カードファイト!! ヴァンガードOverlord   作:リュウ・セイ

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第1章:邂逅編
第1話:邂逅/ドラゴニック・オーバーロード


 

 

 

 ──ある日、僕は夢を見た。

 

 これが何故夢だとわかるのか?それは空を見上げると、沢山の竜が飛び回っていれば、流石に夢だと思うだろ?というか、そう思いたい。

 

 何より、自分がいる場所が現実ではありえない砂漠地帯にいるからだ。

 

 いや、仮に、ここが本物の砂漠なら、まず暑さで頭がおかしくなっているだろう。

 

 だけど、不思議と暑さが感じない。それよりも足が地面につかず、少し、(ちゅう)に浮いている。

 

 服は寝る前に着たパジャマだ。

 

 ここまでくれば、流石に夢だと思うだろ?というか、そう思いたい。

 

 ……大事なことなので、2回言いました。特に深い意味はないです。

 

 さて、どうしたものか。ずっと同じところに突っ立っている訳にもいかないし、少し動くか。

 

 そう思って、足を一歩動かすと、一瞬で景色が変わった。

 

 

 

 

 

 そこはどこか、遺跡のような洞窟の中で、5つの大きな壁画(へきが)と、小さな壁画がいくつかあった。

 5つの大きな壁画の中の内、4つの壁画には、それぞれ、イラストのような特徴と名前らしきものが刻まれていた。

 

 

 翼を広げ、剣を持った竜──ドラゴニック・オーバーロード

 

 

 火を()く竜の背に乗る竜騎士──ドラゴンナイト・ネハーレン

 

 

 鎧を(まと)い、剣を持った炎の悪魔──鎧の化身バー

 

 

 どこか、ドラゴニック・オーバーロードの影を感じる小さな竜──リザードランナーアンドゥー

 

 

 そして、5つ目の壁画にはイラストと名前が書かれる枠があるが、それ以外が全くなく、まるで白紙のような壁画があった。

 

 

 ……いや、何だこれ?意味がわからん。

 というか、自分も自分で、日本語でも、外国語でもない、よくわからない字が読めているな……。

 ってか。この、何もない壁画は一体なんなんだ?すげえ気になる。

 

 そう思って、ふっと、ドラゴニック・オーバーロードに目を見ると、僕はその場で固まった。

 

「……」

 

 何だろう。すごく、ドラゴニック・オーバーロードから目が離せない……。

 

 そう思った僕は無意識にドラゴニック・オーバーロードの壁画に近づいた。

 

 

 ────ッ。

 

 

「っ!?」

 

 一瞬、壁画の向こう側から声が聞こえた。

 

 何だ?ノイズまみれで、何も聞こえないぞ?

 

 ……どうする?

 

 

 ────────ッ!!

 

 

「!?また、声が聞こえた……!!」

 

 僅かだけど、今度ははっきり聞こえた。

 

「手を……壁画に触れれば良いんだな……?」

 

 

 ────ッ。

 

 

「……わかった」

 

 僅かに聞こえた返事に、僕は迷わず、手を壁画に触れた。

 

 

 ──パキッ!

 

 

 すると、触れた場所に小さなヒビが入り、そのヒビがどんどん広がり、やがて、壁画が完全に崩壊し、光が差し込んだ──

 

 

 

 

 

 ──ピピッ!ピピッ!ピピッ!ガチャ!

 

 

「ん……」

 

 頭上(ずじょう)に鳴り響く、小さな時計を手で止めて、僕はベッドから体を起き上がった。

 

「……なんか、変な夢を見たな」

 

 起き上がって、僕は真っ先に、先程見た夢を思い出し、感想を述べた。

 

 本当に何だったんだ?アレは?

 

 そう思った時、スマホからメールの着信音が鳴り、僕はその相手が誰なのか、気になり、相手の名前を見ると、友達からだ。

 

「何々、『いつになったら来るの?時間過ぎてるよ』……え?」

 

 そう言われて、時間を見ると、僕は背筋が凍るような感覚を感じ、一気に眠気が覚めた。

 

 やらかした!今日は友達にヴァンガードを教えてもらう約束だった!

