方に問題があるだけで」
「はえ?」
しっかりと? を頭に浮かべていそうな峰、まあそうなるわな。
「月は誰かを照らすもの、何かのものを照らすもの。要するに飾りだ」
「だったら、照らすものより照らされたものの方に意味があるだろうって話だよ」
「あはは、面白いねぇそれ」
「……笑えるもんでもない気はするが」
「だってだって、月夜の光をアテにするのって、それもう泥棒しかいないじゃん?」
「それだけってことはないんじゃねぇか」
「ない。人は誰しも、暗ければ灯りを携えるものだから」
「真っ暗闇には恐怖が……鬼が、潜んでる」
「だから、そんなもの利用するのは、灯りを頼れない犯罪者くらい」
「……素敵な持論だね」
「ヨリくんこそ、理子は好きだよ?」
「どうもありがとう」
……なんとまあ、奇妙な世間話をしているもんだ。
「だから」
「……」
「だから、だから、だからだからだからっ」
「 だから、こそっ!!!」
峰が、鬼の……いや、怨みつらみを込めた目でこちらを睨んでいる。
「許さないっ、赦さないっ、許せないっ、赦せないっ!」
「なんで! なんであの時見捨てたんだっ!!!」
「っ」
凄まじい気迫だ、今まで出会った誰よりも。
「……石川頼人。
「そして……お前の父親は、あたしの父親と協力関係にあった。仲も良かったんだってさ。頻繁に仕事を共にするくらいに」
「……そうか」
「答えろ。お前たちはなんでっ……なんでっ! お父様をっ、家を裏切ったっ!」
俺はそこの系譜だったのか、道理で。
で、父親も例に漏れず裏稼業の人だった、と。
お侍なのか? だったらマジで笑えねぇが。
「……1つ、誤解を解いておく」
「なんだ」
「俺の父親は、すでに故人だ。お前の復讐対象はもういない」
「なっ」
「叔母たちからは野垂れ死んだと伝えられてる」
「……っ」
俺は孤児……みたいなもん。
思い当たる節は多いにあるが、うちの一族親が死にやすいらしく。
どこぞのお山の村に大体引き取られて育つんだわ。
石川がどうのこうのってのは全く知らなかったんだがな。
「それに俺は本筋じゃないそうだぜ」
「何の話だっ」
「さて、俺も詳しくは知らん。途中で不良になったからな」
聞いたことを俺なりに解釈した結果だ、真偽までは何とも。
しかし、父親ね。
「お前の父親が誰かなんてのは知らないし、俺の父親の所業ってのもあんまりわからない」
「……その上でだ、峰」
「……」
「
結局は峰がどうするか、だ。
「……あは、そんなの一つに決まってるよねっ」
「復讐か」
「筋違いなのはわかってるよ? でもでもぉ……」
「 やっぱり許せないんだよ。お前をっ、お前たちをっ!」
「何でのうのうと平和に生きてるんだよっ、何でそんなに前向きなんだよっ、何で……何でっ!」
「あたしは、あたしが許さないものだって選べるんだっ!」
「 だからぁ、ごめんね?」
「謝んなよ。怒っちゃいねぇ」
「あはっ、心広ーい。さっすがヨリくん」
「……それだけかよ。『武偵殺し』どの?」
「なんのこと?」
「引っ掛かんないか。……ったく、どいつもこいつも厄介事しか持ち込んでくれないのな」
「アリアに引っ張られて忙しいんだぁ?」
「おう、お前がそっちの犯人なら一気に片付いた気がしなくもなくてな。言ってみたが違うらしい」
「 あは、頑張ってねぇ?」
「言われずともだよ、復讐者」
ふむ、峰は復讐者にもなったらしい。
……これ、俺とアリアやばくないか? 下手すると原作より過激なことになりかねんぞ。