邪兎屋の暴れ獅子 作:となりのヘテロ
エーテリアスのデザインめっちゃかっこいいですよね、トラキアンが特に好きですぼかぁ
『やーっぱ、ハッキングされてたか』
「まさか謎のハッカーが店長たちのシステム乗っ取るなんてな…」
「ニコが依頼料をケチったことを怒ってた訳じゃないんだ」
あの後、兄妹たちの身に起きたことを1から10まで説明してもらっていた。なにやらハッカーにより操作権限から何から奪われてしまっていたらしい
『そんな血も涙もないプロキシじゃ…え、もっと払えてたの?』
「アンビー、シーッ!やっぱりアタシの目に狂いはなかったわ!」
アンビーの口を塞ぎ、すかさず兄妹を褒めるニコ。そんなニコをじと目で見るパエトーンに、俺が話しかける
『まぁパエトーンの話聞く分に、やっぱ赤牙組のペンダントに細工がしてあったとみて間違いないな』
『H.D.Dの脆弱性診断を行ったけど、 確かにその可能性が一番大きい。アルマさんの忠告通りにしてれば…こんなことにはならなかった』
『あ、お前ら俺の言う事聞かなかったのか?』
『実はノートパソコンじゃスペック足んなくて復元しきれなくて…』
『あのなぁ…お前たちは機械が主力なんだからそこら辺ちゃんとしなきゃダメだろ?』
『『はい……』』
「まぁまぁアルマ、そこら辺にしといてあげなさいよ、頼んだのはアタシたちなんだし。となると、赤牙組の連中も誰かに依頼されて金庫を奪ったってことになるわね」
「おぉ、俺たちと一緒だな」
「プロキシ先生の介入がなかったら私たちが正体不明の黒幕と対峙することになってたはず」
てことは電脳戦になってたかもしれないのか…良かった、俺は機械操作は人並みだし何も出来ずにやられちまうだろうかな
「いやーやっぱ店長は頼りになるぜ!まるでスターライトナイトの相棒犬、メテオマットみてぇだな」
「ねえビリー…聞き間違いじゃなかったら私のことを ワンちゃんって言った?」
「ち、違えって、店長!そういう意味じゃ…」
ビリーがジリジリとパエトーンに追い詰められているのを他所にニコはわなわなと震えていた
「あの時は多額の報酬に目が眩んだけど、 結局今回もろくな仕事じゃなかったわね。 もう二度と情報屋の口車には乗らないわ!帰ったらさっさとこの火の粉を振り払って、 仲介業者に2倍の追加報酬を要求してやる!」
待ってなさいよー!!と新たに決意を固めたニコにアンビーが声をかける
「ニコ、ホロウでの捜索を急ぐ必要がある。 私たちの滞在時間がエーテル適応体質の限界に迫ってる。それに…」
「そ、それに?何よ?」
「アルマが暴れだしそう」
『いや忘れてたけどよォ…デュラハンどこいんだよデュラハン…』
「さっきまで大人しかったじゃない!?」
「お、おいアルマどうしたんだよ」
『いや、赤牙組のペンダントで思い出したわ。俺たちの目的は…デュラハンとの死合!!』
「ちげーよ!?金庫だよ!?」
『パエトーン、大至急ナビしろ!!そして俺をデュラハンの元まで導いてくれ!!』
『えぇ!?デュラハンの居場所はわかんないんだけど!?』
『ハハハハ!待ってろデュラハン!!楽しい時間はすぐそこだァァ!』
『話聞いてよアルマさん!!!』
その後、邪兎屋の面々はしばらくして駅の待ち合いホームのような場所の近くで金庫を発見した。エーテリアスの気配無し、デュラハンらしい姿も見えない
『結局会わなかったか、デュラハン』
「今日はツイてるぜ!へへっ!」
「アタシの金庫!!やったぁ!」
「残念だったわね、アルマ」
『ハァ、俺の楽しみが…』
肩を落とすアルマ、そしてそんな彼の背中を撫でるアンビー。彼らが2人の後に続こうと1歩前に出た瞬間、2人を殺気が包み込んだ
『アンビー!!』
まず最初に動いたのはアルマ、彼はアンビーを横に突き飛ばし迫り来る虹色の刀身から彼女を守る
先程までアンビーとアルマの位置に立っていたのは体と盾の1部が銀色の鉱石に変色し、雷を思わせる形をした刃のような手をしているデュラハンが立っていた
「アルマ!!!」
『無事だ、俺も避けたし怪我はねぇ!』
