突如現れた違法改造された機体。その末路は…

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依頼主:複数企業
報酬:1,000,000C
依頼内容:これは複数企業による合同の依頼だ。ターゲットは違法改造されたAC一機。こいつは最近現れた違法改造機体であちこちの戦場を荒らし回っている。違法改造は我々企業としても野放しにはしておけない由々しき事態だ。報酬は十二分に用意した。よろしく頼む


違法改造機体撃破

「おい、見たか?あの依頼」

 

「ああ、普通はあんな額の依頼は蹴るんだが内容が内容だ」

 

「早い者勝ちか…久々に腕が鳴る」

 

複数の企業から合同で出された依頼。常識外れの強さを見せる違法改造された機体の撃破依頼。それは多くの傭兵を虜にした。当然そうなれば

 

「なんだよそりゃあ、チートやチーターや!ぎゃぁぁぁぁぁぁ…」

 

「クソッ、後の奴らのためにも…アセンはW重ショにWイヤショ、ふざけた速度でばらまいてきやがる!動きはお粗末だが一度捕まるとザー…」

 

「なんだ!?TAを張りっぱなしだと!?それじゃあ倒せな…」

 

多くの傭兵が犠牲になった。だが彼らもただでは終わらない。死に際にアドバイスを残す。アセンの情報、立ち回りのクセ、拡張機能の特定、違法改造の中身、それらが出回る頃には無視できない数の犠牲が出てしまっていた…

 

 

 

★★★

 

 

 

「さてと、こんなもんかな」

 

仮想戦闘を終えた一人の男。彼はある程度稼いだこともあり、第一線から退いたトップランカー。張り合いのある相手は消え、充分に稼いだが故に錆び付かせていた技術の錆び落としをやっている理由はただ一つ。

 

「流石に見過ごせないねぇ。どんな奴かは知らないが…」

 

久々の起動に愛機は小気味良いジェネレーターの音で答える。

 

「退屈させてくれるなよ…」

 

 

 

★★★

 

 

 

ところ変わってボナ・デア砂丘。ここでもまた一人の傭兵がその一生を終えようとしていた。それだけならよくある傭兵の末路だが…

 

「あれが噂の違法改造機体か!聞いた以上だ!勝てるかあんなん!」

 

追い回しているのは黒い重逆の機体。黒っぽいカラーリングに不自然な連射速度の武器となれば当てはまるのは一人だけ、話題の違法改造機体だ。操作はお粗末なのか逃げ回ればどうということはないがジリ貧なのは確実だ。

 

「あ…」

 

当たれば終わる極度の緊張が傭兵の動きを鈍らせた。メリニットの誇る常識外れの爆風に僅かに機体が止まった。止まってしまった。

 

ドガガガガガガガ…

 

通常ではあり得ない速度の連射。ガトリングのごとき速さで特殊な散弾が突き刺さる。あっという間に負荷限界を超えスタッガー、恐ろしい速度で削られるAP

 

「やっちまった!」

 

死を覚悟し目を閉じた。逃げ回ったお陰である程度は時間稼ぎはできたが所詮は独立傭兵。誰かが助けに来るはずもない。そんなご都合主義なことは…

 

「そこの傭兵、よく耐えた。あとは任せろ」

 

起こった。足を止めてただただ散弾を撒き散らしていた違法機体がサッカーボールのように蹴り飛ばされる。ふざけた弾幕が止み、傭兵を一命を取り留めた。だが経験のある傭兵、次の行動は的確で最善だった。

 

「あれが噂の違法改造機体だ。気を付けろよ!」

 

即座にABで離脱する。命あっての物種なうえに、録に言葉も投げなかった理由はただ一つ

 

「あのブーストチャージ、間違いなく相当な実力者だ。そんな奴に俺なんかのアドバイスは無駄だよな」

 

