よう実 ハードモード リメイク版 作:クンクンクン
「……本当か?」
アナタは『橋本君の顔を立てて、坂柳に会いに行く』ことにしました。
部活も生徒会の活動も、アナタは急いで知る必要もなく、どうしても知りたいわけではありません。
アナタには優先すべきことはありますが、急いで結論を出せることでもありません。
それに、三年間の学校生活の中で変わらないクラスメイト達とはいずれ交流をとる必要があります。
ならばこの機会を活かさない手はないでしょう。そう、アナタは判断しました。
「場所は……カラオケ屋か。まぁ、一緒に行こうぜ」
断る理由がないので、アナタは橋本君と共にカラオケ店へと向かいました。
「灰原君、橋本君。お待ちしておりました。……では、始めましょうか」
大きめのカラオケルームの中には既に他の生徒たちが集まっているようで、数はアナタを入れると10人ほどです。
アナタはカラオケ屋に来たのは初めてではないですが、小さなバー程ある部屋は見たことがありません。
どこに金をかけているんだとツッコミたくはありますが、それだけこの学校は国から支援されているのでしょう。
となると納得のいくことがあります。学校の運営は国民の税がこんなカラオケルームに変わっているのを見られるのはマズイと判断し、ネットやアプリを規制したのでしょうか。
誰がこんなカラオケルームを設置しても良いと許可したのかは気になりますが、アナタは端の方に腰を落ち着け話を聞くことにしました。
「とは言っても、することは昨日の続きです。私がした質問で昨日の"お話"もだいぶ現実味を帯びてきたんじゃないでしょうか? そこで、皆さんには新しい情報を共有しておこうと思います」
アナタは昨日の続きと言われても何のことか分からないので、黙って耳を傾けつつ、近くにあったデンモクで学校内で歌われている曲ランキングというおそらくこの学校独自であろう項目を見ていました。
「……昨日はいなかった方もいるので、まずは一つずつ確認していきましょうか。毎月"必ず"10万ポイントが振り込まれるわけではないということは、私の質問で確信に近いものになりました。ですよね真澄さん?」
「……まぁ。多くなるか少なくなるかは分かんないけど、10万ぴったしじゃないのは、先生の反応からなんとなく分かった」
「答えは次のポイント支給日に分かるでしょう。……ですが、ここで重要になってくることがあります。それは、配布されるポイントがどのように決まるかです。まぁ、これも今日で大まかな当たりをつけることができました。特に、灰原君のおかげで」
アナタは聞いたことがありそうな曲名がどのような歌だったか思い出せなくて、インターネットがない不便さを実感していると、横から肘で突っつかれました。
肘で突いてきたのは隣にいた橋本君のようで、彼は顎で前を向けとジェスチャーしてきました。それに従い周りを見ると、どうやら集まった生徒の視線はアナタにあるようです。
「灰原君は、朝のHRから4時間目までずっと眠っていましたよね。実はそこで、先生方の様子に違和感を感じたんです」
どうやら今話している話題はアナタが寝ている間に起きた出来事のようです。
「今日の1〜4時間目の授業時間に言えることなのですが、灰原君の姿を確認した後、先生方はメモを取っていたんです。最初は授業中に眠る生徒をメモしておいて、学年で何かしら対策や要指導生徒としてマークするためかと思っていたのですが……"誰一人として"灰原君を起こす行動をとりませんでした。一応、体調不良かどうかは聞いていたようですが、眠っているだけだと確認したら、その後は放置です。ですが……これは少々不可解ではありませんか?」
アナタが寝ている間に先生方はメモを取っていたみたいですが、確かに坂柳さんの言う通り不可解なところがあります。
アナタは自分なりに推測して答えを絞っていると、名前も知らないクラスメイトが手を挙げました。どうやら坂柳さんに質問をするようです。
「あの、質問いいですか」
「はい、勿論です。是非あなたの意見も聞かせてください」
