よう実 ハードモード リメイク版   作:クンクンクン

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坂柳さんと葛城君と③

 

 

 アナタは坂柳さん達に『先に2000万ポイント払ったほうに契約を売ってやる』と言いました。

 

「「……は?」」

 

 そう言えば、アナタはDクラスとの契約内容をまだちゃんと伝えていないことに気づきました。

 アナタは"ポイント以外の契約内容"には触れず、どのような契約を結んだのか坂柳さん達に教えてあげました。

 

「「……は?」」

「なんでそんな契約成功させてんのよ。あんたもそうだけど、Dクラスも馬鹿なんじゃない?」

 

 アナタも神室さんの意見には同意しますが、成功してしまったものは仕方がないでしょう。

 葛城君達はどうやらアナタとDクラスとの契約内容を見誤っていたようですが、アナタに契約の譲渡を求めてきたということはある程度内容を予測していたはずです。そこの所はどうなのでしょうか?

 

「……いや、俺は掲示板の情報を集めて推測したぐらいだ。Dクラスから大量のポイントを貰う契約なのは分かったが、具体的なポイントまでは掲示板を見ても分からなかった。……まさか、そこまでのものとは思わなかったがな」

「まさか本当に60万ポイントを2000万ポイントの借金に変えているんなて……。それに、毎月のポイントの徴収も。……どんな錬金術を使えばそうなるんですか」

 

 さて、この契約内容を聞いた上で葛城君や坂柳さんはアナタに2000万ポイントを払ってでもこの契約を買い取る気はあるのでしょうか。

 

「そうですね。灰原君の言葉を"全面的に信じる"のであれば、3年間競い合うクラスの一つをチェックメイト寸前までに追い詰めた素晴らしい契約と言えるでしょう。私にはその契約を上手く使う算段が幾つかありますが……どうでしょう、私に任せてみる気はありませんか?」

「……坂柳の言う通り、Dクラスを追い詰めている重要な契約だ。だからこそ灰原にはAクラスのためにその契約を使って欲しいと思っている。……頼む、お前のその契約をAクラスを維持するために使ってくれないか?」

 

 ふむ、坂柳さんも葛城君もアナタにポイントを支払いたくないけど契約は欲しいようです。

 

「……ん? 灰原は2000万ポイントを払えば契約を売るって言ってるじゃない。だったら、2000万ポイント集めればいいだけの話でしょ」

「……あのですね真澄さん。2000万ポイントを集めるのにどれだけの時間が掛かると思っているんですか? それともなんですか、真澄さんには灰原君のように他のクラスから大量のポイントを巻き上げる素晴らしい作戦の持ち合わせでもあるんですか?」

「美術部の先輩に聞いた話なんだけど、夏休みの試験でたくさんポイントを手に入れられるかもしれないって教えてもらったわ。確か過去には1億稼いだ人もいたんだって。灰原と同じクラスの人には頑張って欲しいから教えるって言ってたけど、あのフケ先……永木先輩とあんた、どういう関係なのよ」

 

 神室さんの何気ない一言で部屋の空気が変わりました。

 

「ま、真澄さん? なんでそんな大切な情報を黙っていたんですか!」

「そ、それは本当か? 1億ポイント手に入るとは? 詳細は何か聞いてないか!?」

 

 坂柳さんと葛城君は慌てた様子で神室さんを問い詰めます。

 

「だって、先輩はあまり他の人には言うなって」

「じゃあなんで今言ったんですか!」

「……あんたもツッコミするのね」

「そんなことはどうでも良いんですよ! そういうことはもっと早く教えてください!」

「見ろ灰原。普段冷静を装っている女の激しい口調というのは……なんというか、良いものだな」

 

 鬼頭君の発言に同意できるほど良さを感じませんが、アナタは永木が神室さんに情報を教えているのは意外だなと思いました。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……こほん。それで真澄さん、試験の詳細などは教えてもらったんですか?」

「教えてもらってないわよ。でも、夏休みってことは先生が前言ってたクルージングと関係あるんじゃない?」

「……あ、私それ行けない」

「え、そうなの?」

 

 坂柳さんは分かりやすく落ち込んでいて、神室さんはその様子にオロオロしています。

 そう言えば真嶋先生は夏休みに豪華客船でクルージングをすると言っていました。確か期間は2週間程度だと言っていたので、試験をするには丁度いい舞台なのかもしれません。

 

「思わぬ所で有難い情報が手に入ったが。これは……いいのか?」

「……真澄さん、こうなったらあなたが何とかして下さい」

「なんで私!?」

 

 アナタの契約を買った人間がAクラスのリーダーになるような流れになっていますが、果たしてそう上手くポイントを集めることができるのでしょうか?