「チッ…今日はツイてるぜ…!」
「アレがデュラハン…!これはアタシの金庫よ!アンタなんかに渡さないんだから!」
「GRROOOO……」
デュラハンは金庫を抱えるニコに対し、酷く苛立っているのか刀身を輝かせ、攻撃態勢へ入った
「チッ…!やる気満々か…!」
「皆!さっさとアイツ倒して早いとここんなとこから…」
ニコ!アンビー、ビリーも次々に攻撃態勢へ入るがそんな3人にアルマが待ったをかける
『お前ら、俺がやるから下がっててくれ!』
「は、ハァ!?何言ってんのよ!」
『前戦ったデュラハンとは比べ物にならんくらい速い、盾も刀もデケェ!いいね、強そうだ!』
「親分、ああなったら止められねぇよ…」
「待ちに待たされた分、いつもよりも興奮してるわ。近寄らない方がいい」
「あーもう!アルマ!!ヤバいとおもったら助けにはいるからね!」
『ありがとう!!大好きだぜ社長!!』
ずんずんとデュラハンの元へ近づくアルマ、それに対して攻撃態勢を解き、仁王立ちのままのデュラハン…
まさに一触即発の空気にその場のだれもが息を飲み、どうなるかを見守る
「GROOOOO!!!」
最初にしかけたのはデュラハン、左手の盾でアルマを殴りつけ、ヒールを履いているような足で蹴りつける
「GROOO!?」
だが、アルマは微動だにしていなかった
『おいおい、その右手の刀は飾りじゃねぇよな?そんな立派なもん持ってんのに使わねぇなんて馬鹿か…よおッ!!!』
続いてアルマの攻撃、デュラハンは盾を構えて防御の体制をとるがなんとアルマはその盾を粉々に砕き、そのままの勢いでデュラハンのコアをぶん殴る
「GRAAAAAA!?」
あまりの力にデュラハンはよろけ、地面に剣を刺して膝を着いた
そんなデュラハンの前にしゃがみこみ、挑発するアルマ
『おい、治せるんだろ?さっさと治してかかってこい』
デュラハン、もといエーテリアスに感情があるのか分からないが赤い電撃のようなものを走らせながら地面を目にも止まらぬ早さで切り刻み、周囲を震わせるほどの雄叫びを上げた
「エーテル活性が…更に上昇した!?」
「おいやべーって!アルマ!!」
『大丈夫だ、ビリー』
デュラハンはアルマとの距離を一気に詰めると右手の刀を隙なく振り下ろしてくる
『本気出してきたか!いいぜその調子だ!』
振り下ろし、振り上げ、突き、交互に組み込まれる剣撃の雨がアルマに絶えず降り注ぐもそれら全てを見きっているのかアルマには一切当たらなかった
「おいおい嘘だろ…アレが当たんねーのかよ…」
「刀身を叩いて逸らしたり、デュラハンの体を殴りつけて攻撃のバランスを崩して避けてる。優れた動体視力、桁違いのパワーのあるアルマだからできる技よ」
「GROOOOO!!!」
デュラハンは再び赤い稲妻を放ち、雄叫びをあげると同時に飛び上がり、盾で地面を叩く。すると地面から大量の結晶が出現しアルマを突き上げた
『なるほど、こう来たか』
その隙をデュラハンは見逃さない、敵が空中に放り上げられ身動きができないまたとないチャンス、一撃で仕留めるため右手の刀身に力を貯め、最大出力の突きをアルマに向けて放った
『アルマさん!!』
「「アルマぁああ!!」」
「アルマ…!!」
デュラハンの突きは命中、砂煙が巻き起こりアルマがどうなったか見えない
だがあの状況、防御しようが何しようがデュラハンの刀が体を貫通し絶命しているだろう
並のホロウレイダーや治安官であればの話だが
『おいおい、今ので…コレかよ?』
砂煙が収まると胸に刀が当たっているが一切の血が出ていないアルマが立っていたのだ
「EEEEEEE!?」
「「『ええぇぇぇえええ!!!?』」」
「嘘…!?」
『どんな強いエーテリアスかと思ったら、正直期待ハズレもいいとこだ。前のやつより力が強いだけ、ただ速いだけ…。テメーはただのナマクラ振り回してるだけのポンコツだ!!』
アルマは刀身をへし折り、デュラハンのコアにそのまま拳を叩き込む。そしてすかさず腹に膝蹴りを食らわせ反対側の壁にデュラハンを追い込んだ
「GRAA、GRUOOOO…!!」