「それは単に勉強する気がない生徒がどうでも良いからかじゃないですか? 義務教育じゃないから」
「確かにそうかもしれませんね。……ですが、普通あり得ないでしょう。いくら義務教育じゃないからと言って、教師が寝ている生徒を何もせず放置するのは少し作為的な感じがします。それに、眠っている生徒一人起こさず放置して勉強を教えている教師が、日本の誇るこの学校にいるのはどうかと思いません?」
もっともな正論だとアナタも思いましたが、授業態度がまともじゃない生徒をこの学校はそもそも選ぶでしょうか。
アナタは自分のことは棚に上げて、そんな疑問を浮かべていました。
「おそらく、授業態度などはポイントの増減に関わってきます。それは先生方の様子から見て間違いないでしょう。更に、それを裏付けるように監視カメラが教室"にも"ついています。ここまでやるのは少々異常だとは思いますが、監視カメラ設置の理由は、生徒の学校生活の監視でしょうね」
「あ、そうか。監視カメラが生徒の様子を知るためのものだったら、街中にあった監視カメラも授業以外の様子を知るためのものか。……じゃあ、普段から素行よくしなきゃならないってわけかよ」
アナタも街にいくつか監視カメラがあるなと思っていましたが、確かに万引きなどを確認するというよりかは生徒の生活を見るという目的の方が納得ができます。
ただ、監視カメラの情報は誰が管理して、誰が見ているのかが気になりました。見ているのも大変な業務だと思うので、学校関係者以外から人材を持ってきているのでしょうか。
大雑把なマニュアルを用意することもできるでしょうが、見る人によって見落としたり、大袈裟に申告されたりすれば公平ではありません。
もしかしたら、行動によって点数化される漫画の世界にあるようなプログラムでもあるのかもしれません。
「流石にそこまでは見ていないと思いますよ。都合よく監視カメラの情報などを一括で管理して、生徒個人の行動を毎秒ごとに更新し評価できるプログラムでも無い限り。……監視カメラの話は一旦置いておきましょう。まだ情報が曖昧ですからね。そこで、私からもう一つ情報と提案をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
アナタ以外のクラスメイトは頷きや声で返事をしました。
どうやら坂柳さんは既にクラスメイトからある程度の信頼を獲得しているようです。
「では、まずは情報から。昨日スーパーやコンビニに行った方はお気づきかもしれませんが、無料の商品があることはご存知でしょうか?」
「……コンビニで見たけど、あれは在庫処分とかじゃないの?」
「真澄さんの言い分も最もですけど、無料はいくらなんでもやり過ぎです。私達には10万ポイントも配られているわけですから。……そして、ここから導き出される答えはポイントが満足にもらえなくなる可能性を示唆しています」
周りのクラスメイト達は全員驚愕の表情をして、言葉が出ないようです。
アナタも無料の商品があることを知ったのは今日の質問時間の時だったため、その過程から答えを出すには至りませんでした。
ですが、ポイントが満足にもらえなくなると仮定するならば、考えなくてはいけないことがあります。
それはポイントが最初に設けられた基準から加減するのか、月毎に評価をしているかです。またここに、全体を見て全員に同じポイントを配るのか、個人だけを評価してポイントを配るのかでも変わってきます。
もっとも、個人だけを評価してポイントを配ることは管理上不可能だとアナタは断定しています。
ただ、そうすると不思議なのが永木のポイントです。彼のポイントは一体どこから出てきているのでしょうか? 彼の所属しているクラスがすごく優秀なのか、はたまた秘密のポイント入手手段があるのか。
まぁいずれ分かることだろうと、アナタは再びデンモクに目を向けます。
「そこで皆さんに提案させていただきます。皆さんにはひとまず今まで通り真面目に授業を受けて頂きたいのです。理由は、先ほど言った通りポイントに関わってくるからです。……もっとも、皆さんの授業態度に大きな問題があるとは思えませんがね」
