白い鯨の歌   作:オクラ080

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オデュッセイア海洋学校のタグ忘れてた〜♪
タイトルって意外と考えるの大変ですよね


宣言

船長との会合の後、私たちは部屋から出てスターバックから話を聞いていた。

 

「まず、皆さんの乗船を歓迎します。船員の皆さんには私から伝えておきます」

 

”ありがとう。私たちも何かした方がいいかな?”

 

「いえ、問題ありません。もう出航準備はできています」

 

“そっか”

 

「ですが、そちらの2人の配属を決める必要があります」

 

そう言って、スターバックはクイークエクとイシュメイルを指差した。

 

「確かに、アタシらは一体何をすればいい?」

 

「クイークエク、あなたは何ができますか?」

 

「一応、他の船に乗ってた時は銛使いだったぜ」

 

「では、腕前を見せてください。あそこの木の板に打ち込んで下さい」

 

スターバックは甲板にある分厚い木の板を指差した。いくつか穴が空いているため、銛を投げる練習用の板だと推測できる。

 

「わかった。壊しても文句言うなよ」

 

クイークエクは持っていた銛を持ち直し、肩に構える。体を引き絞り力を込めていく。そうして数瞬の後、銛は板へ向かって一直線に投げ込まれた。板の中央にあたり、それを貫通した。練習用の板は、バキバキと音を立てて縦に裂け倒れた。周りにいた船員たちも皆、手を止め驚いていた。そして、数秒の沈黙の後どこからともなく拍手が起こった。

 

「なるほど、良いですね。後ほど船長から直接配属先を言われると思うので待っていてください」

 

クイークエクは少し誇らしそうにしていた。

 

「では、あなたは何ができますか?」

 

スターバックは、イシュメイルを指差して言った。

 

「えっと、私は、特に何もできません....」

 

「何もですか?」

 

「…はい」

 

「なるほど、ではあなたは水夫として動いてもらいます。いいですね?」

 

「わかりました」

 

イシュメイルは少し申し訳なさそうにしていた。

 

“私も何か手伝えないかな?”

 

「先生がですか?」

 

“うん。何もしていないのも申し訳ないしね”

 

「そうですか。ですがそれは私の一存では決められません。明日、船長と共に伝えます」

 

“わかった。ありがとう”

 

「では、私は少し用事があるのでコレで失礼します。しばらくは船の上でゆっくりしておいてください」

 

スターバックはそう言ってどこかへ行ってしまった。

 

「先生、ありがとうございます。私のために…」

 

”気にしないで。ただ乗ってるだけなのが落ち着かないのは事実だし“

 

「ですが、ありがとうございます」

 

「そんなに気にする必要ねえんじゃねえか?」

 

いつのまにか銛をとって来たクイークエクはあっけらかんと言う。

 

「む、どんなことであれ何かされたなら感謝は述べるべきですよ」

 

「細かいことまでいちいち感謝してたら疲れねえか?」

 

「それがせめてもの対価というものです」

 

「そうなのかねえ」

 

和気藹々と会話する2人をよそに、私は少し海を見ていた。まだ出航はしていないが、とても美しい海の光景に目を奪われていた。すると、大きなドラの音が響き渡った。

 

「帆を下ろせ!抜錨せよ!」

 

スターバックが叫び指示を出す。それに従い周りの船員たちは動き回る。まるで統率の取れた軍隊のようだ。そうして、船は動き出した。鐘の音が響き渡る中、ゆっくりと確かに動き出した。

 

しばらくすると、エイハブが船長室から出て来た。何か少し大きな袋を持っていた。彼女が歩くたび、聞きなれない軋んだ音が聞こえる。先ほどはよく見えなかったが、彼女の足は義足だった。なんの素材でできているかは、私じゃわからなかった。その足でしばらく歩いた後彼女は船員全員が見える位置で止まった。そして、高らかにこう言った。

 

「全員、聞くがいい。今から私たちはあの白鯨、モビーディックを探し、殺す。私の足を食いちぎったあの白鯨の心臓に銛を投げ込んでやるのだ!そのためにはまず探せ。最初に見つけたものにはコレをやろう」

 

そう言ってエイハブは、手に持っていた袋を投げた。スタッブがそれを取り中身を見る。そこには、金銀財宝が入っていた。

 

「マジかよ!おい、お前ら見ろ!」

 

「は!嘘だろ!」

 

「こんだけありゃ、遊んで暮らせるぜ」

 

袋の中身を見て辺りはざわつく。そのざわつきはエイハブの義足の音によりすぐに静かになる。

 

「いいか。この船に乗っているということは、お前たちもあの白鯨を殺すことに命をかけているということだ。お前たちの技術も、お前たちの力も、お前たちの持ちうる全ては、白鯨を殺すためのものだ!たとえ何を得ようとも、何を失おうとも、それは全て白鯨を殺すためなのだ!それは私であろうと例外ではない!私も、私の命と、お前たちという全てを持って、白鯨を殺す!いいか?必ず見つけろ!あの尾に3つの穴が空いた白鯨、モビーディックを見つけろ!そして、奴が自身の黒血で真っ赤に海を染め、死ぬまで追い立てろ!お前たちも、そのために船に乗っているのだから!」

 

エイハブの高らかな宣言には、病的なまでの敵意が宿っていた。だが、ある種狂気とも言えるそれに、皆魅了されていた。

 

「さあ行くぞ!目標、モビーディック!白鯨を討ち滅ぼせ!」

 

彼女の掛け声を合図に、船中から歓声があがった。それはまるで、巨大な怪物の叫び声のようだった。

 

そんな、狂気に侵された船長と船員の様子を、スターバックは苦悶の表情で見ていた。




次回はクイークエクとイシュメイルの絡みが書けたらいいな
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