英雄の末弟と英雄を目指す白兎   作:ケツアゴ

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侮辱

 ロキ・ファミリアのホーム『黄昏の館』。集団戦を主にした一団だけあって狭い敷地内ながら建物は高く、所属人数も相当な数に及ぶ。

 

「さて、揃ったね」

 

 だが、この日ばかりは主神と最高幹部以外は会議室には居らず、近付く事すら禁じての話し合いが行われていた。

 

「ロキ、地下道に例のモンスターは居たんだね?」

 

「そや。気色悪い色した花のモンスターが居ったで」

 

 議題となるのは先日起きたばかりの食人花の出現について。

 遠征中に遭遇した新種と似た特徴を持っており、フィン達は無関係だとは思っていない。

 

 ロキの調べでモンスターの脱走騒ぎは別件だと判明したものの、何者かが食人花をオラリオ内部に持ち込んだのは確かであった。

 

「魔力に反応し、ティオネ達でも素手での戦闘は容易では無い……か」

 

「問題はどんなルートであないにデカいのを持ち込んだっちゅう事やけれど、おるよな? 簡単に持ち込める奴が」

 

 ロキ達の頭に浮かんだのは最近オラリオに来たばかりの新米冒険者であり、下級冒険者でありながら既に噂の的になっている『運び屋』ギル。

 

 既にフレイヤとの話の中で四十階層よりも深さを一瞬で行き来可能なのだとの情報も入っている。

 

 その素性は明らかでなく、本人曰く似た魔法の使い手に連れて来られたとの事だが、出身地に誰も聞き覚えが無く、逆に彼自身も常識とされる事を知らなかったらしいとも聞いたのではあるが……。

 

「……リヴィラとディアンケヒト・ファミリアとの繋がりがあるというのが痛いなぁ。下手すりゃどっちとも関係が拗れるで? 椿とも飯食いに来てたんやろ? ……まあ、主神のミアハも交友があるどチビも善神やし、どっちにしろ様子見でええわ」

 

 折を見てウチが絡んで探るさかい、ロキがそう言ってこの話題は一旦終わりとなる。

 問題は二人目にして二つ目の人物、正体は悪ノリしたギルが変装したベルゼーヴァについてである。

 

 フードと仮面で顔を隠し怪しげな言葉使い、ここ迄ならベートが嫌う冒険者ごっこ野郎として大勢の中に埋もれるが、問題はその持つ力だ。

 

「無詠唱で長文詠唱クラスの魔法を、それも射線上の三人を避けて放った、か。幻覚の類と思いたいね」

 

 これが他ファミリア、もしくは経験の低い二軍三軍の証言なら信憑性は低かったであろう。

 だが、目撃したのはアイズ達幹部であり、リヴェリアの弟子であり後継者の立ち位置に居るレフィーヤなのだ。

 

 有り得ないものを警戒するリスクよりも有り得ないと放置するリスクの方が高い、そう判断せざるを得ない程の信頼を寄せていた。

 

 正体不明の相手の力ではなく、自分達が育てた相手の目を信じる、それが最高幹部と主神の判断ではあるが、その内容はリヴェリアが額に手を当てて頭痛を堪えるには十分過ぎる内容だ。

 

 オラリオ最強とされる自分ですら時間が掛かる規模の魔法を詠唱無しで、それも二人同時に別の魔法を放つ。

 

 ティオナ達を避けたのは魔法の特性であると信じたい。でなければコントロールにおいて自らを遥かに上回るという事なのだから。

 

「顔も分からん奴が人混みに紛れて襲って来てみぃ。どうやって対応しろって話やないか」

 

 暗黒期と呼ばれる時期、死後に家族と会わせるとの甘言に乗った民衆による自爆特攻が冒険者達を苦しめた。

 今度はその様に常に長文詠唱魔法を気に掛けなければならないのだ、頭も痛くなる。

 

「儂は神の力に似た魔法とやらが気になるぞ。ロキ、もしや何処ぞの神が力を使い改造したのではないか?」

 

「……流石にそのレベルやと神にはすれ違っただけでバレバレや。あの時、ウチは何も感じなかった」

 

 つまり理外の魔法行使を自力で行なっているという事。ロキの言葉は場の空気を一層重くするのには十分だった。

 