ただ蹴っただけではああはならない。的確に機体の重心を捉え、的確な角度で蹴りをいれないとあれほど吹っ飛ばない。アセンによって異なる重心を一度で的確に捉えられるのはトップランカーだけだ。彼の予想は当たっていた。

 

 

 

★★★

 

 

 

「あれが噂に聞いた違法機体か。どれどれ」

 

とりあえず挨拶代わりに蹴り飛ばし、違法機体を眺める。復帰も遅いし周りを見回す辺りスキャンやレーダーを使いこなせていないことを把握する。

 

「あぁ、ただの粗製か。つまらんな」

 

ただ数秒眺めただけで興味が消え失せる。だが野放しにもできない。即座にオープン回線に切り替え

 

「期待外れだ。とっとと片付けよう」

 

その言葉に触発されたかABで真っ直ぐ突っ込んでくる違法機体。だが

 

「動きが一直線。AIの方がまだマシな動きをするぞ」

 

打たれ放題な違法機体。違法な力任せなのだろう。被弾は非常に多い

 

「お、感情があるのか。より一層動きが雑になった」

 

ここまでオープン回線で煽り倒す理由はただ一つ。

 

「どうせ撃破されても同じことを繰り返すんだろう?なら遠慮なく心を折らせてもらおう」

 

なんなら戦闘風景の配信までやっている辺り徹底的に心を折るつもりのようだ。

 

「グレネードの連射で動きが止まるな、訓練の的の方が当てにくいぞ」

 

「ほらどうした、ご自慢のツィマーマンが泣いてるぞ、当たらないな」

 

「なんだその動きは。逆間接の特性をまるで理解していない」

 

「そんな技量のくせに丸出しコアを使っているんだ。どうせ安全装置かなにかで守ってるんだろう?そういう動きだ」

 

徐々に追い詰められる違法機体。対して全くAPを減らしていないトップランカー。だが

 

「お、TAか。まぁその技量じゃPAやAAは使えないだろうな」

 

煽りを忘れないが様子見に徹する。噂が本当なら

 

「3…2…1…お、張り直したか。つまり永続ではなくクールダウンを無視した無制限連続展開といったところか」

 

パルスアーマーで守られていては手が出せない。パルス武器があれば話は別だが、どうせ即座に張り直されるだろう。だがトップランカーは見逃さない

 

「なるほど、コンマ数秒張り直しにラグがあるな。おまけに一瞬だけ動きが止まる」

 

トップランカーがトップランカーたる所以。それは全てにおいて常識外の技術を持っていること。戦いながら分析、対応する。

 

「つまり…ここか」

 

放たれた弾丸は的確に張り直しの瞬間を捉た。TAは死に際の発動が条件、ほぼAPの残っていない違法機体は沈黙した。

 

「最後までつまらなかったな。お前程度殺す価値もない。精々退屈しのぎの玩具になることだな」

 

コアは撃ち抜かず、去る。当然撃破していないため依頼は失敗だが

 

「あんな玩具、俺一人でしゃぶるには勿体無い。譲合いの精神でいこう」

 

そしてこの配信を見ていた者の反応は二つに別れていた。

 

「うわぁ、トップランカーこっわ」

 

そして

 

「さて、どんなアセンで行こうかな♪」

 

トップランカーは複数人いる。件の傭兵が間違えたとすれば違法改造に手を染めたこと。そして

 

「面白そうだぁ。ヘッヘッヘ…」

 

眠れる獅子を呼び起こしてしまったことだろう。




違法改造:制御回路を改造し、通常ではあり得ないスペックを引き出す。だがそれは安全性を度外視した違法改造であり、それゆえ企業は違法としている。

トップランカー:傭兵の中の上澄みの上澄みの更に上澄みの存在。けた外れの技量と経験を有しており、それゆえ普段は表に出てこない。新参者の大事さを分かっているがゆえに

そこいらの傭兵:今回の事件の一番の被害者。違法機体に蹂躙されたかと思ったら、それに釣られて湧き出てきたトップランカーに蹂躙される。彼らは泣いていい

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