英雄の末弟と英雄を目指す白兎   作:ケツアゴ

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ゲームで数万の兵を返り討ちにしたマグマゴーレムが三十レベル以上で出現 

ジャイアントって巨人が二十以上で出現

フレイヤ外伝で八万の兵を幹部だけで撃退 大体6

ゴライアスの適性レベルが4

ギル君は86レベルだから ダンまちのレベルが一辺りジルオールで5や6付近で計算 高く見積もって7毎に一ランクアップ


暴露

 ここは古代の遺跡、かつて人が精霊と共にモンスターと戦い続けた英雄譚の時代の名残。

 

 オラリオが存在する前、大穴の封印に人類が滅亡を懸けて挑んでいた時代の物であり、既にその場所に存在した国の名は長き時を生きる精霊のみが覚えているであろう場所。

 

「ふふふふ。もう解ける寸前なんだ。多少早まったって構わないだろう? だって必要な事なんだから」

 

 何処からか現れたのは遺跡には似つかわしくない黒髪の少年。東方風の衣装を身に纏い、宙に浮いたまま奥の祭壇を眺めて微笑む。

 

 詠唱もせず、杖も構えず、速攻魔法でさえ必要な魔法名すら口にせず、その場で踊るかの様にクルリと一回転すれば祭壇を闇が包み込んだ。

 

 異変は直ぐに起きる。祭壇に施されていたそして長い時の流れによって崩壊するのは間近にまで迫っていた大精霊の力による封印が完全に消え去った。

 

 異変が起きたのは刹那の後、大地が震え大気が鳴き、怪物が目を覚ます。

 

 アンタレス、神話の時代のモンスターだ。分身ともいえる無数のお供を引き連れた大蠍の怪物で、第一級冒険者であっても単独での討伐は不可能に近い。

 何よりも恐ろしいのは神を自らに封じ込める事によって神の力を一部でも操れる事。神を憎むダンジョンが産み出した神を倒す為の怪物だ。

 

 

 未だアンタレスは封印が解けたばかりだからか動き出さない。お供の蠍達の数も多くはない。そして封印の崩壊を察知した女神アルテミスが恩恵を与えた者達と共に遺跡へと向かいつつあった。

 

 それは早計だった。使命感から事態を一層悪化させる行為でしかなかった。

 

 アルテミス・ファミリアの団員ではアンタレス相手には成す術無く破れ去り、神殺しの武器である神造兵器の使用権を神の敵対者であるモンスターに明け渡すだけ。

 

 周辺の村の人間達を案じての行動だったが、天秤の傾きを理解していない。このままアルテミスが取り込まれれば行使した力にダンジョンが反応して無数のモンスターが地上を目指して暴れだす中、天界最強の威力を持つアルテミスの矢が矢がオラリオに向けて放たれるだけ。

 

 それは迷宮都市の崩壊を意味し、世界の滅亡を表す。アルテミスが本来行うべきは多少の犠牲に目を瞑り、オラリオへ救援要請をする事のみ。

 

 迷宮に挑み力を蓄えていない者達が勝てる相手ではなく、可愛い子供達すら無駄に命を散らす愚行に過ぎないのだから。

 

 

 

 アンタレスの意識は徐々に覚醒し、間もなくこの場所に憎き神が訪れるのを察知した。一刻も早く愛しき母を邪魔な蓋から解放すべく遺跡から出ようと第一歩を踏み出し、その脚が地に触れる前に固まる。

 

「あれ? 此処って何処なんでしょう?」

 

 世界が滅亡へと進む中、遺跡の中に響いたのは不釣り合いな声。それと漂う卵とベーコンが焼ける匂い。アンタレスと分身達の触覚が今この瞬間に最初から存在したかの様に現れた存在を捉えた。

 

 エプロンドレスを着た町娘、煌びやかさは無くも整った顔立ちは見る者に安心感を与えるだろう。その手にはベーコンと目玉焼きを乗せたフライパンらしき物が握られ、つい数秒前まで厨房で料理をしていたかの様だ。

 人間、それはモンスターが本能で襲い掛かる存在……にも関わらずアンタレスは動かない、いや、動けない。

 

