カードファイト!! ヴァンガードOverlord 作:リュウ・セイ
「────ッ!──カ──ルッ!──アカマルッ!」
「っ!?アレ……?」
さっきまで、僕は遺跡にいた筈じゃ……?
レイの掛け声で、僕は周囲を見渡すと、いつも間にか、カードショップ・ドラエンに戻っていた。
「?どうしたの?アカマル?」
「……いや、何でもない」
まさか、起きている間に夢を見るなんて、信じられる訳……ないよね?
「そう?それよりもアカマル。そのカード、どうするの?」
「え?カード?──っ!?」
レイに言われて、僕は手に持っていたヴァンガードのカード──《ドラゴニック・オーバーロード》を見て、はっと息をのんだ。
「……夢じゃなかった」
「?アカマル?」
「レイ、僕……いや、オレ、このカードを使いたい!」
「え……?」
オレは《ドラゴニック・オーバーロード》を見てながら、レイに言った。
それを聞いたレイは驚き、偶然、目に入った店長さんがオレ達に近づき、声をかけた。
「どうした?二人とも、何かあったか?」
「あ、火野店長。実は……」
「ん?──ッ!?」
突然、《ドラゴニック・オーバーロード》を見て、店長さんは驚き、その場で固まった。
「……なるほど。そのカード、使いたいの?」
「はい!オレ、このカードを使いたいです!」
「ちょっとアカマル!?そんな大きな声で言わなくても──」
「わかった」
「良いの!?」
店長の返答に、レイは驚き、声を荒げた。
一方のオレは店長の意外な返答に驚き、店長に問いかけた。
「……本当に良いんですか?」
「良いも悪いも、そのカードを見て、ビビッときたんでしょ?それなら、僕からは何も言わないよ。と言うか、それをやったら、法律的にアウトだし……そのかわり、そのカード、大切にしてね?」
「っ、ありがとうございます!オレ、このカード、大切に使います!」
「それなら、まずはそのカードを使って、デッキを組むところからだね?」
「だな!レイ、手伝ってくれるか?」
「勿論!そのカードに必要なカードはある程度知っているから、私に任せて!」
そうして、僕とレイは一緒に、《ドラゴニック・オーバーロード》に合うカードを探し始めた。
「まさか、オーバーロードが彼を選ぶなんてね……」
──それから、1時間ほど、時間が経過した。
店内にあるショーケース、ストレージ、すべてのカードを見て、一先ず、必要なカードが一通り揃った。
だけど、ここで問題が2つ発生した。
「後足りないのは、トリガーユニットと完全ガードだけね……」
「確か、右上にアイコンがあるやつがトリガーユニットで、ガード値が0で、効果に守護者……センチネル?が完全ガードのユニットだよな?」
「そうそう。よくわかってるじゃない。トリガーユニットと完全ガードはヴァンガードをする上では欠かせない要素だからねー」
「ただ、そのトリガーユニットと完全ガードが……」
「この店に置いてないんだよね……」
そう。何故だかわからないが、この店にはヴァンガードに必要な要素、トリガーユニットと完全ガードが1枚も置いていないのだ。
レイの話によると、バニラのトリガーユニットと構築済みデッキに収録されてる完全ガードがあったらしい。が、今はそれすらない。
「完全ガードは最悪、私が貸してあげられるけど、トリガーユニットは流石に余ってないんだよねー」
「どうしたものか……」
「──お困りだね?二人とも?」
「む……その声は……」
「火野店長!」
「しーっ!」
突然、ひょっこりと現れた、この店の店長、火野さんが僕達の前に現れた。
……いや、こんなところで油売ってないで仕事しろよ。
そんなことを思いながら、お忍びで現れた店長は周囲を見渡し、エプロンに着いているポケットの中から、小さな箱を取り出し、僕とレイの、ちょうど、間の机の上に置いた。
──そして、小声で、僕達にあることを知らせた。
「これ、今朝入荷したばかりのデッキ強化ボックス。この中にヒールトリガー以外のトリガーユニットが8枚ずつ入ってるよ。ついでに、オーバートリガーや完全ガードも入ってるから、良かったら使って」
「マジで!?ありがとう!店長!恩に着るよ!」
「バカ!声がデカい!」
「……何で、そこまでしてくれるんですか?」
ふっと、店長がそこまでしてくれる理由が、僕にはわからず、店長……いや、火野さんに問いかけた。
「何で、か……答えないとダメ?」
「……はい。できれば、お願いします」
「……わかった」
突然、店長は机の上に置いている、僕の《ドラゴニック・オーバーロード》を取り出し、僕達に見せるように、理由を説明した。
「君はドラゴニック・オーバーロードの呼び掛けに答えた。そして、ドラゴニック・オーバーロードは君を選んだ。それが理由……で、ダメかな?」
「……」
その言葉に、僕はどこか納得した自分がいることに気づいた。
同時に、僕はこう思った。
──
「……?カードが言葉を発する訳ないでしょ?ねー、アカマル」
「……」
「アカマル?」
「……え?あー、そうだね。カードが言葉を話す訳ないよね」
ハハハハー、と、僕は笑って誤魔化し、レイの話に合わせた。
それを見て、店長は僕の《ドラゴニック・オーバーロード》を元あった場所に戻した。
「それじゃあ、僕は仕事に戻るね。何かあったら、気軽に声をかけてね?」
「はーい」
そう言って、店長はレジに戻っていった──が、「あ……」と、何かを思い出したかのように、早歩きで、僕達のところに戻ってきた。
「カード、使う前に、先に会計を済ませてね。それと、その箱、一つ、2500円するけど、サービスで2000円で売ってあげるね」
「「……え?マジ(で)?」」
まさかの、お金を取るのか?
