よう実 ハードモード リメイク版   作:クンクンクン

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2日目 朝〜

 

 

 

 学校生活二日目。アナタの目覚めは午前6時でした。化粧や身だしなみを整えるとしても余裕のある時間帯ですが、アナタは特段身だしなみにこだわりを持っていないため、寝起きの姿で学校に行っても気にしないでしょう。

 ゆっくりと歯磨きをして顔を洗い、自分の顔を確かめること1分。アナタは自分の中で確立された予定をこなしていき、後は着替えるだけなのですが、これまた珍しく腹の虫が空腹を知らせました。

 普段のアナタは気分によって食事をするのですが、今日は一般的な人間と同じように朝食を取ることを決めました。そうと決まれば、アナタの行動は素早いです。

 アナタは昨夜行った食堂へ行く事に決めました。食堂が朝早くから空いていることは確認済みです。

 時間ギリギリになるかもしれないので、アナタは制服を着てカバンを持ってから、食堂へと向かいました。

 

 

 

 食堂にいる人間はそこまで多くなく、昨夜と比べるととても静かな空間となっていました。

 アナタは以前連れて行かれた、高級ホテルの朝食会場を思い出しましたが、その雰囲気を破壊するほどの大きな欠伸が聞こえてきました。

 欠伸が聞こえた方を見ると、真っ赤な髪をした大きめの男が眠たそうに料理ができるのを待っています。

 チラリと確認してすぐに興味が失せたアナタは、何を食べようか決めるために掲示されているメニューを見ました。

 

 さて、アナタはなにを食べようか。

 興味が湧いたのは3つのメニューでした。

 

『SANCHI直送野菜の豚汁セット』

『朝からどんと来い牛丼』

『先着10名限定モーニング』

 

 腹の虫が知らせに来たとはいえ、アナタ自身はそこまで空腹を感じているわけではありません。

 かと言って少量のものでは満足できないため、アナタは『SANCHI直送野菜の豚汁セット』を注文しました。食事が来るまで少し時間がかかるようだったので、脇にそれて待っていると、聞き覚えのある声がアナタに話しかけてきました。

 

「やぁ。朝から君に会えるなんて、今日はいいことがありそうだ」

 

 顔を見ると、やはり昨日の夕食時に出会った永木でした。

 アナタは永木にフケのチェックは大丈夫かと尋ねました。

 

「目に見える範囲では、ね。でも風が強かったり髪に衝撃があったりするとフケがひょっこり顔を覗かせるからね。学校に着くまでは緊張しっぱなしさ」

 

 永木と料理が出来るまで雑談していると、話題は今日行われる部活動説明会になりました。

 

「そうだ、今日は部活動説明会があるんだ。僕は兼部しているから説明会には出ないんだけど、君も見に来てくれると嬉しいな」

 

 アナタは今まで部活動をしたことがありません。もっともアナタが中学校にちゃんとに通い出したのは3年の始まりからなので仕方がありませんが、あまり興味は湧きませんでした。

 知り合いの極道曰く、部活はハマれば熱いらしいです。極道自身はヤリ目で入ったそうで、体験談がセックスの内容しかなく全く参考にはならなかったのは記憶に新しいです。

 

「おっと、呼ばれみたいだよ。もしよかったら昨日座った席で話さないかい?」

 

 アナタは頷き、自分のトレーを持って昨日の夜と同じ席に向かいました。

 しかし、昨日彼が座っていた席には先程の大きな欠伸をしていた赤髪の男が座っていました。

 

「お待たせ……あぁ、席の方には先客が居たみたいだね。あそこは程よく端の方でいるけれど中央からは外れない、中途半端な僕にぴったりな席だったんだ。でも、僕も新たな出会いをきっかけに変わらなければいけないということかな。そうだ、よかったら三人がけのテーブル席はどうかな? 1人じゃ座る勇気がなくてね、君さえよければ……………」

「あぁん? さっきから何こっち見てんだよ、きしょくわりぃな」

 

 どうやらアナタと永木がトレーを持って立ったまま見ていたのが、彼の気に触れてしまったようです。

 

「食事前だというのにインスピレーションが止まらないよ。陳腐な表現だけど真っ暗な世界の中に一筋の光が差し込むとはこういうことなんだろうね。人間の暗い内側しか見ようとしなかった僕も、君に手を引かれ外の世界に飛び出す時が来たようだ。頭の中の世界を今すぐにでも筆に乗せて優しく僕の内を焼き照らす光を衝動的に描き出したいけれど、君との食事を優先したいという欲求の方が……」

「なにペラペラ独り言喋ってんだよ、このホモ野郎!! 俺を無視してんじゃねぇ!!」

 

