どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!? 作:銀の弾丸
「じゃあ、キャラ対して行こう」
「キャラタイ?」
「うん、キャラ対」
やろ? という目でこっちを見るな、知らんぞそんなもの。
「……えっ、知らない? 格ゲーしたことないの?」
「ないよ。俺がやってたのはソシャゲくらいだ」
「はえー意外、友達とやったりしなかったんだ」
「その言葉の意味、よく考えてから喋れよコラ」
「え? ……あっ」
気付いたか? いや気付いてないとしてもこれ以上言うつもりはないが。
「ま、まあもう後の祭りだし、今世は今世だから、大丈夫だよ、ね?」
「うるせえよ中学生」
「は? 誰が貧乳だって???」
「そこまで言ってねぇよな?」
こいつ、性格は大人びたように見えるってか、中身は人生1個分大人びてるが。
見た目は高校生ほど成長していないのだ。
峰<霧崎≦レキ<星伽……で大体は把握できるだろうか、それくらいちっさい。
ロリ巨乳なんて都合のいい、幻想的な言葉もあるにはあるが……。
「……」
「……?」
「……いや、なんかすまんな、煽っといてだが」
「チラッとどこ見てんのさスケベイッチ! てか謝んないでよ悲しくなるじゃん!」
グルル……と効果音を付けられそうだ、ある方だとは思うぞ、一部と比べて。
いや、実際は
「お互い様ってことで、許してくれ」
「……まあ、私もデリカシーなかったしね。ごめん」
「俺が予想以上に寂しい奴だっただけってのもある、悲しいな」
ははは。
……ははは、前世の俺……。
「で、そのキャラタイってのは?」
「んー、格ゲー系みたいな対戦ゲームってキャラごとに特徴あるじゃん。腕長いとか威力高いー、とか」
「そうだな」
「逆に、弱点とかもあるわけじゃん、普通はさ」
「なかったらバランスおかしいもんな、普通は」
ソシャゲは定期的にぶっ壊れるが、性能。
「普通は……? まあキャラ対って言うのは、特定のキャラの長所と短所の2つを覚えて負けないようにしよう! って奴だね、ざっくり言うと」
「ああ、このキャラとかこの技ならこう動こう、ていう対策か」
「そう。まあやってないってだけなら理解も早いよね」
ゲームはやってるからな。
要はボスの行動パターンを覚える、みたいなものなんだろう。
「……で、誰にどういうキャラ対をすると?」
「今は理子ちゃんレキさん、あと神崎さん」
「要するに原作のキーキャラどうしようって話ね」
「そゆこと」
つっても、することなんてあんまりなさそうだが。
「あっちが誰にどうするか、じゃないのかこれ」
「……まぶっちゃけそうなんだけどね、一応というか最終確認しとこうかなって。2年のことなんて今から考えてられないし」
「そうだな」
武偵殺しはまだ……いや結構アレなんだけどさ。
その後もやばい相手が揃っているのだ、その前もびっしりだけど。
「まず理子ちゃん、パートナーは誰が適任だろうかと悩んだ結果次第。イッチの戦績次第じゃ可能性大アリ、なのかな?」
「かもな」
「次にレキさん、風が選ぶ誰が次第。ちょっとよくわからない」
「同じく全くわからない」
風はすこーしわからなさ過ぎるし、こちらから誘導しようと言うつもりもない、待ちあるのみ。
「んで最後に神崎さん、彼女の勘と理子ちゃんの匙加減だね」
「全員判断次第じゃねえか」
「仕方ないでしょ、私たちに確たる自信ないんだから。強さへの」
「……」
否定はせん。
この前も油断してたしな。
……てかレキはどこだよあれから1度も会えてないんだが?
