きょうの桜詰   作:藍原

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きょうの靴屋

 

「こんなところで油を売っている暇はないよ」

 

 

 

 ソファ席に座り一言、うわんは腕を組みながら言った。

 

 

 

「油を売るのではなく、昼食を食べに来たんです」

 

 

 

 メニュー表を見ながら言う。僕の提案とは“これ”だった。

 

 昼下がりのファミレスの席はお客さんでほぼ満たされており、空いたボックス席はちらほら、といった感じだ。高校生かそこらの女子が二人で勉強していたり、大学生らしき男たちがドリンクバーでグラスを手にうろうろしている。

 

 僕と夏目くんは椅子、向かいのソファ席はうわんが一人座っている。隣で嬉しそうにキッズメニューを見る夏目くんに「お子様ランチ食べる?」など話しかけながら、自分は和定食を頼もうとしていた。

 

「上山さんも何か食べますか?あまり高いものはアレですけど、払いますよ」

 

「甘いものがいいな」

 

 未だぶすくれているうわんにご機嫌取りも兼ねてお伺いをたてると、意外な答えが返ってきた。甘党なのか。

 

「この小さいパフェはどうですか?」

 

 メニュー表の後ろにあるデザートメニューを出す。なんとなく和菓子の方が良いかなと思ったが、量の割には高かったので一番コスパの良さそうなミニパフェを指差した。

 

「じゃあ、それを頼むよ」

 

 特に考える時間もなく、ちらっとメニューを見ただけですぐ返事した。来てからアレが嫌いコレがダメなんて言わないよな…と思いつつ、「わかりました」と答える。

 

「ぼくはこれがいい」

 

「お子様ランチだね。ジュースはどっちがいい?」

 

「りんご…うーん、やっぱりオレンジ!」

 

「わかった。じゃあ頼むね」

 

 夏目くんも決まったようだ。小さい手で渡されたメニューを見ると、“キッズランチ”とポップな字体で書かれた下に、ウインナーやハンバーグなど楽しそうなおかずがプレートに乗っている写真があった。山がたに成形されたピラフには国旗が刺してある。プリンと、選べるジュースもついてくるようだ。

 

 僕は呼び出しボタンを押し、しばらくして来た店員に注文を伝えた。女性店員はうわんを見て少し顔を赤らめていた。

 

 

 

────

 

 

 

 食事を終えた僕たちはヒガラシ履物店へ向かっていた。ファミレスではあの後、夏目くんはランチが来るなり「わーい!」と目をキラキラさせてがっついていた。しかし不思議と下品な感じはしなかった。いいところの坊ちゃんみたいな格好をしているからというのもあるが、全体的に食べ方が綺麗だったからだろうか。食べかすが口に少しついていた程度だ。

 

 うわんは持ってこられたパフェを「これ、なんて名前だっけ?」と聞いてきたり、「パフェです」と答えるなりその後はずっと「ぱへ、ぱへか…」とぶつぶつ言っていたり、僕の焼き鯖と味噌汁を二口づつ奪っていったりとやりたい放題だった。こっちの方がよっぽど子供だ。

 

 

 

 ファミレスが履物店への道中に位置していたので、目的地までさほど距離はないようだ。往来の歩道を、夏目くんを先頭に歩いていく。

 

「ご飯おいしかったねぇ、ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 満足げにニコニコして言う夏目くんに応える。可愛い。うわんはというと、ミニパフェが効いたのか幾分柔らかい表情になっていた。

 

「そういえば、どうして二人とも小池さんのところにいたの?」

 

 夏目くんが僕とうわんの顔を交互に見て問いかける。そうだ、夏目くんも子供とはいえ妖怪だった。探している札について何か知らないか聞こうとすると、うわんが先に口を開く。

 

「君は、ヒジツの札のことを知っているか」

 

「知ってるよ」

 

「どこかわかるかい?」

 

