カードファイト!! ヴァンガードOverlord   作:リュウ・セイ

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第6話:決着/グラムグレイスvsドラゴニック・オーバーロード

 

 

 

「まずは1回目、いっくよー♪《フェルンバエル》で、ヴァンガードの《ネハーレン》にアタックッ!この時、《ダヴン》のスキル!中央列のグレード3以上のユニットがアタックする時、ヴァンガードが《グラムグレイス》なら、アタックしている間、そのユニットにパワープラス5千を与えるよ!」

「な!?」

 

 つまり、パワー2万8千ってことか!?

 

 

 翔刃の騎士 フェルンバエル

 

 パワー23000→28000

 

 

「っ、ガード!──いや、ここは……」

 

 パワーが上がった今、下手にガードをして、手札を減らせば、他のユニットの攻撃を防ぎれない。

 

 だったら……!

 

「ノーガードっ!」

「!?(ダメージトリガーに賭けるつもりね……)良いよ!フェルンバエル、やっちゃって!」

(おう)よ!任せな!切り刻んでやるぜ!」

 

 ネハーレンに憑依したオレに、フェルンバエルは近づき、手に持つ刃物で、オレの体を切り付けた。

 

「ぐっ……!ダメージチェック!」

 

 痛みを感じながら、オレは山札の上を捲った。

 

「っ、ゲット!ドロートリガー!ヴァンガードの《ネハーレン》のパワーをプラス1万!1枚ドロー!……っ!?」

 

 

 ドラゴンナイト・ネハーレン(V)

 

 パワー10000→20000

 

 

 アカマル 山札34→32

 

 ダメージ4→5

 

 手札4→5

 

 

 だんだんと、痛みに慣れてきたオレは、山札からカードを引き、引いたカードに驚いた。

 

 このカードなら、このターン、耐えられる!

 

「《グラムグレイス》のスキルで、アタックした《フェルンバエル》をソウルに置いて、1枚ドロー。この時、《らんぐどしゃ》のスキルが発動!ソウルにグレード3があれば、《らんぐどしゃ》はパワープラス5千とブーストを得る!」

「なっ……!?」

 

 そのために、《らんぐどしゃ》を後列にコールしたのか!?

 

 

 レイ 山札32→31

 

 手札2→3

 

 

 ディヴァインシスター らんぐどしゃ

 

 パワー10000→15000

 

 

「これで《インフリクター・ドラゴン》は自身のスキルと、《らんぐどしゃ》のブーストを得て、パワー合計、3万8千になるのか……」

「今のままなら、そうなるね。けど……」

「けど?」

「……《グラムグレイス》で、ヴァンガードの《ネハーレン》にアタック!《ダヴン》のスキルで、パワープラス5千!」

「っ!?」

 

 

 剣聖騎竜 グラムグレイス

 

 パワー13000→18000

 

 

 突然、レイはオレの質問に答えず、《グラムグレイス》で、ヴァンガードの《ネハーレン》にアタックを宣言した。

 

 一瞬、何故?と思ったが、オレはその謎に、すぐに気づいた。

 

「そうか!トリガー次第で、《インフリクター・ドラゴン》のパワーが上がるのか!」

「それだけじゃないよ!今のままじゃ、ヴァンガードの《ネハーレン》のパワーは届かない。けど、ヴァンガードの《グラムグレイス》はツインドライブを持っている!……つまり、どちらか1枚、トリガーが出れば、ダメージは通る!」

「っ……」

 

 なるほど。そこまで計算して、あえて、ヴァンガードの《グラムグレイス》からアタックするのか……。

 

 ほんと……面白いな!ヴァンガード!

 

「トリガーが出ると、パワーは2万8千……いや、2枚出ることを計算して、3万8千か……」

 

 

 どうする?ここで、今引いたカードでガードするか?

 

 それとも、完全ガードの《モンジュ》でガードするか?

 

 

 守る手段は二択ある。だが、どちらが正解かはわからない。

 

 そう思った時、オレは前のターンに考えた自分を思い出す。

 

 

 ──次のターン、確実に生き残るには……これだ!

