「さらっていい?」
「無理っす。てかマジで勘弁してくださいほんとに」
まったくここにきて数年たったが未だにここの住人の冗談には本気が混じってるようでひやひやする。
「てかそれどんだけ気に入ったんだよ、ひょっとして萃香ならいけるかなとかいう飲食業を営むものとしてあるまじき発想で作った代物だぞ」
「攫いたいほど」
「思った以上にクリーンヒットしたな…」
街の酒屋から譲り受けた一番きっつい酒をアルコールを飛ばさないようにゼリーにした一品、鬼にはクリーンヒットだったようだ。ちなみに自分で食べてみたら、むせた。
「これを食べながら酒が飲めるね、てことで酒頂戴☆」
天使のような笑顔をしつつカフェの店主に昼間から酒を出せと鬼のような要求を突き付けてきたのは鬼の四天王のうちの一人らしい伊吹萃香
見た感じ角が生えていること以外は小柄な女の子なんだが酒が大好きでもっている瓢箪からは無尽蔵に酒が出てくるらしい。一回飲ませてもらったことだあるんだが本当にいつまでも出てくる上に強引に口に突っ込まれて文字通り酒におぼれた
あ、鬼のような要求じゃなくて鬼の要求だった。
仕方がないので出してやると抱き着かれた。こいつはほんとに心まで子供なんじゃないかと思う。てかほおを擦り付けるな、いやそれは別にいいんだが角が痛いんだが、いやマジでシャレにならんから肋骨の間をぐりぐりしてるから!!
そんな感じで萃香と騒いでいるとドアベルがなった。
「葵さーんこんにち・・・はっ!???」
入ってくるなり萃香を見てフリーズしたのは犬走椛。妖怪の山の哨戒をやっている白狼天狗なのだがどうにも狼に見えない。なんというか…子犬?
一度上司の盗撮魔に連れてこられて以来気に入ってもらえたらしく
仕事が休みの日にはよく来てくれる
他のやつらに比べると天使に見えるぐらい常識と良心を持っているので大事なお得意様だ
「いらっしゃい椛、ああ萃香のことは多分気にしなくても大丈夫だと思うぞ、そんぐらい気にするほど心まで小さい奴じゃないだろうし、てかここで上下関係を持ち出すような奴ならつまみ出す。」
萃香の方を見て同意を求めると「もちろん、敬語じゃなくても構わないよ!こっち来な!!そして飲みな!!!」とお言葉をいただいた。最後は明らかにいらなかったと思うんだが。
「じゃ、じゃあ失礼します。今日のスイーツと紅茶で。」
「はいよ。」
視界の端で鬼が酒じゃないのか~なんて言っているが無視、作っておいたスイーツを一つ取り出して紅茶を入れる支度をする。
今日のスイーツはオペラだ。
エスプレッソをしみこませたビスケットにチョコレートクリームとチョコレートでコーティングしたこれは得意料理の一つだ。
ちなみに椛の消化器官は人間と同じらしくチョコで具合が悪くなるようなことはないらしい。
今日の紅茶はアールグレイだ。
「ありがとうございます。今度またにとりと三人で対局をしましょうね。あの子も楽しみにしていますよ」
「おや葵、将棋もできたのかい?」
「五目並べしかできないんだなこれが。だが五目並べなら強いぞ、椛に負けることなどあんまりない!!」
できないものはできないからしょうがないのだ、正直戦術をおぼえることができないので心理戦と論理的な作戦のみが支配する五目並べが好きなのだ。紹介したら椛もにとりも見事にはまってくれてよかった
その椛は今オペラを食べて尻尾をぶんぶんと振っている、今回もうまくできていたようだ…
食べたい、生まれついての甘党であるからだが糖分を求めて疼いている
本来なら客の目の前でものを食べるなどあり得ないがこいつらならいいだろうと自分を甘やかして新しいオペラを一つ取り出す
口に運ぶとコーヒーとチョコレートの香ばしい香りが鼻に抜け、甘さと苦みが口の中をいっぱいにする。 旨い。
と、萃香が涎を垂らしてこっちを見ているのに気付いた。
お前はさっきゼリーをたらふく食べたろうが…てかまず涎をふきなさい
「いや…なんか二人がそんなおいしそうに食べてるからさ…
いや新しいのをくれとは言わないよ、今葵が食べてるのをたった一口分けてくれるだけでいいんだ。な?」
すがるような顔で見られてあげないのもなんだかかわいそうになってくる。
無言で皿を前において引出しからフォークを取り出して渡す
はずだったが受け取り拒否された。
「洗い物を増やすのも悪いだろう?今使っているそれでいいよ。」
意外と繊細な気遣いを見せてもらえた。少し見直しながら使っていたフォークを渡す
はずだったが受け取り拒否された。 なぜだ?