 夏目くんは立ち止まり、次の言葉を探しているかのようにうわんの瞳をしばらくじっと見つめ、また歩き出した。

 

「今どこにあるかは知らないなぁ…ぼくも二度ほどしか見たことないよ」

 

 そうなのか…と肩を落とした時、夏目くんが「あ、でもね、」と続ける。

 

「ぼくんち、今もう一人おともだちがいるから、そのこにも聞いてみようね」

 

「友達?」

 

 僕とうわんの重なる声に「うん!」と返事する夏目くん。友達とは、妖怪のことだろうか。うわんの方に目配せすると、彼も“さぁ…?”という顔で肩をすくめている。

 

「はぎわらさんにも紹介しようね」

 

「あ、ありがとう…」

 

 なんだか自分の意に反して妖怪の知り合いがどんどん増えていくのは心地良くないが、せめて今から会うという妖怪も怖いやつじゃないといいなと思う。

 

 しかし夏目くんは“僕にも”と言っていたが、うわんとは既に会っている妖怪なのだろうか。

 

 

 

 ファミレスから15分ほど歩き桜詰へ戻ってきた。今僕たちがいるのは、ククノチ骨董品店にいく時にも通った桜詰のメインストリート、通称“さくら街道”だ。少し奥まったところへ入ると居酒屋が並び、そこを抜けて古めかしい建物が並ぶ通りに出ると薬局や銭湯などが雑多に軒を連ねている。

 

 繁華街とは少し離れた場所にあるが、立派にそびえている店屋が一軒。“ヒガラシ履物店”だ。

 

「ここだよ!ただいまぁ」

 

 夏目くんは大きくも控えめな色合いの看板を指さして僕たちを振り返った。帰宅を伝えて正面から入っていくと、明るい店内に所狭しと革靴、草履、ブーツなど様々な履き物が並んでいる。見慣れない下駄や足袋に少し興奮しながら入店すると、奥から甚平を着た3、40代くらいの痩身の男性がこちらへ歩いてきた。

 

「いらっしゃいませ…おかえり、夏目。そちらはお客さんかな?」

 

「そうだよ!チラシ渡したらきてくれたんだ」

 

 男性は長細い体を折って夏目くんに目線を合わせ聞いた。夏目くんは男性の手を握りながら話し、嬉しそうに見上げている。

 

「あの、南高校2年の羽木原と言います。夏目くんにこれを頂いて」

 

 ポケットにしまっていたA5のチラシを出す。すると男性は両手を打ってパッと笑顔になった。

 

「あぁ!羽木原さんですね。聞いています。ご飯までご馳走になったみたいで…代金をお返ししたいのですが」

 

 僕は頭がはてなでいっぱいになる。どうしてそのことを、この男性が知っているのだろうか?夏目くんは携帯電話を持っている様子はなかった。と思う。

 

 戸惑ってまごついている僕を見かねたのか、うわんがそっと耳打ちする。

 

「一つ目がもうひとりの妖怪に伝えたんだろう。妖怪同士では精神感応が使えるんだ」

 

「そ、そうなんですか」

 

 精神感応とは、つまりテレパシーみたいなものか。妖怪はそんなこともできるのか…。

 

「代金はその、け、結構です。僕がお腹空いてて、誘ったので」

 

 男性は「いや」とか「それでも」とか色々言ってきたが、ファミレスに誘ったのもお子様ランチを勧めたのも自分だからと僕は突っぱねた。男性は納得のいかなそうな顔で「そうですか…」と折れてくれたが、レジカウンターから1000円クーポン券を2枚取り、こちらに差し出してきた。今度は無理やり押し付けられたので、お礼を言い受け取ることにした。お子様ランチの方が安かったので、代金を返してもらった方が良かったかもしれない。まだまだ僕もガキだということか。

 

 

 

「おや、そちらは?」

 

 うわんの方を見て男性が言う。

 