 

 

「っ……オレは……《モンジュ》で完全ガードだ!」

「!?ここで完全ガード……!?」

 

 

 気がつけば、手が勝手に動いていた。

 

 オレの行動に、レイは驚く。だが、そんなこと、知るか。

 

 オレは確率とか、計算とか、そういうの、苦手だ。

 

 だから、確実に生き残る手段を取る。それだけだ。

 

 

「任せろ!ここは俺が死守(ししゅ)する!」

 

 

 猛火の守護者 モンジュ(守護者(センチネル)

 

 シールド0

 

 

 突然、オレの前に現れたモンジュは両手でシールドを()り、オレを守ってくれた。

 

「……ツインドライブ。1枚目……ノートリガー。2枚目……フロントトリガー!前列のパワー、プラス1万!」

 

 

 インフリクター・ドラゴン

 

 パワー13000→23000

 

 

 剣聖騎竜 グラムグレイス

 

 パワー18000→28000

 

 

 翔鎌の騎士 ダヴン

 

 パワー10000→20000

 

 

 アカマル 手札5→3

 

 ドロップ5→7

 

 

 レイ 山札31→29

 

 手札3→5

 

 

 トリガーが出たが、なんとか、このアタックは止められた。

 ただ、かわりに、リアガードのパワーが上がってしまった。

 

 正直、キツイ。けど、大丈夫だ。オレはまだ……負けていない!

 

 

「《ダヴン》でアタック!スキル発動!ヴァンガードが《グラムグレイス》で、中央列のユニットが2回以上、アタックしたから、カウンターブラスト1で、《ダヴン》のパワー、プラス1万5千!」

「っ……」

 

 

 翔鎌の騎士 ダヴン

 

 パワー20000→35000

 

 

 まだパワーが上がるのか!と、嫌気が()したが、仕方がない、と、諦め、気持ちを切り替える。

 

「《ローナ》でガード!さらに、リアガードの《ネハーレン》で、インターセプト!」

 

 オレは手札の《ローナ》と、場にいる《ネハーレン》でガードした。

 グレード2である《ネハーレン》はインターセプトを持っており、リアガードから、ガーディアンサークルに移動できる。

 

 ……というの、対戦前にレイから教わった。

 

 

 焔の巫女 ローナ

 

 シールド15000

 

 

 ドラゴンナイト・ネハーレン(G)

 

 シールド5000

 

 

 ドラゴンナイト・ネハーレン(V)

 

 パワー20000→40000

 

 

 アカマル 手札3→2

 

 ドロップ7→9

 

 

「防ぐよね、そこは。けど、もう、守る手段はないよね?」

「……」

 

 オレはまだ諦めていない。何故なら、ドロートリガーで引いた、“コイツ”がある!

 

「……《らんぐどしゃ》のブースト、《インフリクター・ドラゴン》で、ヴァンガードにアタックッ!スキル発動!エネルギーブラスト3で、《インフリクター・ドラゴン》のパワープラス1万!合計パワー、4万8千よ!」

 

 一瞬、間を置きながら、レイは2枚のカードをレストし、最後のアタックに想いを乗せて、アタックを宣言した。

 

 

 レイ エネルギー3→0

 

 

 インフリクター・ドラゴン

 

 パワー23000→33000→48000

 

 

 インフリクター・ドラゴンの刃がオレに襲いかかる。

 

 このアタックは止められない。

 

 手札2枚では防げない。

 

 多分、大体の人は、ここで諦めるだろう。

 

 

 だけど──オレは諦めない!

 

 

 何故なら──

 

 

「──オレはまだ、《オーバーロード》にライドしていない!だから……諦めない!ガードだっ!」

「……ッ!?

 

 オレはたった1枚のカードをガーディアンサークルに置いた。

 

 

 ──そして、そいつはインフリクター・ドラゴンの前に現れた。

 

 

 それを見たレイは驚き、声を荒げる。

 

「ッ、それは……《ドラグヴェーダ》!?」

 

 

 再起(さいき)竜神王(りゅうじんおう) ドラグヴェーダ

 

 シールド50000

 

 

 ドラゴンナイト・ネハーレン

 

 パワー20000→70000

 

 

 デッキに1枚だけ入れられるトリガーユニットの一つ、オーバートリガー、《再起の竜神王 ドラグヴェーダ》。

 

 オレはそいつでガードし、インフリクター・ドラゴンの攻撃を防いだ。

 

 

 アカマル 手札2→1

 

 ドロップ9→10

 

 