『もう回復待ってやんねーからな、死ぬ気で戦えよ?』
パラパラと崩れている身体を一瞬で復元、デュラハンは狂ったように剣を振り回すがそれを上回る速度でアルマは拳を放ってきた
『オラオラオラァァ!』
刀身を砕き、盾を砕き、足、手と次々に破壊来ていくアルマ。デュラハンもなんとか再生し続け、ガードをしながら何とか抵抗を続けていくがやがて再生することも出来なくなり、跡形もなく消え去った
その様子を見てアルマは手を合わせ、目を瞑って祈りを捧げた
『なんまんだぶ、なんまんだぶ…っと、終わったぜ!お前ら…何してんだニコ、ビリー、パエトーン?3人で抱き合って』
「い、いや…ちょ、ちょっとね」
「俺、アルマのこと怒らせねぇ、絶対絶対、怒らせねぇよ…」
『アルマさん、本当に人間…?』
『ん?正真正銘、母ちゃんの腹から生まれてきた一般
「怪我はしてない?」
アンビーが近づき、アルマの体を見て回るがアルマはサムズアップしてアンビーの頭を撫でる
『おう、無傷よ。ライオンのシリオンは頑丈なんだぜ?あんくらいじゃ怪我しねーよ』
「いや、多分お前だけだと思うぞ…?どんな筋肉してたら刀が刺さらない胸筋を手に入れられるんだよ!?」
『普通に鍛えたらこうなるだろ』
「ならねぇんだよ」
「ニコ、金庫が手に入ったのならはやくホロウから抜けなきゃ」
「ハッ!そ、そうね!プロキシ早速帰り道の案内を…」
『それがね、ニコ…あの悪玉ハッカーにホロウを脱出するために用意したデータを削除されたの』
ニコの持つ金庫の上に立ち、とんでもない事実をプロキシがカミングアウトした。つまりニコ達はこのホロウの中から脱出する手段が無いのだ
「そ、そんなぁ…あんなに苦労してやっと元に戻ったと思ったらまさかこれで終わりだなんて」
「あぁ、モニカ様とデートしたこともねぇってのに…けどまぁ、なかなか悪くない人生だった」
「落ち着いて2人とも、なにかほかの手がないか考えてみる」
「なぁパエトーンさんや、そんなに落ち着きはらって話してるって事はなんか他の手があるってことだろ?」
仮面を外し、土埃の着いた箇所を払って掃除しているアルマの言葉にほかの3人は一斉にプロキシを見る
『そう、とっておきの切り札があるの!でも、ニコの同意が必要なんだけどね』
「同意する!」
『受け入れるの早くない!?悪玉ハッカーが言ってたんだけど、 金庫にはあの"ロゼッタデータ"*1並に価値のあるものが入ってるって。それがあれば、ホロウを自由に出入りできるみたい』
「へぇ、そんなスゲーもんがこん中に…そんならさっさと金庫ぶち壊して中身取り出そうぜ」
『いや、暗証番号あるから大丈夫だよ?』
「あ、そうだったな。失敬失敬…!」
『本当にいいの?依頼人の方は大丈夫?』
「いーのいーの!生きるか死ぬかの瀬戸際だし、第一アタシたちが死んだら誰が金庫を届けるの?開けちゃって問題ないわ!」
『わかった、じゃあ開けるね』
プロキシはボンプの小さな手で器用に金庫のボタンを押し、中に入っていたチップを取り出す
『でも正直、私も何が保存されてるのかは分からないんだ、強制的にデータを読み取った結果…何が起きるかはわからない』
プロキシが不安そうにチップを見つめながら話をしているとアンビーが話を遮ってくる
「待って、質問があるんだけど…あなたの本体はホロウの外でしょう?そのまま立ち去ることも出来たのに、どうして危険を冒してまで私たちを助けにきたの?他に何か企みでも?」
「アンビー、あんた何言って…!」
『変な質問だね!私はあんた達のプロキシだよ?連れて行くって約束したんだから絶対に連れ出してみせる!』
その言葉を聞いて邪兎屋の面々は顔を見合せて笑い合い、改めてプロキシの前に立つ
「そこまで言われちゃ…信じるしかないわね!」
『それと…あんまり考えたくないけどもし私が失敗したら、 H.D.DシステムがインターノットSNS、掲示板的な場所のこと。で救援依頼を出してくれることになってる。その時は…』
「安心して!ここを脱出できたら何があっても店まで助けに行くから!」
「どんな奴がいても、蹴散らしてやんよ」