 雷雨を操る魔法、竜巻を操る魔法、冷気を操る魔法、神の力に似た力を操る魔法、そしてアイズの限界出力でも差を開けられる速度で動く魔法、その五つを最低でも操る、それが今の情報だ。

 

「これで全部と考えるのは早計かな? 他にも使えると考えるべきだろうね」

 

 何せリヴェリアが実質九種類、レフィーヤはエルフの魔法限定で無制限に魔法を扱える。

 故にベルゼーヴァの魔法が五つとは断じない。

 

 此処迄はベルゼーヴァが敵対する相手と想定しての事だ。確かに傍目には街中に現れたモンスターを倒そうとし、アイズ達を助けた風にも見える。

 

 だが、それだけで善の存在と判断する程に此処の面々は世間知らずでは無く、何よりも警戒すべき点が一つある。

 

「問題はアイズの秘密をどうやって知ったのか。秘密を何者かから聞いたのか、秘めてる力を感じ取ったのか」

 

 あまりに想定外の相手の情報が不足しており、なのに警戒すべき事項ばかり増えている。

 

 此処近日中に遭遇した新種のモンスターといい、下層で起きて関与が疑われた大規模な凍結といい、イレギュラーだらけのダンジョンでもイレギュラーの事態が起き過ぎだと愚痴の一つも吐きたくなる事ばかりだ。

 

「当のアイズは動揺よりも相手が気になる方が強いみたいなのが救い……と言えなくもないか」

 

「ベルゼーヴァの奴を探そうとするかも知れんからなぁ。アイズたんやし突撃して行かんか心配や」

 

 敵なら当然として、そうでなくとも正体を隠している相手を探ろうなど敵対行為と取られる可能性すらある。

 

 オラリオでも有数の実力者であるフィン達だが、入って来る情報では正面戦闘なら兎も角、闇派閥の様にゲリラ戦に徹されたら厄介が過ぎる。

 

 少なくてもデュオニソスから団員が何者かに殺されたと聞いている以上、今回の事件は裏に誰かがいるのだ。

 

「ダンジョン内で見掛けた時に接触を試みるとして、団員達には刺激するなと伝えつつ警戒は続けるか。ロキ、暫くは幹部の誰かと一緒に行動してくれ」

 

 ベートは勿論、レフィーヤもアイズが絡むと暴走する傾向にある。相手の所属も目的も分からないのに自ら敵に回すのは避けたいのが本音だ。

 

 暗黒期は終わり若手も育ちつつある中、浮上し始めた新たな問題に頭を悩ませる一行であった。

 

 

 

 

 

 一方、敵対する気なんて一切無く、寧ろ刺激して無茶をさせたと気にしているベルゼーヴァことギルではあるが、夜中に接触して来た相手を前に訝しげに睨みを効かしていた。

 

「顔くらい出せよ。テメーが怪物祭で新種を倒したって奴か?」

 

『いや、違う。それは私ではない』

 

 フードで顔を隠した相手にブラフを混ぜつつ情報を引き出そうとするが、相手は必要以上の事は話そうとしない。

 

(顔を見せないのは姉ちゃ……じゃなくて二人みたいな立場か?)

 

 未だに時折出る強制された呼び方、姉弟だと誤認させられた時期の後遺症が出つつ考えるも情報が足りない。

 

「ダンジョン三十階層の異変の調査? ああ、食糧庫が封鎖されてモンスターが集中してる奴ね。昨日ちょっとダンジョン覗いたら見掛けた。……アレってダンジョンでは普通じゃなかったのか?」

 

 此処に来て出たのはアドバイザーであるローズとの連携不足。ベルの担当であるエイナは積極的に研修を行なっているが、ローズは死んだ時の悲しみを減らす為か関わりは最低限。

 

 それに困ったらボールスにでも聞けば良いかと研修は最低限、何なら途中でも入ってリヴィラで換金して誤魔化してもいた。

 

 そしてモンスターの異常発生が大規模で起きているとだけ教えられた時に食糧庫での異変に言及されなかったので、逆に常識の範囲だと判断してしまったのだ。

 

『いや、普通に異変だが。それで……お前の魔法で異変が起きている内部に入れるか?』

 