 アナタはクラスメイト達の言葉を聞き流しながら、部屋は1人1部屋ちゃんと用意されているのか考え不安になっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めてだな。灰原と朝に出会うなんて」

 

 葛城君たちと話し合った次の日の朝。アナタは綾小路君に声をかけられて一緒に学校へ行くことになりました。

 アナタが綾小路君と話すのは契約内容についての"調整"をした時以来です。

 

「……あまり良い話題がないな。そうだ、朝は何を食べたんだ? オレは最近納豆を食べている。ポイントがないから、消費期限ギリギリの無料のやつな」

 

 最近のアナタは朝食や夕食を自炊するようにしています。料理のジャンルに節操はないですが、趣味と言ってもいいぐらいにはのめり込んでいます。

 

「そいつはすごいな。料理を自由に選べる余裕がなかったから、自分で自炊する考えに至らなかった」

 

 今回はバケットにオニオンスープ、そしてオイルサーディンを使ったリエットに挑戦しました。

 リエットは最初ハンバーグや餃子のタネみたいでおいしくなさそうだなと思い込んでいたのですが、そこまでべちゃついておらずパサパサとしたツナフレークに近い感じの食感でした。慣れていないせいかニンニクやブラックペッパーの味が強かったりと改善点はありますが、新鮮な体験をすることができてアナタは満足しています。

 

「リエット……確かフランスの郷土料理か。オレも料理に挑戦しようかな」

 

 アナタはポイントで買った料理本を貸そうかと提案しました。

 

「いいのか? それは助かる。インターネットも使えないし……今Dクラスは貸し借りに敏感だから、気軽に頼めそうな奴もいなくてな」

 

 アナタは綾小路君と教室前に着くまで料理についての話をしました。

 

「そういえば。最近Cクラスの奴らからDクラスの何人かが嫌がらせを受けてるみたいだ。お前も気をつけろよ」

 

 アナタは綾小路君の忠告に感謝の言葉で返して、そのまま教室へと向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 7月1日。ポイント支給日がやってきました。ただ、アナタの元にはプライベートポイントが振り込まれていません。

 不具合か何かと思い、アナタは鬼頭君にチャットで聞いてみることにしました。

 

 "灰原もか? グループチャットや掲示板もその手の話題で盛り上がっている。お前も確認してみろ"

 

 返信を見たアナタはまずAクラスのグループチャットから確認することにしました。

 チャットから得た情報をまとめると、クラスポイントの更新は行われているけれどポイントの支給だけがないそうです。確かにAクラスのポイントは前回と比べて90ほど増加しています。ただ、CクラスとDクラスのポイントは変動していません。

 掲示板もグループチャットと同じような内容で目新しい情報はありません。ただ、とある現行スレッドに多くの人間が集まっているのを確認しました。それは"暴力事件wwwDクラスがまたやらかしたwww"というものです。

 ざっと内容を確認してみると、どうやらDクラスの生徒がCクラスの生徒に暴行を加えたそうです。誰がやったのかは具体的に書かれていませんが、赤い髪、剃り込み、バスケ部、ゴリラなどの書き込みから、何かと関わりがある須藤君であることに間違いないでしょう。

 もしかしたらこの事件が原因でポイントが振り込まれていないのでしょうか?

 

 取り敢えずアナタは学校に行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たか灰原。ポイントについては担任から説明があるそうだ」

 

 教室に着いたアナタに鬼頭君が話しかけてきました。

 

「らしいな。ポイントが配られないとなるとかなりの問題だ」

 

 橋本君も自然とアナタの机の前に来て話に混じってきます。

 

「……まさか、ついにCクラスの奴らが暴力を?」

「そういやお前ら、掲示板はもう見たか? 暴力を振るう赤髪となるとあいつぐらいしかいないよな。ただ、俺としてはもう一つ気になるスレッドがあってな……っと、そろそろ始まるか。この話はまた今度な」

「今からホームルームを始めるが、その前にポイントの支給が遅れている原因を説明しておく」

 

 真嶋先生の説明をクラスメイト達は静かに聞いています。

 

「3日前。生徒達の間でトラブルがあったことを学校側が確認した。その事実確認のため、ポイントの支給がまだとなっている。明日にはポイントが支給されると思うから少し待っていていてくれ。……では、次に今日の授業についての連絡事項だが」

 

 どうやら何か問題があったことは確定しているようですが、詳細は伝えてもらえないようです。

 ですが噂は掲示板によって一年生の間で既に広まっています。誰もがDクラスの須藤君のせいだと確信しているでしょう。

 

 アナタは今日の夕食をホッケとアジのどちらにするかホームルームの時間を使って献立を考えていました。

 

 

 

 

 

 

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