TS博士ちゃんと複数の研究対象達 作:かまくら
「ったく、どれが誰だか分かんねえ。しゃあねえ全員連れ出して先生に判断させるしかねえな。なぁ、先生」
『あの子は……』
「心配すんな、殺してねえよ。遠くへ追いやっただけだ。邪魔だからな」
『全員殺さないでください』
「あーそれは分かんねえな。取り敢えず、試作品を一体で良いからくれ。それだけだ」
何とか彼女達を守ろうとしたが、駄目だ。戦場に行けば無事ではいられないだろう。どうにか救う手は。
『本当にいないんですよ。一人も……』
「あーそうか。なら、体に聞くしかねえな!腕は支障が出るだろうが、脚なら問題無いな?おぶってやれば済む問題だ」
私の足で済むのなら、そう思って目を瞑っていると。
《待って!》
頭に声が響いた。これは、来てしまいましたか。
《おじさんが誰だか知らないけど、先生は大切なモノだから〜そう簡単に傷つけさせないよ》
「
そのまま彼が怒りのまま殴ろうと向けた拳は私に当たらず、場所が入れ替わり現れた彼女へとターゲットを変える。
《いたいのいたいの飛んでいけ〜★》
そのまま腕の軌道が不自然に曲がり、彼の拳は自らの顔面に刺さる。
《うわっ痛そ〜可哀想。ま、ジゴージトクって奴だし、シャクリョーのヨチは無し。だよゴリラおじさん》
「何だ?今のは……今のがお前の能力か?」
《?そうだよ〜これが私の固有能力、"エs……ムグムグ》
この子は正直過ぎる、何でも素直に答えてしまう。それが此処では裏目に出てしまった。
『辞めてください。お願いですから……彼女も私の親戚です。ほら、シッディ謝ってください』
「いや、待て無理だろ?それは。そいつを連れて帰れば、上も納得する筈だ」
《え、おじさんどこか連れて行ってくれるの〜?》
「あぁ、特別な場所に連れて行ってやる。だからおじさんに着いてきて欲しい」
《……分かった〜。じゃあ、おじさんゴリラは先生に謝罪して?殴ろうとしたんだから。そしたら、どこにでも行くよ〜》
『ま、待って下さい』
「分かった、そしたら来てくれるんだな」
《ほら、早く〜》
「先生、殴ろうとして済まなかった。これで良いか?」
謝罪が終わり、その手でシッディを掴もうとした手はそのまた空振り失敗する。
《あーはいはい、そう言う事ね〜。ごめんね〜おじさん。もう全部分かっちゃったからダメ〜》
「は?」
何を言ってるか分からないと言う表情の彼にシッディは追い打ちをかける。
《だっておじさんゴリラは悪い人でしょ?知ってるよ
「はぁ?……はぁ。おじさんは少し厳ついかもしれないが悪い人じゃない。悪いのはもっと上のおじさん達だ、一緒に悪を正しに行こう!そしたらお嬢ちゃんはスーパーヒーローだ!!」
《ごめん、良いや〜興味無いし、そう言うの》
先生さえいれば良いや〜。後、皆も。
と彼女は呑気にそう言いながら、私に抱きつく。彼は放心した様に動かなくなった。本当に興味が無くなったんだろうな。そう言う子だから。私が無事で安心したのかうとうとして眠そうなので寝かせようと背中をさする。
やがて一定の呼吸音が聞こえてホッと落ち着き、それと同時に飛んでいったあの子の様子が気になった。無事だろうか?生きているだろうか?そう遠くを眺めていると、声が聞こえた様な気がした後、何かが身体を通り過ぎた。
『ゲホッ……』
《んー?先生大丈夫?ビョーキ?》
『ええ、ちょっと咳が出ただけですよ』
心配させない様に答える。が、痛みは抑えられない。恐らく、何処か臓器を撃ち抜かれた?これは不味いかもしれない。
『シッディ今すぐ施設に……ゲホッゲホゲホ!』
喋ろうとすれば咳が止まらなくなる。そして、足音が近づいてきた。
「よぉ、嬢ちゃん。お?どーした随分苦しそうじゃねぇかセンセイ」
《……》
『貴方か、貴方のお仲間が撃ったんですか?これは』
「さぁ?何の事か分かんねえな。
『成程、それでたまたまそこにいた特殊な少女が戦場へ行き、英雄の様な活躍をして伝説となる。そして出番が無くなれば……』
「人間はか弱いからなすぐに死ぬんだ。じゃあな、先生。嬢ちゃんは有効活用してやるから安心しな」
《あのさ〜私はおじさんの所には行かないよ?》
「はぁ?じゃあ何処へ行くんだ?」
そう聞く奴に対して彼女は真っ直ぐ目を見て答えた。
《先生のとなり。そこが天国だろうと地獄だろうと〜私はずっと一緒にいるって決めてるんだ〜。だからごめんね〜》
傷の痛みが強くなり、意識が朦朧としてくる。やばい、眠気も同時に襲ってきた。
《大丈夫?先生。大丈夫だよ、私が何とかするからね。私がずっと一種にいるからね〜ちょっと寝てても良いよ》
眠気で限界で、その言葉は正直有り難かった。そのまま言葉に甘えて彼女の膝の上で目を瞑った。
《それじゃあ、部下の責任は上司が取ってね》
何がが取れた様な感覚の後、弾ける様な音がした。一体それが何なのか知る由も無い。
目が覚めた時にはベッドで何も無かったかの様に寝ていた。シッディは近くに居なかった。なのに声はする。テレパシーか?
《先生〜!良かった、ゲンキそうで〜》
『ええ、お陰様で。シッディのお陰ですよ、アレは夢じゃないですよね?』
《うん、夢じゃないよー。だからこそ……》
『はい?』
彼女はモジモジとした様子で何が言いにくそうにしている。姿は見えないのもそのせいか?
『何かありましたか?』
《うーんとね……大変な事が起きちゃってね、えっとね》
『はい、何ですか?』
《先生は女の子になっちゃった》
『はい?』
《あーごめん、もっと詳しく話すね〜。えっとね、先生はね、私と合体したんだ》
『え?合体!?』
訳が分からず、思わず叫んでしまったのに彼女は姿を現さない。もしかしてこれが原因だからか?私はなんて事をしてしまったんだ。