「余裕で行けるな。今日は寝たいから無理だが、明日にでも行こうか?」

 

 前金も結構な額だしな、そう言ってギルは笑みを浮かべ……。

 

「それでアスフィさんだっけ? このフード男……いや、女はヘルメス・ファミリアの関係者か?」

 

 虚空に話しかけるも返事は無し。それでも思わず漏れた息遣いはギルの耳に届き、姿を消して潜んでいる場所に視線を向けている。

 

「俺の【テレポート】は目的地の様子を何となく把握可能でね。周辺に移動しようとすれば今回みたいに使えるんだ」

 

 再び返事は無いが、既にギルは何処に居る事を確信している。実際は別の不意打ち防止のスキルの応用で魔法による把握はそこまで優れてはいないのだが、意趣返しの嘘である。

 

(ヘルメスが潜んでるかも知れないからな)

 

 ギルは神への印象がそんなに良くない。関わった神やら神の代行者が悪かったからだ。

 ミアハへの印象は悪くはないが、根本的な部分で人間とは別物という印象。

 

 因みにヘルメスへの印象は第一印象からして最悪に近い。

 

 脚本家気取りのクソ野郎、それが今の感想であり姿を消している手段が不明な以上、感知範囲外から話を聞いている可能性も加味して嘘ではないが全てを言っていないのが今の発言なのだ。

 

 絶対に騙せるとは思っていないが、迷わせる材料が有れば良い。嫌がらせをしたいだけでもある。

 

「【テレポート】」

 

 アスフィが話を盗み聞きしていたタイミングの良さからも依頼主か其れに関わっていると判断、報酬は良かったので引き受けはしたが……。

 

(何かあったら神の力を解放する前に首の骨をへし折ってやる)

 

 そんな決意を決めてギルはホームへと帰って行った。

 

 

 

 

 

 

「……気持ち悪いな、此処。性質的には闇属性に近いか? どうも歪な空気だぜ」

 

 邪竜に悪魔、上位アンデッド、それらの類に似た気配と精霊の気配が入り混じって非常に気持ちが悪いと悪態を付きながら進めば襲って来るのは例の食人花。

 壊れたらいけないとガントレッドを外して無造作に拳を振るえば上顎の奥の魔石まで一緒に砕けて灰になる。

 

 うん、中途半端に固いから逆に楽だわ。耐えられない威力を叩き込めば良いだけなんだから。

 

 

「さっさと前衛が欲しいんだけれどな。俺の役割、補助と回復混ぜつつの魔法攻撃だぜ?」

 

 今の俺はソロ探索中、全部一人でしないといけないのは当然だが、少し思う所があった。

 

 四年間の旅路の中、最初はポンコツ魔法使いに基礎を習い、オルファウスさんやネモにだって師事したんだ、それなりに誇りってもんがある。

 

 俺は後衛職なんだってさ。それが今の俺はどうなってる? 魔法で戦う時に制限が掛けられて、こうして拳で戦っているんだ。

 あくまでも補助とか雑魚相手の温存用だってのにさ。

 

 周囲の壁は気味の悪い緑色の物になっていて、まるでモンスターの腹の中にでも居るみたいだ。周囲に誰かの姿があるわけでもねぇが、どうも誰かが様子を伺っている感じがするせいで表向きの魔法二つ以外は使えないのが痛いよな。

 

 殴りの威力は良いんだよ、ガレスってドワーフも恩恵無しで強かったらしいし。大っぴらに使わなけりゃ。

 

 古代のエルフは自分達で詠唱を考え、四苦八苦しながら魔法を産み出していたらしい。それが千年前に神の恩恵の普及によって才能と努力次第で自分だけの魔法が使えるようになったせいでオラリオ最強の魔導師ですら自分の魔法だけ。

 

 せめて一部にでも魔法を作り続ける風習が残ってりゃ誤魔化す方法なんて幾らでもあったんだろうけれど……。

 

 正面から大口開いて向かってきたのを飛び越して踏みつけ、その勢いで前に跳べば到着したのは本来モンスターの食事になる液体が涌き出る筈の場所。

 

 だが、今は涌き出る柱に巨大な食人花が絡み付き、未成熟な食人花が数百体は存在する場所だった。

 

「妙な物があるな。精霊……いや、モンスターか?」

 

