カードファイト!! ヴァンガードOverlord   作:リュウ・セイ

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第2話:ファイトの準備/カードを買って、スリーブに入れて、デッキをシャッフル

 

 

 

「────ッ!──カ──ルッ!──アカマルッ!」

 

「っ!?アレ……?」

 

 さっきまで、僕は遺跡にいた筈じゃ……?

 

 レイの掛け声で、僕は周囲を見渡すと、いつも間にか、カードショップ・ドラエンに戻っていた。

 

「?どうしたの?アカマル?」

「……いや、何でもない」

 

 まさか、起きている間に夢を見るなんて、信じられる訳……ないよね?

 

「そう?それよりもアカマル。そのカード、どうするの?」

「え?カード?──っ!?」

 

 レイに言われて、僕は手に持っていたヴァンガードのカード──《ドラゴニック・オーバーロード》を見て、はっと息をのんだ。

 

「……夢じゃなかった」

「?アカマル?」

「レイ、僕……いや、オレ、このカードを使いたい!」

「え……?」

 

 オレは《ドラゴニック・オーバーロード》を見てながら、レイに言った。

 それを聞いたレイは驚き、偶然、目に入った店長さんがオレ達に近づき、声をかけた。

 

「どうした?二人とも、何かあったか?」

「あ、火野店長。実は……」

「ん?──ッ!?」

 

 突然、《ドラゴニック・オーバーロード》を見て、店長さんは驚き、その場で固まった。

 

「……なるほど。そのカード、使いたいの?」

「はい!オレ、このカードを使いたいです!」

「ちょっとアカマル!?そんな大きな声で言わなくても──」

「わかった」

「良いの!?」

 

 店長の返答に、レイは驚き、声を荒げた。

 

 一方のオレは店長の意外な返答に驚き、店長に問いかけた。

 

「……本当に良いんですか?」

「良いも悪いも、そのカードを見て、ビビッときたんでしょ?それなら、僕からは何も言わないよ。と言うか、それをやったら、法律的にアウトだし……そのかわり、そのカード、大切にしてね?」

「っ、ありがとうございます!オレ、このカード、大切に使います!」

「それなら、まずはそのカードを使って、デッキを組むところからだね?」

「だな!レイ、手伝ってくれるか?」

「勿論!そのカードに必要なカードはある程度知っているから、私に任せて!」

 

 そうして、僕とレイは一緒に、《ドラゴニック・オーバーロード》に合うカードを探し始めた。

 

「まさか、オーバーロードが彼を選ぶなんてね……」

 

 

 

 

 

 ──それから、1時間ほど、時間が経過した。

 

 店内にあるショーケース、ストレージ、すべてのカードを見て、一先ず、必要なカードが一通り揃った。

 

 だけど、ここで問題が2つ発生した。

 

「後足りないのは、トリガーユニットと完全ガードだけね……」

「確か、右上にアイコンがあるやつがトリガーユニットで、ガード値が0で、効果に守護者……センチネル?が完全ガードのユニットだよな?」

「そうそう。よくわかってるじゃない。トリガーユニットと完全ガードはヴァンガードをする上では欠かせない要素だからねー」

「ただ、そのトリガーユニットと完全ガードが……」

「この店に置いてないんだよね……」

 

 そう。何故だかわからないが、この店にはヴァンガードに必要な要素、トリガーユニットと完全ガードが1枚も置いていないのだ。

 

 レイの話によると、バニラのトリガーユニットと構築済みデッキに収録されてる完全ガードがあったらしい。が、今はそれすらない。

 

「完全ガードは最悪、私が貸してあげられるけど、トリガーユニットは流石に余ってないんだよねー」

「どうしたものか……」

 

 

「──お困りだね?二人とも?」

 

 

「む……その声は……」

「火野店長!」

「しーっ!」

 

 突然、ひょっこりと現れた、この店の店長、火野さんが僕達の前に現れた。

 

 ……いや、こんなところで油売ってないで仕事しろよ。

 