怪訝な目で見るとやっこさんは少し目を泳がせた後つむって口を開けた
「ん」
ん? 少しの間が空いたがやっと要求を理解する。
ひな鳥ですか?まあそういう気分なんだろうと思い一口分をとって口へ突っ込んでやる。
「んっ・・・甘いねぇ、でも苦くてなんだかふしぎでおいしいねえ。」
顔をニマニマとさせてずいぶんとご満悦のようだ。
そんなにタダでスイーツが食べれてうれしいか…
ふと椛の方を見てみるとなんだか耳としっぽが暴れ狂っていた。
へなへなとなっていたと思えばぴんと立ったりまたしおれたり面白い。
ふと目が合うといきなりカウンターに突っ伏した。
乱れてしまった髪の中から弱弱しい声が聞こえてくる。
「あの…お二人って、その、付き合っているんで…すかっ!!!」
最後だけ一気にボリュームアップしてびっくりした。
おれと?萃香が?付き合ってる?
なぜこのタイミングでそんな質問が飛んでくるのだろうか
そんなことを言っては萃香に失礼だろう
とりあえず誤解を解いておk「その通りだよ。やっぱりばれちゃうか~///」
「おいそこの鬼、嘘を嫌うんじゃなかったのか…
それになんかめんどそうな感じのうそをつくんじゃねえ」
いきなり会話に割り込んできた萃香は舌を出して「てへっ」とウインクする
可愛いよりもイライラが上回りました本当に
「人を傷つけるつまらないウソ以外ならいいのさ。
それに本当のことにしちまえば問題ないだろう?」
「何ドヤ顔してんだ酔っ払いがそんなことでカップルが誕生してたら酔っ払いは全員もれなくリア充だわ」
え~ などとぼやいてる鬼をほっておいて椛に目を向ける。
といきなり詰め寄られた、顔が近い。
「もっもし付き合っていないのなら、そんなことをするのはいけないとおもいます!!」
そんなことって何だ?ただで一口あげたことだろうか。別にそれぐらいいい気がするんだが、すごくまじめなのだろう。
「別にあれぐらい俺は気にしないぞ?常連だし、友人だし一口ぐらいならいいんじゃないか?」
「なっ!!」
それを聞くと椛はしばらくうつむいた後
いきなり座ったまま気を付けの姿勢になり
なんだか怒ったようにして口を開いた
「…にも」
ん?
「私にもです!!私も常連だし、友人でしょう!?
萃香さんにはやれて私にはしてくれないんですか?」
でも椛にはちゃんと自分のがあr「葵さんの食べている奴の方が上にかかっているサクサクが多い気がします!!」
ううむ…まさか椛がそんなにクリスプが好きだったなんて知らなかった。
こんどクリスプチョコでもあげよう
まだ怒っているらしく顔が真っ赤な椛の口になるべくクリスプの多い部分を選んで持っていk『カシャ』 え?
振り向くと窓から盗撮魔がカメラを持ってにやにやしていた
何だわからないがいやな予感しかしない
そのまま飛び去る盗撮魔。
「誤解ですから~待ってください~ 待てやこの悪趣味ガラス!!!!!」
顔から煙を吹きながら追いかけるわんこ
「面白いから、ちょっといってくるね~
これ御代の日本酒。」
なぜか物々交換の精神が身についている鬼
てか椛、代金は?
その後涙目で払いにくる椛をからかうのが一番楽しかった
なかなか大変ですね
タイピングが、、、、、、、、