どう頑張っても主人公がフェードアウトしてしまうんだが!? 作:銀の弾丸
俺は、俺の取り柄が好きじゃあない。
痛みへの耐性……短く纏めるなら"忍耐"というべきなのだが、その取り柄が。
独自の解釈になるが、これは要するに弱い者と正義感の強い人を淘汰するしかできない能力だからだ。
何故そうなるのか、というと。
まず強い奴……武偵が、武偵として戦う……"犯罪者"。
彼らが俺より強い場合、こんな性質は全く役に立たない。
即、殺されておじゃんだ。
あくまで、痛みを度外視して動ける割合が他の人より大きいというだけなのだから、動くための意識がないのであれば意味がないのは必然と言える……のだが、だからこそ。
つまり、どうあっても俺を殺せないような……格下、あるいは殺すこと自体が禁止された……立場に縛られるであろう武偵や一般人に限られる。
捨て身の特攻ってのはそういう技だからな。
その他にも使い道はあるんだろうが、俺が武偵として動く以上、主な使い道はこれになるのだから、あまりにもピーキーと言える。
あと、アリアにやられた関節技や超能力による拘束など、あまりにも対応してて欲しいところへの対処能力が足りない、俺としては超能力をどうにかしたいってのにな。
「ま、時間も人も、そんな悩みなんて関係ないと言わんばかりに過ぎ去って行くんだがな」
まあ他の奴の身代わりとかできるっちゃできるが、それして喜ぶ奴いる?
俺の周りにはまずいないだろう、それでも必要な時はやるが。
「才能が力ってんなら、もっと可能性を探すべきかねぇ……」
石川姓の凄い人とか調べて探すべきかな、五右衛門とか凄い盗賊だということしか俺わからんのだけど。
盗みの才能とか峰の下位互換じゃん実質、五右衛門の場合結局失敗して処刑されてるし。
他の有名人は知らんしなぁ。
「……そんな不確定要素に頼る時間じゃまだないか、やめやめ」
1に努力、2個目も努力、それでダメなら探してみよう。
「ヨーリくんっ!」
「おう、峰か」
「ぷっ……ふふふ! 噂通りボッロボロだねぇ。理子が介護してあげよっか?」
「余計なお世話だ」
全く、表とやらは揶揄うのが好き……いや裏もそう変わらんか、元々だな。
「アリアにやられてたのちゃーんと見てたよ? 面白かったぁ」
「全くどいつもこいつも……いい性格してやがんねぇほんと」
俺の知り合いは大体見に来ていたらしいというのは、本人たちから聞かされた。
暇かお前ら?
「まあ、やられてたのが面白いってのは冗談だよ? 理子はそこまで性格悪くないもーん」
「そうでござりやがりますか。……その話はもういいだろ、やめだやめ」
「あいっ!」
元気でよろしい。
てか何のようだ?
「レキレキにはもう会えた?」
「いんや全く。もう1ヶ月は経ったな」
「うわぁ、そんなことってあるの?」
「知らん」
礼を言うために機会があったらついで感覚で探してる……んだが、何とまあ不思議なことに一度も会えてない、なんだこれ。
もしかして避けられてたり?
そんなことだったら俺泣くぞ、前世の推しの1人だし。
ガチ目に泣くか凹む。
「何だかゲームみたいだね? すれ違う運命の2人……あははっ、そのままするとこまで言っちゃったり!?」
「することってなんだよ」
「んー、えっちなこと♡」
「誰がするかそんなこと」
えー、つまんなーいとか宣っている峰……だから一度もまともに話したことないような奴相手にそんなことになるわけねぇだろうがい。
推しとも言えどな。
「そこからラブに繋がるのがロマンスなんじゃん!」
「わからんわそんなもん、あとそれなら理解しなくてもいいわ」
「えー、ヨリくんも醍醐味覚えよーよぅ」
「霧崎と一生語り合ってろ」
「ぶーぶー」
ソシャゲやって推しキャラをひたすら強化してるだけのオタクにゃわからん文化だわ。
……嫌いじゃないんだが、やる機会もなかったよな、ギャルゲー系。
なんかルート分岐とかで中々時間かかりそうってな理由で疎遠になってたわ。
峰と別れた後、霧崎のとこまでやってきた。
「まあ、この先頑張って生きてねイッチ」
「は?」
「何でもない」
「強さって罪だなーって思い知っただけだからね」
「お前は何を言ってるんだ?」
なんかこいつまで意味わからんこと言い始めたんだが? 頭も心もスレ民になったのかついに。
「名誉毀損で訴えようか???」
「スレ民がなんか言ってら。誇る名誉なんぞ持ってねぇだろ」
「ひどっ……まあ、それはそれとして」
いきなりこの先の幸福を祈られるとか言う出来事に刃向かっただけだし、さておくんならそれでいい。
なんか不穏なのが引っかかるが。
「いい知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたい?」
「悪い方」
「わお、心が強いスレ民なんだねぇイッチ」
どうせアリア関連なんだから悪い方聞いたってそう驚かんし……うん。
「直球火の玉ストレートどうもありがとっ。で、悪い方のお知らせってのはね」
「……遠山くん、どうやら
「ああ」
そうか。
二学期まで
「それでどうやら……なんと、星伽さんと共に
「……そう、か」
まあ、そうか。
そう言う選択肢になるよな、薄々わかってたことだ。
「これの何がまずいって、
「流石に
「それはそう、でもそこに魔剣や星伽神社が加わったら?」
「……む」
「正直教務科も怪物揃いだから屈するとは思わないんだけど、考慮するに越したことはないじゃん、面倒だけど」
「それはそうだが」
「武偵憲章第7条……えと」
「悲観論で備え、楽観論で行動せよ。だろ」
「そう! それそれ」
なるほど変な圧力か。
星伽神社的には星伽を内に戻したい、ってのはあるだろうかね。
まあ遠山と一緒ならある程度許されそう感はなんとなく感じるが、家同士の付き合いだろあそこ。
「まあそれも武偵校よりも……とするならばって感じか」
「うん、下手したら早く一般高校に行くし、そのまま戻れないかもしれない」
「厄介だな……ってかそんな情報どこから仕入れたんだよ」
「え? 教務科からちょろっと……ね?」
「ね? じゃねぇよ凄えな、怖え」
「そう? ありがとねっ」
……こいつ、目立たないように行動してるだけで実質的にもうこれAとか Sじゃないのか?
下手な専科してる奴より優秀なんだよな、やってることが。
「
「本音は?」
「
「なんだ、ただの化け物だったな」
「……女の子を化け物呼ばわりは酷いと思いまーす!」
「6個も学科掛け持ちしたがる奴をどう表現しろってんだ!」
「んー……天才?」
「肯定感が強いんだな」
「えへへ、それほどでもっ」
「……んで、結局どうすんだ、そこら辺」
「まあ、基礎だけかじってあとは我流になるかなぁ、流石に6個は自殺行為だし」
「まあそうだよな」
「って、そんな言葉どうでもいいのっ。いい知らせの方だよ優先は」
「悪い方については?」
「今後、適宜要相談っ! てことで」
「おーけー、いつもの通りな」
「そういうことっ。で、いい知らせってのは」
そうして、霧崎が言い出したいい知らせというのが。
「私、超能力あるかも?」
「は?」
「もしくは
「……はぁ!?」
想定以上に出鱈目な知らせだったのだ。