異世界転生すると美少女になれるって本当ですか!? 作:DENROK
そのため、直前の数話を行間を空ける形に編集しました。不自然な箇所には地の文を少し加えるかもしれませんが、話の流れは変えていません。
そろそろ列が詰まってきた頃合い。未だに街は口を開けてくれない。
「恐れ入りますが、正確を期するために申し上げます。我々はそのような団体に所属しているわけではありません」
「それは、一体どういうことです?」
まるで秘書と喋っているようだと、街への人の出入りを管理する職員は思った。
見事な全身鎧を軽々と着こなす膂力は疑いようもないが、目の前の女性の慇懃無礼さは戦士のそれではない。
「我々はドラゴンを狩るハンターです」
「……陽光聖典でしょうか?」
「違うと申し上げています」
同じ問答を繰り返す。しかし今回は漸く話が逸れ始めた。
「ではなぜここに?」
「巡礼のためです。通りがかりに宿を借りたいだけで、数日でこの街からは抜ける予定です」
この返答は職員のお眼鏡に適ったようだ。肩の力が抜けたのが見て取れる。
「ああ、なるほど、それは素晴らしいですな。しかしドラゴンとは?」
「ドラゴンの素材は用途が極めて広く、また腐敗することがないという特性を持っています。そのため、私たちは長きにわたり各地を巡り、ドラゴンを討伐してきたのです」
もう何か色々とおかしいが、職員が茶化すことのできない気配がこの来訪者たちにはあった。なんというか、一切嘘は言っていない気がするのである。これでも街に対する人の出入りを監督する立場だ。沢山の人を見てきた。その経験がそう思わせるのだ。
「それは、本当なら素晴らしいですな。何か証拠はありますか?」
どう見てもカタギの者ではない。それは間違いないのだ。巡礼のためなら仕方ないが、何かないとも言えない。せめて街に入れるに足る身分証明が必要だった。
先ほどから秘書のような振る舞いをする女戦士が後ろを軽く振り返る。後ろで見守っていたこちらも全身鎧の男と、その従者の少女が反応する。
二人は割と必死に手持ちのアイテムを探っていく。
「ちょっと!竜素材持ってないの!?」
「そっちは何かないんですか!?」
二人の手が虚空に消失していく姿に周りは驚いているが、それどころではない。
「あった!
「うわ、キモ。なんでまだ残ってるんですか」
見る角度で姿がまるで変わる不思議な素材。
本来は適当にアイテム欄に入れておくと、どんどん目減りしていくアイテムだ。いわゆる半減期が設けられたアイテムである。
しかし少女の手に乗っている素材からは、そういう儚さは感じられない。
「うん、あたしがずっと持ってたから、もう定着してる。はいこれ」
こちらを向いていた全身鎧の女戦士の手に載せられる。
その鎧が職員の方を向くと、絶叫が生まれた。
「お許しください、あなた様を疑うような行為を……。この門を守る者として恥じ入るばかりです。この素材を見せられた以上、何もお尋ねする必要はありません」
「分かって頂けたなら結構です」
最初の態度とは別人のようだった。主人に対して接するようにして、腰を深く折る職員。
「司教に紹介?」
さあ街に入るぞと二人が思っていると、アルベドが話を持ち返ってきた。
しかしなぜ司教?
「この国では市長に相当する身分をそう呼ぶようです」
変わった話に思えるが、宗教国家らしいとも言えるのだろうか?
「ならば、行くしかないか。コネは大事だからな」
「異議なし」
使いの者が現れ、3人は先導されるままに街に足を踏み入れる。
登場した竜素材とその設定は本作独自のものです。