救えない魔法少女   作:茶蕎麦

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 皆様お疲れ様ですー。
 かなりぎゃぐ寄りの最新話、出来ました!
 タグ通りに少しは出来ましたかね?
 こっちの作品でも光さんはなんかポエムじみたこと話しますねー。


第十四話 変態

「むぅ」

 

 オレは、かんかんだ。あれからずっと、怒っている。

 何やら直ぐ撤退したアリスとやらは、どうでもいい。

 ハルの魔法が魔物共に続く天まで届かないように阻害用のなんかキラキラした非実体の網を敷いてったのはよくないが、まあそっちにはそっちの考えがあるんだろうと許してやる。

 

 だが、静が実はずっと前からヤバい奴らとつるんでいてオレを騙していたのには激おこだ。

 前から嘘っこメイドさんだなあとは思っていたが、オレへほうれんそうにまで嘘があったなんてあまりにムカつく。

 家族って言ってないけどずっと一緒だったからそれでいいよな、と思っていたのに隠し事なんて、あり得ない。

 というか、実は無敵でしたとか初耳だし、基本不変の存在でもあるとか夜中にアイス毎日こっそり食べてるの知ってて静の体重大丈夫かなとひやひやしていたの、全てなんだったんだって感じだ。

 

「これは、静には後でお尻ペンペンだな!」

「あはは……オレ君ってずっとコミカルに怒ってるけど……悲しんだりはしないの?」

「どーしてだ?」

 

 相変わらずちょっとよく分からないことを言うハルに首を傾げるオレ。

 あれからまあまあ、色々あったが、こうしてハルとは離れることなく仲良くしてる。

 

 具体的には、TUKINOグループ入りしてその後オレの無害化は周知され、最終的に一緒の陣営になって嬉しいとマーガレットにわちゃわちゃされた後。

 月野椿とかいうおっかないお姉さんに、TUKINOへの参入は許してももう勝手は許さないとされてとりあえずはスペックを確認するためかハルとオレはしばらく取り調べ的な作業ばかりを受けていた。

 そんなつまらない日々に、時折思い出しながらオレは勝手に居なくなった静への怒りを再燃させていたのだが、それにハルは今更な疑問。

 オレは、月野家来賓室の無駄に豪奢なソファにごろごろとしながら、首を傾げた。ハルは、そんな情けない似姿をどう見たのか、こう続ける。

 

「いやだって、オレ君って静に裏切られたんだよ? あんなに信頼していたみたいだったのに……塞がずに怒るって私には考えられないなあ、って」

「ん……そうだな。確かにオレが本当に裏切られたなら、オレだって悲しい」

「なら……オレ君は静が裏切ったって思ってない?」

「当たり前だろ?」

 

 愚問に首を傾げるオレに、ハルは目をおっきく開く。

 オレからしたら、静がよく分かんなくてもそれでいい。ただ、何も言わずにオレの不幸を届けていたなんて。

 言ってくれたら手伝ってやっても良かったというのに、困ったメイドさんだよ、本当に。

 別に嘘っこだろうが後で帰ってくれればいいと思うオレには、落胆はない。というか、静の性格的に悪側って無理があるだろ。

 オレは無駄に、メイドさんの潔癖なところ信じちゃってるし。

 

「アイツはオレの嘘っこメイドで、でもそれだけのいいヤツだ。悪いやつに本当に付くなんて、ないない……今頃アイツならそのよしと? とかいうのと多分喧嘩別れしてるぞ」

「そっかなあ……まあ、でも静が帰ってくるまでのその間は私、オレ君といちゃいちゃ出来るからありがたいけどね」

「わぷ」

 

 そう言いながら、しばらく装着していた魔法少女の戦闘服とかほざいていたピチピチいやらしスーツではなく白色薄寝間着を着込んだハルがオレに抱き着く。

 いや、これはむしろ包みこまれたと言ってもいい感じだろうか。

 どうもハルはセクシャル的な触れ合いをしているつもりのようだが、乳とか全体こんなに無駄にデカいと、抱擁ですら結構質量差でヤバい。

 あんまり女体に溺れて死ぬとかしたくないオレはタップしながらもがく。

 

「もごもご」

「っ。オレ君。そんなに私の中で動くとくすぐったいよ? ふふふ……」

「もごご」

 

 しかし、ダメだ。間違っておっぱい揉んでしまったせいか、なんか言葉に艶っていうかそんなのまで出てきてやる気満々だ。

 こっちは密着による酸欠で苦しんでいるのだが、すはすはしていることすら興奮だとハルは思い込んでいるようだった。

 

 これはまずい。苦しいのは魔法で何とかなりそうっちゃそうだがこんなアホみたいな状態のためにそんな大げさな力使いたくないんだが。

 押し倒された状態で、どうしようかとかこのスキンシップは何もかもなくしたからこそ実存を感じるためのものか、とかオレは考える。

 やがて、そろそろ息継ぎしないと本格的にオレの残ったオリジナル部分である脳みそちょこっとすら死ぬぞと危機感をつのらせたその時。

 

