どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!?   作:銀の弾丸

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「このっ!」

 

「ちょこまかとっ!」

 

「……」

 

 

 侍かなんかの子孫かよこの姉妹……!

 早え多い厄介と、こいつらなんでメイドやってんだっ!?

 

 

「……お前たちに構ってやる事情はないんだがな」

 

「私たちにはあります」

 

「お嬢様の屋敷に忍び込む不届者を、そのまま帰すなど笑止千万」

 

「「その首印、貰い受けますっ!!!」」

 

「現代人が使っていーい言葉じゃねぇなぁっ!!!」

 

 

 やっぱり侍じゃねぇかよっ!

 どいつもこいつも殺意が高ぇ手数も多いっ!

 

 

「大と小の二刀流ねぇ……!」

 

 

 怒涛の剣撃を、こちらもナイフを両手に持って凌ぎ払う。

 予備のナイフあってよかったなほんと。

 しかもっこいつら実戦慣れてんなぁっ!?

 二人組なら強襲科(アサルト)で良いとこ行けるぞマジで。

 

 

「っぅ……まともに競り合ってらんねぇな」

 

 

 強さ的には負けることはない……とも言い切れない、こんな状況で銃使ったら大騒ぎだし。

 しかし銃を封印してこいつらを凌ごうとすると……。

 

 

「ナイフも手も、いつまでも持つわけじゃない」

 

 

 あちらの得物の方が質量やら長さやらで威力も高いし、相手も素人じゃない。

 打ち合えばナイフが折れるし手も痺れてくる。

 そしてこのままだと、そこ以上の問題まで出てくる。

 

 

「……あっちの戦況も気になる」

 

 

 忘れちゃならないが。

 俺の目的はこの姉妹に勝つ、ではなく間宮が私闘で負けないようにすること。

 いくら強襲科と言えどあいつはE、相手はA。

 相手は探偵科(インケスタ)だろって?

 勝算があるから2人きりになってんだろ。

 

 

「……思わぬところで難所だな」

 

「何をさっきからぶつぶつと!」

 

「私たちは眼中にないと言うことですかっ!」

 

「いるっての! でなきゃこんな悩まねぇさっ!」

 

 

 ああもう強いねぇっ!

 あの一件から驕ってたつもりはないが、こうも条件を限定されるとな。

 

 

「「せええぇいっ!!!」」

 

「うぐおっ!?」

 

 

 受けた俺ごと弾き飛ばされる。

 

 

「……騒ぎは起こしたら面倒なことになる、却下」

 

 

「このメイドたちに勝つ、今この装備と条件下では時間がかかる、かかり過ぎる、却下」

 

 

「じゃあ……」

 

「もう凌がせませんっ」

 

「お縄についてもらいます!」

 

 

 ふんす、と言いたげなメイド姉妹。

 いやまあ、あんたら強いよほんと、これなら相当自信があってもおかしくはない。

 だが。

 

 

「なあ、メイドたち」

 

「なんですか、不届者」

 

「なんですか、侵入者」

 

「センパイとして、良い言葉教えてやる」

 

「「?」」

 

 

   三十六計って、知ってるか?」

 

「……なっ」

 

「っ、させませんっ!」

 

「するんだよっ!」

 

 

 ナイフを、姉妹にそれぞれ()()()()、そしてお次に。

 

 

「……失礼」

 

「「!? なにを   きゃあっ!?」」

 

 

 吹っ飛ばされる前から至る所に引っ掛けておいたワイヤーを引っ張る。

 

 

「ワイヤートラップ……!」

 

「このっ……!」

 

「悪いね、こっちも依頼なんだ」

 

 

 つっても流石に無傷じゃねぇが。

 頬ごとマスク代わりのネックウォーマーが斬られた、ここからはもうバレるの前提か。

 

 

「あなたは……!」

 

「お前らのお嬢様の企み、成功させたら俺がどやされるんだ……と、話してる場合じゃないな」

 

 

 さっさと状況見ねえと……!