 転がっていたのは赤子の様な精霊風モンスターが入った宝玉。それを手に取った瞬間に周囲の空気が一気に変わる。

 此れが何か分からないが、こんな環境を作り出した奴にとっては大切なんだろう。第一級冒険者の上位に匹敵する速度で近付く誰かと地下から強まって来る精霊の気配。

 

「【テレポート】」

 

 だが、それは俺の前では意味を成さない。力が迫る前に、誰かが到着するよりも前にカバンに入れた宝玉を地上に持ち帰って……。

 

 

 

 

 魔法が発動する寸前、知っている魔力がそれに割り込んで妨害して来た。そして聞こえたのも知っている声だ。

 

 

「おっと、今は駄目だよ。じゃないと余計な犠牲が出る」

 

「この声は……シャリ!」

 

 やっぱりテメェが関わって来やがったのかっ!

 

 地上まで一瞬で帰る筈が座標をずらされ、転移したのは十八階層と十七階層を繋ぐ穴の十八階層側の傍。水晶から水が溢れだし木が生い茂った場所だ。

 

 あの野郎、今度は何を考えてやがる? 姉貴を宿敵みたいに扱っておきながら俺をこんな所に連れて来て何がしたいんだよ……。

 

「彼奴、未だ本調子じゃねえな……」

 

 俺が知っているシャリにしちゃ魔力が少し弱々しい。闇の禁呪を連発して、時に邪竜を復活させていた願いの精霊とでも呼ぶべき元人形はあんなもんじゃなかった筈だ。

 

 俺が散々ホーリーやらぶち込んで姉貴と兄貴とフェルムさんが叩きのめしたから本調子じゃねーのか?

 

 誰かの願いを叶え続けるって使命に従うだけの人形と自嘲する彼奴に姉貴は人形じゃないと否定の言葉を投げ掛けた。

 俺の目には少しは響いた風に映ったんだが、本当に何をする気なんだか。

 

「【テレポート】は妨害が

 危なっかしくて使えねえな。此処に飛ばしたって事は何か起こす気なんだろうが……」

 

 此処でリヴィラに行くか、それとも徒歩で地上を目指すかが問題だが、気になるのはシャリの言葉。

 

 裏の企みがあったとして虚言は無かった。願いに真摯に向き合う奴だからだろう。

 

 魔法の三つ目を何にするかは決めていない。理性ちょっと飛ぶバーサーカーにする【アラカホル】にするかバリアを張る【アンチフィジカル】や【アンチスペル】も良いし精神力を吸収する【アブソーブ】か分け与える【デバイド】も良い。

 

「さて、どうするか。先ずは変装だな! 闇の狭間で生まれし願いの稚児よ。私が相手してしてやろう!」

 

 一応持って来て良かった変装セット! 

 

 仮面とフードで変装完了、此処で暫く待機しながら様子を見るか。取り敢えず飴とか果実とか春姫とかへの土産になりそうだしな。

 

 自生する飴ってどうなってんだ?

 

 いや、細かい事はどうでも良いか。それ言い出したらソウルとか魂の形がどうとかだし。

 

 先ず軽く体を動かそうとした時、十七階から続く入り口から顔を覗かせた奴と目が合った。

 

「あー! 見ぃつけた!」

 

 あの時のアマゾネス姉妹の小さいってよりは薄い方は俺を認識するなり指を差しながら大声を出す。

 それで慌てた感じで出て来た厚い方のアマゾネスとアイズとあの時のエルフと団長と副団長のフィンとリヴェリア。

 

 幾ら都市とダンジョンで限られた場所であっても何度も出会うとか縁があるな、おい。

 

 逃げるか? いや、何か警戒されてるし少し話すか。

 

 

「【目覚めよ(テンペスト)】」

 

「んっ……」

 

 俺を認識するなりエンチャント魔法を使ったのを見た瞬間、向こうさんの仲間は驚き、俺が咄嗟に使ってしまったのは【スペルブロック】。

 相手の魔法に反魔力的な力をぶつけて発動をキャンセルさせる対魔法使いの上位手段。

 

 瞬時に連発は難しいから【デュアルスペル】とかで弱い魔法での相殺が基本だが……やっちまった。

 

「魔法が消された……?」

 

