アビドス砂漠
「ここもあんまり変わんないね……」
「どこもあまり変わりませんけれどね」
「ん、砂漠ならサンズに勝てる」
「そういう事は〜学校に帰ってからにしましょ〜ね♣︎」
「おいおい、オイラしょーじき、戦いたくないぜ」
「逃げた。実質私の勝ち」
とか和気あいあいと話しながらアビドス砂漠の散策を続ける。
「もう!私達は偵察に来てるのよ?!何この空気!まるで遠足じゃない!」
「え?違うのか?」
「え?!そうなの?!おじさんがっかりだよー」
「んーもう!ナマケモノ!」
「まぁまぁセリカちゃん。まだ何もレーダーに写ってませんし、この先だってドローンで偵察もして、何かあれば通知が来るようになってますから」
「そうだよ〜?セリカちゃん、慌てない慌てない」
「むぅ……」
「ん、セリカはビビっ……?」
“どうしたの?シロコ”
シロコの耳が左右とも耳を色々な方を向け、2時の方向に耳を傾け、それに連なって顔も向ける。
「敵か?」
「わかんない。けれど何か爆発音がした。」
“アヤネ?索敵の様子は?”
「……今撃墜されました?!…録画と座標を確認します。索敵中に基地のようなものを発見。と同時に撃墜されてます。なので、多分シロコ先輩が聞いたのは迎撃された音かと。」
「ま、聞くには索敵されてるのが敵さんにバレちゃったから今からこっちに向かってくるということだね。じゃあ行こっか!」
「索敵ならオイラに任せろ」
“……危険な所へひとりで向かわせられないかな。私も一緒に行ける?”
「ああ、出来ないことはないが…」
「ダメだよ〜?サンズくん。いっそ方向がわかってて今ここにはみんな集まってる。なぎ倒した方が早いよ。それに、迎え撃つって言ってもここには何もないから後にも先にもやることは変わらない。」
「……へへ、そうだったな」
“じゃあ!、突撃〜!”
アビドスの皆は走り出した……先生は小型ドローンを胸ポケットから取り出してシッテムの箱で操作する……歩きながら…通信用のイヤホンを装着しネクタイをしめる。
“無線の感度はどう?”
「「「「オッケ(よ!)(です〜)(だよー)(だぜ)」」」」
“歩兵3、対地ドローン4。シロコもドローン出して対地優先で攻撃。”
「ん!2機落とせた」
“ノノミ!残りは撃ち落として!セリカ、ホシノは引き続き歩兵の攻略、前線をササッと広げて、セリカ。1人見逃してる少し右の物陰にいるよ”
「はーいよ。」
「あ?!別に見逃してないから!泳がせただけだから!」
“次来るよ。ドローン5、歩兵4。シロコはドローンの装填優先、ノノミはドローンの迎撃、セリカもシロコのバックアップ、ホシノは言わずもがな”
「歩兵だね。それくらいよゆーだよ。」
「覚悟してくださ〜い!♣︎」
「ん、準備完了。何時でも出せる」
「オイラ、出番なくね?」
“最後来るよ。歩兵10。サンズは切り札に取っておきたいからね。ノノミ?まだ撃てる?”
「いけます!」
“じゃあ、薙ぎ払って!”
「ノノミ、行っきまーす!!」
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「ん、一通り終わった。」
“あ、アレじゃないかな?”
「なにあの建物…」
ホシノが漏らす。
サンズの顔を見るもあの建物を知らなさそうだ。
門の前100mまで近づくと突然門が開きさらに大量の兵が集まった。
「おやおや、ネズミが入ったとさろえあああつか報告が上がってきてみてみれば……」
「その声は……」
「……」
「アビドスのお客様じゃないか」
“貴方は?”