いや、カードショップならカードを売って、カードを買うのが当然か……にしても、商売が上手いなー、この人……。
──いや、ふざけんな!さっきの優しさは何だったんだっ!?
──そんなこんなで、デッキに必要なパーツが揃い、ついでにスリーブも買って、レイと一緒にカードをスリーブに入れて、ようやく、《ドラゴニック・オーバーロード》のデッキが完成した。
「デッキも完成したし、早速、ファイトしよ!アカマル!」
「ああ。よろしく頼むよ、レイ!」
レイの誘いに、僕は返事を返し、デッキをカット&シャッフル!……しようとしたが──
「……アレ?」
──シャッフルが……できない!?
いや、正確にはシャッフルがしづらいだけなんだけど……思ってた以上にやりづらいぞ!?
……スリーブを二重にしているからか?
「?どうしたの?アカマル?」
「……シャッフルができない」
「え?……あー、そういうことね」
何かに納得したかのように、レイは一度、デッキを机の上に置いて、レクチャーしながら説明してくれた。
「良い、アカマル?こういう時は、一度、デッキを置いて、半分くらい持って、分けてシャッフルするんだよ?それで、ある程度、カードが混ざったら、優しく、横入れして、カードをまとめると、デッキの中のカードが均等に混ざるから、やってみて」
「わ、わかった」
言われた通りにやってみると、さっきまで苦戦してたのが嘘のように、スムーズにシャッフルができた。
「ただ、これ結構、手間じゃない?」
「そうだね。相手のデッキもやるとなると、かなり時間がかかるね」
あ、流石のレイでも、そう思うのか。意外だな……。
「中には、横入れを毛嫌いする人もいるし、大会の
「そうなのか……」
経験者のレイが言うんだ。間違いないだろう。
何より、経験者から、その手の情報を得られるのはありがたい。大会に出るか、わからないけど、念のため、頭の片隅に置いといた方が良いな。
「後は横入れしやすいように、エンボス加工のスリーブを使うか、だけど……これは追々で良いから、今は気にしなくて良いよ」
「エンボス……?」
スリーブにも種類があるのか、後で調べてみるか……。
「さて、シャッフルが終えたことだし、まずはデッキの上から5枚を引いてみて」
「……わかった」
言われて5枚引いてみたが……げっ、トリガーユニットが3枚来てしまった。
しかも、全部、クリティカルトリガーだし……最悪だ。
「ファイトの前に、一度だけ、好きなカードをマリガンできるんだ」
「マリガン……入れ替えか?」
「そうそう。トリガーユニットや序盤に使わないグレード3のカードを選んで、それらをデッキの1番下に置いて、置いた枚数分、山札の上からカードを引けるんだ」
なるほど。手札事故をした時の
「私は2枚入れ替えるよ。アカマルは?」
「オレは……3枚入れ替える」
「オッケー。あ、マリガンした後はもう一回、デッキをシャッフルしてね」
「マジか。また分けてやらないといけないのか……」
「マリガンの時はそこまで気にしなくて良いから、軽くシャッフルするだけで良いよ」
「りょーかい」
レイに言われて、軽くシャッフルをし、デッキを
「最後に、
そう言われて、ライドデッキに選んだグレード0の《リザードランナーアンドゥー》を裏向きにして中央のヴァンガードサークルに置いた。
「これがファーストヴァンガードと言って、私達、ファイターが最初にライドするユニットだよ」
「ライド……変身か?」
「う〜ん、どちらかと言うと、分身かな?私達、ファイターが戦うための代理の姿。または、ユニットと一心同体になって戦う姿、共に戦う相棒、みたいなところ、かな?」
分身、相棒……確かに言われてみると、オレが《ドラゴニック・オーバーロード》を見た時、どこか、自分に似ている気がした。
「さて、これでファイトの準備は完了だよ。後は掛け声で、スタンドアップ‼︎ヴァンガード!って言って、ファイト開始……何だけど」
「……?」
何故か、レイはそこで口ごもり、一瞬だけ、考えだした。が、すぐにまとまったのか、口を開いた。
「最初だし、エネルギージェネレータとスキルなしでファイトする?」
「……いや、スキルも、エネルギージェネレータも、ありでやろう。どの道、やりながら覚えることだし……何より、そっちの方がレイも楽しいだろ?」
「──ッ!?(ちょっとー!?不意打ちはずるいよ、アカマル……!)」
一瞬、レイの顔が赤くなるが、すぐに平常心を保ち、もう一度、僕に問いかけた。
「良いの?言っとくけど私、結構強いよ?」
「上等だ。
「……わかった。そのかわり、手加減しないからね?」
「ああ、いくぞ──」
お互いに、裏向きにしたカードに手をかざし、オレとレイは一緒に掛け声を上げた。
「「──スタンドアップ‼︎ヴァンガード!」」
カードを表に返すと、突然、オレとレイは光に包まれた。
ファイトシーンまで描こうと思いましたが、区切りが良いので、ここまでにしました。
また、主人公の一人称は、基本的に「僕」ですが、感情が