 永木の態度や独り言に余程イラついたのか、赤髪の男は席を立ちこちらにやってきます。

 永木はそれに気づいていないのか独り言を続けています。赤髪の男は無視をされている事に余程腹を立てているのでしょう。高校生にしてはかなり逞しい筋肉質な腕を使って永木の胸ぐらを掴みました。

 アナタは赤髪の男に感心しました。永木のような得体の知れない独り言を呟く男によくもまぁ突っかかりに行けるものだと。しかし、こんな公然の場で暴力は感心しません。更に、胸ぐらを掴まれた衝撃で永木の手からトレーが落ち、床に朝食がぶちまけられているのも良くないことです。

 もっとも、アナタには目の前の光景よりも気にかけていることがあります。それは温かい食事が台無しになるかもしれないということです。

 幸にして永木達の周りには生徒がいません。ささっと座ってアナタだけ食事を始めることは十分に可能です。

 

 豚汁は大根、ネギ、牛蒡などの定番に加え油揚げ入っており、具のボリュームは想定以上で、舌が少しひりつく熱さは腹を優しく温めてくれそうです。

 付け合わせには豚汁にワンアクセント加える生姜のすりおろしと、ご飯を進める補助をしてくれる、たくあん、梅干し、海苔の三銃士が頼もしく援護してくれるでしょう。

 アナタは想像だけで今日の朝食のレビューをしながら選択の時を迎えます。

 

 さて、アナタはどうしようか。

 浮かんできたのは3つの選択肢でした。

 

『赤髪の男と永木に豚汁をぶっかける』

『席に座り優雅に朝食を済ませる』

『先手必勝。赤髪の男に金的して永木にも金的だ。喧嘩両成敗』

 

 勿論アナタは『席に座り優雅に朝食を済ませる』ことにしました。折角の食事を台無しには出来ません。永木には悪いですが、救わなければならない優先順位は朝食よりも下です。

 

「そこまでだ。お前達、朝から何をしている」

 

 さぁて、まずは豚汁て舌を温めようとしたところで、第三者が声を発しました。アナタはずずっと豚汁を口を含み白飯を一口食べたところで声の主の方を見ます。

 

「こいつらが俺にガンつけてきやがったんだ。俺は悪くねぇ!」

「やはりテーマは光。……いや、僕にはまだ眩しすぎるかな。ほんのりと薄暗く僕が如何に救われたかを表現するためには、何色がいいか。いや、その前に使う絵の具からかな。爽やかでそして淡い水彩絵の具か、僕の気持ちを余すことなく伝えるために重厚な油絵具か。あえて鉛筆のみというのも悪くない。僕の思考はまだ尽きないが。……ん? なんだ"生徒会長"じゃないか。こんな朝早くから会うなんて奇遇だね」

「……はぁ。新入生をあまり虐めるな。上級生だろう、お前は」

「? 別に虐めなんてしてないさ。彼の怒りを聞くよりも僕の考え事の方が優先順位は上だったというだけさ」

「誰が虐められてるって!!」

 

 声の主は生徒会長のようです。少し特殊な学校のようですから漫画のようにさぞ愉快なアクの強い生徒会長なのではと彼の姿を見ますが、どちらかと言えば地味目な要らぬ苦労をしてそうな眼鏡という印象です。

 すぐに興味がなくなったアナタは朝食に向き直りますが、アナタの肩に誰かの手が置かれます。小さな手ですが、一体誰のものでしょうか。

 

「貴方も一応関係者、ですよね? お話聞かせてもらってもいいですか?」

 

 彼女は自分の事を生徒会書記の橘と名乗り、アナタに話を聞いてきました。

 しかし、アナタにはそんなことよりも優先すべきことがあります。アナタは朝食を取りながらでも大丈夫かと非常識な態度で応えました。

 

「な、ぁ。……はぁ。直ぐに終わるから、後にしてください」

 

 アナタは簡潔に、赤髪の男がいきなり突っかかってきたと説明しました。

 

「あの、もう少し詳しくね」

「橘、もういい。問題はこの2人だ。それも監視カメラの映像や今いる周りの人間に聞けば判断は十分可能だ。……いや一応、名前を控えておくか。お前の所属クラスと名前は?」

 

 アナタは自分の名前とクラスを簡潔に言いながら、朝食へと箸を伸ばしました。

 

「な!? 生徒会長に向かって失礼ですよ!」

「……態度に問題があるようだが、まぁいい。行くぞ橘、あまり長居をしている時間はないぞ」

「え、まだご飯……」

 

 生徒会長は朝から忙しいらしく、足早に食堂から去って行きました。もしかしたら彼等も朝食を取る予定だったのでしょうか。

 

