人里はずれのcafe   作:くずゆ

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うちのパチュリーさんはそこまで喘息じゃないです


魔女と敬語

「こんにちはノーレッジさん、今日も料理の本を借りていいですか?」

 

今日訪れたのは、紅魔館にある大きな図書館、ヴワル魔法図書館だ。

ここには信じられないぐらい多量の本があって、料理やお菓子の本もたくさんある。

月にニ三度はここにきて、本を貸し出してもらうのは、新たなレパートリーを増やす数少ない方法だ。

 

「ええ、あなたはちゃんと本を返してくれるものね。

どこかの泥棒と違ってね。

あとなんでノーレッジと呼ぶのかしら」

 

そう返したのはここの図書館の主、パチュリー・ノーレッジさん。

長く伸びた紫の髪にゆったりとしたネグリジェ、透けるような肌はいかにも文化系の病弱な少女という感じなのだが、数百年は生きている立派な魔女だというから侮れない。

 

「いや、年上の方ですし、えらい方ですし、何よりお世話になってますから。」

 

「なるほど、よくわかったわ。要するにあなたはワタシが自分に比べて年老いているといいたいのね。それに私はあなたのことを葵と呼び敬語など使わないのにあなたはワタシに敬語を使い苗字の方で呼ぶということは、私と距離を置きたいのかしら?敬語は相手との距離を置きたいときに使うことは知っているわよね?」

 

少し息を吸い込むと一気にまくしたてるノーレッジさん。

なんだかすごく申し訳ないことをしている気分になってきた。

 

「すいませんノー…あっパチュリーさん、パチュリーさんはとっても若々しくて可愛いですよ!それに距離を置きたいなんかじゃなくただ何となくお世話になっている方にため口をきくというのに抵抗があっただけでして。」

 

「敬語が取れてないわよ。やっぱり距離をとっていたいのかしら」

 

そう言ってため息をつくパチュリーさん

何をすればいいかなんとなくわかっているのだがなんとなく気恥ずかしい。

 

「パ、パチュリー?」

 

「むきゅ!ごほんごほん......さっきの言葉をもう一度。」

 

「ごめんパチュリー。パチュリーはとっても若くて可愛いよ。

敬語だったのは、お世話になっていたから少し遠慮していただけなんだ。」

 

ノー…パチュリーはそれを聞くとしばらく固まった後、突然読んでいた本に顔をうずめてしまった。小さな声が聞こえてくる。

 

「さ、最初の方だけもう一回…」

 

「…?ごめんパチュリー」

 

「そのもうちょっとあと…」

 

「パチュリーはとっても若くて可愛いよ。」

 

年上といってしまったことを気にしているのだろうか

だとしたら申し訳ないことをしてしまった。

別に外見のことなどまったく言ってないのだが、そこはやっぱり乙女なのだろう。

 

「お世話になったなんて言い方はやめて頂戴。私は恩を着せるためにあなたに本を貸しているわけじゃないわ。そ…その…大切な友人としてわたしがそうしたいからしているの…」

 

そんなに親しく思っていてもらえたなんてパチュリーのやさしさに涙が出そうな思いだ。

なぜ本に顔をぐりぐりしているかはわからないが。

 

「ありがとうパチュリー」

 

そういって歩き出す。今日は何の本を借りようか。

 

 

 

 

 

 

 

Sideパチュリー

 

 

言ってしまった。た…大切な友人なんて恥ずかしいこと…

彼の声が耳の中にまだ響いている

私が可愛いなんて…………ほおが緩むのが抑えられない。

とっさに本で隠したから彼には見られていなかったとは思うが今私は今までの人生の中で一番だらしない顔をしているだろう。

心臓は痛いぐらいに鳴り響いているしほおはやけどしそうに熱い。

彼の気配がないことを確認して顔を上げる。

 

もともと彼が敬語を使うことをやめさせて名前で呼んでもらうためにはどうすればいいかを考えていたのだが、素直な彼はあんな理論に簡単に引っかかってくれた。

でも思わぬ課題ができてしまった。

彼の名前呼びや敬語のないしゃべり方はいい。ていうかよすぎる。

そのせいで次に彼と話すときに平常心でいられる自信が全くない、今度は私の方が敬語になってしまいそうな勢いだ。目をみて話せるだろうか?

 

これで彼の中で私はお世話になっている人から、きちんとした友人になっただろう。

ここまでにどれだけ苦労してきただろうか!

彼にひかれていることを自覚したその日からもっと仲良くなりたくて

館内でしか読ませなかった本を貸し出し可能にした、思い切って紅茶に誘ってみたこともあった。普段なら絶対にしないような自分から手を引いて館内を案内するなんてこともした。でもそのたびに彼ははにかんだように笑ってこう言うのだ

 

「本当にノーレッジさんにはお世話になりっぱなしですね。」

 

その言葉を聞くたびに内心どれだけ「そうじゃない!」と言いたくなっただろうか。

だから今日の進歩はとても大きな一歩だ。恥ずかしい思いをしたかいがあったというもの。

あとはどうすればいいだろうかいつもと変わりないこの日常で……ん?変わりない?

 

そういえば彼がここに来るときにいつも私はこの服じゃない!楽だからおなじのを着回ししていたが、おしゃれもしていないだらしない女に思われていないだろうか?

さっきまでの幸せな気分はどこへやら、幸いにも持っているだけで使っていない服はたくさんある。彼はまだ戻ってこない、私は急いで自分の部屋へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

Side葵

 

目当ての本も借り終えてパチュリーのところへ挨拶に行くとなんだか息を切らして頬を赤くしたパチュリーが座っていた。運動でもしたのだろうか。それに何より、

 

「パチュリー、いつもの服じゃなくなったんだ」

 

「い、いつものって何よ、私は着回しなんてしていないわ!

たまたま!あなたが来たときに同じ服だっただけよ。おしゃれ位するわ。

 

 

それでどうかしら......?」

 

そういうパチュリーの服装は青のニットセーターに黒のスカート、オレンジのめがねに帽子は外して三つ編みと、なかなか個性的というかちぐはぐと言うか、

 

それをオブラートに包んでいうと服を魔法で大量に目の前に出され

「それだったら、あなたが選んで頂戴。あ...あなた好みに」と言われた。

俺に任せるとは、勇気があるなぁ

大切な友人の頼みとあっては断れない。彼女にはどんな服が似合うだろうか?まずはどんな服があるかを見ることから始める。 

 

それにしてもさっきから目をあわせてくれない気がする...なぜだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてパチュリーが部屋から出てくると思わず息をのんだ。見立てに狂いはなかったようだ。

白いワンピースに薄紫のショール、黒いニーソックスに細いシルバーネックレスを身に着けた彼女は街を歩けばだれもが振り向くような美少女だと思う。

 

「ど...どうかしら」

 

「とてもきれいだよ。やっぱりパチュリーは元もいいし肌も白いからおとなしめの服でも十分目立つ。それにせっかくきれいな長い髪を持っているんだから編んだりしない方がいいよ」

 

そういうとまた近くにあった本に顔をこすりつけだした。

新しい健康法だろうか?

 




どんな格好をさせるかが一番悩んだ...
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