よう実 ハードモード リメイク版   作:クンクンクン

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怖い契約

 

 

 

 刻限の18時まで後40分を切り、堀北さん達がカラオケルームに戻ってきました。

 アナタの用意していた"本命の契約"の条件をそのまま受け入れることはないにせよ、何かしらの妥協点を見つけて納得しているならば話を進めやすいのですが……。

 

「……永木さんが訂正した条件で契約を受けます。ですが、こちらからも一つ付け加えてもらいたい条件があります」

 

 アナタの心配は杞憂だったようです。

 それにしてもDクラスの退学するかもしれない生徒は余程愛されているのでしょう。2000万ポイントの借金やその他諸々の負債を抱え込んでも救ってやりたいと思ってくれるクラスメイトに恵まれているのですから。

 

「もちろん。それで、君たちが付けたい条件は?」

「この契約を終了する条件です。いくら何でも、卒業まで毎月8割のプライベートポイントがなくなるのは受け入れることができません。なので、2000万ポイントを返済した後、どうすれば支払わなくて済むか条件を付け加えさせてください」

「ふむ。灰原君、君ならどんな条件をつける? なんたってポイントを貸すのは君だからね。君の意見も聞いておきたい」

 

 あくまでも毎月8割のポイントの徴収は契約の終了について相手にツッコミを入れさせるためのオマケですが、生半可な条件で終了させるには惜しいモノです。

 妥当なところとしては2000万ポイントに加えて、追加でポイントを支払わせることでしょうか。

 本当なら、クラスポイントを1年間0に維持し続けろとか、定期テストの度にアナタのテストの点数を10点分買わせるとか。アイデアは沢山ありますが虐めすぎるのもよくありません。最後の最後で心変わりされてしまえば、全て無意味になる状況はまだ続いています。

 旨みは弱いですが、追加で2000万ポイントを支払うなら契約を完了したものとみなし以後ポイントの請求は行わないことで手を打ちましょう。と、アナタは言いました。

 

「また2000万……」

「……灰原、すまないがDクラスにそこまでの支払い能力はないぞ。卒業するまでに払えるかどうかも分からないポイントより、もっとお前のためになる条件をこっちで考えてきた。なぁ、平田」

「あ、あぁ。ありがとう綾小路君。……僕たちDクラスの考えた契約を終了させる条件は、"試験の際にAクラスへの絶対的な協力"を一年間約束することだ」

 

 "本命"に繋げるためには中々悪くない条件がDクラスから提案されました。

 試験の協力とあやふやではありますが、そこは後で詰めればいいでしょう。

 

「詳しい説明は……」

「俺がやる。……この学校はテスト以外でも試験があることが永木さんの話で分かった。だが、その試験一つで簡単に退学者が出たり多大なマイナスを背負うことになる可能性は高い。それに初見殺しも多くてクラスだけじゃ解決できない問題があり、質よりも量が必要となる場面がある……と思っている。そんな時、40人の駒を自由に操ることが出来れば相当有利になるとは思わないか? ただ、永木さんの言っていた8月の試験だけは協力することができない。でも別にお前やAクラスと敵対するわけじゃないぞ。俺たちはお前に2000万ポイント支払うために試験に臨んむだからな。……と、これが堀北を中心に考えた条件だ。」

 

 なるほど。確かにこの学校の試験にどんなものがあるのかアナタは全く把握していません。そんな時に自由に使える人間がいるというのも確かに便利でしょう。

 しかし、アナタはあやふやな協力者を信頼できる人間ではありません。いつ裏切るかも分からない相手にはちゃんと、いつでも殺せるように毒を仕込んでおかなければ安心出来ないからです。

 アナタは条件を加えるならば、その提案を受け入れると言いました。

 

「……その条件は?」

 

 Dクラスが裏切ったとアナタが判断した時に"Dクラスの誰かを自主退学させる権利"をアナタは要求しました。

 これが、アナタの通したかった"本命"です。

 本来ならこの契約を結んで半年ほど経った時に堀北さんが退学していなければ、毎月8割のポイントと2000万ポイントのを借金の代わりに堀北さんを退学させる権利を貰う取引をしようとアナタは考えていました。

 しかし、向こうから提案してきたのならば仕方がありません。Dクラスを更に追い込むことになりますが、やり過ぎない限界を見極めながら更に搾取させてもらう事をアナタは決めました。

