アビドスの正門。日が昇り始めた。
空はすこしづつ赤色から青色へと変わっていき、あと数十分ほどで空は完全に青に支配されてしまうのだろう。そんなことを思いながら胸元を触る。ユメからもらったネームプレートはもうない。
「また、守れなかった」と呟いた。
校舎に目をやる。あいも変わらず砂で覆い尽くされた校舎。ココに来てまだ不思議なことがたくさんある。アビドスは大きかった。校舎の外を出たことがないばかりに・・・人影が見えた。
「・・・・・・・」
「なんだ。ガキンチョじゃねえか。」
ボロボロの薄着1枚で季節は冬。
そんな中で、一人の狼の耳をした少女がアビドス校舎に向かって歩いてきた。
「おい待てよ。一体何処に行くっていうんだ?」
「!!!!?」
校舎に入っていこうとするのを止めて話を聞こうとすると少女は飛びかかってきた。
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「へへ、なにしてんだ?そんなところに倒れてよ」
・・・あれ?いまさっきの人に飛びついた。はずなのに
立ち上がり眼の前の人物を警戒する。
「おい、ニンゲン?はじめてあうのにあいさつもなしか?」
「!!!!!!」
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「そんなところに寝転がると風邪引くぜ?」
まただ。また冷たい地面にコケている。
立ち上がって更に警戒する
「が、ガイコツ・・・!?」
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「オイラはサンズ。見ての通りスケルトンさ。」
「シロコ」
目の前のガキンチョは不思議なものを見るみたいに身体の周りをグルグルとまわる。
「アタマ。ホネだよね?」
少女の質問にYESと答えると更に不思議そうに顔を覗いてきた。
「じゃあ、どうしてそんなに表情が豊かなの?」
「確かにニンゲンのホネは硬いホーネ。でもオイラは違う」
「どうして?」
「寂しさがホネ身に染みてしまったからさ」
「・・・・・・・・・・・・・クスッ」
今笑ってくれたのか?
、この世界で笑ってくれたのは彼女で二人目だな。ユメ、彼女も笑ってくれたっけな。
寂しさが本当にホネ身に染みてしまったらしい。過剰にしみすぎて目から溢れてしまった。
「ねぇサンズ。私と勝負しよ」
「元気があっていいな。しかしオイラは今そんな気分じゃない」
「私は私より強い人の言うことしか効かない。丸腰のあなたと。丸腰の私。お互い同じ条件」
「条件には違いがある。それは、オイラはスケルトンで、オマエサンはニンゲンってところだ」
「じゃあ、どうやったら私と勝負してくれる?」
「そうだな、まずはオマエサンが武器を持つようになって、ココに、アビドスに入学してくれたらオレが勝負を受けてやるよ」
目の前のシロコに向かって二カッと笑顔を向けるサンズ。
「ん。でもサンズも武器持ってない。丸腰って言う条件は同じ」
「オイラは違うんだよ。必殺技は最後まで隠すのが主義なんだぜ」
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「ーーーーーーズっ!」
すると、校舎の方で声が聞こえ始めた。
校舎の窓からピンク色の頭をした少女がこちらに向けて叫んでいる。
「サ・ズ!!・・・・で!こ・・・、・・・・・・・・・いで。お願いだから・・!・・ら!・・・・・・よ!・・・・・・・・・」
流石に遠くて大事なところが抜けている。
アビドスに白い車が三台ほど砂煙を上げて来た。
とても装甲が厚く、天井には機関銃らしき物体が乗っかている。
「迎えに来ましたよ。サンズさん。それともアビドスの死神さんとお呼びしたほうが良かったでしょうか?」
「ハハ、笑えないジョークだぜ。相手に名乗らせる前に自分から名乗るのがマナーじゃないか?
それにオイラは知らない人について行くなっておそわってるんだぜ」
「そうですね、私は七神リン。生徒会長直々に迎えに行くよう言われたのできました。
あと、そちらのチビ、、、お嬢さんは?」
「見た目の割に口が悪いんだな。こいつはシロコ。来年アビドス生徒になるんだぜ」
「ん。サンズを何処につれていくの」
「サンズさんはこれから連邦生徒会が保護します。近隣住民に何らかの被害があってからでは遅いので」
「おぉ、人聞きのわるいお嬢さんだぜ」
「・・・時間です。それでは、参りましょうか」
「おう」
「ん、まだサンズとの話終わってない」
「仕方ない。オレと勝負する条件だったよな。あ~、えっと。そうだ。ホシノに勝負で勝ったらオレもアンタと勝負してやるよ。じゃあな」
そう言って車に乗り込んだ。車は砂煙を上げてシロコの前から姿を消した。
後ろからもう声は聞こえなくなっていた。
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「サンズ!!いかないで!これ以上、私からいなくならないで。お願いだから・・!だから!アビドスに戻ってきてよ!お願いだよ・・・いかないで」
車に乗ったスケルトンがホシノの願望に耳を傾けることはなかった。