どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!?   作:銀の弾丸

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お久しぶりです


死の宣告

「……なんか、結構疲れたなこりゃあ」

 

「誰のせいだと思ってるのかなぁイッチ!」

 

 

 隣からの視線がすごく痛い。

 悪かったって、こんなタイミング悪いとは思わんよ俺も。

 

 

「はぁ……ほんと、一回殴って良い?」

 

「……しっかし、2人っきりにして良かったのかね」

 

「盛大にスルーしたよね、誤魔化されないからね」

 

「……」

 

 

 はは、相変わらず勘がいいな霧崎。

 

 

「もー……まあ、こうするしかなかったんじゃないかな。あの空気感なら変な拗れ方はしないと思うし」

 

「そうかねぇ」

 

 

 今は2人きりにしてくれとアリアから頼まれて、霧崎と共に街中で時間を潰している。

 

 

「何が起きてもおかしくない以上、目を離すのはちょいと怖いがね」

 

「それはそう、でもだからって関わってるともっと拗れるよ」

 

「だよなぁ」

 

 

 はてさてどうすれば良かったのか。

 というか俺たちの知らない所で知らない出来事が起き過ぎてんだわ、なんだ親同士の邂逅って。

 旅行先で偶然ばったりとかか?

 

 まあわちゃわちゃ考えた所で結局、どういう出会いだったとかどういう感じだったとか聞けてない訳で……。

 

 

「イッチ?」

 

「……ん、おーどうした」

 

「どうしたじゃなくって。……あそこ」

 

 

 霧崎が指を刺した方向に……は?

 

 

「な」

 

「わー大胆……」

 

 

 峰が、いた。

 先に見えるビルの屋上に。

 おまけに手まで振っているときた。

 

 

「何か、言ってる」

 

「ああ」

 

 

 口パクで、こちらに何かを伝えようとしている様子だ。

 何々……?

 

 

「いー、おー、えむ、いー……なにこれ?」

 

「M、ってことは他のも英語だろ」

 

「あそっか」

 

 

 E、O、M、E……じゃないなら、一体……?

 ……Come(来い)、か?

 

 そうして動こうとすると。

 

 

「首を振ってるよ?」

 

「……動く系じゃねぇってことか?」

 

 

 そうして今度は、こちらを指差している。

 ……下?

 

 

「霧崎、足元の紙袋って    

 

「『B・o・m・b』……!?」

 

 

 Bomb……それっぽい紙袋、まさかっ。

 

 

「……下手に動けねぇな、これ」

 

「みたい、だね?」

 

 

 忘れちゃいけない、あいつは有名な犯罪者『武偵殺し』、爆弾魔だ。

 俺らの足元にあるのがBomb(爆弾)だとしたら、動くなという意味だろうことは予想できる。

 あいつは……ん?

 

 

「居ねぇ」

 

「え?」

 

 

 紙袋に気を取られた隙に、あいつは屋上から姿を消していた。

 

 

「じゃあ今のうちに紙袋から離れ……られないか」

 

「無駄だ、周囲には一般人がいる。……俺たちが離れたら即爆破、なんて凶行に出ないとも限らない」

 

「……む」

 

 

 周囲にこのことを伝えるのもリスクが高い、伝えてすぐに人は逃げられる訳じゃないし、混乱を招くだろう。

 その間に爆破されれば被害は出る、そもそもどれほどの規模かもわからない。

 

 

「……精々、お前は平静を装っとくことくらいか」

 

「?」

 

「おいおい忘れんなよ、広義的にはまだお前は知らないだろ?」

 

「あ」

 

 

 俺の意図に気付いた霧崎。

 まあ元々ポーカーフェイスとか警戒とかは得意な奴だし、あんまり心配はしてないけど。

 

 そうやってぼそぼそと、会話を続けていると……。

 

 

「あはっ、お久しぶりだねぇヨリト、退院おめでとう?」

 

「おう、ありがとよ。……ま、それは嬉しいが置いといて、この紙袋の中身教えてくれるか?」

 

「んー、理子からのプレゼントだよ?」

 

「そりゃあどっちの意味だ」

 

 

 復讐心抱いてる奴からのプレゼントとか、そりゃあ物騒な方と捉えられても仕方ないだろ。

 

 

    どっち、だろうねぇ?」

 

「……霧崎、先帰っとけ」

 

「え?」

 

「えぇー、どうして?」

 

()()()()()()、違うか」

 

「……ま、そっかそっかぁ」

 

 

 霧崎との協力関係は流石にバレてないみたいだな、よし。

 

 

「神崎さんにも追い払われたんだけどー?」

 

「俺は俺でこいつと話があってな、悪い」

 

「くふ、ごめんねぇイヴイヴ。ヨリくんは今、あたしを優先してくれるんだぁ」

 

 

 おいバカやめろ。

 霧崎はともかく周りに知り合いがいたら誤解を与えかねんぞそれは。

 

 

「……そっか、お幸せに〜」

 

 

 ひらひらと手を振って、どこかへと去ってしまう霧崎。

 上手く離脱できたな……。

 

 

「あれれ、ほんとに行っちゃった」

 

「あいつがそんな冗談を真に受けるタイプかよ」

 

「んー……まぁそれもそっか、そうだよねぇ」

 

 

「じゃあ、とりあえず移動しよ?」

 

 

 

 

 

「こいつは、例のデートとやらにどう関係するんだ?」

 

「そんなに焦らなくてもぉ、今から話すよ?」

 

「焦っちゃいねえよ」

 

 

 峰に言われるがまま訪れたのはメイド喫茶。

 ……さて、どうしようか。

 

 

「結局、その紙袋の中身は物騒なもの……で良かったか?」

 

「くふ、そうだねぇ」

 

 

 中身をゴソゴソと漁り始める峰。

 おいおい何だ?

 

 

    じゃじゃーん!」

 

「……手袋?」

 

「そうだよ、物騒なものなんか白昼堂々と使う訳ないよねぇ?」

 

 

 じゃああの口パクなんやねんと。

 

 

「特に意味はなかったりして?」

 

「杞憂かい紛らわしい」

 

「イヴイヴと一緒にいたから、イジワルしたくなっちゃった」

 

「意味のわからん理由であいつ巻き込んでんじゃねぇよ」

 

「てへ?」

 

 

 はいはい可愛らしいことですね。

 ……関係バレなくて良かったなほんと。

 

 

「イヴイヴとは恋人だったりしないよね?」

 

「どうこじつけてもかかりつけ医と患者だと思うが」

 

「あはっ! そっかそっかぁ」

 

 

 周りからやいのやいの言われることは多数あるが、俺が武偵としてやって行く以上霧崎や他の奴と関わるのは避けられん、気にしててもどうにもならん。

 技術盗んだりしなきゃ追いつけないからな。

 

 

「……ほんっと、ストイックなバカだよねぇ」

 

「ほっとけ、性分だ」

 

「アリアがイギリスに帰る日」

 

「……」

 

「お前もアリアと一緒に飛行機に乗れ、そこで    

 

 

「最初で、最後で……最っ大のデートを、パァッとしよ?」

 

 

「ね、ヨーリくん♡」




デート(ハイジャック)
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