 その巨体を硬直させ、分身共々様子を伺う。まるで巨大な光る獅子を前にした虫ケラが身を縮めて遣り過ごそうとするかの様に。

 

「あれ? もしかしてモンスター?」

 

 大精霊すら封じる事しか出来なかった怪物を前に、少女を卒業しようとしている年頃の彼女は臆した様子も無く、自分が何故こんな場所に居るのか疑問に思い首を傾げるついでに意識を向けたに過ぎない様子だ。

 

 それがアンタレスの癪に触った。獲物程度に自分が恐れて良い筈が無い。目の前の人間からは一切神の力の断片を、恩恵の存在を感じないのだから。

 例え神話の時代に英雄であっても自分に届く筈が無いのだと鋏を振り上げて威嚇し、尻尾を激しく動かす。

 

 分身の数も瞬く間に増え始め、圧倒的な力と物量で目の前の相手を押し潰さんと動く怪物に対し、彼女はフライパンをまるで武器であるかの様に構える。

 

 その抵抗は無謀だ。

 

 その抵抗は無意味だ。

 

 その抵抗は無価値だ。

 

 恩恵を持たぬ此の世界の今の時代の人間が勝てる程に甘い存在では無い。那由多の年月を繰り返してもそれは覆らない。

 

 

 

 

「えい! 【シャドウノック】」

 

 その常識は何とも気合いの入っていない声と共に覆った。アンタレスが覚醒してから二歩目の脚が地に着くよりも先にフライパンが脳天に叩き込まれる。

 

 それは正しく確約された会心の一撃。

 

 

 何が起きたのか、それをアンタレスが知覚するより前に堅牢な甲殻は粉々に砕け、強靭な肉と臓物は潰れ、貫いた衝撃によって陥没し続ける地面に向かってグチャグチャになりながら落ちて行く。

 

 神話の怪物は恐るべき力で誰かの命を奪うよりも前に灰になって分身達と共に消え去り、残ったのは陥没地点を中心に激しく割れた遺跡の床。

 それを行った彼女も、その手にしているフライパンにも傷一つ見られない。

 

 

「ああっ!? 朝食が駄目になっちゃいました!」

 

 お母さんに怒られる、そんな風に慌てる姿はとても神話の英雄を越える偉業を成し遂げた者には見えない。まるで厨房に出た虫を叩き潰した程度の反応だ。取り敢えず外を目指そうと遺跡から出て来た所でアルテミス達と出会す事になった。

 

「アンタレスの力が消えた? おい、何か知らないか? いや、そもそも君は?」

 

「私ですか? ロストールの酒場で働いているフェルムっていいます。えっと……此処って何処なんでしょう? バイアシオン大陸のどの辺りですか?」

 

 未だに緊張と警戒の色が消えないアルテミスとは対象的にフェルムはあくまでも呑気そうに首を傾げるのであった。

 

 

 

 

 五年程前、ただの町娘だったフェルムは酔っ払った自称未来の勇者から助けてくれた冒険者に憧れ、お伽噺と知りつつ伝説の魔導具について話し、旅について行く事になった。

 冒険者の下の弟には疑いの眼差しを向けられ、何時嘘がバレるのではと思っていたが、冒険者の謎の人脈によってお伽噺では無い可能性が浮上、慌てて何とか諦めさせようとするも遂にそれを発見したのだ。

 

 後に嘘を告白しての謝罪も受け入れられ、フェルムは旅を続ける事になる。その魔導具の名は『伝説のフライパン』、実際はフライパンに似ただけであるが、その名前が定着して、今も酒場で使われている。

 

 尚、とある英雄の振るう槍よりも武器としての性能が大差無かったりするのだが、決して槍がショボい訳ではない。だって槍は闇の神器の一つなのだから。

 フライパンみたいな手斧の性能がおかしいのだ。うん、本当に。

 

 

 

 

 

「貴方は! 何を! 考えているのですか!」

 

 血塗れで爆走していたベルが正座させられ、アミッドがバチギレしている。

 医療従事者としては見過ごせなかったとか。

 

「ご、ごめんなさーい!」

 

「謝るなら血が飛び散ったお店の人です! ほら、ゆっくり歩いてギルドに向かいなさい! シャワーを浴びてからお説教の続きです!」

 

 わおっ! 未だ続けるのか。

 

「逆らわない方が良いぞ? 大怪我したら世話になるのは多分此奴だし、ランクアップだってしてるからな。お前の首とか片手でポキっといけるから」

 

「ひぃいいいいいっ!? 逃げません! 逃げませんから命ばかりはー!」

 

「……ギルさん?」

 

「あっ、ヤベッ」

 

 今度は俺に矛先が向いて、瞬間移動するよりも前に服を掴まれる。おいっ!? 俺が反応出来なかっただと!? 不意打ちを防ぐ為のスキルだって持っているのに気が付かなかっただなんてっ!?