 

「それは、あまりにも横暴じゃないか」

 

 無論条件をつけます。協力関係であり自由に使える駒ならば、Aクラスを勝たせるため。ひいてはアナタの為に動いてもらうのは当然のことでしょう。ならば、今後行われる試験などにおいてAクラスのクラスポイントが減るという事態は絶対にあってはならないことです。

 もし、Aクラスのクラスポイントが、クラスポイントに影響する試験において試験前のクラスポイントよりもマイナスの結果に終わった場合、アナタはDクラスの誰か1人を自主退学させる権利を行使できる。というのであれば、その条件を受けいれると言いました。

 

「そもそもクラスポイントって、試験の影響でマイナスになったりするの?」

「試験はクラスポイントに影響するから、プラスにもなればマイナスにもなるよ。おかしな事に内訳は明かされないけどね」

「マイナスにするなんて、そっちの匙加減一つでどうとでも出来ると思うんだが。それに、自主退学しろなんて言って納得する奴はいないと思うぞ」

「あぁ、それについては問題ないと思うよ。両者が合意していれば退学することを契約に含めることも出来るはずだ」

「でも、両者の合意が必要なんでしょう? 俺たちの場合は個人じゃなくクラス単位なんだが」

「なら、今この場にいる君たち4人が合意すればいいんじゃないかな? それに退学するのが嫌ならクラスメイトを説得して合意するメンバーを増やせばいいだけの話だ。それにクラスポイントに直接影響する試験なんて1年で数えられるほどしか行われないからそこまで気にしなくてもいいと思うよ」

「……どうする堀北?」

 

 この条件ならば櫛田さんの要求も満たせるでしょう。

 ただ、あくまでもこの条件はDクラスを自由に使えるということより、敵対せず邪魔にもならないクラスに仕立て上げることに意味があります。それに、あまり過度な要求をして負債全てを踏み倒す無敵の人になられても困るので、退学させられる権利は抑えのためにも重要です。

 ……今更な話ではありますが、契約し両者が納得しているからといって生徒間のやり取りだけで退学を決められるなんて生徒の自主性を尊重しすぎでは? と、アナタはどうでもいいことを考えるくらい余裕がありますが、対照的にDクラスの面々は綾小路君以外、余裕のない表情で俯いています。櫛田さんは頑張って周りに合わせて落ち込んでいる演技しています。

 

「……なんで、こんなことに」

「あー、平田や櫛田達はどうだ?」

「「……」」

「すまない、少し時間がかかりそうだ」

「じゃあ、その間に君達と彼の条件を付け加えた契約書を作っておくから。そうだな……15分ほど待っていてくれ」

 

 永木はタブレットにキーボードを接続して、先程の条件を契約書に追加しています。その作業はとても手慣れていますが、この学校では契約書作りが必修科目にでもなっているのでしょうか。

 

「僕の場合は、色々な書類を作成する必要があったからね。簡易的だけど、この学校の中じゃOK判定をもらえるぐらいには出来るつもりさ。もっとも、清書とかは学校側でして貰えるから初心者でも安心して誰かと契約をすることができる。ただ、あくまでも学校が認めた書類でないと仮契約止まりになってしまうんだ。でも仮契約だからと言って一方的に契約を破棄したり無視することは出来ないし、清書前の契約書にサインした時点で契約する意思があると見做されるから注意が必要だね。以前、契約関連でとんでもない事が起こったらしいから、学校側はイジメ問題以上に契約書に細心の注意を払っているしルールも多く設定されている。契約専門の事務の人もいるみたいだよ。君が今後も契約を活用するなら、その人達が主催している講習会に参加するのもいいかもね。多分そろそろ強制的に一年生全員が受講させられると思うけど……」

 

 永木は手を動かしていますが話を振ってくるので、アナタはそれに応じながら契約書の修正を待ちました。

 