 向こうからすれば急にアイズが動いて慌てて止めようとしたら魔法の発動そのものがキャンセルされた、それも無詠唱ですらない状態でだよ。

 

 誰しも分からない物は怖い。だから例え英雄だろうと自分達とは違う存在が分からなくて排除しようとする。

 

「ふははははっ! 其方らからの威嚇とみなし警告はしなかったが少々早急過ぎたと認めよう。平穏なる天秤に乗りし者達よ。私の魔法解除は凄かろう!」

 

 うん、あのダークエルフの真似とか難しいが、勢いで誤魔化すのには向いている。

 俺自身、自分が聞かされても意味は通じないだろうって思う部分もあるが……頑張れ、ロキ・ファミリア! 最大派閥の力の見せ所だぞ!

 

 

「お互い様で済ませるって事で良いのかな? 君がベルゼーヴァだね? 僕はフィン・ディムナ。うちの団員がすまなかった」

 

「若き者が己のソウルの炎に炙られ身を焦がすのは珍しくもない。気にせずとも良いことだ。私も魂に刻みはせぬぞ!」

 

「さてと、穏便に済んだとはいえ言いつけを破ったんだ。アイズには後で小言を言わせてもらうとして……幾つか質問がある」

 

「私が諸君らの抱きし渇望に応える道理があるとでも?」

 

「確かにそうだね。でも、此方としても手ぶらで放置はしておきたくなくてね。答えてくれるなら対価は払おう」

 

 一見すると穏やかな感じだが、フィンとリヴェリアは何時でも動ける様にしているし、一番弱いエルフは後ろの方でオロオロしている。

 

 はいはい、敵かも知れないが一応助けられた相手だから困っているのか。

 それにしても警戒が強いし、余程触れたら不味い事だったか?

 

 だが、このキャラ付けで情報を小出しにしつつ警戒は解いて行くのは順調そうだ。

 

 あっ! このエルフ王族なんだろ? だったら見た目からして数百数千年生きているだろうし、古代の魔法にも詳しい筈だ。

 

「怪しんでいるようだな。此処に虚言を虚言と正しく評する神は不在だが、我も我に恩恵を刻みし神も悪ではないと断じよう」

 

 怪しい奴が自分を不審者だと名乗りはしないだろうが、この辺はしっかりさせておきたい。そもそも邪神とか自分でそう名乗ってるみたいだし、少しは信じてくれりゃ助かるんだが。

 

「それで私への問い掛けへの答えだが……其処の妖精の王族たる者が我が欲求の為に労力を割いてくれるというのであらば……」

 

 リヴェリアに指先を向け、俺の要求を告げようとした時、慌てふためいた様子でエルフが間に割り込んだ

 

「リヴェリア様はハイエルフ、尊い身分のお方なんですよ!? それなのに初対面で何を要求する気なんですか、不潔です!」

 

「古代にエルフが作成していた頃の魔法について、幾星霜もの年月を生きて得た知識を分けて欲しいだけだが、其処の何が不潔なのだ? 古き時代から生きているのなら詳しいだろう?」

 

「え? 古代の魔法について知りたいだけ……?」

 

 返答を聞くなり耳まで真っ赤になった姿を見れば俺でも分かる。エロい事だ! 俺がエロい事を要求すると思ったんだ!

 

「師であり兄弟子でもある隠居人のハイエルフからは習っておらぬ故に求めたのだが……一発は一発だし、私もこの少女に一言言っても宜しいか?」

 

「ああ、なんと言うか悪かった。情操教育はしたつもりだったのだが……」

 

 一応派閥の最高幹部で保つを前にした王族だ。後で揉めない様にって許可は求めたが、くれなくても言う気だった。

 

 だって酷いだろ、会ったばかりなのに。ベルベルの奴は良い奴だし優秀なんだぜ? その名前を勝手に借りたら侮辱されたら腹も立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルフとは貞淑なる種族との既知を時の流れと共に得たが、貴様は真面目ぶっていながらの中はエロで溢れるむっつりスケベなるエロエルフ、略してむっつりエロフだな。今後脳内でそう呼ぶとするぞ、むっつりエロフ」

 

「むっつりエロフっ!?」

 

 まあ、実際は呼ばないけれどな?

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