先日、とある読者様から貴重な意見を頂く機会がございましてですね。その際に「原作からそこまでセリフ等が変わっていないのに、わざわざ台本形式にするとテンポが悪いし結構蛇足(自己解釈で要約)」との意見を頂きました。
よって、非常に勝手ながら前回以前の話の台本形式を変更、キャラ名を削除しました。今回以降も、恐らく台本形式にすることはもうないと思います。
文面で分かるようできり限り努力はしますが、「キャラ名が台詞の前にないと分からない」等の意見がございましたら、メッセージ等で指摘いただければより分かりやすくしますので、どうかご理解下さい。
追記
執筆後の作者「………うん、確かにこっちの方が小説書いてる感あるわ!」
無事に襲撃を乗り切り、バスク・オム先生と対策委員会のメンバーは、教室に戻り、一休みしていた。
「ふぅ〜。………そう言えば、なんか今日いつもより戦いやすかった気がするんだけど」
「確かに、セリカちゃんの言う通りでしたよね。これも大人の力………凄いですね〜☆」
「それに、バスク・オム先生は退役軍人と聞いていますし、それもあるでしょうね」
「………ここまで褒められると、少しむず痒いな」
「先生も結構年いってるし、素直に喜べないよね〜。まぁ、おじさんも似たようなもんだけど」
「ホシノ先輩と私達、そんなに年の差ありませんよね………?」
バスク先生がむず痒さに何とも言えない表情を浮かべながら、対策委員会のメンバーを見渡しながら、考える
(先程の戦闘………私がただ指示を出しただけであそこまでの戦闘力を出せる筈がない。メンバーのバランスや個人の力量も関係するはず………どうやらこのメンバーは、中々のポテンシャルを持っているようだな)
「………なんにせよ、今日はありがとう、先生。お陰でヘルメット団はどうにか出来たから─────」
「いや何、この程度でよければいつでも構わないさ」
バスク先生は、アヤネが淹れてくれたコーヒーを飲みながらシロコの感謝に返事をし………
「─────後は、借金返済に力を入れるだけね!」
続くセリカの会話から凡そ女子高生から聞く筈のない単語が聞こえ、口に含んだコーヒーを虚空に───被害が出ないようちゃんと人がいない後ろの方向に───盛大に吹き出した。
「………すまない、アヤネ。わざわざ淹れてもらったものを無駄に………」
「い、いえいえ!むしろ、唐突に言ったセリカちゃんにも非はありますし………」
「アヤネちゃん!?」
社交辞令とは言え一瞬で味方を裏切るアヤネに、セリカは悲鳴に近い叫びを上げる。皆が苦笑する中、床に飛び散ったコーヒーの飛沫を雑巾で拭きながら、バスク先生は呟く。
「しかし………砂漠化阻止の措置が失敗し、闇銀行に頼るしか術がなく、9億もの借金を学校が負担、か」
「ここ最近は指名手配者の討伐だったり、各々がアルバイトとかをしながら、少しづつ返済してるんです」
「ん、バウンティハンター!」
「ですけど、借金の総額が多すぎて、毎月の利息のだけでも精一杯でして………」
「………なるほど。状況は芳しくないな」
床がきれいになり、バスク先生は椅子に座り直して話を聞く。そして、再び思考する。
(この状況は、シャーレとしては放置できる案件ではないな。仮に放置すれば、悪評が出回る可能性がある。それに、困っている生徒を助けるのは、先生として当然の義務………いや、待て)
思考する中、とある考えが引っ掛かり、バスク先生はふと我に返る。
(”困っている生徒を助けるのは、先生として当然の義務”………?私がそんな考えをした事など一度もない筈だ。なのに、まるでそう考えるのが当たり前のように考えている。アビドスに来てから………いや、違うな。この世界に来てからだ。私の考え方が歪んだのは。一体なぜだ?私はそんな聖人君子ではないはず………)
「………い。せ……い?」
(こんな考えをさせるモノは何だ………?私に本当の”先生”になれというのか?既にこの手は血で汚れているというのに………まただ。ここに来て以来、私の思考は、何故か”必ず生徒を第一優先”とし、かつ”ティターンズとして、軍人としての思考を捨てようとする”。苛立たしいな………なぜ私が………!)
「ちょっと、先生!?」
「ぬぅ!?」
急に大声で呼ばれ、慌てて前を向くと、セリカを筆頭に、全員が心配そうにバスク先生を見つめていた。
「あ、あぁ済まない。少し考え事をしていてな」
「………先生、今日はお休みになったらどうですか?」
「ん、ノノミの言う通り。さっきの戦闘もそうだけど、長旅の疲れもあるだろうし、念の為整備してあるお客さん部屋に案内するよ」
「そうだね〜。積もる話は、また明日ってことで♪」
そこまで心配されるとは思っていなかったのか、バスク先生は少したじろが、すぐに冷静さを取り戻す。
「あぁ、分かった。では………セリカ、君に案内を頼みたい」
「えぇっ、私!?何で!?」
まさかの指名に、セリカは椅子から立ち上がって驚く。
「良いじゃないですか!セリカちゃんだって先生と二人っきりで話したい事とかありますもんね☆」
「いや無いから!別に無いから!!」
「でもセリカちゃん、せっかく先生と話す機会なんだよ?」
「アヤネちゃんまで!?………うがー!!分かったわよ行くわよ!ぱぱっと案内すれば良いんでしょ!?ほら、先生早く着いてきて!!」
「あ、あぁ」
吹っ切れたセリカの勢いに押され、バスクはセリカの後を追うように教室を出た。
………その、道中の事だった。
「………セリカ、質問いいか?」
「………何よ?」
若干気まずい空気の中、バスク先生が急にセリカに話しかける。セリカは若干不機嫌ながらも聞き返す。
「………貴様は、私を信じたくないようだな」
「っえ………?」
バスク先生は勿体ぶらずに核心を突き、図星だったセリカは驚く。
「これでも昔は何人もの部下がいたんだ。考えていることなど、いつの間にか何となく分かるようになっていたよ。………それよりも、私が聞きたいのは”何故貴様が私を信じたくないのか”だ」
「………」
セリカは少し下を向いて黙り込み、ぽつりぽつりと話し始める。
「………正直に言うと、先生の事は信じてみたい、って思ってる。さっきの戦闘で勝てたのも、先生のおかげだし。でも………」
「私が部外者だから、か?」
「それも、ちょっぴりある。だけど私達は………特に私は、何回も大人に騙されてきた。その結果が、この借金地獄でもあるし。だから、”もしまた騙されたら”って考えると………」
「………セリカ。貴様は、優しいのだな」
「え………?」
「普通、”余所者の手を借りれば状況がどうにかなる”という状況になったとしても、大人は信用しようとすらしない。………だが、貴様は私の手助けを受け、私を信じれば………私を頼れば、状況が良くなるかもしれないと希望的観測をしている。初対面の相手に対して、十分すぎるほどだ」
バスク先生は立ち止まり、セリカに向き直る。
「始めはそれで結構だ。信用とは、その日その場で決められるものではない。同じ場に立ち、同じ死線をくぐり抜けた先に、待つものだと私は思っている」
「………そっか」
セリカはそれだけ呟き、俯きながら再び歩き出す。だが………
(あれは、憑き物が落ちた顔だ)
………セリカの心は、完全に晴れていない。だが、少しづつ雲の隙間から、光が差し込んできていた。
ボツ案
「分かった。では………セリカ、君に案内を頼みたい」
「アイエエエ!?ワタシ!?ワタシナンデ!?」
「ん、セリカ行くべし、慈悲はない」
次回予告
第9話 便利屋、襲来