「あぁ、ヌードモデルをどうやって呼んでいるのかって? あまり大きな声では言えないんだけど学校の子に協力してもらったり外部から来てもらったりしているんだ。実はこの前、妊婦の方が来てくれてね。しかも臨月間近でここの卒業生だったそうだよ。僕は最初気が乗らなかったんだけど食わず嫌いはダメだと実感したよ。妊婦さん独特のアンバランスな体型、色素が沈着した乳首、お腹にできた妊娠線。知識では知っていることも実際に目で見ると感じるものが全く違うんだ。正に人生の積み重ねを体全体で表現しているようで思わず感動しそうになったよ。こういった機会があるから課題の出る美術部が好きなんだ。僕一人ならそもそも妊婦を呼ぶなんて発想も選択肢もなかったからね。それで今度は実際に出産しているところに立ち会えないかと交渉しているんだけど……っと、出来たよ。よかったら確認してくれ」

 

 残り時間が20分を切ったタイミングで、Dクラスが提案した条件に更にアナタの条件を付け加えた契約書の修正が完了します。

 永木は綾小路君にタブレットを手渡し、アナタには契約書のデータを端末へと送ってくれました。

 永木は雑談しながら手を動かしていたにも関わらず、ミスらしいミスが契約書の中に見当たりません。アナタはちゃんと条件が含まれているか、また違約した場合の事が打ち合わせ通りに書かれているか確認しながらDクラスのチェックを待ちます。

 

「……お待たせしました。何点か確認してもいいですか?」

 

 堀北さんや平田君は顔を青くしながら契約書を読んでいますが。体調は大丈夫でしょうか。

 確認として彼らの中でも1番冷静そうな綾小路君が代表していくつか質問をするようです。

 

「まず、2年生に進級するまでに払うポイントですが。もし払えなかった場合は違約となり"3000万ポイント"にまで増やすと書いてあります。もし3年生に進級した時に3000万ポイントを返せていなかった場合、またポイントが加算されるんですか?」

「いや、増やすならそこにも書いているさ。単純に違約金として1000万ポイントが借金として追加されると思えばいい。増やすのは1000万ポイントで打ち止め……で、いいんだよね?」

 

 アナタは永木の言葉に同意しました。

 

「毎月ポイントを支払うタイミングですが、最初の月までに所持しているポイントと毎月入るポイントを合わせたモノから8割引かれるとありますが……その時に他のクラスや学年の生徒などにポイントを預けたり、モノに換金することを禁止にされています。その確認はどうやってするんですか?」

「これが面白くてね。学校側は生徒のポイントの入出金履歴を全て把握しているんだ。こういった大規模な契約を結ぶ際には、契約してポイントを出す側の履歴を全て確認されるから、悪知恵を働かせるのはやめておいた方がいい。例えば支払日の数日前にポイントを預けたり何かモノに換金していても、ちゃんと支払う際の合計ポイントに含まれてしまうから気をつけてね」

「では、食料品などの生活必需品もそれらに含まれますか?」

「基本的に食料・日用品はセーフらしいけど、それ以外のものは大体アウト判定らしい。本とか電化製品、あと化粧品とか。だからこの契約を受けると、君達Dクラスが学校で買えるものにかなりの制約を受けるだろう。食料品なんかを買い込んで、誰かに売ってポイントを受け取るのもアウトになるから覚えておくといい」

「……なるほど」

「まとめると、基本的に他者へポイントを渡したり逆に受け取ったりしたら、それらのポイントが毎月支払うポイントの合計に加算されるから、クラスのみんなにはちゃんと説明しておいてね。この端末にはちゃんとマイナスも表示されるから、負債が溜まりすぎると無料商品以外何も買えなくなるよ」

 

 物に換金して預けたり転売するなど、この学校では取引の履歴が全て端末に残るので一見不可能に思えますが……もちろん抜け穴もいくつかあります。

 ですが、永木の言う事が正しければ端末自体を改造したりでもしない限り、ポイントを事前に使ってポイントを取り戻すなんてことは不可能に近いようです。

 

「厳しいですね」

「ロンダリング染みたことはこの学校じゃよく行われていることだからね。でも、受け渡しをする際には必ず履歴が残るから基本的に足がつかない方法は存在しない。でも、受け取る側からすればとても安心できる素晴らしいシステムさ」

「2000万ポイントや毎月払うポイントはどうやって支払えば?」

「支払う際は個人の端末からポイントを引かれて、それが彼に送金されるはずだ。だから、君達はわざわざ彼にポイントを送金する必要はない。もっとも、強制的に抜かれてしまうわけだからクラス内での支払いの内訳は君達で決めるといい。2000万ポイントに関しては、君たちの好きなタイミングで払えばいいだろう。分割するか一括かは君たちで決めるといい」