「……まさか、4回攻撃を防がれるなんて、思わなかった」

「いや、負けてたよ。《ドラグヴェーダ》を引いてなかったら、確実に負けてた……」

「……引いたタイミング的に、1回目のアタックで捲った、ドロートリガーの後かな」

「ああ。あそこで受ける勇気がなかったら、負けてたよ」

「……そう。私はこれで、ターンエンド」

 

 何かに納得したかのように、レイはターンエンドを宣言した。

 

 

 ターン5

 

 レイ

 手札5

 山札29

 ライドデッキ0

 ドロップ10

 ダメージ4(表0、裏4)

 クレスト、《エネルギージェネレータ》(エネルギー0)

 フィールド

 セットオーダー、なし

 前列、《インフリクター・ドラゴン》(R左)、《剣聖騎竜 グラムグレイス》(V中央、ソウル1)、《翔鎌の騎士 ダヴン》(R右)

 後列、《ディヴァインシスター らんぐどしゃ》(R左)

 

 

 アカマル

 手札1

 山札32

 ライドデッキ1

 ドロップ10

 ダメージ5(表5)

 クレスト、《エネルギージェネレータ》(エネルギー6)

 フィールド

 セットオーダー、なし

 前列、《マルチプルストローク・ドラゴン》(R左)、《ドラゴンナイト・ネハーレン》(V中央、ソウル2)

 後列、《ドラゴンモンク・ゴジョー》(R右)

 

 

「オレのターン。スタンドアンドドロー。エネルギーチャージ……」

 

 オレはライドデッキの最後のカード──《ドラゴニック・オーバーロード》に手に取る。

 

 さぁ、(まん)()して、お前の出番だ!

 

「──いくぜ、オレの分身!すべてを焼き尽くせ!黙示録の竜!ライド!《ドラゴニック・オーバーロード》っ!」

 

 瞬間、足下からサークルが現れると、炎が浮き上がり、オレを包み込んだ。

 

 不思議と、熱さは感じなかった。寧ろ、暖かく、激しく……そして、嬉しさを感じた。

 

 浮き上がった炎の中から現れるは、伝説の、黙示録の竜、ドラゴニック・オーバーロード。

 

 オレはそいつに、ライドした。

 

「ウオオオオオォォォォォッー!」

 

 ライド瞬間、オレはお叫びを上げた。《バー》にライドした時と違い、このお叫びはオレではなく、オーバーロードから感じた。

 

 ──そうか。嬉しいんだな。こうやって、戦えることが。

 

 ──誰かと一緒に戦えることが嬉しいんだな、お前は。

 

 なら──戦おうぜ。

 

 オレと一緒に……このファイト、勝とうぜ!

 

 

 アカマル 山札32→31

 

 手札1→2→1

 

 ドロップ10→11

 

 ライドデッキ1→0

 

 エネルギー6→9

 

 

 ドラゴニック・オーバーロード

 

 グレード3 パワー13000 星1

 

 

「すごい……これがアカマルの分身、《ドラゴニック・オーバーロード》……!」

 

(なんていう熱量……だけど、同時に暖かい……アカマルにピッタリな分身だね……けど)

 

「《オーバーロード》にライドしたからって、私に勝てると思わないことね!」

「思わないさ!だから、オレは……仲間と共に戦う!」

 

 オレはレイに、そう宣言し、ソウルにいる《ネハーレン》のスキルを発動させる。

 

「《ネハーレン》のスキル!《オーバーロード》にライドした時、ソウルから、自身をリアガードにスペリオルコールできる!」

 

 

 ドラゴンナイト・ネハーレン

 

 グレード2 パワー10000 星1

 

 

「!?ソウルからスペリオルコール!?そんなのアリ!?」

「アリだよ。というか、そっちは散々、山札からスペリオルコールしてきただろ?」

「うっ……」

 

 空いている前列に《ネハーレン》をスペリオルコールし、それを見たレイは驚く。

 それを聞いて、オレはレイがやってきたことにツッコミを入れた。

 オレの発言にレイは自分がやってきたことを思い出したのか、黙り込む。

 

 それを見たオレは気にせず、次の行動に出た。

 

「《エネルギージェネレータ》のスキル!エネルギーブラスト7で、1枚ドロー!」

 

 よし!良いカードが引けた!

 

 このターンで、すべてを出し切る!

