どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!?   作:銀の弾丸

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遅咲き

「ふぅ」

 

 

 悪名名高き、我らが強襲科(アサルト)の体育館、その中で闘技場(コロッセオ)とあだ名された場所にて、一息。

 

 

「ゔ、ごご……」

 

「なんかあいつ、前より強くなってねぇ?」

 

「これでなんでSじゃねぇんだよ」

 

 

 ランク的に評価するのであれば、複数のCとBが1人。

 倒れ伏す彼らは、皆一様にこちらに視線を向けている。

 

 

「悪い、加減できなかったわ。動けるか?」

 

「くっそヨリトこの野郎……っててて、とりあえず肩貸せ」

 

「保健室行くか?」

 

「いらねーいらねー余計なお世話だよ、ったく。これくらい休んでりゃどうにでもなる」

 

「そりゃ結構だ、まだまだ死にそうにない」

 

「へっ! そう言うお前も、今のままなら随分しぶとそうじゃねぇか」

 

「……まあ、な」

 

 倒れている1人に肩を貸し、闘技場の外まで歩いて行く。

 徒手格闘訓練……の授業の筈だったんだけど、なんで俺は闘技場で見せ物面してんだ。

 

 

「なんや、もう終わりかいな石川。もっと派手にやらんかい!」

 

「へーへーすんません。でも必要以上に痛め付ける技術は必要ないですよね」

 

「なんだてめー煽ってんのか」

 

「うぐおっ」

 

 

 遠回しに弱い、と言ってしまったことに反発された、痛いじゃねぇかこの野郎。

 

 

「暴れんな暴れんな! ……はぁ、でなんでいきなりこんなことさせたんすか、蘭豹先生」

 

「ん? そりゃお前決まっとるやろ」

 

「はい?」

 

 

 何を言っとるんだと言う目で見られている、いや知りませんけどなんのことで?

 てか俺この後もまだ予定あるんで行っていいですか?

 

 

「まぁ待てや。そっちとも関わりあることやからなぁ」

 

「……え、ほんとになんの話っすか」

 

「お前、装備科(アムド)にも顔出しとるんやったな」

 

「はい」

 

「……まぁ、先伝えとくぐらいはかまんか」

 

「は?」

 

「お前、Sなるで」

 

「えっ」

 

「正式な通知は教務科(マスターズ)から来る筈や、良かったな」

 

「……えっ、えいやいつ決まったんすかそれ!?」

 

「さっきや。校長とかも見に来とったで」

 

「査定の為の模擬戦……!?」

 

「つーか元々決まっとったようなもんやぞ。入試の時こそパッとしてへんけど、あん時は遠山とおんなじ場所やったみたいやしなぁ?」

 

「げっ」

 

 

 そうなのだ。

 幸か不幸か、入試の時の俺は遠山と同じ試験会場だったのだ。

 そしてしっかりヒステリア、勝ち目ねぇよふざけんな。

 

 なんて言ってはみたものの、その時は別に本気で強くなろうともSランクになりたいとも思ってなかった訳なのだが。

 なので落ちないように、命大事にで試験を終わらせたんだよな。

 

 

「ま、そういう諸々込みで査定された結果ってことや。素直に受け取っとき」

 

「……うす」

 

 

 ……想定してたよりも遅い結果にはなったんだがな、これでも。

 

 

 今は秋も過ぎて冬、二学期の終わりが見える頃。

 つまるところ、遠山キンジのターニングポイント手前ってわけ。

 

 

 

 

 

「ギリッギリだったね?」

 

「思ってたより壁が高かったんだなこれが」

 

「まぁそこは否定はしないけど、最初の会議からもう6ヶ月だよ」

 

 

 他人事だと思いよってからに。

 早々なれるもんではないということがわかっただけましだろ、こんなん。

 

 

「三学期に合わせてタイミング良く、って可能性も否定できないとは思うけど、それにしても危なかった」

 

「最低限、Sランクとして実績を積むための時間がなきゃだからな」

 

 

 あれ以降、俺たちが主な目標としていた3つ。

 アリアの相棒、遠山の絶望、俺たちの今後。

 これらはまあ正直俺たちの手に余る大問題ではあるんだが、特に前2つ。

 

 

「神崎さんとチームを組む組まないは、結局神崎さんの判断に委ねるしかない。けど神崎さんは正直アレだし、熱烈カップルな遠山くんと星伽さんが、それを許容できるのかどうかわからない」

 

 

 多分、神崎が現状の遠山に『ドレイになりなさい!』とか言ったら星伽の方が爆発する、原作以上に、真っ赤にな。

 

 

「加えて、これからどんな風に拗らせるのかすらも未知の領域、と来たもんだからな。方向性によってはもっと悪化する」

 

「そう、そこが怖いんだよこの世界」

 

 

 武偵を辞める、星伽がそれに着いて行く、というのは正直あまりよろしくないけどしょうがない面はあるし、それを止める権利もない。

 どうあれ正義の味方寄りの思考なんだし、誰かを害する方向には行かない……とは思うんだが、いかんせん怖さが拭えん。

 

 

「そんなとこに神崎を投げ込むのはもっとよろしくない……ってことでっていう作戦だったわけだけど」

 

「……まぁ、三学期には頑張るさ。いろいろと」

 

「手伝えるんなら私も手伝うから、まぁ頑張ろ。イッチはこれから装備科?」

 

「おう」

 

「じゃあいい頃合いだしここら辺で、理子ちゃんとも仲良くしてよねー?」

 

「そういう言い方辞めとけよ、打算で作った友人ってわけでもねぇんだから」

 

「目的ありきだけどね?」

 

「友人になったからこそ、だろ。目的なんかより優先しとけしとけ友達は」

 

「ま、それはそうだけど。やだやだこんな考え、もっと誠実にならなきゃ」

 

「考えさせられる言葉だな」

 

 

 

 

 

「それでそれで! ここをこうするとこうなるのだ!」

 

「なるほど、全くわからん」

 

「あややー?」

 

 

 なんでなのだー? と嘆いているのは小学せ……ではなく同じ1年である平賀文、いわゆる装備科の天才枠。

 本来の実力はSランク相当なのだが、いろいろ込みでAランクの判定となっている生徒だ。

 んでまぁ、装備科のノウハウを聞くなら1番手っ取り早いと取引した上で、いろいろ知識を叩き込んで貰ってるんだが。

 

 

「石川くん、要領は悪くないのに、なんでなのだ?」

 

「……いやまあ、噛み砕いたらいろいろ参考になるから、助かってる。ありがとな平賀」

 

「いやいや! こっちもそのおかげでいろいろ助かってるからお互い様なのだ!」

 

 

 平賀とはちょっとした契約的なものを結んでる。

 俺は知識を、平賀には足りない手を、ってな感じでな。

 ビジネスパートナーってのが1番しっくり来ると思われ。

 

 

「あ、そっちはそうしない方がいいよ?」

 

「へ?」

 

「そこの設計はもう少し薄くできるのだ。それにそっちも……なのだ!」

 

「……」

 

 

 ……うーむ、まいったな。

 元々勝てるとは思ってなかったが、こうもすらすらと改善案を出されると差を実感させられる。

 

 

「あ、でもその部分はすっごくいいと思うのだ!」

 

「そりゃどうも。で、他にはどういう改善点がありそうだ、平賀」

 

「んえ? んーと……」

 

 

 ……まあ、それは前提ではあることだ。

 ただでさえ途中参加なんだ、ゆっくりじっくり、この小さな天才の元で叩きのめされてみるさ。

 まあ、時間があるわけじゃないんだが、むしろ足りてない気がしているが。

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