 

「アミッド、恐ろしい子……」

 

「ギルさんも後で一緒に正座ですよ?」

 

「あっ、はい」

 

 実際の所は友達認定しているからなんだろうが、笑顔で見上げて来るアミッドが怖いので従おう。

 

 フェルム姉ちゃんとか怒ったらこんな感じだったわ。俺が手に入れられなかったシャイニングレオ(近接系最強ソウル)を普通に宿せる様になったし、あの酒場の給仕。

 

 兄貴、女って怖いよな。え? 姉貴とかフェルム姉ちゃんを一般的な女と一緒にすんなって? それはそうだ。つまりアミッドも同類って事になるな。

 

「今、余計な事を考えませんでした?」

 

「いえ、全く」

 

「あっ、嘘だよ、それ」

 

 通りすがりに何処かの神が余計な事を言って人混みに消えて行く。顔覚えたからな? 覚えてろ、クソが!

 

「さっさとギルドに行きますよ。お二人にたぁっぷりとお話をしませんと」

 

 親指で首を横一文字に掻っ切る仕草をしながらも笑顔で余計に圧力が強い。これは相当やらかしたと思いベルを見れば助けを求める顔をしていた。

 

 うん、そもそもお前が悪いから助ける気は無いし、何なら俺も巻き添えじゃなくて当事者だからな?

 

 故にどうする事も出来ず、捌きを待つ罪人の様にギルドへと歩いて行くしかない。

 走れば即座に到着する距離なのに、今この時だけは遥か遠くに感じた。

 

 

 

「良いですか? 血とは不潔な物です。人魚の血は治療効果が有りますが、他のモンスターの血なんてどんな病気を持っているか分かりませんよ?」

 

 ギルドに入ってシャワーを浴びて、今は人目につきにくい端の方を借りてベルを叱っている最中だ。

 アミッドも少しは落ち着いたのか声も穏やかになっているし、この後の俺への説教は免れるか?

 

「そうだぜ、ベル。お前だってど田舎出身なら獣や鳥が病気を運んで来る怖さは知っているだろう? それに英雄に憧れるってんならせめて生活圏内の人にどう思われるか考えて行動しろ。じゃなくても近所付き合いは大切だぞ」

 

 俺なんて近所の掃除のついでに井戸端会議を参加したり色々してるんだからな?

 

 冒険者は荒くれ者揃いだし、ダンジョンの怖さを身をもって知らない人からすれば、それに挑む冒険者にも同じく未知の恐怖を覚えてるもんだ。

 

 喉元過ぎれば何とやら。英雄と称えられたとして、よく分からない怪物を倒した理解不能な英雄がいつの間にか怪物扱いされるなんて偶にあるはなしだぜ?

 

 まあ、夢見てオラリオに来たばかりの少年にそんな事を言ってヘスティアの所を速攻で去られたら寝覚が悪いし、そうでなくてもやる気を無くした所を()る気に溢れたモンスターに襲われれば死にかねない。

 

 お説教ってのは状況を考えて内容を決めないとな。

 

「はい。えっと、それで……」

 

 反省はしたが、ちょっと気になる事があって仕方無いって感じなのか、こっちをチラチラ見たり目を逸らしたりとかで落ち着かない様子のベル。

 

 お説教の最中にそんな真似したら姉貴の拳骨が落ちる所だが俺は何も言えないし、アミッドも言わない。

 言って欲しいんだがよ、今の状況の理由をさ。

 

 俺の目の前にはアミッドの頭、正座中の足の上にはアミッドの尻。うん、良い香りだし足に感じる感触も悪く無い。

 でも、何で俺の膝に乗って説教しているんだ?

