模型屋は異世界にもあります   作:eriza7170

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第十一話 サキュバス店

001

 

アクアを縄で縛り上げ、玄関に宙づりにしていたのは五分前のこと、今は裏庭にあった小さい墓を見ていた。

どうやらここに昨日の人形騒動の元締めがいると分かったので、俺はここを浄化しようかとも考えいたがアクアがそれを否定した。

どうやら巻き込まれる形で自我の薄いゴーストが影響された程度らしい、ので推定無罪とはアクアの言葉だ。

 

というかアクアが浄化しないものを俺が浄化できるとは思えない。

 

俺は墓にしゅわしゅわを置いた、どうやらこれが最近の彼女のマイブームらしいのだが、少女として亡くなったから生前あじわう前に死んだのだろう。

昨日のもあんまり悪いことではなかったのか?襲いに来るということはなかった、あくまで子供のいたずらのようなものだ。

 

そう思えばあんまり悪い体験ではなかったのかな、そんな思いはあった。

 

だがアクアは許さん。

 

 

「とりあえず一日そこで反省してろアクア、俺はカズマと共に不動産屋に謝ってくる」

 

「この駄女神が!せっかく無料でもらえるかと思ったのにとんだマッチポンプじゃねぇか!そこで反省してろ!」

 

「なんでよおーっ!あれがあれば私がいかなくても自然消滅するのにー!」

 

「それで消滅するまでのタイムラグがあるのがダメなんだろうが!」

 

「とりあえずそこで反省しておけ、なんだったらそこで鬼瓦の代わりで荷も果たすがよいと思った」

 

 

はぁ、と溜息を吐きつつ俺は正門から外へと歩き出した、何事もなければいいのだが、と思う。、

 

このままここでダラダラと賞金を使いながら模型屋ができればいいなーなんてことを考えていた。

 

この横にいる無自覚トラブルメーカーとトラブルメーカー三人組がいる限りそんなことは起きないだろうと思いながら。

 

 

002

 

「「本当に申し訳ありませんでした!失礼します!」」

 

 

ピシャリ、と閉めた扉、現在俺たちは不動産屋から出てきたところだ、お金を支払い、ちゃんと屋敷を買い取ったこととなったので問題はない。

これであとはアクアを毎日墓地に投げ込めばいいだけだ、これはパーティで順番にすればいいことだろう。

 

そんなことがありつつ俺ら二人は今日の飯をどうすっかななんてことを雑談しながら帰り道にいた。

 

ふと、路地裏を見る冒険者が一人いた、ダストという街随一のチンピラ冒険者だ。

 

なんで思春期のようなスケベな顔をしながら路地裏を覗いてるんだ?と思った俺は声をかけることにした。

 

 

「おいダスト、なにやってんだ?」

 

「うぬおっ!?」

 

「うぬおってなんだうぬおって」

 

「って、なんだカズマと模型屋リーダーじゃねぇか、脅かしやがって!」

 

「お前が裏路地をのぞき込んでたからだろ、何かあるのか?」

 

「……まぁお前らならいいか」

 

「トラブルのにおいか?」

 

「いや違う違う、別に巻き込むんじゃねぇよ、お前らにもこの街になんで高いレベルの冒険者がいるかってのを知るべきだなと思ってよ」

 

 

 

003

 

 

「あれ、店長さんじゃないですかー!ついに来たんですね!」

 

「お前は穏健派の悪魔信仰冒険者、ここはカルト宗教の総本山だったのか」

 

「違いますよー、ここはサキュバスのお店です!」

 

 

悪魔系のミニチュアを買いあさるお得意さんがそこにはいた、それも複数人、なんでだ、と思ったがまさか本当に悪魔族だったとは。

だがお得意様なのは変わらんので特に気にしない、アクアあたりがなんか言ってきそうだなとは思うが、事実として治安活動に参加している冒険者としてもいる時点で彼女らは同類だ。

というかトラブルを起こさない時点でアクアのほうが価値観としては下落している、これもまたこの世の理なのだろうか。

やらない善よりやる偽善、彼女らの活動はそう思える。

 

 

「つまりなんか倫理観のない夢でも見ることはできると」

 

「はい!夢なので!」

 

「ふーむ」

 

 

要するにここは色欲的な夢を見せて、その場で発生される性欲的エネルギーを回収し、サキュバスたちの生命やら強化やらのために使う場所らしい。

寝るのは宿屋でも馬小屋でも自分の家でもいい、窓を開けておくなどをしてサキュバスが来るための入口を作っておくことが条件のようだ。

さすがに遠距離から夢を見せるのは無理、そんなのは伝説に聞くサキュバスの神くらいらしい。

あれか?まさか俺が売ってるスラーネッシュ神の眷属のデーモンだったりケイオススペースマリーンの一種だったりするエンペラーズチルドレンのミニチュアが売れるのは伝説に聞くサキュバスなのか?

 

 

「そうなんですよ!私たちは快楽と夢見心地の神の眷族なんですけど、それの眷族さんにそっくりなんです!店長さんが売ってるミニチュアが!」

 

「それって俺、いつの間にか魔王軍相手に商売してたってことか?」

 

「私達は魔王軍とはちがう分派ですので大丈夫ですよ?」

 

「じゃあその眷族にそっくりってのは?」

 

「まず私たちは魔王軍に所属する悪魔とは違くてー」

 

 

悪魔にも魔王軍派閥、人類と共に生きる派閥、魔王軍とは違う武闘派閥があるらしい。

このアクセルの街に住むのは二番目の人類と共に生きる派閥。

なんでも俺が商品を売ってたのも二番目とそれに同調する人類や亜人たちらしい。

 

亜人といっても種類がある。

大抵はモンスターとか呼ばれているが、その中でも知能を持つ者はいる。

その知能を持つ者たちから人類にそっくりだったり、人類に敵対しない派閥は人類の庇護をうけることができる。

そんな者たちの中で冒険者として稼ぎに来ている者が俺の商品を買うらしい。

 

そして一応聞いたがサキュバスが言っていた眷族は自分の国やら世界やらから出てくることはない。

契約として召喚される例を覗けばこちらの世界で見ることはほどんどないということだ。

 

 

「しかしえっちな夢ねぇ」

 

「別にえっちな夢でなくてもいいですよ?一応どんな感情エネルギーでも回収することはできるので、私達サキュバスは特にえっちなエネルギーが好きなんです」

 

「ふーむ、ならこんな設定で……」

 

 

 

003

 

そんなこんなで、俺は家に帰る、途中で問題点に気づいた。

 

 

「なぁカズマ、アクアがいるんならサキュバスの店に行ったのこれバレないか?」

 

「……あー」

 

 

俺らは夜通し墓場の監視をする依頼を受けたことにした、その夜は満足したと言っておこう。

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