「名前を聞くなら先に名乗るのが礼儀だと思わないのか?……まぁいい。私はカイザーPMCの理事を務める者でね…あなたにはいつでも兵を貸しますよ。それなりの値段でね、フッフッフッ」
「帰ろう……」
「待て…」
ホシノが背を向けるのをサンズが止める。肩に腕を乗せて前を向かせた。
「おやおや、お客さんは私と話したくないらしい。だが……善良な職員を沢山傷つけといて、易々と帰ってもらう訳にもいかない。」
「アビドスをこんなにしたのはあなたたちでしょ!」
「土地だってそうです!減りもしない借金も!」
「何を言っている。アビドスの自治区は正式な手続きで購入したのだ。なんなら今度、書類を届けようか?借りたお金には利息ってのが着くんだよ…まぁ、利息は……借金量相応の値段だと思うがね」
“だからといって300年近い「先生。」”
「落ち着きたまえよ。先生。なぜ貴様はこの問題に口を出す?いつか消滅するはずの学園だ。無駄では無いか?何故関わろうとするのか…本当ならアビドスに来なければ来ることはなかった。何故?何故?何故!何故!何故!」
“それが……先生だからだよ。生徒が困っていたら手を貸す。たしかに過去にそういったことがあった。けれど、それを背負いながら!真正面から頑張る生徒に向かって!『無駄』とは言わない!”
「……良ければ、カイザーの最高顧問という立場にたって我々と共にカイザーの発展に寄与してもらおうと思ったが……味方につけるほうを間違えたな。先生」
その後……
銃声のひとつも鳴らずにに終わってしまった。
金利が3000%に跳ね上がった。
ホシノがみんなを落ち着かせ、本日は解散となった。
対策委員会室
スーッ……スーッ……
紙をペンが擦る音が聞こえる。
サンズはそれを聞きつけ、電気もついていない部屋の扉を勢いよく開ける。
「………?!…なんだ、サンズくんか〜」
「何やってるんだ?ホシノ。辛そうな顔をしてるぜ?」
「うへへ〜ちょーっと夜更かし。」
サンズと知ってほっと胸を撫で下ろす。
サンズは表向きには安堵してるように見えるホシノに向かって……
「……なるほどな。程々にして寝ろよ?」
知らないフリをする事にした。
ホシノはそれを聞いて安心したような、どこか寂しそうな顔をしていた。
夜空の、月のあかりがホシノだけを照らしている。それが余計に悲壮感を増しているのだろう。
サンズは…扉から出ていこうとし扉に手をかけた瞬間。
「待って!」
ホシノに呼び止められる。
「どうして、あの時行っちゃったの?」
「…………オイラには“やくそく”があるんだ。それを守るために…オイラは連邦生徒会で働いてたんだ。支援がなかったろ?だから行って働いてその分をアビドスに返そうと思ってな」
「なーんだ。サンズも同じ気持ちだったんだね」
ホシノはにへっと笑いながら言った。
「サンズくんになら話してもいいかなと思って……」
ホシノは話した。
黒服とどんな話をしたかを、どんな提案を持ち掛けられているかを、それによってどれだけアビドスが助かるか、私1人が行くだけでだいぶ楽に生活できるようになる。犠牲は1人だけ…小鳥遊ホシノが退学するだけでいいんだ。と。
「だから……行かなきゃ。今度は私が行く番だよ」
「……行く必要なくなるって言ったらどうする?」
「……だめだよ?だってそれって」
「黒服は……ホシノの神秘ってやつを求めてる。オイラが行ってもすぐ死ぬだろう。だが、有限な分それなりの量しか貰えないだろう。それと俺の今までの分をまとめたらそれなりの量返せるはずだ。もちろん最大量搾り取る」
「だめっ!二度と…どこにも行かないで欲しい……だから、私が行く」
「………へへ、行かせられないぜ?そんな、泣きそうな顔で言われても……助けて欲しいって顔して……」
「……これでも、副委員長だよ?みんなを守らないと……サンズが戻ってきたんだから安心して任せられるよ」
なにか諦めたような顔をしてサンズの横を通り過ぎていく。
「………へへ、だからヤクソクはきらいなんだ」
サンズはすれ違う時にそう呟いた。
その言葉をホシノは聞き取ったあと…サンズの耳元に一言呟いて部屋を出た。
「いってきます」
教室の机には『退学届』が置かれている。