邪兎屋の暴れ獅子   作:となりのヘテロ

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本当は前話と合わせて投稿する予定だったんですけどもぉ、7000、8000文字は長すぎるかってなってぶったぎりました


第3話 伝説のプロキシ、パエトーン Part2

「結局こうなんのかよォ!」

 

「GRRRRRAAAAAA!!」

 

「GAAAAAA!!」

 

「チッ、そんなに食らいたいなら…ホラよ!」

 

ビリーは二丁の拳銃でエーテリアスのコアを撃ち抜き、落ちてきたエーテリアスを蹴り飛ばす。続いて廃材を振り回すエーテリアスの攻撃を避け、振り下ろされた廃材の持ち手を踏み、そのままコアを撃ち抜いた

 

「どんなもんだ…うおっ!?」

 

拳銃をもってポーズを決めていると腕そのものが剣になっているエーテリアスがビリーに襲いかかろうとしてくるがアンビーが電磁ナタで切り刻んでいく

 

「ビリー、大丈夫?」

 

「助かったぜアンビー。アルマ、そっちは…」

 

「GYAAAAAAAAAAAAN!?」

 

2人でアルマの方を見るとアルマはエーテリアスを振り回してほかのエーテリアスたちに叩きつけていた

 

『ふー…なんか言ったか?』

 

「あーなんでもねぇ!店長、次はどっちに進めばいい?」

 

『全速力で直進!』

 

「了解!全速力で直進!……待てよ、直進だと!?」

 

ビリーが頭を抱えるのも無理は無い、なぜならプロキシの指さす方向には道はなく硬そうな壁だけがそびえ立っていたのだから

 

「破れってか!?壁をぶち破れってことなのか!?」

 

大きな声を出していたビリーの肩をアルマがポンと優しく叩き、画面を外して凄く爽やかな笑顔で話しかけてくる

 

「ビリー、お前知らないのか?道半ばにある邪魔な壁ってのは…ぶっ壊すためにあんだ」

 

「違ぇだろ!いや、違ぇとも言いづらいけど!!」

 

「任せとけって、昔に鉄の壁ワンパンでぶち抜いたことあるから」

 

「え、あうぉ…やべぇなお前」

 

『みんな、心配しないで。リンの言う通りにすれば大丈夫だから』

 

「おぉ!この声はもう1人のパエトーン!」

 

『お、お兄ちゃん!急に私のチャンネルで話しかけないでよ!びっくりしたぁ…』

 

『悪かったよ、でも今の君はボンプに意識を宿してるんだ。こんな形でしか連絡できないだろう?』

 

「1つの体で2人の声すんのなんか面白いな」

 

『3人とも、聞こえているかい?とにかく、リンの言った進路については間違っていないよ。知っての通りホロウの中は秩序の無い混沌、つまり…』

 

「生への道が死に見えたり、死への道が地獄に繋がってたりする」

 

「アンビー、貴重な情報をシェアしてくれてありがとうな…」

 

「地獄だろうがなんだろうが進めばなんとかなるだろ、ほれ行くぞ」

 

アルマはアンビーとビリーを両脇に抱え、軽くストレッチし始める

 

「ちょ、な、何やってんだよ。おい?」

 

「ビリー、喋っちゃダメ。舌を噛む」

 

「お、お前…まさか俺ら担いで壁に突進するつもりじゃ…」

 

『ホロウを出てからの脱出経路も手配してある。僕たちを信じて』

 

『それじゃ切るね!また後で!』

 

その言葉を最後にパエトーンは元のボンプであるイアスへともどった

 

「ンナ?」

 

「うぉい!なんで憑依とくんだよ!店長逃げんな!」

 

「おうイアス、頭に捕まっててくれ」

 

「ンナナ!」

 

「ま、待てアルマ!俺まだ死にたくねぇ!モニカ様とデートしたいし、まだ買ってないスターライトナイトのグッズもある!!」

 

「来月見たかった映画、地獄でも公開されるかしら」

 