「こっちは僕の先輩の、上山です」

 

「そうでしたか。気になる靴がありましたら、ぜひお声がけくださいね」

 

「は、はい」

 

 うわんは一応“先輩”ということにしておいた。兄というには上山さん呼びだし、友達というには歳が離れているかなと思ったからだ。正直、先輩設定でも格好が格好なのであまりそうは見えないが、まぁ何か言われたら本人の趣味で和装しているということにしておこう。

 

 

 

 男性はどうやらこのヒガラシ履物店の店主で、夏目くんの父親ということだった。もちろん実父ではない。この男性──日枯さんは妖怪ではなく人で、夏目くんの養父となっているらしい。

 

「お父さん、なるみくんは?」

 

「土間にいるよ」

 

「わかった!あのねお父さん、このおにーさんたちとね、お部屋で遊びたいんだけど、いいかな?」

 

「こちらの方々にご迷惑でなければいいよ」

 

 許しを得た僕たちは夏目くんに連れられ、奥の通路を通って靴を脱ぎ、手に持って日枯邸へお邪魔する。店の裏側がそのまま家とくっついている感じだ。家の中は古民家を現代風に住めるようにしたような間取りで、廊下の途中で和室が何部屋か、抜けた先にダイニングキッチンがあり、そこを右へ折れると玄関があった。それにしても大きい家だ。

 

「ぼくの部屋は2階なんだけどね、なるみくんはいつも土間にいるんだ」

 

「なるみくん?」

 

 夏目くんは説明しながら歩き進める。玄関とは反対側の廊下を行き何回か曲がると、広い畳敷の部屋に出た。中央には囲炉裏があり、その向こうではいわゆる“土間”があった。ずいぶん年季が入っている。主に炊事場として使われていたようだった。

 

「ここだよ」

 

 夏目くんが言うと、うわんは後ろの方で一つため息を漏らした。

 

「あいつか」

 

「うわんくん、脅かしに行ったおうちになるみくんがいても、何もひどいことしなかったよね」

 

「あれは優しくしたんじゃない、無視してたのさ」

 

 なんの話かさっぱりわからない。が、どうやら本当にうわんとこの土間にいるという妖怪は会ったことがあるようだった。しかも、何度も。

 

「なるみくん!遊びに来てくれたよ」

 

 土間へ駆け出す夏目くんに続いて僕たちもぞろぞろと畳を踏む。土間は思ったより薄暗いが、夏目くんがおりて戸を開けてくれたおかげで光が入ってきた。

 

「わっ」

 

 すると先ほどまで見えなかったかまどの影の部分──向かって左側に、うずくまる男の子が姿を現す。驚いてのけぞると、バランスを崩しかけた体をうわんが支えてくれた。

 

「…」

 

 男の子は先ほどから口を閉じて何も喋らない。ただ伸びた前髪の間からこちらをじっと見ている。

 

 容姿の年齢は夏目くんと同じくらいか。頭の後ろには寝癖らしき跡がついて、ところどころぴょんぴょんと跳ねている。灰色の甚平を着ており、土間の土で肌共々汚れていた。細く白い腕には陶器のようなものが抱かれている。

 

「なるみくんだよ」

 

 夏目くんが手で示してこちらに紹介する。なるみくん、と呼ばれるその子は夏目くんの方を見ていた。

 

「なるみくん、この人ははぎわらさんと、うわんくんだよ」

 

 “うわん”という名前に少し反応したようだが、じっと見据えるだけで言葉は発しなかった。

 

「こんにちは、なるみくん。羽木原と言います。聞きたいことがあって来ました。お話ししたいんだけどいいかな?」

 

 目線を合わせあくまで穏やかに、優しく問いかける。笑顔が引き攣っている感じは否めないが、子供慣れしていない一人っ子なので許してほしい。

 