 

 友達との約束を思い出した僕は、素早く私服に着替え、待ち合わせ場所にいる友達のもとに急いで向かった。

 

 

 

 

 

 ──待ち合わせ場所に着くと、すごく不機嫌そうな少女が僕を出迎えた。

 

「おそーい!30分も遅刻よ!アカマル!」

「ごめんごめん!今度、美味しいもの奢るから、それで勘弁して!ね?レイ?」

「ほんと!?それなら今度、コレ奢って!」

「……え?」

 

 突然、チラシを見せられた僕はその金額に絶句した。

 

 た、高すぎる!1万円でフルーツ食べ放題は流石にぼったくりだ!

 

 けど、ここで断ると、後で色々言われそうだ……。

 

「わ、わかった!1万でも、1億でも、どんとこい!」

「フフフ、もう冗談だよ。さ、お店に行こ!今日は目一杯、ヴァンガードを教えてあげる!」

 

 そう言って、彼女は満面の笑みで、僕の手を握り、あるお店──カードショップに向かった。

 

 

 ……いや、それよりもまず、一言物申したい。

 

「手を握る意味ある?」

「!?な、何よ!?アンタは私と手を握りたくないの!?」

「いや、そういう訳じゃないよ!色々と勘違いするでしょ!」

「え……?」

「……あ」

 

 しまった、今のは完全に失言だ。そう思ったが、もう既に手遅れだ。

 

 彼女──レイちゃんの顔がオーバーヒートした。何が言いたいかって?

 つまり、彼女の顔がすっごく赤くなっている。

 

「も、もう良い!先に行ってるよ!」

「あ、待ってよ!レイちゃん!」

 

 ぷんぷん、と、怒りながら、レイは先に行き、僕は彼女の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 ──数分後。

 

 僕達は目的のお店──『カードショップ・ドラエン』に辿(たど)り着いた。

 

「……ここが私の行きつけ、カードショップ・ドラエン!ヴァンガードを多く扱ってる数少ない店の一つよ!」

 

 お店に着くと、さっきまで不機嫌だったのが嘘のように、元気よく、レイが簡単にお店を紹介した。

 

「……ここがカードショップ・ドラエン」

 

 お店の前に立つと、僕はお店の雰囲気に圧倒され、足が震えて、その場で固まってしまった。

 

「ふ〜ん、何?緊張してるの?」

「そ、そんなんじゃないよ!これは武者震いってやつだよ!」

「意味、一緒じゃん」

「あ……」

 

 レイに言われて、僕は少し顔を赤くして、恥ずかしさを感じた。

 

「心配しなくても、ここにいる店長、良い人だし、私もついてるから、安心しな。ね?アカマル?」

「……ありがとう。とりあえず、入ろうか」

「うん。そうこなくっちゃ!」

 

 そう言って、僕とレイは一緒にお店の中に入った。

 

 

 

「いらっしゃい。ようこそ、カードショップ・ドラエンへ。レイちゃんから話は聞いてるよ。キミがアカマル君だね?」

 

 お店に入ると、真っ先に、このお店の店員さん?らしい男の人が僕とレイを迎えてくれた。

 

「ちょっとー、火野(ひの)店長?ちゃん付けはやめてって、いつも言っているでしょ?」

「ははは、悪いね。つい癖でね?」

「全く……まぁ、火野店長なら、仕方がないか……」

「そういう君も、『火野店長』って呼び方、やめてくれるかい?それと、目上の人にはもう少し誠意をもって、話したらどうだ?」

「自分よりも早く生まれたからって、同じ人間なのは変わりないでしょ?」

「ああ言えばこういう……全く、誰に似たんだか……」

「……」

 

 完全に置いてけぼりを喰らった僕は、二人の会話を聞いて、どれだけ仲が良いのか、二人の会話から、すごく伝わった。

 

 同時に、何か、モヤモヤする感覚を覚えた。

 

 何だろう、この感覚は……?

