異世界転生すると美少女になれるって本当ですか!? 作:DENROK
誰が言ったのか、『至高の欲情事件』という不名誉極まりない通り名が、あの空前絶後の事態に対しては罷り通っていた。
ギリギリ不敬ではない判定である。至高の御方が劣情を催す程に、蠱惑的だったのだと解釈されるからだ。
他に言いようがないだろう。口に戸は立てられないし、何らかの手段で意思疎通が可能な下僕はナザリックに多い。多少はお目溢ししないと収集が付かないという面も多分に存在する。
要するにモモンガは、下僕たちから、シモの欲求に逆らえない強姦魔の烙印を押されかけていた。
神話なら別段珍しくもない振る舞いであるし、パパ棒が存在しないというのに天晴である。まさに超越者に相応しい振る舞いではないだろうか?
モモンガ、現在の姿。
玉座の間で横になり、見上げる形でスカート、もといパーカーの裾に隠れた秘所を覗こうと試みている。
「ギャー!?」
「いいじゃないですか、減るものじゃないですよね?」
青筋を浮かべて両手でパーカーの裾を押さえて悲鳴を上げる少女が居た。
彼女に対して、ひっくり返ったトカゲのような姿勢で仰向けに這い蹲って、ローブを厚着した骸骨は足をシャクトリムシのように動かして全身を蠕動させながらにじり寄っていく。
周りの下僕がローブにしがみついているが、何の痛痒も感じていないのは明らかだった。
「いつもは堂々と見せてくるじゃないですか」
「やっぱりこいつ殺すわ!」
汚物は消毒とばかりに、火をヘビの舌のように先端から零す一抱えほどの装備品を、少女が取り出してガッシリと両手で構える。*1
「抑えて下さいインラン様!頭がもげたんですよ!きっと未だに混乱しているだけです!」
「あんたらが邪魔しなきゃあのまま殺せてたわよ!」
「そんなのダメです!」
こっちはこっちで少女の後ろに居るメイド達が全力で引っ張っていた。彼女たちこそが玉座の間で件の『至高の欲情事件』を目撃していた張本人たちだ。
レベル的に歯牙にもかけない相手となるが、状況的に最適として仲裁のためにここに居る。
「うーむ、これは何とも」
知将デミウルゴスの姿がそこにはあった。
玉座の間で姦しい騒ぎの脇で、やや遠目に状況を観察している。
「ちょっと、説明してよ。もうあたしにはとんでもないことしか起きてないように見えるんだけど」
「アルベドに聞いて下さい。正直、私はこの手の事情には疎いですし、同性である彼女に聞くべきでしょう」
デミウルゴスは違う呼び方をするつもりだが、『件の事件』の慌ただしさが緩和された頃合いとして、高位の役職の下僕も暇を作っては玉座の間を見に来ている。
見に来ているのだ。皆が見てる前で、至高の御方は全力でスカート覗きである。
知将デミウルゴス。さすがにこれには思考停止してしまいそうだ。でも知将だから、そう知将だから、態度は崩さない。
「うーむ……」
「あの、良くわからないんですけど。お諌めしなくてもいいんですか?」
「うーむ……」
「ウーム、一体何ガ何ダカ分カラン」
知将デミウルゴスにも、答えられない質問はあるのだ。
「ああ!?これはどういうことでありんすか!?」
「うーむ……」
「ウーム……」