 うんともすんとも言わないなるみくんに困っていると、腕に抱かれたものが目に入る。よく見るとそれは小さな釜のようだった。よく飲食店の釜飯セットなどで運ばれてくるものだ。僕が不思議そうにじっと見ていると、視線に気づいたのか釜に目をやり、これが気になるのか?というようにこちらに差し出してきた。

 

「あっ、えっ、ななに?えっと、すごくきれいな釜だね」

 

 受け取ったものの、意図をつかめないまましどろもどろになった僕がそう言うと、なるみくんは、ゆっくりと、花が咲くように笑った。

 

「へへ…」

 

「なるみくん、嬉しそう!なるみくんもはぎわらさんの事大好きなんだね」

 

 その年頃の男児にしては少々不気味な笑い方をし、なるみくんは夏目くんに手を取られて立ち上がった。反対の手には白い布が握られており、それで釜を磨いていたようだった。

 

「うわんくんの事は覚えてる?」

 

 夏目くんの問いになるみくんは頷く。表情も柔らかい。

 

「俺は別に眼中にないけどね」

 

「なるみくんと上山さんは知り合いなんですか?」

 

 先ほどの話も詳しく聞きたいので、諦めたような顔をしているうわんに思い切って聞いてみる。

 

「何度か出くわしたことがあるって程度さ。こいつは本当は“鳴釜”って名前の妖怪なんだ」

 

「なりがま…ですか」

 

「あ、の」

 

 急に声をかけてきたなるみくんに驚いて思わず凝視してしまった。なるみくんは口を開いて何か言おうとしている。

 

「なかよ、く、して、くれて…ありがとう」

 

 うわんの方を向いて頭を下げた。たどたどしく小さな声でうわんに伝えようとする姿に、僕はないはずの母性が湧いた。

 

「仲良くしてないよ、全く…」

 

「うわん、は、野菜」

 

「や、野菜?」

 

 突然のうわんベジタブル説に、持ったままだった釜を返しながら聞き返す。夏目くんが「やさしい、でしょ?ね?」と訂正を入れ、なるみくんはそれに頷いた。

 

「上山さん、優しいんですねえ」

 

 僕が茶化すように横目でうわんを見やると面映そうに頭をかき、そっぽを向いた。

 

「むかしは、みんなに、痛いこ、と、たくさん、された」

 

「痛いこと?」

 

 なるみくんに向き直り聞くと、一生懸命僕たち──いや、僕以外は知っているだろうから、僕だけにかもしれない──にうわんとのことを話してくれた。

 

 

 

 曰く、鳴釜と呼ばれるこの妖怪は頭部が釜になっている姿で、それを自ら鳴らすことで吉凶を占えるのだという。しかし妖怪の中でも特に大人しい性格で、物言う口もついていない。なので他の妖怪たちや、人の子までもがその釜頭を見つけ次第、太鼓のようにガンガンと棒切れで叩いていじめるようになった。周囲では一番大きい音を出せた者が大吉などという根も葉もない誤解が吹聴された。

 

 隠れるように民家の土間を転々としていたうん百年前、同じ家に驚かしに来たうわんと鉢合わせた。殴られる恐怖で動けずにいたが、うわんは自分を一瞥しそのまま何もせず家人を一つ驚かせて去っていった。そういったことが何度かあったという。

 

 

 

「…今までよく、頑張ったね」

 

 正直その話を聞いて、なんて言えばいいかわからなかった。こんな気の弱い子にそんなことをするなんて。今と昔、時代は違えど口の聞けない者をぶつなんてしていい訳がない。なるみくんの頭を撫でる。

 

 

 

 その時だった。僕の頭の中に、ある映像が浮かび上がる。浮かぶというより、“思い出す”という感覚に近いか。幼い日の僕…6歳か、7歳くらいの頃の僕が、どこかの川に手を浸しているところだ。隣に、誰かいる。

 

 しかしギュッと締め付けられるような頭痛を境に、映像が途切れた。

 