 

「それで随分と夢中になって走っていましたが、何かありましたか?」

 

「はい! 実はミノタウロスが中層から上がって来たのに襲われたんですが、危機一髪って所で助けてもらえたんです。アイズ・ヴァレンシュタインさんとこの前の酒場のリューさんに!」

 

「……成る程。ロキ・ファミリアが遠征から戻って来ましたか」

 

 命の危機に瀕した所で怪物から守ってくれた相手に憧れたって所か。いや、それって英雄に惚れる姫様ポジションじゃね?

 

 英雄に憧れるの意味が違うだろ? それと状況的にミノタウロスを逃してしまったの助けてくれた相手だぞ?

 

 自分で選んで入った世界だし、冒険者が受け入れるべき危険性だから恨むなとは言いたいが、それが恋に繋がるってのは理解不能だ。

 

「まあ、男の子でしたら恋に夢中になるのは当然では? 私はロキ・ファミリアとは特に交流がありませんが」

 

「俺も豊穣の女主人には初めて行ったし、エルフ苦手だから仲を取り持つとか無理だぞ?」

 

 アミッドの奴、お得意さんだろうに面倒だからって騙しやがった。俺も人の色恋沙汰に首を突っ込むのはな。

 

 恋人殺されたから人間殺す神とか妻殺されたから魔王になった皇帝とか生え際が後退すれば良い貴族がずっとティアナ様に惚れていたとか、マジで面倒だもんよ。

 

 

「担当アドバイザーにでも聞けば何か教えてくれるかもよ? 助けてくれた礼に手土産でも渡しに行けば良いじゃねえか。ロキ・ファミリアはちょい難しいだろうがな」

 

 幹部となりゃ敵も厄介なファンも多いだろうし突き返されるのが関の山だろうが、店員なら客として会いに行けば良いと伝えれば途端に顔が明るくなる。

 

「早速行って来ます!」

 

「おーう。露店の方にも謝りに行くの忘れるなよー」

 

 多分汚した商品買取りとかになるだろうが頑張れ。

 

 走り去って行くベルを見送り、これで一息付けると安堵する。それで今直ぐ足から退いてもらえると助かるんだが。

 だって乳より尻派だし……。

 

「彼奴、同時に二人を好きになるとかお盛んなこった」

 

「おや? 娼館に足繁く通っているギルさんが言いますか?」

 

 ……おっふ。

 

 ベルについて茶化して今の状況をどうにかする方向に話を持っていこうとした瞬間に叩き込まれる会心の一撃。

 【シャドウノック】使えたのか? いや、まさか。

 

 身内にバレる事の次に友達に知られるのが気まずいと思う俺からすれば追い詰められた状態だ。

 既に崖っぷち、今から入れる保険募集中……保険って何だろう?

 

「イシュタル・ファミリアの方の中にお得意様がいらっしゃいまして、お友達であるギルさんについて話して下さったんですよ」

 

「お、おう……」

 

「毎回話をするだけで手も自分から握れないヘタレだと」

 

「おうっ!?」

 

「ですから軽く揶揄ってみました。楽しかったです」

 

 俺の胸に頭を当てる様にして更に深く座るアミッドは楽しそうだ。うん、変に軽蔑されて絶縁とかじゃないのは良かったな。

 

「……まあ、程々に。男性ですから有る程度は仕方が無いとは思いますし、病気も魔法で治せるのがギルさんですが……今から少し性病に関するお勉強をしますので心して聞く様に」

 

「……おう」

 

 それはそうとして俺の膝の上に乗る意味は何だ? 俺が髪とか腰に触るとか考えないんだろうか心配になるな。

 

 

 

「それはそうと相変わらず髪が綺麗だな。良い香りもするし……」

 

「褒めてもお勉強はしますからね? 神様とか種無し以前に元から子供が作れないのに夢中になって通って感染する方が多いんです」

 

 普段は使わないからか苦しむらしいのに懲りないんですから、そんな風に呆れた様子だ。

 

 この後、タメになるが怖い話をたっぷりと聞かされた。




リューさんが居合わせた理由は近い内に


マジで繁殖能力元からない神に性欲あるの不思議

【シャドウノック】クリティカル100%で攻撃
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