 

 

 アカマル 山札31→30

 

 手札1→2

 

 エネルギー9→2

 

 

「《マルチプルストローク》を後列に下げ、《バーサーク・ドラゴン》をコール!さらに、《ヒートスタンピング・ドラゴン》をコール!」

 

 

 バーサーク・ドラゴン

 

 グレード2 パワー10000 星1

 

 

 ヒートスタンピング・ドラゴン

 

 グレード2 パワー10000 星1

 

 

「!?(《オーバーロード》の空いてる中央列にコール!?何かあるわね……)」

 

 一瞬、レイの表情が歪んだ。いや、もとから、表情が(かた)い訳ではないが、《ヒートスタンピング》をコールした瞬間、明らかに、動揺をしていた。

 

 だけど、今のオレには関係ない。

 

 オレはオレのイメージを信じる!

 

「《ネハーレン》のスキル!ソウルブラスト1で、《ネハーレン》と《オーバーロード》のパワーをプラス5千!」

 

 

 アカマル ドロップ11→12

 

 

 ドラゴンナイト・ネハーレン

 

 パワー10000→15000

 

 

 ドラゴニック・オーバーロード

 

 13000→18000

 

 

 ユニットをコールし、パワーも上がった。

 

 準備は万端(ばんたん)

 

 

 ──いくぜ、オレの分身!

 

 

「《ドラゴニック・オーバーロード》で、《ダヴン》にアタックっ!」

「ヴァンガードじゃないの!?とにかく、ここはガ──」

「《オーバーロード》の永続スキル!リアガードにアタックする時、相手は手札からガードできない!」

「ッ、そうだった!ノーガード!」

 

 どうやら、レイは《オーバーロード》のスキルを忘れていたらしい。が、そんなの関係ないぜ!

 

「いくぜ!ツインドライブ!1枚目……ゲット!クリティカルトリガー!効果はすべて、《オーバーロード》に!」

 

 

 ドラゴニック・オーバーロード

 

 パワー13000→23000 星1→2

 

 

「2枚目……っ」

 

 手の震えを感じた。だが、それは一瞬で消えた。

 

 どうやら、ここが勝負の分かれ目か。

 

 

 ──だけど!オレは引いてやる!

 

 

 オレは勢いに任せて、山札を捲った。

 

「……っ!」

 

 捲られたカードにオレは言葉を詰まらせる。

 

 それは《バーニングフレイル・ドラゴン》。クリティカルトリガーだ。

 

「ゲット!クリティカルトリガー!効果はすべて、《バーサーク・ドラゴン》に!」

「グオオオォォン!」

 

 パワーが上がったからか、バーサーク・ドラゴンはお叫びを上げた。

 

 

 バーサーク・ドラゴン

 

 パワー10000→20000 星1→2

 

 

 アカマル 山札30→28

 

 手札0→2

 

 

「いっ、くぞぉぉぉぉぉっ!」

 

 オレは翼を広げ、ダヴンに近づき、手に持っている剣で、ダヴンを切り裂いた。

 

「グ、ハ……!」

 

 (うめ)き声を上げ、ダヴンは消滅した。

 

 これにより、《オーバーロード》のスキルが使える!

 

 

 レイ ドロップ10→11

 

 

「《オーバーロード》のスキル!アタックがヒットした時、カウンターブラスト1と手札1枚捨てることで、ドライブマイナス1するかわりに、《オーバーロード》はスタンドする!これがオーバーロードの必殺技!エターナル・フレイムだっ!」

「エターナル・フレイム……!なんて迫力なの……!」

 

 オレがライドしているオーバーロードの迫力に、グラムグレイスにライドしているレイは後ずさる。

 

 

 アカマル 手札2→1

 

 ドロップ12→13

 

 

「次は《バーサーク》!《マルチプルストローク》と共に、ヴァンガードにアタックだっ!この時、《バーサーク》のスキルが発動!パワープラス5千と、ヴァンガードが《オーバーロード》の時、カウンターブラスト1で、グレード2以下の、相手のリアガードを1体選び、退却させることができる!退却せよ、《らんぐどしゃ》!」

「う、きゃあああ!」

 

 

 レイ ドロップ11→12

 

 

 バーサーク・ドラゴン

 

 パワー2000→25000→38000

 

 

