救世主転生 ~死にたくなかったので、勇者覚醒イベントの攻略不能ボスを倒して勇者を救おうと思います!~   作:嵐山田

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第十八話 美人ギルマスのオーラが消えた……

「ほうほう、なるほどねぇ。私も魔族に会ってみたいものだよ」

 

 ギルマスのリーシアさんと話してみた感想だが、なんというか研究者タイプの人のようだ。

 好奇心に正直と言った感じ。

 

「ダンジョンの最奥には魔族がいるらしいですよ。なんでもダンジョンは魔族の領土が顔を出した場所みたいです」

 

「へぇ、あの仮説は正しかったのか……そうだ!ロティスくん魔将ヒルウァの魔核は持っているかな?もしあれば私に見せてくれないか?」

 

 この話の切り替え方もいかにも研究者らしい(偏見)。

 

「はい、ありますよ。これです」

 

 魔核を利用して作られた異常な収容率を誇る亜空間ポーチから深い赤に染まった大きな魔核を取り出した。

 

「おおぉ……これが。それにここまでの深い赤の魔核を見たのはいつぶりだろう……。ロティスくん、この魔核何に使うか決めているかい?」

 

 ん?加工先の紹介でもしてくれるのか?

 

 魔核の用途は大きくわけて2つある。

 ひとつは売ってお金に変える方法。依頼報酬とこの魔核がコントラクターの収入源である。

 そしてもうひとつが以前アインに貰った指輪や亜空間ポーチのように魔核を使って特殊な効果を付与した加工品、魔具を作ることだ。

 

「いえ、特には。なんとなく売るのはもったいないかなとは思っていましたが、魔核の加工にもそこまで詳しくないですし」

 

 俺がそう言うとリーシアさんが暴力的なそれを前面に突き出すように身を乗り出して早口気味にこう言った。

 

「じゃあ、是非私に加工させてくれないか!?お金はいらない!この魔核を加工する途中で出た破片とか欠片を貰えればいいからさ!鍛造ではドワーフに劣るけど魔核の加工ならエルフは得意なんだ!私の腕も信用してもらっていいよ!私の加工した魔具は国王にも献上されているからね!」

 

 お、おぉ……最初に見たときの高貴な者オーラが見る影もない。

 それよりリーシアさん、魔具の加工ができるのか。それも献上品になるレベルの……。

 それはぜひお願いしたいところだ。

 てかエルフってそんな設定あったんだ……。

 最近自分が本当にこのゲームの廃ゲーマーを名乗っていいのか不安になる発見ばかりだ。

 

「では是非お願いします!完成はいつごろになりそうですか?」

 

「うーん、そうだね……。このサイズでこのクラスの魔核だとちょっと時間がかかりそうかな。1、2週間ってところかな」

 

 うむ、妥当なところなんじゃないかな。

 まあ、すぐに必要になる物でもないし、これで任せていいだろう。

 

「分かりました。ではお任せしますね」

 

「任せて!きっとすごいものを作ってあげるから!」

 

 ◇◇

 

 それからしばらくリーシアさんの魔具談議に付き合い、途中から現れた副ギルドマスターマルクスさんによってリーシアさんが仕事に戻される一部始終を目撃した後、受付で討伐報酬の支払いとクラス昇格をしてもらった。

 

「これでみんな一緒のクラスになったわね」

 

「この間の討伐は私ほとんど何もしてないのに、昇格させてもらっちゃって良かったのかな……」

 

「大丈夫さ。ミリアのせいで俺達の中のクラス5の印象がインフレしてるだけで、今のエモニならその辺のクラス6コントラクターにも負けないはずだから」

 

「そう……かな?」

 

 エモニはヒルウァ戦の時に自分はなにもしていないことを気にしているようだったが、上位魔法を思い通りに操れる時点でクラス5相当の実力はある。

 前々から思っていたことだが、どこかでエモニには自信をつけてもらいたいものだ。

 

「さて、しっかりと報酬も貰ったことだし、拠点探しに行きますか!」

 

 これ以上エモニが考え込む前に話しを変えることにした。

 

「そうね。討伐報酬まで合わせたら王都でも家を買えそうだわ」

 

 これだけあれば本当に家を買えるな……。

 前世もこのくらい給料があれば……。

 

「ワシはロティスと同じ部屋で良いぞ」

 

「あ!ユメちゃん抜け駆け!」

 

 わいわいと騒ぎながらギルドを出るとヒナさんが馬車を連れて待っていた。

 

「あれ?ヒナさん?クラリスの用事はもうよかったんですか?」

 

「はい、それで皆さんを連れてきて欲しいとお願いされましたので」

 

 何かあったのだろうか?

 でもヒナさんの様子を見るに悪いことではなさそうだ。

 

「じゃあ、一旦お城に行きましょうか」

「そうだね!私、お城の中も気になってたし」

「うむ、ワシも城内を見て回りたいぞ!」

 

 3人も乗り気のようだし、拠点探しの前にもう一度王城へ行くことにした。

 

 ◇◇◇

 

「クラリス様、皆様をお連れしました」

 

 仕事モードのヒナさんがクラリスの自室と思しき部屋をノックして声をかける。

 

「どうぞ。入ってください」

 

 クラリスの部屋はザ・お姫様と言ったような煌びやかな部屋だった。

 前世でも見たことがないような天蓋付きのクイーンベッドが置かれ、部屋の奥には細やかな彫刻が施された鏡台なども設置されている。

 クラリス自身の格好も帰りの馬車で見たような動きやすい服装ではなく、水色と白を基調とした落ち着いたドレス姿になっていて、クラリスの淡い青色の髪とよく合っている。

 

「わぁ~クラリス綺麗!ドレスすごく似合ってるね!」

 

「ああ、クラリスを初めて見たときの印象とぴったりだ。良く似合ってるよ」

 

「ふふっ、ありがとうございます。……ってロティス、初めて見たときの印象とぴったりってどういうことですか!」

 

 だってクラリス、今となっては天真爛漫お転婆お嬢様の印象の方が強いんだもん……。

 と思ったが声には出さずにいると、部屋にはクラリス以外の笑い声が響いた。

 

「それでクラリス、今度はどうしたんだ?」

 

「あ、そうでした!拠点はもう見てきてしまいましたか?」

 

「いや、まだだけど……拠点がどうかしたのか?」

 

「はい、ロティスたちにはお世話になってばかりなので、何か力になれないかと思いまして……お父様に頼んで何件か物件を紹介してもらったんです!」

 

「おお!クラリス王女様の紹介か!ぜひ見せて欲しいな!」

 

 俺がそう言うとクラリスは張り切った様子で物件の詳細を説明してくれた。

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