「お前が言うと説得力しかねぇな…」
『ふふ、そんなこと言っても依頼料はタダになったりしないよ?』
プロキシが頭部にあるユニットにチップを差し込み、読み込んでいるためか小刻みに震え始める
「ちょ、ちょっと?これ大丈夫なの?」
「あー、ツェイが似たようなことになった時は…ぶっ壊れてたな」
「て、店長?店長ー?聞こえて…うぉお!?」
「ンナナァーーー!!!」
ビリーが頭を触ろうとすると突然ボンプが浮かび上がり眩く輝き始める
「「えぇぇえええええ!!?」」
「後光さしてる!!アンビー、パエトーンに後光が!!」
「後光というより、彼女自身が光源になってるように見えるんだけど」
やがて光が消えるとボンプが地面にぼとりと落ち、まったくうごかなくなってしまったのだ
「……止まった?」
「プロキシ?プロキシ!!?ねぇ大丈…わっ!?」
ニコがボンプを揺するとボンプは急に立ち上がり、どこかへ歩き始める
「まさか…また乗っ取られた…!?」
「…ニコ、行くぞ」
「ちょ、アルマ!アレがプロキシとは限らないのよ!?出口まで連れて行ってくれるとは…」
「正直俺も怪しいとは思うがもう他に手はない、そうだろ?このまま此処で何もせずエーテリアスになるくらいならアレに着いてった方が幾分かマシじゃないか?それに…」
髪の毛を縛り、アルマはボンプを指さしてにかりと笑う
「何となく、大丈夫な気がすんだよ!」
「……何それ、勘ってこと?」
「おう!安心しろよ?俺の勘は良くも悪くもよく当たるってもっぱら話題になったんだよ」
「悪い方にも当たんのかよ!」
「でも今は良い方だ!もちろん、それも勘!」
「こっわいんだけど…行くしかないわね」
道中、エーテリアスに襲われながらも邪兎屋の面々は無事にホロウから脱出することが出来た。しかし、ホロウを出た途端再びボンプが震え始める
「また震え始めたぞ…?」
「…ビデオ屋の本体に何か異常が起きたのかも、確認しに行った方がいい」
「っ!!皆、急ぐわよ!」
「ニコ、お前ら先にいけ!俺は闇医者連れてくる!何かあってから呼んでたら間に合わないかもしれねぇだろ!」
「なら私もアルマに着いていくわ、アルマは普段仮面をつけてるし診察受けたりする回数が少ないでしょう?顔を覚えてられてないかも」
ニコ、ビリーでビデオ屋へ向かいプロキシもといリンの安否確認を、アルマ、アンビーは闇医者を連れて行くため反対方向へ走り出す
結果としてリンを救出することは成功した
ニコたちがビデオ屋に行くと痙攣しながらうわ言を喋るリンとそれを見て大慌てのアキラがいた。ニコはすぐさまアルマ達に連絡、そして10分足らずで闇医者と精密機械の入ったカバンを抱えてビデオ屋へ
何とかリンをH.D.Dから引っ張りだし、異常はないか診察を開始する
「リン…」
「アキラ、大丈夫だ。リンは必ず戻ってくる」
「アルマさん…」
「この件、俺が調査する。赤牙組の連中叩けば何か出てくるかもしれないからな」
アルマはアキラの頭をくしゃくしゃ撫でると店の外へ歩みを進める
「ニコ達には調査に行ったって言っといてくれ。あ、そうだ。ツケてた分+今回の依頼料、振り込まれてなかったら連絡してくれよ?ニコのへそくりから引っ張り出すから」
アルマはそう言うとビデオ屋の扉をそっと閉めて六分街を歩き始める
「さて、と。どっから調べていこうかねぇ?赤牙組の連中一人一人縛りあげて話聞いていくか…いや、シルバーヘッドが死んで幹部連中が逮捕られた今、依頼について聞いてた奴はいないか…待てよ、それなら…!」
アルマは携帯を取りだし、どこかに電話をかけた
「あ、もしもし?久しぶり、アルマだけど……うっさ!?わ、わかってる、わかってるって…ごめんごめん…はい、はい…いやさ、ちょっと折り入って頼みがあるんだけど」
なんで要警戒のデュラハンなの?って質問多分来ると思うですけどアルマのヤバさを際立たせたかったために強化個体にしとこう、分かりやすく見た目も違うコイツにしようって感じで決まりました。
お話のストックが切れたため書け次第投稿していきます