「さて、朝食がなくなってしまったな。僕は掃除道具を借りてくるから君は先に食べておいてくれ」

 

 食堂はなんとも微妙な雰囲気ですが、永木の言葉通りアナタは朝食を再開します。

 

「けっ!」

 

 まるで不良漫画の脇役のような舌打ちをして赤髪の男は去っていきました。さしもの彼もこの場で殴りかかってくることはないみたいです。

 せっせと後ろで永木が掃除をしている中、アナタは朝食を堪能し、その足で学校に向かいました。

 アナタは朝起きて歯磨きをした後は夜まで歯磨きをしない人間ですので始業の数十分前に教室に着きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意外にも教室にはそこそこ生徒がおり、各々読書をしたり、学校について話し合ったりしています。

 そんなアナタですが、珍しく早く起きて朝食を食べた弊害か、緩やかな眠気に襲われました。

 アナタは朝のHRが始まるまで眠ってもいいし、眠気を堪えるため誰かと会話してもいいでしょう。

 

 さて、アナタはどうしようか。

 浮かんできたのは3つの選択肢でした。

 

『熟睡する』

『ホームルームに間に合うよう浅く眠る』

『眠らず誰かに話しかける』

 

 アナタは自らの衝動に身を任せ『熟睡する』ことに決めました。

 何人にも、アナタの眠りが遮られることはないでしょう。

 アナタは自らの腕を枕にして、夢の世界へと旅立ちました。

 

 …………………。

 …………………………。

 …………………………………。

 

「おい、いい加減起きとけ」

 

 肩を強く譲り、アナタの眠りを妨げたのは橋本君のようです。

 軽く体を伸ばし、端末で時間を確認すると既に昼休憩の時間になっていました。

 アナタは自分に降りかかろうとしている危機を特に感じたりはしなかったので、途中で起きることはありませんでした。

 

「まさか朝のホームルームから昼休憩まで眠るなんて、随分夜更かしたんだな」

 

 アナタは首の凝りをほぐしながら、なぜ自分はずっと眠ることができていたのか疑問に思い。自分を起こそうとする人はいなかったのかと、橋本くんに聞いてみました。

 すると橋本くんは待っていましたと言わんばかりにすぐ答えてくれました。

 

「それがな。先生達は絶対に気づいていたはずなのに、誰も起こそうとしなかったんだよ。国立の学校が初めてだからよく分からんが、ちょっと変だと思わないか? まぁ、先生達も体調は大丈夫かと聞いてたんだが、灰原が反応なしと見てすぐに放置してたけどな」

 

 義務教育ではないので、意欲がないなら放っておけばいいというスタンスなのでしょうか。なにぶんアナタも国立の学校は初めてですので、勝手がよく分かりませんでした。

 

「まぁ、次の5限は起きとけよ。ルールの説明の続きをやるみたいだからな」

 

 十分な睡眠をとったアナタの眼はいつも以上に冴えています。

 そんな状態のアナタは、この日の昼休憩をどう過ごしましょうか。小腹を満たすために昼食を食べてもいいし、もう一眠りして再び夢の世界に戻るのもいいでしょう。

 

 さて、アナタはどうしようか。

 浮かんできたのは3つの選択肢でした。

 

『もう一度寝る』

『昼食を食べる』

『学校の施設を見て回る』

 

 アナタは眠っていただけなので、お腹を満たしたいとはあまり考えていませんでした。なので、昼は食べずに『学校の施設を見て回る』ことを選びました。

 

「あれ、昼飯は食べないのか?」

 

 橋本君は既に昼食を買っているようで、教室で食べるそうです。

 アナタは橋本君に一言入れてから、学校内を歩いてまわることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校の案内には、60万平米を超える埋立地とあったように、この学校は歩いて回るだけでもそれなりの時間がかかりそうです。

 行き先も決めぬまま飛び出したアナタですが、ひとまず沢山のものがあるケヤキモールを目的地に設定して足を動かしました。

 昼休憩の時間にそこまでの余裕はありませんが、そこそこの生徒とすれ違います。640人もいればそういうものかと、アナタは一人納得しました。

 アナタが目指すケヤキモールは都心にある大きなショッピングモールと比較すれば見劣りしますが、十分な大きさであり、服やカフェ、娯楽などここに来れば大抵のことが解決できそうです。

 アナタは家電が売っているエリアに盗聴器確認機などがないか見て回りましたがお目当てのものはありませんでした。

 

「む。貴方は……」

 

 さてそろそろ帰ろうかというところで、アナタは生徒会の橘さんと出会しました。

 特に話すことはないので軽く会釈をして教室に戻ろうとしましたが、袖を掴まれてしまいます。

 