「諦めるなアンビー!!」

 

「おーし!行くぞー!!」

 

「だからちょっと待」

 

ビリーの静止を無視しアルマは壁に向かって走り始める

 

「あぁあ!!ぶつかるぶつかるぶつかるぅ!!!」

 

奇妙な解放感と共に3人と1匹のボンプは壁をすり抜けた

 

「エーテルの圧迫感が消えた…」

 

「ふー、2人共お疲れさん!ビリーいいリアクションだったぜ。イアス、お前もお疲れさん!」

 

「ンーナナ!」

 

「死ぬかと思ったぜ…来週どころか永遠にスターライトナイトを見れなくなるところだった」

 

「アイツらが言ってたんだぜ?信じなくてどうする!ほら迎えも来てるしよ」

 

「「迎え?」」

 

「時間も場所もパエトーンの予想通りね!ほら、3人とも乗って!」

 

「ニコの親分!!」

 

「2人とも、ごめんね。危険な目に遭わせちゃって…」

 

「いいっていいって!こうやってまた無事に戻ってこれたんだ!ニコの親分が店長に頼んでくれたおかげだ」

 

「ニコ、お金は大丈夫なの?この前の依頼でパエトーンにツケてた分の半分支払ってたでしょう?」

 

「アタシに任せなさい!良い策があんのよ!」

 

「策とか言ってないでちゃんと払えよ、今月赤字じゃねーんだし」

 

「うぐっ…少しでも安くすんの!」

 

「どわぁ!?ニコの親分スピード出しすぎ!!」

 

「アンビー、ビリー、何ラーメン食いたいとかある?チョップ大将にあとでみんなで来るって言ったから俺奢るし行こーぜ?」

 

ニコはアクセルをベタ踏みし、いつも通り騒がしく大急ぎで六分街のビデオ屋へと向かった

 

 

「さ!着いたわよ、ほらみんな降りて!」

 

ホロウから脱出して僅か数十分、邪兎屋の車は既にビデオ屋の裏にある駐車場まで戻ってきていた

 

「ニコ、無免で信号無視、スピード違反はマジで危ないし、捕まったら二度と車乗れなくなるからか気をつけた方がいいぜ?」

 

「うぐっ…元治安官に言われると説得力が違うわね…頑張って免許は取るわよ…」

 

「約束だぜ?おっ、リンが出てきた」

 

「き、来たわね!ナイスタイミング!!」

 

邪兎屋メンバーが車から降りると同時にビデオ屋の裏口からリンが歩いてくる

 

「ニコ、戻ってくるのが早すぎない?まさかまた信号を無視したんじゃないよね?」

 

「そんなことないわよ。普通の青信号と、R値255の青を通過しただけだから!それにもちろん尾行もされてないわ!」

 

「…R値255の青ってなんだ?」

 

「あなたのジャケットと同じ色」

 

リンは腰に手を当て目を細めながらニコに顔を近付けていく。ニコはうっと目を逸らしそそくさとアルマの背中と長い髪の間に隠れる

 

「ニコ〜?」

 

「リン、こっちで注意したから許してやってくれ。ニコ、俺を盾にするくらいならすんなよ」

 

そんなことをしているとビデオ屋の裏口が再び開き、もう1人のパエトーンであり、リンの兄であるアキラが出てきた

 

「ニコ、従業員たちを助けたんだ。そろそろ残りのツケを払ってもらえないか?」

 

「待って、まだ終わってないでしょ!アタシの依頼は"人とモノ、どちらもホロウから出すこと"!ほら、半分しか終わってないじゃん!」

 

アルマの後ろからひょこっと顔を出し、アキラ対してブーブーと文句を言うニコ。そしてそんなニコを見てふふっと笑うリンとアキラ

 

「安心してニコ、今のはただのジョーダンだって。ちゃーんと覚えてるよ」

 

「もう!パエトーンは頼りになるって信じてたわ!」

 