「お、言われてるぞ灰原」
橋本君がニヤニヤとしていますが、アナタは皮肉を言われたところでなんとも思いませんでした。
「そしてもう一つ、葛城君の派閥以外……中立の立ち位置にいる人を勧誘していただきたいのです。方法は皆さんにお任せしますが、説明や説得が難しい場合は私に声をかけていただくだけでも大丈夫です」
「派閥って……こういうのはクラス全体で協力すべきなんじゃ」
「そうですね。クラスがまとまることは今後重要になってくることでしょう。ですが今、葛城君の所には私と同じくらいの人数が集まって学校のルールの把握を進めています。……しかし派閥が幾つにも分かれていては意思統一にも時間がかかります。それに頭を二つに割るなんて気狂いでもない限りしないでしょう?」
坂柳さんの言葉に全員が引き込まれているように視線を向けています。
アナタは、カラオケには食事のサービスがあることを知り、味がどの程度のものなのか気になっていました。
「不幸なことを起こさないためにも私達は、葛城君の信用を落とします。これには数ヶ月の時間がかかると思いますが、派閥を解体し吸収するには致し方ありません。……ふふ、勿論今ここに集まっている皆さんは"特別"ですよ。私の派閥が固まった後の待遇の良さは保証します」
「……坂柳さんが言うなら、信用はできそうだけど。いきなりそんなことを言われても」
「それに、そんなに急いでクラスをまとめる必要もないんじゃ。誰かと戦うわけでもないだろうし……」
「皆さんの不安はもっともだと思います。……少し関係ない話をしてもよろしいでしょうか?」
アナタは、無性にフライドポテトが食べたくなったので、デンモクを置き注文用のタブレット端末から料理を注文することを決めました。どうやら、ポテトにはふりかけのようなものがあって、チーズやらレッドペッパーやら種類が多いようです。
「皆さんはなぜこの学校に入学することを決めたのですか?」
「卒業したら希望する進路に絶対に進めるから、です」
「国立の名門校だったからだけど、私も卒業したら希望した進路に進めるからかな?」
「そうですね。皆さんの大多数は、卒業後に希望した進路に100%進めるからだと思います。……ですが、それは本当なのでしょうか?」
「え?」
「考えてもみてください。1学年で160人もいるのに、全員が希望する進路に進めたらどうなると思います? 大学に進学する人は裏口入学でもさせるのでしょうか? 海外での就職・進学はどうするんでしょうね。もし、日本国内に限定したとしても大企業への就職は国から圧力でもかけるんですか? 資格がいる職業は? 就職先での役職は? 圧力を掛けて無茶を押し通せば国の大スキャンダルになりますし、この学校は私たちの入学前に消えているはずです」
「……でも、パンフレットにも載っているし、テレビに出てる卒業生もちゃんと証言してるから。流石に嘘ってことはないんじゃ」
「ふふ、日本語って受け手次第で印象が大きく変わることもあるから不思議ですよね。……ここからは私の推測になるんですが、卒業する進路に100%進めるというのは、3年間の間で100%希望する進路に進めるほどの"実力"をつけさせるということじゃないんでしょうか? もしくは、限られた人間にだけ国から推薦状を出すとかが妥当なところでしょうね」
「でも、それじゃあ……」
「私の推測が仮に当たってるなら、希望した進路に進めるのは限られた人間だけです。もし全員希望した進路に進めるとしても、国がやるメリットがあまりにも少なすぎます。この学園の生徒に、そこまでする価値はあるのでしょうか?」
「じゃあ、もしかして。俺たちはこれから……」
「気づきました? 私たちは戦わなければいけないんですよ。他のクラスを蹴落として、卒業後の特典を受け取るためにね」
「失礼します。カリカリチェダーチーズパウダー付きポテトと、レッドペッパー付きポテトをお持ちしました〜」
坂柳さんがカッコよく話を決めたところで、アナタが注文したポテトがやってきました。