 

 この人は別に悪い人ではない。

 レイが他の人と仲良くするのも、ましてや、僕以外の男性と仲良くするのも、別に悪いことでもない。寧ろ、良いことだ。喜ぶべきだ。

 

 それなのに、今日の自分は何か、変だ。

 

 変な夢を見るし、レイが僕以外の男性と仲良くする姿を見るし、すごく……嫌な感覚だ。

 

「おっと、失礼。君を置いていくつもりはないよ……アカマル君?」

 

「!?」

 

 突然、火野さん……店長さんが僕に声をかけた。

 

「さっきも言ったけど、キミがアカマル君で良いかい?」

「……はい。アカマルと言います。今日はよろしくお願いします、店長さん」

「そんなにかしこまらなくて良いよ、アカマル君」

 

 そう言って、さっきまで、優しそうな顔をしていた店長さんが少し真面目そうな顔をした。

 

「ヴァンガードを教える前に、キミにいくつか、質問しても良いかな?」

「……はい。答えられる範囲なら問題ないですよ」

「わかった。それならレイちゃん、少し席を外してもらえるかい?」

「はーい」

 

 そう言って、レイは奥のショーケース売り場に行った。

 

 残った僕は店長さんと向き合った。

 

「さて、アカマル君。キミの名前は渾名(あだな)かな?」

「はい。渾名です」

「渾名の中に、キミの名前が入っているかい?」

「いえ、入っていません……あの、失礼ながら、一言良いですか?」

「ん?何かな?言ってみなさい」

「この質問、何か意味があるんですか?」

「意味ならあるよ。この質問次第で、キミに合うカードや国家が判明されるんだ」

「え?そうなんですか?」

「ああ、そうだ。彼女も……レイちゃんも、この質問を受けている」

「……」

「安心したまえ。何も変なことは聞いてないよ」

「僕、何も言ってませんよ」

「言わなくてもわかるよ。顔を見れば……ね?」

「……?」

 

 何やら意味深なことを言うが、店長はお構いなく、質問を続けた。

 色んな質問をされたが、あまりヴァンガードに関する質問はされなかった。

 だいたいが好き嫌いの食べ物や動物、アニメやドラマを何を観るのか、漫画や小説を何を読むのか、趣味や特技など……兎に角、ヴァンガードと一切関係の無い質問をされた。

 

「次に最後に夢を見たのはいつ?それと、夢の内容を覚えているかい?」

「夢……ですか?」

「うん、夢。寝ている間に皆がよく見る、あの夢だよ?」

「……」

 

 僕は今朝見た夢の内容を思い出した。

 夢とは思えないような感覚、不思議な壁画がいくつかあったこと……それらをすべて思い出した。

 

 一瞬だけ、それを言うか、悩んだけど、何となく、言ってもいいと思った。

 

 いや、言わないといけない気がした。何故だかわからないが、そう思った。

 

「……今朝、変な夢を見ました」

「夢の内容は覚えているかい?」

「はい。どこか、遺跡のような、洞窟の中にいました」

「その時、何かを見たかい?」

「はい。大きな壁画が5つと、小さな壁画がいくつか、ありました」

「……そうか。その壁画には何が描かれているんだ?」

「その壁画には……アレ?」

 

 ……思い出せない。

 

 何でだ?さっきまで、覚えていたのに、急に思い出せなくなった……。

 

「?どうかしたんだい?」

「……あの、えっと、すいません。さっきまで覚えていたんですが、急に思い出せなくなりました」

「?そうなの?それなら仕方がない。次の質問に移ろうか……」

「……」

 

 ……この人、切り替えが早いな。

 

 これが大人の余裕だと思うと、ちょっと、羨ましいな。

 

「……おっと、これが最後のようだね。アカマル君、この質問、答えられるかな?」

「あ、はい!どんな質問でも答えてみせます!」

「うん、良い返事だ。それなら最後の質問、キミがヴァンガードを始めようと思ったキッカケは?」

「……え?それだけですか?」

「うん。これだけだよ」

「……」

 

 なんか、最後の質問なのに、しょぼいな……。

 

「えっと、レイが楽しそうにしていたから、です……」

「……なるほど。ありがとう、これで質問は終わりだよ」

 

 そう言って、店長さんはレジの向こう側に入り、何やら、ファイルのような物──カードファイルを2つ、いや、3つ、取り出した。

 

 それを持って、僕の元に戻り、カードファイルを僕に渡すように、差し出した。

 

「その中から、好きなカードを1枚選んで」

「え?1枚……だけ、ですか?」

「うん、1枚だけ。その選んだカードがキミの分身……相棒になるカードだ。だから……よく考えて選んでね」

「えー……」

 

 ちょっと待て。あの質問は何だったんだ?