アルマの後ろから飛び出し、パエトーン2人に抱きつくニコ。そんな3人の後ろからアンビーが手を挙げて近付いてくる

 

「撤退前に目撃した状況だと、対象の金庫は危険度の高いエーテリアスの活動範囲内にある。ホワイトスター学会の エーテリアス図鑑での登録名は"デュラハン"、上級エーテリアスよ」

 

「デュラハンか…普通のは何回か治安官時代やったことあるな」

 

そのデュラハンと呼ばれる上級エーテリアス、元は赤牙組のボスであるシルバーヘッド・ミゲルという男。彼はエーテル適応体質ではなかったためエーテリアスへ変異してしまったのだ。

 

「俺とアンビーで金庫を奪おうとしたけど、あいつ尋常じゃないくらい強くてさ。 撤退するのがやっとで回収まで手が回らなかった…」

 

尋常じゃないくらい強い、その言葉にピクリと獅子の耳が揺れた

 

「ニコ、晩飯作るのちょっと遅れるわごめん」

 

「ちょっと待ちなさいよ!!何しようとしてんの!!」

 

「決まってんだろ組長デュラハンと戦いに行くんだよ。その前に飯食ってキャロット手に入れてぶっ飛ばす、ついでに金庫取ってくるから」

 

「ついでってそっちが本命なの!わざわざエーテリアスと戦う必要ないの!!」

 

「俺は戦う方が本命なんだ、任せろ中身は壊さねぇよ何入ってるか知んないけど」

 

「なら今からそのことについて話すから大人しくしてて!!ほらこれみて!!」

 

ニコがアルマのコートを引っ張りながらポケットの中から何やらペンダントのようなものを出し、アルマの前に突き出す

 

「何だこの唐辛子みたいなペンダント…お前こんなの買ったのか?」

 

「違うわよ!!これはペンダント型のメモリディスク!シルバーヘッドの所有物よ。十四分街から抜け出す前に、あたしがビルの中で拾ったの!」

 

「わ、本当だ。クリスタル部分が取れるようになってる!」

 

「事前に調査したところによると... あのクソおやじ、これを肌身離さず持ってたらしいわ。 きっと、重要な何かが隠されてるはずよ!金庫の暗証番号と関係があるに違いないわ」

 

ドヤ顔をするニコだがリンの持っているペンダントを見てアンビーがペンダントの異変に気がついた

 

「でも…少し破損してるみたい」

 

「本当だ、焦げちまってるぞ!」

 

「そうなのよね、もしかしなくともあの爆発で壊れちゃってるみたいなの。ね、パエトーン!なんか方法はないの?あんたたちの店にあるあの複雑なコンピューターは使えない?」

 

「H.D.Dのスペックは、ほぼホロウデータの処理に割いている。けど、内部のデータを取り出すくらいでいいなら僕がインターノットの演算パワーを拝借して復元してみるよ」

 

「…アキラ、そういうのは読み取ろうとした機械から情報を抜いたりぶっ壊したりするウイルスとかで守られてるってのがよくある。だから無闇に自分の主力機械にぶっ刺すのはやめとけ。あるならノーパソとかで復元しな」

 

「わかったよ。ありがとう、アルマさん」

 

「こっちは何とかしてホロウにある金庫の位置を確認するから。手掛かりがあったらまた連絡するわ!」

 

ニコ、アンビー、ビリー、アルマは車に乗り、エンジンをかけて移動する準備を始める

 

「あたしから金庫の回収作業の連絡がくるまでは、 他の仕事をしててもいいわよ!あ、メモリディスクからデータを抽出するのも忘れずにね」

 

「じゃあまたな店長!」

 

「では、また」

 

「リン、アキラ、今日はありがとうな!今度ルミナスクエで美味いもんたらふく奢るぜ」

 

こうして、邪兎屋の波乱の1日は仲間たちを無事助け、幕を下ろした。

 




脳筋だけど邪兎屋に入る前は友人達にご飯作ったり、同僚の資料作成手伝いもしてたので実はなんでも出来るアルマ。
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