「ッ……(ここを通したら、後がない!)ガードよ!」

 

 レイは手札を2枚、ガーディアンサークルに置いた。

 

 置かれたカードはシールド1万5千の《天音(てんおん)楽士(らくし) アルパック》と、シールド5千の《加護(かご)魔法(まほう) プロロビ》。

 

 このままでは、パワー3万8千の《バーサーク》の攻撃は防げない。が。

 

「相手のヴァンガードがグレード3以上だから、それぞれのスキルで、シールドプラス5千!合計パワー、4万3千よ!」

 

 これにより、レイはオレのアタックを防げる。

 

 

 天音(てんおん)楽士(がくし) アルパック

 

 シールド15000→20000

 

 

 加護(かご)魔法(まほう) プロロビ

 

 シールド5000→10000

 

 

 剣聖騎竜 グラムグレイス

 

 パワー13000→33000→43000

 

 

 レイ 手札5→3

 

 ドロップ12→14

 

 

 防がれた。が、手札を2枚減らせた。

 

 次はリアガードの《ネハーレン》からアタックするか?

 

 

 ……いや。ここは──

 

 

「──オレの分身!オーバーロードでいく!《ドラゴニック・オーバーロード》で、ヴァンガードにアタック!この時、《ヒートスタンピング・ドラゴン》のスキルが発動!相手のリアガードが2枚以下なら、自身をソウルに置いて、《ドラゴニック・オーバーロード》のパワーをプラス1万を与える!」

 

 

 アカマル ドロップ13→14

 

 

 ドラゴニック・オーバーロード

 

 パワー23000→33000

 

 

 ──これで、《オーバーロード》のパワーは3万3千。

 

 さっき、シールド2万の《アルパック》を使ったことで、レイの手札にはそこまでシールド値が高いカードはないはず。

 

 オレがそう思った時、レイは3枚の手札を一つにまとめ、裏向きで、テーブルに置いた。

 

「……ノーガード!」

 

 そう宣言し、オレは山札に手を置いた。

 

「ドライブチェック!……ノートリガー!」

「……!そう……なら、後は……殴り合いよ!」

 

 そう叫んだレイはグラムグレイスに憑依して、飛び上がった。

 

 それを見たオレは翼を広げ、レイを……グラムグレイスの後を追うように、飛び上がった。

 

「いくぞ、レイ!」

「ええ!いくよ、アカマル!」

 

 飛びながら、オレ達は殴り、殴られ、時には武器を使って、鍔迫り合いを繰り広げる。

 

「楽しいな、レイ!」

「ええ、私もよ!アカマル!けど……」

「ああ!決着、つけようぜ!」

 

 そう言って、オレはオーバーロードの姿で、グラムグレイスに憑依しているレイに回し蹴りをし、地面に叩きつけた。

 

 そのまま、ゆっくりと、オレは地面に降り、霊体の姿で、グラムグレイス……いや、レイに近づいた。

 

「大丈夫か?レイ?」

「大丈夫なわけ、ないでしょ?全く……」

「ごめんごめん」

 

 そう軽口を叩いた後、レイは山札に手を置いた。

 

「……ダメージチェック。1枚目……」

 

 ゆっくりと、1枚目を捲った。

 

 捲られたのは《パルパテーション・エンジェル》。ヒールトリガーだ。だが。

 

「ダメージはアカマルが多いから、回復しないね……」

「だな……」

「一応、《グラムグレイス》のパワーを1万上げるね」

「……ああ」

 

 オレが返答を返すと、レイは《パルパテーション・エンジェル》をダメージゾーンに置いた。

 

 これで、レイはダメージ5枚目。

 

 2枚目のダメージチェックで、ヒールトリガーか、オーバートリガーが出れば、まだチャンスはあるが……。

 

「……いくよ」

「……ああ、こい!」

「ダメージチェック!2枚目……ッ」

 

 捲られたカードはレイの分身、《剣聖騎竜 グラムグレイス》だった。

 

 

 レイ ダメージ4→6

 

 

「……ノートリガー。私の負けね」

 

 それを聞いた時、オレ達は元の世界に戻った。

 

 

 

 

 

「──お疲れ様、二人とも。良いファイトだったよ」

 

「「……」」

 

 元の世界に戻った途端。一番聞きたくない人に声をかけられた。

 

「……あのさー、アンタ、暇なの?仕事はどうした?仕事は?」

「暇じゃないよ。ただ、ちょうど、二人が対戦を終えたみたいだから、声をかけただけだよ」

「……そうかよ」

 

 アンタは僕達の保護者か、何かか?