アナタはパウダーをかけるか、かけずにひとまず素の状態を味わうか迷っていますが、流石は判断が早いことで知られているアナタです。ひとまず素の状態から味わうことを決めたようです。
ポテトを口に入れたところで、クラスメイト達がアナタに視線を向けていることを確認しました。彼らの視線を一言で集約するなら「え〜」という言葉が当てはまるでしょう。
「……こほん。一応、キリもいいので今日はここで解散としましょうか。皆さんがよろしければ、今日私が言った提案のもと学校生活を送っていただきたいです。詳細は追ってグループチャットでお知らせしますので、また集まって情報を共有していきましょう」
どうやら今日はもう解散となるようです。
「ですが、真澄さんと鬼頭君、橋本君と……灰原君。この4人には個別で頼みたいことがあるのですが……残っていただけますか?」
アナタはポテトを食べるためにまだ残る予定でしたので大丈夫です。橋本君もアナタに一言断りを入れてから、注文したポテトを食べているので残るのでしょう。
坂柳さんは呼び止めた4人を除いたクラスメイトがいなくなるのを確認して話を切り出しました。
「真澄さんは当然として、他の方も残っていただけるみたいですね。では、少しだけお付き合いください」
しょっぱいものを食べた後は甘いものが食べたくなる。どんな人間にも当て嵌まる真理は、もちろんアナタに対しても有効です。
アナタは早速何か甘いものを食べるために注文用のタブレットを取ろうとすると、横から杖が伸びてきて止められました。
犯人は、坂柳さんでした。
「お話し、よろしいですか?」
橋本君はポテトを食べている手を止めて、坂柳さんの顔を見て顔を青くしています。アナタも急ぎではないので、ポテトを手に持ち頷いて返事をしました。
「実は、皆さんには個別にお手伝いしていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「いや、別に……手伝ってもいいんですけど。何で俺たち? なんか接点とかあったっけ?」
「……いや、ないはずだ」
「強いて言うなら、私の勘ですかね。理屈ではない感覚というのも、意外と馬鹿にはできません。素敵な言葉に言い換えるなら運命というものでしょうか」
「あ、そうですか」
「……っ」
「……」
「……こほん。皆さんは、入学初日の私と先生の質問を覚えているでしょうか?」
「あー、確かポイントを増やす方法だっけ?」
「正解です。先生は明言できないと言いましたが、一つだけ方法を教えてくれました。何か覚えていますか?」
「……なぁ、灰原は気づいたか?」
橋本君がアナタに小さな声で話しかけてきました。
アナタは記憶の中に存在している答えを言ってもいいし、アナタ独自の考えを述べてもいいでしょう。
さて、アナタはどうしようか。
浮かんできたのは3つの選択肢でした。
『脅迫する』
『他の生徒にポイントをもらう』
『端末を改造する』
アナタは橋本君に『脅迫する』と答えました。バレた後が怖いですが、これが一番手っ取り早いでしょうし、システムを構築すれば何もせずともポイントを得ることが可能でしょう。
橋本君は少しだけ考えてから……
「ダメじゃね?」
「どうされました?」
と、答えました。
アナタと橋本君のやりとりに気づいたのか、坂柳さんは何か面白いことでもあったのかと言いたげな視線を向けてアナタ達にどうしたのかと聞いてきました。
「あー、ポイントを得る方法を話してて。灰原が脅迫すればいいんじゃねって言うもんだから、いやそれはダメだろって感じで」
唐突に声をかけられたからか、橋本君はアドリブ満載の言葉で坂柳さんに説明をしています。
こういう時はアナタから助け舟を出した方がいいのでしょうが、当のアナタは我関せずとポテトをつまみながら呆けています。
「それはそれは穏やかじゃないですね。ふふ、安心してください橋本君。先生が提示してくださったものは、そこまで悪どくありません。正解は生徒間における"ポイントの授受の自由"。もちろん、出来ることは真澄さんと試して実証済みです」
「……なるほど。つまり、他の生徒からポイントをもらう事が可能というわけか」