 

 アナタは、分割でも構わないが最低支払い金額は指定させてもらうと言いました。

 

「そうか。……例えばだが、2000万ポイントを俺たちが運良く手に入れた時。その2000万ポイント分も、毎月支払う8割のポイントに含まれるのか教えてくれないか?」

 

 アナタは意外とバレないものかと思っていましたが、綾小路君にはバレてしまったようです。

 この毎月支払うポイントを設定する最大の利点は貯蓄を禁止することにあります。加えて2000万ポイントの支払いを設定することで、彼らがコツコツ貯めようと全くポイントが貯まらない悪循環を産もうとしたのですが、やはりそこまで上手くはいかないようです。

 

「さっき、分割払いは受け付けると言ったな。最低いくらからだ」

 

 アナタは最低100万ポイントを一括で払うことが条件だと言いました。また、払う気を無くされても困るので。アナタへポイントを贈る際は食料品と同じ扱いで毎月支払うポイントに加算させなくてもいいと言いました。もっとも、学校側が許可してくれればの話ですが。

 

「どうだろう。学校側がそこまで労力を割いてくれるかは分からないけど、その条件は学校側に契約書を提出する時に掛け合ってみるよ。もし可能なら清書にもその文言を加えてもらう。それでいいかな?」

「えぇ、ありがとうございます。次に、Aクラスに協力する話ですが。もしオレたちが灰原の指示を拒否した場合、違約金として100万ポイントの支払いを要求するとあります。灰原、その判断基準はなんだ?」

 

 それは、アナタが実際にやって貰いたいことを指示し、それが達成できない場合に発生するペナルティです。破るたびに2000万ポイントの借金に加算されていくことになります。

 

「それは退学しろなんて命令を出されてもか?」

 

 では、退学しろという命令は禁止にしましょう。

 

「試験中にわざと失敗しろ、赤点を取れなどは?」

 

 失敗した場合即退学になるのであれば拒否してもらっても構いません。綾小路君の言った通り、赤点を取れなどがそれに当てはまります。

 ただし、あくまでも退学することが決定的となる場合だけです。退学にならないのであれば、例えクラスポイントが0になる結果になろうとも命令を実行してもらいます。

 

「……そうか。最後に一つ聞いてもいいですか」

「もちろん。ただ、少し急いだ方がいいと思うよ。18時まで後10分を切ったからね」

「契約の内容は変えることができますよね」

「双方の合意があればいつでも変えられるはずだ。それに、いくらなんでも急すぎるからね。細かい内容についてはまた後日話し合おう」

「……ついでになんですけど。いくら何でも契約書の作成がスムーズすぎると思うんですが、あらかじめ契約の内容は決めていたんですか?」

「ドア・イン・ザ・フェイスは基本だろ? もちろん、君たちが提案してきた条件を除いて、初めから2000万ポイントを払わせる契約にするのが僕たちの想定したものだったよ」

 

 堀北さんは俯かせていた顔を上げて、化け物でも見るかのような目で永木とアナタを見ています。

 あからさま過ぎだとアナタは思っていましたが、今回は時間が味方してくれました。

 仮定の話ではありますが、彼女達が事前に赤点であると自己採点の段階で気付き、もっと早くから資金集めを始めていれば。ここまで無法な契約を結ぶ必要もなかったかもしれません。

 それに彼女たちがこの契約を先生に報告すれば、あまりの暴利に契約を変更しろとアナタにお達しが来たかもしれません。

 最も、人の生死・暴力・虐めなどに繋がるもの以外なら、この学校は大抵の契約を結んでしまえるとアナタは永木から教えてもらいました。なので、この契約も理不尽ではあるものの通りはするでしょう。

 契約をしてしまえば大抵のものが有効になるのは教育機関としてどうかと思いますが。契約の怖さを仮想通貨で教えるなんて中々先進的な学校だなと、アナタはこの学校の評価を改めました。

 

「……やっぱり、この契約はあまりにも横暴だわ。60万ポイントを借りようとしたのに、それが何で2000万ポイントの借金に変わるのよ……」

 

 納得できない堀北さんは文句を垂れていますが、アナタには不思議でなりませんでした。なぜなら、金を借りた奴が悪いからです。

 金を貸した奴はその日から害虫と思え、と知り合いの元AV監督だったホームレスの言葉がふと頭をよぎりましたが、アナタには彼らのことが害虫に見えませんでした。

 