「一応伝えておきますね。貴方……灰原君には特に罰則が課されることはありません。で・す・が。貴方はもう高度育成高等学校の生徒です。礼儀作法はきちんとしなければいけませんよ」

 

 アナタは橘さんの話を適当に聞き流しつつ、教室へと戻りました。

 

 

 

 

 

 

 

「1〜4時間目は何をしてたかって? まぁ、授業でこういうことやるよって説明とレクリエーションっぽいやつだな。国立だから初っ端からやばい授業するんじゃないかって思ってたけど、ぶっちゃけ中学校と変わらないな」

 

 眠っていたので1〜4時間目に何があったのかと橋本君に聞くと、そこまで変わったことはしなかったようで、先生達も厳しいというよりは優しく教えてくれそうなフレンドリーな感じだったそうです。

 配られたプリント類などはどうしたんだろうと考えていると、いくつかの紙の束が机の中に入っていました。

 プリントを見ていると、橋本君が「俺が入れてやったんだぞ。感謝しろよな」と、言ってきました。アナタは素直に感謝の言葉を橋本君に言いました。

 

 授業が始まるまでプリントを見ていると、真嶋先生が教室に入ってきました。

 

「まず、今日はこの時間で授業は終了となる。昼の放送を聞いていたと思うが、17時より部活動の説明会があるため、興味がある生徒は参加することを薦める。……では、昨日に引き続き学校説明を行う。手元に昨日配布した冊子、あるいは端末を出してくれ。説明すると言っても、一人暮らしの注意点や、学校の施設紹介や校則などに軽く触れるだけだ。特に質問等がなければ20〜30分程度で終わる」

 

 そう言って真嶋先生は、ここにはこれがあって何を買えるかや、地図アプリや学校専用アプリの使い方など当たり障りのない説明を始めました。

 校則も、イジメなどが発覚すれば停学や退学処分になるなど他の学校でもありそうなルールばかりで、ハッキリ言ってアナタには退屈な時間でした。

 しかし退屈な時間にも終わりが訪れます。説明が始まり30分ほどでしょうか。真嶋先生は説明を終わると告げて、質問の時間を取りました。

 昨日と比べて多数の生徒が手を挙げる……かと思いきや、手を挙げていたのは昨日手を挙げていた二人の内一人だけでした。

 他の手を挙げたそうにしている生徒達は様子を見ているようです。

 

「一人か……。では、坂柳」

「ありがとうございます。では、質問させていただきます」

「あぁ」

「質問は、校則に書いてあることについてです。昨日クラスメイト達と確認したところ、ポイントが毎月振り込まれることは明言してありましたが、詳細については"何も"書かれていませんでした。来月のポイントはどのようになるのでしょうか」

「私から答えられるのは、"必ず"ポイントが振り込まれるということだけだ。それ以上は、今は言えない」

「今は言えない? いつかは言えるタイミングがあるということでしょうか」

「それについても明言できない」

「……ありがとうございます。また何かあれば質問させていただきます」

 

 アナタは質問に耳を傾けながら、ルールを確認していました。確かに、ルールにはポイントが月初めに必ず振り込まれると書いてあります。

 ただ、何ポイント振り込まれるか書かれていないので、次は増えるかもしれないし減るかもしれません。

 アナタは、お金の大切さや使い道をこれまでの人生で学んできたので、お金がたくさんあればあるだけいいというわけでなく、使い方が重要であることを知っています。

 先立つポイントは永木から貰ったこともあり潤沢ですが、果たしてこれだけで充分なのかハッキリとしません。何かあった時に対応できるよう資金調達の手段を見つけておこうとアナタは決めました。

 

「他に質問があるものは?」

 

 その後は何人かの生徒が手を挙げて、監視カメラや無料商品など、不安要素を潰していくような質問がありました。アナタもまだ把握していないことがあり興味を持ちながら聞いていましたが、真嶋先生は意図してはぐらかすように答えているため正確な情報かどうか断言はできません。

 

「……では、今日は早いがここで終わらせてもらう。ホームルームは行わないため、ここで解散となる。明日から本格的が授業を始めるため、体調には気をつけるように」

 

 号令の後、今日は解散となるそうです。

 

 アナタはこれから放課後を過ごすことになります。部活動説明会に行ってもいいし、昨日と同じように寮に帰ってから今日の予定を組み立てるのもいいでしょう。

 

 さて、アナタはどうしようか。

 浮かんできたのは3つの選択肢でした。

 

『教室に留まる』

『部活説明会に行く』

『先生に質問をするため職員室に行く』

 

 

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