 そう思った時、レイから声をかけられた。

 

「……ねえ、アカマル」

「?どうした?レイ?」

「……またファイトしよ」

「っ……!?」

 

 突然、レイは腰を下ろし、両手を背中の後ろに回して、上目遣いで、オレに、またファイトしようと誘ってきた。

 

 ……いや、その誘い方は色々と勘違いしてしまうぞ?レイさん?

 

「お、おう、良いぞ。今から、もう一戦するか?」

「悪いけど、今日はもう帰ってくれるかな?」

 

 ……おい、空気読めよ。店長よ。

 というか、まだ居たのか。

 

「……何でだ?」

「時間、見てくれる?」

「時間……?」

 

 言われて、時計の針を見ると、僕は「げっ……!」と、声を荒げた。

 

「学生が外で遊ぶ時間はとっくに過ぎてるよ」

「マジか!?オレ達、まだ1戦しかしてないぞ!?」

「ヴァンガードは1回のファイトが長くなるんだ。だから、時間なんて、あっという間に過ぎちゃうんだよ」

 

 マジか、それは知らなかった。

 これは……レイとの再戦はまた今度だな。

 

「悪い、レイ。ファイトはまた今度な。オレ、もう帰るよ」

「あ、アカマル……待っ──」

「じゃーなー」

 

 レイの待ったを聞かず、僕は先に店を出た。

 

 

 

 

 

 ……どうしよう。

 

 私、アカマルに伝えたいこと、まだあるのに……。

 

「……その顔。レイちゃん、君、アカマル君に恋してるね」

「ッ!?な、何を言っているんですか!?」

 

 何で、わかったの!?

 私、そんなに顔に出てた!?

 

 いや、それよりも……!

 

「レイちゃんって言うな!火野店長!セクハラで訴えますよ!」

「おっと、それは困るな。それじゃあ、僕は仕事に戻るよ」

 

 そう言って、火野店長はレジに戻った。

 

 それを見た私は、これから、どうするか、少し考えた後、お店を出て、真っ直ぐ、家に帰った。

 

 

 

 

 

 ──翌日。

 

「初めまして、皆さん!星咲(ほしざき)(れい)です!よろしくお願いします!」

 

「……」

 

 僕は今、信じられない光景を目にしている。

 

 今日、担任から転校生が来ることを知らされ、教室にいる生徒達は盛り上がっていた。

 

 

 ──たった一人、僕を除いて。

 

 

 そして、今日、転校してきた女子生徒、星咲冷は何を隠そう、昨日、カードショップ・ドラエンで遊んだレイだ。

 

 いや、まさか、他人の空似(くうに)だよな?ん?空似(そらに)だってか?まぁ、どっちでもいいか……。

 

「それじゃあ、星咲さんは(くれない)君の隣の席ね。紅君、星咲さんと仲良くしてね?」

「あ、はい……」

「……」

 

 やべ、目が合った。どうしよう……。

 

 とりあえず、初めましての(てい)で接するか……。

 

 なんて考えていたら、星咲さんが僕の隣に座った。

 

 

 ──すると。

 

「アカマル、だよね?」

「あ、はい。アカマルです……あ」

『え?』

 

 冷に声をかけられた僕は自分の正体を明かしてしまった。

 

 

 こうして、僕、アカマルこと、紅赤斗(せきと)の平凡な学校生活が静かに終わりを告げた──

 

 

 

 第1章:邂逅編〜完〜

 

 

 




ここまでのご愛読ありがとうございます。
という訳で、第1章:邂逅編、これにて、完結です。
至らない点がいくつか、あったかもしれませんが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

次は第2章を描く予定ですが、こちらは未製作なので、年明け、すぐには投稿できないです。

なので、一旦、この作品は完結作品として扱います。が、第2章を描く際は、その時は暖かい目で読んでくれると、嬉しいです(汗)

さて、長くなりましたが、年末最後に、この作品を読んでいただき、ありがとうございます。
また、自分が完結作品を描けて、大変嬉しく思います。
それでは皆さん、良いお年を。
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