「だい…じょぶ」

 

 しばらく放心していた僕に、なるみくんがおずおずと声をかけてくる。夏目くんも心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。うわんは訝しげに腕を組んでこちらを見ていた。

 

「あ、あぁ、大丈夫だよ」

 

 撫でていた手をパッと離し、なんとか笑みを作って返事をすると、「よかった」とはにかんでくれた。

 

「…で、そろそろ本題に入りたいんだけど」

 

 うわんが前に出て、僕の隣でなるみくんと目線を合わせた。そうだ、こちらからも話があったのだ。

 

「なつめ、か、ら聞いた…ふだは、しら、ない」

 

「そうか」

 

 夏目くん、いつの間に。話が早いのは大変助かるところだが、自分の預かり知らぬところで、妖怪同士で色々な情報がやり取りされていると思うと少し怖い。

 

 …ん?妖怪同士でやり取り?

 

「上山さん。札のこと、精神感応でこの町の妖怪みんなに聞くことはできないんですか?」

 

 我ながら名案だと思った。離れた場所でもテレパシーが使えるのなら、こうやってわざわざ足を運ばなくて済むではないか。

 

 が、しかし。

 

「できない」

 

「どうしてですか」

 

 一蹴されてしまった。

 

「理由は二つある。まずどこにいるか正確な場所を知らないと送れない。今目の前にいる、とかね」

 

「そうなんですか…。二つ目は?」

 

 僕が聞くと、うわんはニコニコと柔和な笑みをたたえ、応えた。

 

「俺が全員、送受信拒否設定にしているからさ」

 

「ええっ」

 

 なんでだよ。テレパシーにそんなメールみたいな機能があんのかよ。

 

 思わず心の中でツッコんでしまうくらい現実的な仕様が今詳らかにされ、素っ頓狂な声をあげてしまった。うわんは立ち上がり、「そういう訳だから、これからも頼むよ。ハギワラくん」と僕の肩をポンと叩いた。してやったりというニヤけ顔が癪に触る。

 

 ため息と共に外の方を見ると、いつの間にか空はオレンジ色になっていた。

 

 

 

────

 

 

 

「きょうはとっても楽しかった!ありがとう」

 

「あり、がと…」

 

 バイバイ、と手を振る二人にこちらこそと振り返すと、「またいっしょに遊ぼうね」の元気な声が聞こえた。日枯さんにも挨拶をして、履物店を後にする。

 

 今日だけで3人もの妖怪と知り合いになってしまった。

 

 札が手に入ればこの記憶も消えてしまうのだろうか。少し寂しく思いながら、うわんと歩き続ける。なるみくんの話してくれた内容が、衝撃が、じわじわと僕の胸を侵食していた。

 

「上山さんのこと、少し見直しました」

 

「どうしたんだい、いきなり」

 

「なるみくんのお話を聞いて」

 

「…あぁ」

 

 僕が感じたことを正直に伝えると、うわんは照れくさそうに頬を掻いた。

 

「面倒ごとには関わりたくないだけさ」

 

 

 

 帰り際、夏目くんがこそっと教えてくれたことだ。うわんは「無視しただけ」と言っていたが、なるみくん──鳴釜と遭遇した時、二、三言ぶさいくな励ましのようなことを言った事があるそうだった。聞いた僕は思わず吹き出してしまい、怪訝な顔で見るうわんを誤魔化すのに少々苦労した。

 

 少しの付き合いしかないが、なんだかうわんらしいなぁと思った。基本的に失礼で皮肉屋だが、根は悪い奴ではないのだ。きっと。

 

「そうですか」

 

 そう言って少し先を歩くと、うわんは「何を笑っているんだ」と面白くないような顔で言ってきた。僕は笑い声が漏れた。なんだかどうでも良くなって、折り畳み傘はあげることにした。

 

 次はどこに連れて行かれるのだろう。

 

 そろそろ、家に着く。

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