「正解です鬼頭君。ポイントの受け渡しが可能なら、今よりもポイントを増やすことができる。未就学児でも分かる簡単なことです」
「でも、脅して巻き上げたらイジメって判断されるんじゃない? 学校側はイジメに対して厳しいって、最初に言ってたから」
「他のどの学校でも当たり前に守らなければならないことを口に出して言われただけです。相手側が納得していれば問題はありません。それに、まだ確証はありませんが相手からポイントを貰い増やす合法な手段はちゃんとあります」
「……それは、授業態度をよくすることか?」
「仮に、クラス全体を見て、かつ基準点が設けられていて、授業態度など学校生活の行いをプラス加点して評価する方法なら、それで正解です。ですが、そんなに細く人間の心情を理解出来るシステムが現代にあるとは思えません。なので、ポイントは減点式であると予測できます」
「え、それじゃあいくら頑張っても元のポイントは増やせないってこと?」
「……減らないだけマシだろう」
「減らさない努力は必須です。ですが、増やす機会を与えないとは到底思えません。例えば、学校行事などがやりやすいんじゃないんですか?」
「テストとか、体育祭とか? そんなことでポイントが増えるの?」
「まぁ、そこはこの学校に期待してみるとしましょう。……さて、そろそろ話の流れを戻させていただきます」
「いや、あんたが最初に……まぁいいや」
「まず、鬼頭君には私と真澄さんと一緒に先輩たちから情報収集する手伝いをしていただきたいんです」
「…‥俺が強面だからか?」
「頼りになりそうだからですよ。そして橋本君と灰原君には、クラスメイトの勧誘と他クラスについて探りを入れていただきたいのです」
「おぉ。他のクラスに探りを入れるとか、漫画みたいな展開になってきた……って、やること多くないですか?」
「いえ、確認してもらいたい内容自体は簡単です。一つ目は、ポイント支給額について。クラスごとに違いはないと思いますが、念のために確認してください。二つ目は授業の様子です。もし女子生徒に聞きづらいなどがあったら、真澄さんを貸しますので使ってください」
「私は物じゃないんだけど……」
「えぇ。真澄さんは私の"大切な"お友達です」
「……はぁ。もういいわよ」
神室さんがため息を吐いたところで、橋本君がアナタの脇をちょんと突いてきました。
「……なぁ、坂柳と神室ってさ」
橋本君の言わんとすることは分かりますが、アナタは彼女らの関係が性的な意味を含むものではないと思いました。ただ仲良しなだけでしょう。
「……早計だ。しばし様子を見よう」
どうやら鬼頭君も同じ見解のようですが、結論を出すのは早いと判断したそうです。
アナタは彼女達のような関係に似たものをいくつか見たことはありますが、ここからどうなるかまでは流石に分かりません。アナタは少しだけ坂柳さんと神室さんの関係を気にしてみようと思いました。
その後の展開については特に語るところもありません。強いて言うならば、坂柳さんに「アナタの行動で今日は良い収穫がありました。今後ともよろしくお願いしますね」と言われたくらいです。
アナタは特に面白い返事をしたわけではないのですが、坂柳さんは何が面白いのかくつくつと堪えるように笑っていました。
突発的に笑ったりして態度が変わる人間には慣れているアナタですが、橋本君や鬼頭くんは戸惑っているようです。
坂柳さんはある程度笑うと、すぐに余裕のある態度に戻り、神室さんと一緒に帰って行きました。
「……こっわ。なんだあれ」
「……情緒不安定な人間は見たことがあるが、慣れるものではないな」
坂柳さんが帰った後、しばらく橋本君や鬼頭君と話しながらポテトを食べていたアナタは何曲歌ってからカラオケルームから出ました。
「あ、お支払いは不要ですよ。お連れの方が既にポイントを払ってくださりましたから」
カラオケルームから出てポイントを払おうとすると、既に払われていたようです。
おそらく坂柳さんが払ってくれたのでしょう。アナタは、今度何かお礼をしなくてはと思いました。