 

 

「アリアならなんて言うか……『自分で解決してみなさい!』ってところかねぇ」

 

 

 ……あのレベルで自分にも他人にスパルタでストイックになるべきか、否か。

 自分なら、って感覚にはなれるんだが、どうにも他人にまでとなるとな。

 

 

「お、見つけた   って、やばいなっ!?」

 

 

 まさかの長物っ!? 佐々木……小次郎かねあいつっ!?

 侍で剣豪の豪邸に忍び込むとか何の罰ゲームだっ。

 って制服使え間宮、それ防刃   気付いてないなあれっ!?

 

 

「投げナイフ……じゃ逸らせねぇかっ!」

 

 

 間に合えよ   

 

 

 

 

 

「ぁ    

 

 

 だめ、これは躱せないっ!

 でも、負けたらアリア先輩の戦妹(アミカ)になれなくなっちゃうっ。

 

 

「っ……!!!」

 

 

 色んな考えが頭をよぎって、思わず目を瞑ってしまう。

 ……だけど。

 

 

「……あ、れ……?」

 

 

 次の瞬間には、来るはずの衝撃が、いつまでもやってこない。

 なんで   

 

 

「……どんな、時でもっ。戦うんなら、周りは見渡せた方がいいぜ、間宮」

 

「ぇ……」

 

「あなたは……あなたはっ!!!」

 

 

 そんな、どうして。

 ここにはいないはずの人の、温かい声。

 アリア先輩と一緒に憧れた、もう一人の   

 

 

「石川、先輩っ……!」

 

 

 志乃ちゃんとの間に、いた。

 石川先輩が、あたしを守るようにっ……。

 

 

 

 

 

 あっ……ぶねぇっ!

 なんて威力してんだ佐々木……まじで佐々木小次郎の家系だったりするのかこいつ。

 

 

「骨は……折れてないか」

 

 

 うん、なら最悪行けるか、折れた腕で相手するのはちょっと面倒そうだったが。

 ナイフが緩衝材になったおかげかね、山勘も当たるときは当たる。

 ……消耗してたとは言え、なんでナイフが緩衝材にしかならんのかね、腕も多分ヒビは入ってるし。

 

 

「なぜあなたがっ!」

 

「依頼だよ。ったく……あいつの勘の精度にゃ、肝が冷える」

 

「アリア……っ!!!」

 

 

 先輩を呼び捨てとは、恐ろしいねぇ。

 ……霧崎の言ってた百合の物語ってほんとなのな。

 いや百合に挟まりたくはないんだけど、重罪だし。

 流石に依頼優先だわ。

 

 

「せん、ぱい……」

 

「……んー、動けるか間宮」

 

「……あっ、は、はいっ!」

 

「よろしい……じゃあ、後はお前が対処できるか?」

 

 

 俺がやっても、まぁ依頼は達成できるんだが。

 ヒラヒラと己のネクタイを触りつつ、わざとらしいか?

 

 

「あっ……できますっ!」

 

「じゃ、行ってこい。最低限助けたが、これはお前がどうにかしなきゃ、根本から解決はできねぇよ」

 

 

「……友達なんだろ?」

 

「……はいっ!」

 

 

 気合いを入れ直したみたいだな、よし後は任せられそうだ。

 

 

「……いや、俺にスパルタは向いてなさそうだな、全く」

 

 

 戦徒(アミカ)とか取ったら、それこそヒント与えるなりなんなりしてしまいそうだ。

 あと後輩がボコボコにされてるのは見るに堪えん。

 

 

「他人に甘く自分に厳しいか……まあ、いいだろう、うん」

 

 

 よそはよそ、うちはうちってことで。

 まぁ、強さに関してはそんなの関係ないんですけどね。

 ……強くならねぇとなぁ。

 

 

「……お、勝ったか」

 

 

 おお、なんかそれっぽいいい雰囲気。

 ……百合ってことは、女にモテるタイプなのかね間宮、小動物タイプの可愛い感じはしてるが今のところ。

 

 

「ま、終わりよければ全てよし、だよな、うん」

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