001
「俺の城に毎日毎日マァイニチ!!!!爆裂魔法を放ってくるバカはどこのどいつだあああああ!!!!!!!」
ケイディアンとスペースマリーン、そして俺、そして冒険者全員同じ方向を向く、魔法使いの少女だけが別方向を向かずに正門を向いていた、というより冷汗が見えるくらい汗がだっくだっくだった。
「お前か小娘!なにやってくれんだ!俺の城に恨みでもあんのか!?毎日毎日爆裂魔法ぶちこんできやがってよぉ!?俺が魔王軍幹部だからってやっていいことと悪いことがあるだろ!?」
わーぎゃーと叫ぶ首のない馬に乗ったこれまた首のない、というか頭を左手に持っている魔王軍幹部が叫んでいる。
なんだろう、すごく過去の俺が親近感を沸くこと言っている。
「あれがアンデッドの中でも強大なデュラハン……だよな?」
「俺たちと同じ苦情を言ってるけどデュラハンだな」
「どうすんだよ倒せるやついるのか……?」
冒険者の間に恐怖の感情が巻き起こっているのを感じる、あんなギャグテイストな叫びをまき散らしているが、俺が感じる恐怖はウィズと戦おうとした時よりかは弱い。
弱いがあれはスペースマリーン一人で戦おうとすればおそらく七割の確率で負けるであろう、それだけ目の前の苦情者は強いのだ。
「まぁいい!叫んだらある程度はスッキリした!もう俺の城に爆裂魔法を放つんじゃないぞ、俺に弱者をいたぶる趣味はないからな!」
「いやです、もうあの固くてすごいものじゃないと満足できないです」
「固くていやらしいもの!?」
「ダクネスステイ!ステイ!」
「ダクネス!お前の趣味は知っているしエリズ教徒が魔王軍許すまじなのは知っているがステイだ!」
「ぷーくすくす!腐れアンデッドがいい気味だわ!あんたのせいでこちとらクエストに出られずにレストランでバイト三昧よ!」
魔王軍幹部相手でも普段のノリが変わらないのはよさなのか悪さなのか、それはわからないが、相手の意表を突くという上でこれでもかと相手を激昂させていることは変わらないだろう。
今回はそのノリが悪い方向へと来ただけだ。
「だー!うるさーい!俺には俺のやることがある!だが!爆裂魔法を続けるなんてことを言うなんてやつはこうじゃい!」
【お前は一週間後死ぬ】
ゾクっとする単語と共にデュラハンの指先から放たれた黒い光線はめぐみんを射貫く、ギリギリでダクネスが庇った。
「ダクネス!?」
「いつの間にか抜け出しおいてかっこいいことしてんじゃねぇよ!大丈夫かダクネス!?」
「あの野郎やりやがった!」
「皇帝陛下に忠実な上官の仲間を!」
「二人とも止まれ!今は様子見だ!」
ラスガンを構えるケイディアンとチェーンソード片手に突っ込もうとするスペースマリーンを制止する、見る限り出血もケガもないダクネスに不気味な感覚が流れているのがわかる、これが先ほどの発言している呪文のような野の正体か。
「ダクネス!けがは!?」
「あ、あぁ……いやなんともないが」
「フッ、予定は狂ったがその女は一週間後に死ぬ!」
「なにっ!?つ、つまりは死なない為にお前にご奉仕をしろということか!?カ、カズマ!私はここでお別れかもしれないが!」
「なんだその思考回路!?お前エリス教徒だろ!?なんでそんな思考回路になるの!?」
「えぇ……」
「ほらデュラハンも困ってるから!行くな!超えるな!おあずけだ!」
「おあずけってなんじゃい!俺はそんな思考してないわ素人冒険者!」
「あー!よくもダクネスにくだらない呪いをかけたわね!お返しよこの腐れアンデッド!」
【セイクリッド・ターンアンデット】
アクアが反射的に選択したソレは女神たるパワーを込めた最上級の浄化呪文、それは油断したデュラハンの地面から瞬時に巻き起こる浄化の波動。
「ほぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
要するにめっちゃ効いた、デュラハンが乗っている首なし馬はコシュタパワーというのだが、その馬は一秒も耐えきることができずに浄化され天に上った。
「大変よカズマ!私の浄化魔法が効いてないわ!」
「いや、めっちゃ効いてるように見えるんだが、さすが腐りきってても女神」
「皇帝陛下以外に神が存在しているのは気に食いませんが、今はそれどころではありません」
「ま、まぁいい、その娘を治したくば俺の城に来るがいい!アンデッドの軍勢が貴様らを粉みじんにしてくれるわ!ワーハッハッハッハ!」
踵を返し全力で逃走するデュラハンを追いかけることは出来なかった、アンデッド由来、それも上位のアンデッドが本気を出した速度は予想よりも素早く、ボルトライフルの射程圏外になるのに数秒もかからなかった。
結果としては痛手だ、ダクネスという犠牲者が出てしまった。
まだ死んではいない、だが一週間後に死ぬというのは脅しではなく本当だろう、アンデッドの王ではなく、あくまで騎士どまりだとして部下の多さはどうしようもない。
部下がないとは考えづらい、おそらく相手は温存しているだけだ。
その部下の多さに俺のチートがどれだけ対応できるか、不安だ、不安だがお得意さんが呪いをかけられたんだ、本気を出さねばならぬだろう。
「めぐみん、冷静になれよ、あの頭だけのバカに爆裂魔法をぶち込む機会は与えてやる」
「フッフッフ、仲間に呪いをかけられて冷静になるやつなんていませんが、その機会はもらうとしましょうか、行きましょうカズマ!いざアンデッド退治です!」
「しょうがねぇなぁ、もとより自業自得感あるし、やらなきゃいけない機会が来ただけだ」
【セイクリッドブレイクスペル】
ふと聞こえた浄化の呪文、呪いを無効化するそれを聞いた
ダクネスを見る、あれ、これ呪い解けてんな
「あんなアンデッドごときの呪いに負けるわけないでしょ?私が解いたんだからアクシズ教を崇めるのよ!」
「エリス教から変えるつもりがないが、助かったぞアクア!」
「あとで酒おごらせてくれ」
「また来た時に頼むわアクアさん!」
俺の心配はなんだったのか、アクアが全部かっさらっていた。