Wish Upon a Star 100周年の幻覚 作:空っぽのティーポット
「フェアリーゴッドマザー」
薄暗い森、そんな風景とは対象的にどこからともなく元気な声が森に響き渡った
続けて、大小さまざま光が幾何学模様を宙に描きながら楽しそうに”フェアリーゴッドマザー”と呼ばれた老人の元へ、集まっていきます
フェアリーゴッドマザーは「今日も元気ね」と
全身のシルエットを覆い隠す薄青色のフード付きのローブを”はためかせ”
美しい白髪を風に”たなびかせ”
撫でる度にはためく、ローブの袖から覗く白銀の杖はまだ小さな妖精たちにとって目指すべき目標だ
そんな中、大小さまざまな光の中でも”より強い輝き”を放つ三名がフェアリーゴッドマザーに近づき言った
「フェアリーゴッドマザー?私達はいつになったら杖をもらえるのかしら?」
「そうよ、みんなを早く素敵にしたいわ」
「フェアリーゴッドマザー魔法はいつになったら教えてくれるの?」
「あらあら」
あけすけに話す三妖精
三妖精にフェアリーゴッドマザーは優しく微笑んだ
◆◇◆◇◆
「一体いつからここは託児所になったのかしら」
闇よりも暗い妖精、マレフィセントが物陰からそんな様子を見ていた
マレフィセントの中にある『緑の淀み』がそうさせていた
大きな動きがない中
時間は過ぎていき、一名の妖精が言いました
「フェアリーゴッドマザーはなんでそんなにも魔法が使えるの?」
「そうね、それじゃあ私達のお師匠様お話をすることにしましょう」
そう言ってフェアリーゴッドマザーは杖を振り上げると
どこからともなく音楽を奏でる無害な『魔法』を唱えると
音楽に合わせて昔話を話し始めた
◇◆◇◆◇
昔々あるところにアーシャという少女が居ました
舞台は理想郷、あるいは第二の故郷、願いが叶う魔法の国
彼女はそこに住んでいました
ある時アーシャはその国の真実を知ってしまい命”からがら”逃げ出しました
お祖父様の『願い』と共に
真実を知って抗おうと国民を説得しようとするも聞く耳を持たれず
絶望の中、森を彷徨い続ける日々、成す術なく涙を流す日々が続いたある日
彼女の『願い』に『星』が空から舞い降りたのです
◆◇◆◇◆
「始まりのフェアリーゴッドマザーだ!」
「えぇ、えぇそうね」
妖精たちが口々に称賛と畏敬の詩を紡ぐ中
改めて『フェアリーゴッドマザー』は話、歌を歌い始めた
◇◆◇◆◇
星は『お祖父様』の願いを叶えると
お祖父様が目を覚まし、国民の中から賛同する人たちが
続々と立ち上がりアーシャに連なりを見せ始めた
そしてアーシャは見事、邪悪な『魔法使い』を倒しました
しかし、邪悪な魔法使いの下僕である『黄色の欠けた星』『翠の魔力』『白い動物』が世界に産み落とされました
アーシャの、初代フェアリーゴッドマザーの物語が始まるのです
◆◇◆◇◆
「その三匹は今どこにいるの?」
「一匹は遠い世界、こちらからも相手からも手が出せない世界
もう一匹は世界中、邪悪な魔法使いの復活を心待ちにするように
最後の一匹は近くに、けれども姿は見えず気がつけばそこかしこで」
「アーシャはその後どうなったの?」
◇◆◇◆◇
三匹を追い続けたアーシャ、けれどもそれも叶わなくなりました
杖が輝きを失い始めたのです
足取りも重くなる中
途方に暮れた森の中で妖精に出会いました
彼女は妖精と仲良くなると、杖を託して言いました
「続けるの」
◆◇◆◇◆
「どういう意味?」
「きっと『願い』を叶え続けて欲しかったのよ
彼女がしたように」
妖精たちは楽しそうに話を続けた
◆◇◆◇◆
そんな話を聞きながらマレフィセントは腹を抱えて笑った
「真実を知らない愚か者どもめ」
そういったマレフィセントは誰に言うともなく
いえ、”私達に”語るように『魔法』を奏でた
『緑の淀み』の中、影法師が”ちらつき”始めると
読者を、『罪を持たない者たち』に
昔話を奏で始めた