いやそもそもの面識が少ないってのはそうなんだけども。
「あ、これあげる」
「……空の薬莢?」
「そ、銃弾って目標に向かって進む勇敢さを象徴するアクセサリーなんだってさ、私たちには縁起物じゃん?」
「空薬莢で果たして意味があるのか否か」
「わざわざ雷管とか火薬抜くのもアレだったからさ、嫌だったらごめんね」
「そらそうだ。……ま、武偵らしい贈り物どうもありがとう……っと、じゃあ俺からも。空の薬莢ねぇんだけど」
懐から取り出しますはどこでも売ってそうなマガジン……で、そこから弾を1つとって投げ渡す。
「わっ。ありがと、ごめんねわざわざ」
「気にすんな、どうせメンテナンスの時に補充する」
「あ、これ私の銃でも使えそう」
「ちょうどいいじゃねぇか、懐にしまっとけばいざという時役に立つかもな」
「えー、でもこれ使ったら目標に辿り着けなくなりそうでやだな」
「俺のはそもそも空薬莢だぞ」
「う、それを言われると弱いんだけど……あ、そうだ」
何かを思い付いたかの如く、どこからかペンをとりだし銃弾に……。
いや何するつもりだよ。
「ふふ……じゃーん」
「は? ……んん?」
銃弾に何か書かれている、何してんだ。
てか見にくいな文字が、ハンドガンの弾だし小さいしで。
「お守り的なことを書いたんだ、これならわかりやすいでしょ」
「ご丁寧に薬莢に書いてやがる……まあ、好きにしろよ」
「好きにさせてもらうね〜」
「ヨリくんヨリくん」
「おうどうした峰」
「今ヨーくんってレキレキにお熱なの?」
「お熱じゃないが」
いつか言われるだろうとは覚悟していたけれど、ちょっと早くねぇかな峰さんや。
まだあれから2週間も……経ってねえけど充分でしたわ、武偵だし。
「ちょっと前の任務で助けられてな、流石にお礼言わなきゃだろ」
「ほうほう、その時に惚れたと……」
「顔見てないのに惚れるも腫れるもないだろうよ、恋愛漫画じゃあるまいに」
「わー、流石ヨリくんリアリストだねぇ」
「言うほどリアリストか……?」
途方もない理想のために動いてますけどね俺。
これでリアリストだったら、リアリストの意味が変わってしまうが。
「で、今日は何の用事だ」
「んー、ちょっと聞きたいことがあったんだぁ〜」
「俺にか」
「ヨリくんに」
俺に……? 何でわざわざ。
ん、いや待て確かこいつの先祖って……。
「ヨリくんって、変な力とか取り柄とかないの?」
「また唐突だなそりゃ。変な力に取り柄か」
「うん」
「……まあ、少なくとも自覚はしてねぇよ。してたらこんな遅咲きのSじゃない道も取れたかもしれないしな」
「……そっか、ごめんね?」
「いや、こっちこそすまんな、欲しい回答じゃなかったろ」
「んーん、単純に聞きたかっただけだから よーし! イヴイヴとゲーム買いに行ってくるね!」
「俺に言う必要ないだろ、後年齢確認できるもん持って行っとけ念のため」
「?」
「……とにかく、持って行った方が賢明だと思うぞ、と忠告しておく」
「うーん? とりあえずらじゃー! ばいばーい!」
峰の祖先は、アルセーヌ・リュパン。
そして俺の苗字は、石川だ。
唐突だが、俺の前世にはアルセーヌ・リュパンの孫を題材とした創作があるんだが、そこにはとあるお侍風味の人物が登場する。
「石川五ェ門」
……こちらでもそのような繋がりがあるのかは、俺にはわからないが。
その系譜でそのようなことを聞いたのか、それとも単に気になったのか。
「はは、オタクってのは邪推が捗って困るね」
邪推妄想のその先みたいな世界にいるがな、現在進行形で。
まあ確率的には低い方だとは思ってるよ、俺は。
だってそれっぽいってだけで繋がりは示唆されてないんだもの、あったとしてもそうなんだーで終わりよ終わり。
てかそもそも俺の祖先が誰かなんて本当に知らないんだわ、まじで。
この世界だとそこら辺は特典ないし能力から連想できる祖先なのかどうかってところから判別を始めなきゃならんし。
「孫悟空の棒がビームの世界だもの、さっぱりわからん」