 そんなことを思いながら、お忍びで現れた店長は周囲を見渡し、エプロンに着いているポケットの中から、小さな箱を取り出し、僕とレイの、ちょうど、間の机の上に置いた。

 

 

 ──そして、小声で、僕達にあることを知らせた。

 

「これ、今朝入荷したばかりのデッキ強化ボックス。この中にヒールトリガー以外のトリガーユニットが8枚ずつ入ってるよ。ついでに、オーバートリガーや完全ガードも入ってるから、良かったら使って」

「マジで!?ありがとう!店長!恩に着るよ!」

「バカ!声がデカい!」

「……何で、そこまでしてくれるんですか?」

 

 ふっと、店長がそこまでしてくれる理由が、僕にはわからず、店長……いや、火野さんに問いかけた。

 

「何で、か……答えないとダメ?」

「……はい。できれば、お願いします」

「……わかった」

 

 突然、店長は机の上に置いている、僕の《ドラゴニック・オーバーロード》を取り出し、僕達に見せるように、理由を説明した。

 

「君はドラゴニック・オーバーロードの呼び掛けに答えた。そして、ドラゴニック・オーバーロードは君を選んだ。それが理由……で、ダメかな?」

「……」

 

 その言葉に、僕はどこか納得した自分がいることに気づいた。

 

 同時に、僕はこう思った。

 

 

 ──火野店長(この人)は、あの夢の何かを知っている。

 

 

「……?カードが言葉を発する訳ないでしょ?ねー、アカマル」

「……」

「アカマル?」

「……え?あー、そうだね。カードが言葉を話す訳ないよね」

 

 ハハハハー、と、僕は笑って誤魔化し、レイの話に合わせた。

 それを見て、店長は僕の《ドラゴニック・オーバーロード》を元あった場所に戻した。

 

「それじゃあ、僕は仕事に戻るね。何かあったら、気軽に声をかけてね?」

「はーい」

 

 そう言って、店長はレジに戻っていった──が、「あ……」と、何かを思い出したかのように、早歩きで、僕達のところに戻ってきた。

 

「カード、使う前に、先に会計を済ませてね。それと、その箱、一つ、2500円するけど、サービスで2000円で売ってあげるね」

「「……え?マジ(で)?」」

 

 まさかの、お金を取るのか?

 

 いや、カードショップならカードを売って、カードを買うのが当然か……にしても、商売が上手いなー、この人……。

 

 

 ──いや、ふざけんな!さっきの優しさは何だったんだっ!?

 

 

 

 

 

 ──そんなこんなで、デッキに必要なパーツが揃い、ついでにスリーブも買って、レイと一緒にカードをスリーブに入れて、ようやく、《ドラゴニック・オーバーロード》のデッキが完成した。

 

「デッキも完成したし、早速、ファイトしよ!アカマル!」

「ああ。よろしく頼むよ、レイ!」

 

 レイの誘いに、僕は返事を返し、デッキをカット&シャッフル!……しようとしたが──

 

「……アレ?」

 

 ──シャッフルが……できない!?

 

 いや、正確にはシャッフルがしづらいだけなんだけど……思ってた以上にやりづらいぞ!?

 

 ……スリーブを二重にしているからか?

 

「?どうしたの?アカマル?」

「……シャッフルができない」

「え?……あー、そういうことね」

 

 何かに納得したかのように、レイは一度、デッキを机の上に置いて、レクチャーしながら説明してくれた。

 

「良い、アカマル?こういう時は、一度、デッキを置いて、半分くらい持って、分けてシャッフルするんだよ?それで、ある程度、カードが混ざったら、優しく、横入れして、カードをまとめると、デッキの中のカードが均等に混ざるから、やってみて」

「わ、わかった」

 

 言われた通りにやってみると、さっきまで苦戦してたのが嘘のように、スムーズにシャッフルができた。

 

「ただ、これ結構、手間じゃない?」

「そうだね。相手のデッキもやるとなると、かなり時間がかかるね」

 

 あ、流石のレイでも、そう思うのか。意外だな……。

 