「やはりこの契約は受けるべきではないわ。何か別の手段が……」

「……堀北さん。なら、他に方法があるの? 須藤君を救うためにポイントを借りることは悪いことじゃないと思うよ。でも、お金を返すアテもないのに無責任な発言はやめてよ」

「櫛田さん、アナタは理不尽に思わないの!? 例えこの学校が特殊でも、これは限度を超えてる! 今から学校に訴えて……」

「時間がないでしょ!!」

「……だいたい、櫛田さんが灰原君を紹介したから」

「それで間に合ったの? 誰とも繋がろうとしないくせに、私に頼りきりだったあなたが文句を言うの? ……それは違うよ堀北さん。何もできなかった無力なあなたに口を出す権利はないの。それとも堀北さんが責任を取って借金を返してくれるの?」

「……それを言うなら赤点を取った須藤君に1番の責任があるわ」

「責任転嫁はみっともないよ。それをどうにかしようとしたのは堀北さんでしょ? だったら堀北さんが責任を背負わないといけないんじゃないかな?」

「アナタは須藤君が退学になっても良いって言うの!? アナタが灰原君を紹介なんてしなければ!!」

「もうやめてくれ!! これはクラスみんなの責任だよ!!」

 

 アナタは迫真の演技で堀北さんを追い詰める櫛田さんの声を聞きながら時計を確認します。18時まで後5分を切っていてかなりギリギリですが、結局どうするんでしょうか?

 

「少し虐めが過ぎたかな?」

 

 永木の言葉に、アナタは妥当なところだと返しました。

 正直、アナタはもう帰りたくなってきたので、早くサインをしてくれないかと催促しました。

 

「もう少し待ってやってくれ。堀北、落ち着いて考えてみれば……」

「…‥綾小路君。あなた冷静を装ってるけど、何か代案はないの? 今のあなたを見ているだけでイライラしてくるわ」

「堀北さん。イラついてるからって綾小路君に当たらないでよ。一番役に立ってないのは堀北さんでしょ?」

「……飛び火した」

 

 では平田君はどうかというと、顔を青くして何かぶつぶつ言っています。

 その姿を見て、アナタは競馬場にいた馬番を連呼するギャンブル中毒の薬中の姿を思い出しました。その女は知り合いの極道から金を借りていたようで、まだ若かったおかげか内臓をいくつか売ったあと違法風俗で働かされてからベトナムに売られていったそうです。

 

「待ってあげたいけど、後3分だ」

「……ねぇ、本当にどうにもできないの? この契約を受けたら、もうDクラスは……。折角テストを乗り越えたのに、これじゃあAクラスになることなんてできない」

「時間があれば君たちには別の選択肢があったかもしれないけど。まぁ、これも学ぶ機会だったというだけさ。次からは間違えないようにしなければいいんだよ」

「まだ2ヶ月しか経ってないのに……これはあまりにも、理不尽だわ。だから、お願い……します。灰原君。契約を変えて、ください……。ちゃんとしたものにしてください。おねがい、します……」

 

 堀北さんは肩を振るわせ、目に涙を滲ませながら頭を下げました。

 

 さて、アナタはどうしようか。

 浮かんできたのは3つの選択肢でした。

 

『やだ、と言って断る』

『頑張れ、と言って断る』

『堀北さんにペンを握らせる』

 

 

 

 





現段階の契約内容まとめ(要約)

①Dクラスは灰原に2000万ポイントを2年生に進級するまでに払わなければならない。ただし、払えなければ違約金として1000万ポイントを借金に追加する。
②毎月8割のポイント(所持しているポイント➕毎月入ってくるポイント)を灰原に支払う。→終了させる条件としてDクラスはAクラス(灰原)の指示に従い一年間試験に協力する。※8月の試験は除く
③クラスポイントに関係する試験(例:無人島試験や体育祭など)でAクラスのクラスポイントがマイナスになった場合、Dクラスの生徒を1人自主退学させる権利が灰原に発生する(未確定)
④試験においてAクラス(灰原)の命令を達成できなかった場合、違約金として100万ポイントの借金が2000万ポイントの借金に追加される。(命令の内容等は未確定)
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