どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!? 作:銀の弾丸
「……さて、イッチ」
「おう」
「本題に入ろう」
本題、ねぇ。
「……いや、本題ならいつも話してんだろ」
「まあそうなんだけどね? 今日は形から入りたいなって」
今日は、てお前な霧崎。
いつもいつもお気楽に話してる、みたいな言い方するもんじゃねぇよ全く、いつもいっつも真面目だろ。
「それはそう。私もイッチも、最初からしたら随分変わったからねぇ」
「まぁ、それだけの理由があったんだしそりゃあな」
霧崎との会合n回目の今、振り返るってことは……。
まぁ、話に付き合うか暫くは。
「AランクがSランクに、Bランクは有名になって超能力まで生えて来た。……ほんっと、人生の計画がパーだね」
「違いないな」
「……何にもした覚え、ないのにね」
「ああ」
あいつらにわざわざ関わろうとは思わなかったし。
Aランクになったのだって、強くなりたかったとか目立ちたかったとかではないからな。
……ただ、理不尽に喰い潰されるのはごめんだっただけだ。
「 明後日、雨が降る」
「……」
「遠山くんの時計、理子ちゃんが直すって。明日くらいには返せるんじゃないかな」
「……そうか」
それは、つまり。
「原作の始まりは、神崎さんと遠山くんの邂逅。でも私達にとっては、多分ここから」
「イッチ、方針を決めよう」
覚悟を決めた様な表情をする、霧崎。
ああ、そうだな間違いない。
そろそろ、俺も覚悟を決めなければならないのだ。
「……ついに来た、って感じだ」
「だね。……正直、怖いから先延ばしにしたい気分」
「俺もだよそんなん」
全て元通り、とは行かないが。
無理やり元の流れみたいに、ということは俺達側から見て出来なくはないのだ。
「バスジャック。私達にとっての、最初の選択」
「表に出るか、出ないのか」
「……どうしよっか?」
表に出る、出ないと言うのも。
このバスジャックは、遠山がアリアを本格的に気にし始めるきっかけとなる……まぁ、キーイベントと言えば良いか。
アリアが怪我を負って落ち込んで、それを引き摺った遠山が誘導ありきとは言え事件解決に乗り出す。
大体そう言う流れだ。
「ここならまだ、私達というかイッチが関わらないと言う選択肢だって取れるんだよね」
「まぁな」
レキだけ少々面倒だが、最後のあのタイミングにさえ間に合わせればおそらく支障はないだろう。
俺もそのタイミングで行けば増援という体で割り込める。
「まだ、私はそっち方面で関わってるわけじゃないからさ。ここはイッチに決めて貰いたいんだよね」
「私達というキャラを、ここで
……まぁ、なぁ。
正直、世界が、救われる筈だった誰かがどうにかなるのならこんなことするつもりもなかったと言えばそうなのだ。
主人公、遠山は本物のヒーローだからなぁ、誰かを見捨てられないがその分結果を残して来た。
あんだけ好かれてたのはその見返りと言っても良い。
「……」
「……ちなみに私は前者寄りの考えはしてるよ。無理して本筋に関わる必要なんてないって思う」
「……」
「本心ここに在らず、って感じじゃねぇかよ」
「ほんとにそう思ってるけどー?」
まぁ後者だよなお前も。
「でも。無理して関わらなくていいってのは、ほんとにほんとの本心だからね」
「私とイッチは実力が足りてない。なのにイッチが無理して傷付く道を選ばせたくないよ」
弱くて悪かったな。
まあ、本編始まってまもなくの癖にぼろぼろになりまくってる自覚もあるから否定はしないが。
「……
「生きるだろ。んなもん」
「わお即決、あんなに悩んでたのに」
「そりゃお互い様だ」
正直今も悩んでるがね。
「武偵憲章第10条」
「諦めるな、武偵は決して諦めるな。……そっか」
「ああ、俺達は異端だが、ちゃんと武偵なんだ」
「だったら、最後の最後まで足掻こうぜ」
自分勝手じゃあるがね。
フェードアウトなんてさせねぇよ、俺達が諦めるまでな。
どう頑張っても……って悲観するのはその後だ。
「いいね。武偵らしくて好きだよその考え」
「らしいも何も、武偵だっての。お前も俺も」
「あはは、そうでした? ま、私は賛成」
「賛成2票で満場一致だな」
「母数少な過ぎない?」
「多くても困る」
「間違いないね」
俺達みたいなのが沢山いたら困るっての。
……そう言う奴に原作がぶっ壊されたのかもしれんが。
「まぁ、その可能性もなくはないけど。調べても出てこないし保険程度にしかならないよね」
「ああ」
「……まぁ、とりあえずは目の前のことから、だ」
「だねぇ」
「難しいこと考えなくてもいい程度に強くなれたら良かったが」
「む、イッチは頑張って来たじゃん」
「足りてねぇんだよ、運命に抗うのに」
神様に抗うより難しい問題だしな。
「じゃあ盗めばいいじゃん」
「は?」
「イッチ五右衛門の子孫なんだよね? 盗むのは得意でしょ」
「原作の活躍を頂戴……ってそんなバカなことができるかよ」
「あははっ、流石に冗談だよ〜」
あのな。
……まあ、何も言うまい。
「……ロンドンの殺人鬼様(仮)ならどうにかならんかね」
「超能力がどうにもわからないからなんとも?」
「まだわからないのかソレ」
「残念ながら〜」
「武偵校に頼ったら、それこそ本当に原作変えちゃいそうでさー」
「『魔剣』か」
「そ。私でもわかるくらい危ない能力だからね」
「愛用していた枕を弾けさせる程度の能力……」
「バカにしてる?」
「……いや全然」
「今の間絶対バカにしたよね!? もーほんとにお気に入りだったんだからさぁ」
「できる限りの修復はしただろ」
「……ん、そこはありがと」
「どういたしまして」
まあ結局。
こんなノリでも、今までは続けられた。
これからもどうにかするしかないだろうよ、うん。
「ロンドン橋、落ちた?」
「落ちない様にするのが俺達だ」
「……それもそっか」