「プラモデルいかがですかー、エリス神像を一から組み立てて暇つぶしといっしょに信仰を示しませんかー」
「お、いいねそれ、一ついただこうか」
「ついでに色塗り用のペイント剤もどうですか?あとこちら店長おすすめのスペースマリーンっていうチェスみたいに遊べるおもちゃなんですけど」
「それいいね、友達と一緒に遊ぼうかな」
「うっす、一万エリスになりまっす」
「たっか!?え!?内訳どうなってんの!?」
新しく雇ったバイターのカズマくんは優秀だった、ウォーハンマー40k主軸ではなくこの世界の神様のプラモを売り、ついでにウォーハンマー40kを売るというのは盲点だった。
というよりやりたくなかったというのが本音だろうか、だが売りたくないからといってやらないというのは商売ではないのだろう、それはただの趣味だ。
「一応言っておくが高くはないぞ、俺の魔法だけでしか作れないだけであとはすべて劣化品になるだけだ」
「あ、オリジナル魔法で作ってあるんだこれ、それならまぁって感じかぁ」
「おにいさんおにいさん?エリスよりアクア神像はいかがかしら?こっちのほうがいいわよ、エリスみたいにPADじゃないわよ」
「げぇ、あんたアクシズ教か?」
「げぇって何よげぇって!?」
反対にアクアはバカだ、俺が水から念じて作ったシタデルカラーを水に逆戻りさせる、ついでにケイオス軍勢のッミニチュアを売ろうとしたらアホみたいに反対してくる。
この街にいる穏健派の悪魔信仰冒険者に売れるから売りたいのが本音なのだが。
まぁバイターの意見を聞くのも店長としての仕事だろう。
異端審問官みたいなのがこの世界にいないとも限らないし、ついでにケイオス軍勢からコレを皮切りにやってこないとも限らない。
そのあたりはアクアと相談しよう、というかアイツまたお客様に迷惑かけてるから今相談しよう。
「おいアクア、相談なんだが」
「どうしたの店長、なんだったら私も相談があるんだけど」
「アクア神像なら売れたら作るが売れないなら二体目は作らんぞ」
「それならアルカンレティアに行きましょ!バンバン売れるわよきっと!」
「アクセルの街で売り切ったらな、んでケイオス軍勢のミニチュアについてなんだが」
「はー!?あの腐れ悪魔どもの手下も売る気!?断固反対よ!作るならゼノまでよ!あいつらがどれだけの世界に迷惑かけてるか知ってるの!?」
「オールドワールドだけじゃね?」
「そ!れ!だ!け!?あの世界が次元中でどれだけ重要なのか知ってるのかしら!?ミニチュアだけ売るならいいけど召喚は絶対にしないでよね!」
「そこが譲歩かぁ」
これが神としての最大限の譲歩なのだろう、というかそこ譲歩していいのかと思うが、まぁいいや。
というかあいつらに似たような存在がいるのか、とてもいやだなそれは。
「はぁ」
「どしたんすか店長」
「いや、バイトを雇う前よりも疲れが多い気がしている」
「そりゃ俺たちの給料が出る前の飯代も出してくれてるんすから疲れますよ」
「ありがたいけどそんなことしてたらつぶれちゃうわよ?」
「最近俺のペイント剤を気に入った芸術家が常連についたから大丈夫だ、というか一週間くらいの飯代も出せずに何が店長だ」
「そういうところ大人だなぁと思います」
「そういうこった」
しばらくあの間のバイターの飯代は俺がもつことになっている、無論借金という形でだが、これには利子は存在していない、ケイディアンには甘いんじゃないすか?と言われたが故郷を同じくしている人類だ、あまくもなろう。
「と、いうわけでバイター二名、給料だ」
「おーついに……」
「やったわ!これで冒険者になってガッポリ大稼ぎよ!」
「この前の俺みたいなこと言ってんじゃねぇよアクア」
ちゃんと封筒……のようなものに入れたそれを二名に渡す、カズマくんには二万エリス、アクアには千エリスだ
「あ、あの店長?私の額がものすごく少ないんだけど」
「お前、俺が作ったペイント剤全部浄化したろ、その分を差し引いた最低値だ。」
「うわーん!カズマ!店長がいじわるするわ!」
「妥当だろ、しかし二万エリスかぁ……これならデカい剣とか買えるかな?」
「そのあたりは冒険者ギルドに教官がいるから教えてもらえ、ベテラン冒険者だから聞いていて損はないぞ」
「この年でまだ勉強する羽目になるのか……」
給料をもらったにしては背中がすすけているカズマくんと調子に乗りまくっているアクアが対照的だ。
それだけこの店の居心地がよかったのかな?と思うことにするとしよう。
「そんな訳で二人の冒険者デビューだ、俺がパーティ代をおごってやろう。」
「「店長太っ腹ぁ!」」
そんな感じに俺は二人の冒険者のデビューを祝った