広告でよく見る『虫になれッ!』君に転生してしまった件について 作:K+#ガソ林
煙屋敷の中を歩くことが許された俺は、そこら辺を練り歩いていた。仕事がないから、やることがない。雑用は藤田がいるから頼まれないし、新しい生ゴミが来るまでは歩き回るのみである。
(そろそろ、ニカイドウが襲撃しに来る頃か?)
「ん?」
人の走る音が聞こえる。これは…そろそろ始まったか!俺は自分の身体にケムリをかけた。
「ゴキブリ手足!」
虫になる。それが俺の魔法の進化である気がする。虫の観察はあまりしたことがないが、魔法は便利なもので、それっぽいものをお出ししてくれるのだ。
シャカシャカと走り回り、足音の持ち主に合流する。煙ファミリーの下っ端だ。
「わっ!お前あの実験台か!?」
「ああ!雇われることになった。何があったんだ?」
「何者かが屋敷に侵入してきたみたいなんだよ!取り押さえないと…!」
「場所は?」
「ここの廊下を抜けた後…。」
「抱えてくぞ。」
この方が速い。
道案内してもらいながら、高速で現場に到着した。
───
「能井さん!ご無事だったんですね!」
「煙の部下と…お前誰だ?」
「昨日の玉木です。襲撃者は…。」
「すまん、逃げられちまった。」
どうやら、能井とニカイドウのマッチアップが終わった後のようだ。まずい、時間がないぞ…。そうだ!
「能井さん。俺、この通り速く移動できます。あいつを追ってきます!」
「ちょっと待て。」
ヨシ!期待通りの反応だ!
「先回りするぞ。あいつは栗鼠を狙ってる。俺が指示を出すから、抱えてくれ。」
「わかりました!では、行きますよ!」
下っ端を離して、能井さんを抱えた。何か言いたげな下っ端だが無視。
───
能井さんの指示通り移動していると、階段を登っている煙さん達と合流した。…。
流れでここまできたけど、ニカイドウをこの場面で捕まえたらやばいんじゃないか?カイマンは魔法使いの世界から帰れないし…。
まぁ、なんとかなるか!!!!行くぜ!!!!
「俺が突貫します!」
「玉木か!任せる!」
───
月下。
闇の中、月は光る。
しかし、濃密な闇はヘドロの如く、光を逃さず握りつぶす───。
「ついに見つけたぞ、栗鼠!」
───
「無事か!?栗鼠!」
「能井さん…と誰!?」
「悪いが、自己紹介している時間はない!」
その時だった、煙屋敷に潜伏していたニカイドウが、窓をぶち割って栗鼠のいる部屋に侵入した。
「くっ、先回りされていたか!」
動揺するニカイドウ。これはパワープレイもやむなしか…。
「オリャー!!!」
ゴキブリタックル!!!!オラ!!!!!!!!
「玉木!?」
「ぐはぁ!?」
「何!?」
俺の突進は、壁を栗鼠とニカイドウごとぶち割った。外に出る。
…俺の魔法は進化している!おそらくこの原理は、慣れないアクションゲームに一日苦戦した後一眠りしたら、次やる時はスッとクリアできる現象に似ている。
「能井!これはどうした!?」
「玉木がタックルを…」
「探せ!」
───
高い距離から飛び降りたが、ハチの羽を出したおかげで楽に着地できた。
「ニカイドウ、栗鼠。お前達に伝えておかないといけないことがある。」
俺はゴキブリヘルメットを外す。
「た、玉木…!?助けてくれたのか?」
「話は後だ。栗鼠、お前にも肝心な話だ。よく聞け。…カイマンが、栗鼠、お前を殺した犯人だ!」
「カ、カイマン…ホールのトカゲ男のことだな?だが…。証拠はあるのか?」
「な、何を言っているんだ、玉木!というか、お前のいうことは信用ならな───」
「十字目の者達は、ホールには行けない。…余程狙われている者でなければな。だが、誰に狙われたのか…それは栗鼠!お前の魔法だ!」
「…!」
「待て!カイマンは魔法使いじゃない!なんなら、アイ=コールマンもだ!ドアが出せないだろ!」
「何事にも、やりようはある。俺は可能だと思う」
「…。」
「栗鼠、ニカイドウ。逃げてホールにいけ…。」
ドアを出す。
「待て!玉木、お前はどうするんだ?」
「話すことはない!」
パワープレイも辞さない。
栗鼠とニカイドウを虫パワーでホールに突き落とし、俺はここに残って自殺することにした。
「うおりゃああああああああああ!!!!!!」
その辺の木に向けてゴキブリダッシュ。
通常、虫化により強化されている肉体は、タックル攻撃の反動を抑えることができる。そのため、衝突直前に魔法を解くことで、俺の身体を爆散させることができるのだ。多分死んだと思う。
───
次目覚めると、生首だった。
煙さん達が俺のことを取り囲んでいる…。作戦成功だな。
「ニャ。」
ここには、生物を生き返らせることができる魔法使いがいる。