「中には、横入れを毛嫌いする人もいるし、大会の時短(じたん)もかねて、私は相手のデッキを半分にして、上下を逆にしてるんだよね」

「そうなのか……」

 

 経験者のレイが言うんだ。間違いないだろう。

 何より、経験者から、その手の情報を得られるのはありがたい。大会に出るか、わからないけど、念のため、頭の片隅に置いといた方が良いな。

 

「後は横入れしやすいように、エンボス加工のスリーブを使うか、だけど……これは追々で良いから、今は気にしなくて良いよ」

「エンボス……?」

 

 スリーブにも種類があるのか、後で調べてみるか……。

 

「さて、シャッフルが終えたことだし、まずはデッキの上から5枚を引いてみて」

「……わかった」

 

 言われて5枚引いてみたが……げっ、トリガーユニットが3枚来てしまった。

 

 しかも、全部、クリティカルトリガーだし……最悪だ。

 

「ファイトの前に、一度だけ、好きなカードをマリガンできるんだ」

「マリガン……入れ替えか?」

「そうそう。トリガーユニットや序盤に使わないグレード3のカードを選んで、それらをデッキの1番下に置いて、置いた枚数分、山札の上からカードを引けるんだ」

 

 なるほど。手札事故をした時の救済措置(きゅうさいそち)があるのか。それはありがたいな。

 

「私は2枚入れ替えるよ。アカマルは?」

「オレは……3枚入れ替える」

「オッケー。あ、マリガンした後はもう一回、デッキをシャッフルしてね」

「マジか。また分けてやらないといけないのか……」

「マリガンの時はそこまで気にしなくて良いから、軽くシャッフルするだけで良いよ」

「りょーかい」

 

 レイに言われて、軽くシャッフルをし、デッキを定位置(ていいち)に置いた。

 

「最後に、事前(じぜん)に選んだグレード0からグレード3までの、4枚のライドデッキから、グレード0のユニットを中央前列のヴァンガードサークルに置いて」

 

 そう言われて、ライドデッキに選んだグレード0の《リザードランナーアンドゥー》を裏向きにして中央のヴァンガードサークルに置いた。

 

「これがファーストヴァンガードと言って、私達、ファイターが最初にライドするユニットだよ」

「ライド……変身か?」

「う〜ん、どちらかと言うと、分身かな?私達、ファイターが戦うための代理の姿。または、ユニットと一心同体になって戦う姿、共に戦う相棒、みたいなところ、かな?」

 

 分身、相棒……確かに言われてみると、オレが《ドラゴニック・オーバーロード》を見た時、どこか、自分に似ている気がした。

 

「さて、これでファイトの準備は完了だよ。後は掛け声で、スタンドアップ‼︎ヴァンガード!って言って、ファイト開始……何だけど」

「……?」

 

 何故か、レイはそこで口ごもり、一瞬だけ、考えだした。が、すぐにまとまったのか、口を開いた。

 

「最初だし、エネルギージェネレータとスキルなしでファイトする?」

「……いや、スキルも、エネルギージェネレータも、ありでやろう。どの道、やりながら覚えることだし……何より、そっちの方がレイも楽しいだろ?」

「──ッ!?(ちょっとー!?不意打ちはずるいよ、アカマル……!)」

 

 一瞬、レイの顔が赤くなるが、すぐに平常心を保ち、もう一度、僕に問いかけた。

 

「良いの?言っとくけど私、結構強いよ?」

「上等だ。(むし)ろ、そっちの方が燃える……!」

「……わかった。そのかわり、手加減しないからね?」

「ああ、いくぞ──」

 

 お互いに、裏向きにしたカードに手をかざし、オレとレイは一緒に掛け声を上げた。

 

 

「「──スタンドアップ‼︎ヴァンガード!」」

 

 

 カードを表に返すと、突然、オレとレイは光に包まれた。

 

 

 




ファイトシーンまで描こうと思いましたが、区切りが良いので、ここまでにしました。
また、主人公の一人称は、基本的に「僕」ですが、感情が(たかぶ)ったり、テンションが上がると、時々、「オレ」が出ます。なので、誤字ではありません。
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