「失礼しま……あらあら。本当にわたくしったらお二人に失礼なタイミングで入室してしまったようで……」

「あ……(ひかり)? これはそういうのじゃないっていうか、ちょっとしたじゃれ合いで……」

「ぷは……月野さんが気を逸らしてくれて助かった。もうちょっとでおっぱいに殺されるところだった」

 

 闖入者の声掛けによって、魔法少女的にあんまり意味ないハルの素の剛力から逃れたオレは、息継ぎ。

 TUKINOグループのナンバーツーとされる月野光というオレから見たらお姉さん的存在を見上げるのだった。

 姉のめっちゃドリルってるヘアと違い、軽い癖っ毛の金を揺らしながら、彼女は至極上品に笑う。

 

「おほほ……本当に、ゆきさん方は面白い方ですね。それと、私は光でいいのですよ? この月野姓だらけの屋敷の中では名前呼びを遠慮してしまうと不便でしょう」

「んー……光さん?」

「ええ。それで良いと思います……しかしわたくし、百合の間に挟まる趣味はありませんので、ハルさんはそんな刺すような視線を向けないでいただけると助かります」

「あれ? 私ったらそんな目してたの?」

 

 時に暇してるオレ等の様子を見に来てくれる、優しい光さん。

 かなり立場と金のある筈なのに気にしてくれるのはありがたいなあ、と思っていると彼女は苦笑。

 光さんの言と青い視線を頼りにハルを見たら、驚き自らの頬を弄るハルに嫌気はもう見て取れない。

 彼女はまた上品にも、こう切り返すのだった。

 

「おほほ。意識していなかったのなら、わたくしの気にしすぎだったのかもしれませんね」

「んー……まあ、結構ハルって面倒くさい奴だから、光さんもあんまり気にしないでくれると助かる。ハルって、なんかかなりねちゃねちゃしてるから」

「オレ君の中で私って重い女認定!? それに粘度高めって私の好感度とかどうなの?!」

「ですわね……わたくしも次からはノックを出来るだけ響かせるように気をつけます」

「光も、仕方ないなあって顔しながら私を見ないで! えーん、静! 年下の子たちがよってたかって私をいじめるー」

「ぎゃあ」

 

 静とか言っときながらぎゅーとするのは、オレ。

 顔は覆われていないが、上位の魔法少女にしがみつかれてオレからは残念な悲鳴が一つ。

 

「あ、ついオレ君絞めちゃった!」

「あらあら……ゆきさん、大丈夫ですか?」

「むぅ……」

 

 悲鳴に驚いたのかハルは咄嗟に離れてくれたが、しかし光さんの言葉すらあんまり聞き取れないくらいのダメージがきている。

 どうも、ハルは自分が凶悪な力持ちってこと忘れがちだ。或いは、それもオレに対する甘えなのか。

 よく分かんないが、ただ一つは。

 

「あんまりされると、オレの身体が保たないぞ……」

「ごめんね、オレ君ー! あと、何か着崩したえっちな感じでそんなこと言わないで……私むらむらしちゃう!」

「やれやれだ……」

 

 そしてぼかんと投じられたのは正直は本当に美徳なのか分かんなくなるくらいの、ド変態発言。

 なんとも思春期と言うか発情期と言うかそんな風でもあるが、しかし実際ハルは少し心が揺らいでるようだ。

 それは、何となく大本を一緒にしてるオレだからこそ理解るのかもしれない。

 ま。そうじゃなくても、聡い子が冗句で不調を隠すことってよくあるしな。ちょっとピンクのスクリーンを間に貼られたところでオレは驚きゃしない。

 仕方ないなあ、とオレは腕組してから、しかしつい眼の前のえへえへ恍惚してる変態的な似姿に正直なことを言ってしまうのだった。

 

「自分に素直なのはいいがオレはもうちょっと、エロくない子がタイプだがなあ……」

「っ! やだ。オレ君ったら私がどタイプだった?!」

「その変態言動にど迫力ボディでよく自分がエロくないと勘違いできるもんだ……ハルの中ではエロとはどれだけ業が深いもので……こら。合意と見て脱ごうとするな」

「おほほ……本当に、おかしな方々」

 

 デカいのが寄ってくる。ちびからすると普通にそんなの怖いもんだ。

 もはやなんか貞操とかそんなの越えて本気で身の危険を覚えだしたオレに、しかし光さんはただにこにことするばかり。

 なんかシッチャカメッチャカなオレらのノリがこんな生粋のお嬢様に合ってくれて良かった。

 いや、あんまり笑わない人とか聞いてたからこんなのでも楽しんでくれるのはありがたいのだが。

 

「この人が監視役とか、信じられないがなあ……わぷ」

 

 オレは、マーガレットから教わったそんな知識に疑問符を付けつつ、最強の魔法少女からは逃げること叶わずに再びぎゅーぎゅーとスキンシップを受けて。

 

「おほほ……何時かゼロになることを願ってプラスはマイナスに向かい続けるのですね……同一のヤマアラシこそ、ぴたりと重なる無二のピース……だから周囲の傷を知らずに彼女らばかりはこうして温まれるのでしょうね」

 

 だから、そんなよく分からない言葉は、聞き逃したのだった。

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