 さっきの答えで、僕に合うカードが決まるんじゃないのか?

 

 ……何を考えているんだ、この人は?

 

「もし、自分で決められないなら、レイちゃんにアドバイスをもらうと良い」

「……わかりました。けど、レイの力は借りません。自分で考えて、自分で決めます」

 

 そう言って、僕は3つのカードファイルを持って、奥の『フリースペース』と書かれた机に向かった。

 

「……一言、余計だったかな?」

 

 

 

 椅子に腰を下ろし、3つのカードファイルを机の上に置き、その内の1つのカードファイルを広げる。

 

 さて、色々あるが、何にするか……。

 

「何にするか?決まった?アカマル?」

「うわ!?」

 

 突然、顔を近づけてきたレイの顔を見て、僕は驚き、椅子から、盛大に崩れ落ちた。

 

「いてて……全く、脅かすなよ、レイ」

「ごめんごめん。それよりも……大丈夫?アカマル?」

 

 そう言って、彼女は手を差し出し、僕はその手を掴んで、レイに引っ張ってもらう形で、立ち上がった。

 

「一応、大丈夫だけど、カードの方は大丈夫かなぁ……」

「それなら大丈夫よ。このファイルに入ってるカード、コピー機でコピーしたカードだから、実物は1枚も入ってないよ」

「え?」

 

 レイに言われて、もう一度、カードファイルに目を向けると、1枚も実物のカードがなかった。

 レイの言う通り。ここに入っているカードはすべてコピー機でコピーした薄い紙が入っているだけだ。

 

「この店、子供から大人まで、色んな人が来るから、店長が雑に扱われないために、こうしてあるのよ」

「なるほど……それにこれだと、盗みの対策になるな」

「お、わかってんじゃん。さっすがアカマル!頭が良いねー!」

 

 いや、こんなん、誰でもわかるだろ?

 最近、ニュースでカードの盗みが起きてんだし、それの対策と考えれば、納得だ。

 

「ん?」

 

 ふっと、一つのファイル──『国家 ドラゴンエンパイア』と書かれたファイルから1枚のカードがはみ出していた。

 

 アレ?でもさっき、レイの話だと、実物のカードは1枚も入っていない筈じゃ……。

 

 

 ──グオオオォォォッ!!

 

 

「っ!?」

 

 突然、カードの中から何かが叫ぶ声が聞こえた。

 

 僕は恐る恐る、ゆっくりと、そのカードに手を伸ばした。

 

 

 ──すると、光がまた、僕を差し込んだ。

 

 

 

「っ!?ここは……!?」

 

 視界が晴れると、そこは今朝、夢で見た遺跡のような洞窟の中だった。

 

 ただ、前とは違うのは4つの壁画が崩れていた。

 

 その内の1つ、ドラゴニック・オーバーロードがあった壁画の前に僕は立っていた。

 

 そして、真っ暗な空間の中からズシッ!ズシッ!と、大きな足音がゆっくりと、こちらに近づき、姿を現した。

 

 

 ──その姿を見た時、僕は驚きの声を上げた。

 

 それは壁画に描かれていたドラゴン──ドラゴニック・オーバーロードの姿だった。

 

「っ!?お前は……ドラゴニック・オーバーロード!?」

 

「グオオオォォォォォッー!」

 

 僕の声に反応してか、ドラゴニック・オーバーロードはお叫びを上げた。

 

 

 




初めましての方は初めまして。
そうでない方はお久しぶりです。リュウ・セイです。
この度、ヴァンガードの二次創作、もとい、オリジナルのヴァンガードの物語(ストーリー)を描かせていただきます。
描きはじめの経緯は完全にヴァンガードにハマったからです(笑)

さてさて、後書きなので、あまり長くは語りませんが、主人公、アカマルがオバロと出会い、どんなファイトをし、どんなファイターと関わっていくのか、以後、ご期待ください♪
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