会話だけのコメディ短編

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幽霊の足

「人生って難しくね?」

「終わってから言え」

「いや終わったんだよ私の足見てみろお前」

「なんでお前裸足なの?」

「は!?なんで私足あんの!?」

「は?」

「お?」

「あ、なに、ちゃんと終わった系?早く言えよお前分かりにくいわ」

「いやすまん私もまさか足のある幽霊になるとは思ってなかった」

「で、何?人生難しかった?」

「何やっても失敗した。焦ってすること全てが空回りし続けた人生だった」

「地に足付かなかったんだな」

「うるせえよ」

「んで死後に反動で地に足がついたと」

「うるせえ」

「えっなんか体消えかけてるんだけど」

「満足した。成仏するわ」

「は!?お前、地に足ついたのくだりやりたいがためにこの世に残ってたの!?」

 

間

 

「じゃあ、逆に未練ってなにがあるんだよ」

「人生難しかった事が未練とかじゃねえの?」

「んなものは過ぎた事だしいいよ今更」

「なんでお前はそんな冷めてんだ」

「体が体温調節できなくなったから」

「やめろ死体ジョーク」

「実質的に変温動物だからね」

「いや、生物分類学上、幽霊は動物に類さないと思う」

「差別にうるさい昨今に差別ですかあ!?」

「じゃあ逆にお前としては幽霊が何の動物なのかか言ってみろよ」

「心は人だからトランスヒューマン。それが全て」

「その人だった心臓が止まってるのは良いのか?」

「人は骨になっても人だから」

「分類学に概念持ち込むなよ。レジ締め直前に虚数で払うぞ」

「ウッレジ締めで会計が合わずに虚空から8万円が生えてきていた謎の経験が蘇る」

「はみ出すぎだろ」

「死んでるのに蘇るっておかしくね?」

「うるさいよ」

 

 

間

 

「許せサスケ」

「誰だよサスケ。うちはサスケだよ」

「犬と遊ぶ時にボール投げて自分で取りにいくタイプ?」

「それどう言う遊び方」

「生類憐れみの令ごっこ」

「お犬様を歩かせるぐらいなら私が行きますって?飼い主向いてないよそいつ」

「人間は初めから殆どが飼われる側」

「急に深い事言い出すのこわいわ」

「ごめんこの先何も考えてない」

「突然水深が水溜りぐらいになるのやめてくれない?」

「だが人間は水深3ミリでも溺れることができる……!」

「3センチね。3ミリは流石に無理だろ」

「……これで勝ったなんて思わないでよね!」

「普通にミスなのやめろ」

 

 

 

間

 

「幽霊になってみて思ったけど私の構成原子何?」

「わからん。物触れんの?」

「なんにも触れないけど」

「ほーん、豪運なのかもしれんよ。全部トンネル理論で原子すり抜けてる可能性ワンチャン」

「豪運すぎるだろ」

「地球が生まれるよりも確率低いよ。実質地球」

「私は全ての母だった……?」

「そのうち体表に愚かな命が産まれ育つかもしれない」

「そもそも幽霊って構成物質不明のまま私の意識と私の体形状を再現してるわけでしょ?」

「そうだね」

「これ実質転生では?」

「チート能力貰えた?」

「全てをすり抜ける事ができます」

「利点は?」

「特に無い。でも地面に立ってるから全てをすり抜けてるわけでは無いんだよな」

「確かに言葉通りに全てを通り抜ける能力者なら、重力に引かれて地球の核まで落ちるからね」

「死んだと思ったら能力透過を手に入れて無敵に!?現世から追い出した奴らが助けを求めてきてももう遅い!私はこの力でスローライフを楽しむ件」

「煮詰めすぎだろ」

「私はこの力で筑前煮ライフを楽しむ件」

「煮た方が味が染みて美味いな」

「まあそもそも人生終わってるからライフって表現不適切だけど」

「死後をスローライフと表現するのが変なのは、言われてみるとそれはそう」

「のんびり人生じゃなくてのんびり死後だね」

「じゃあスローライフを楽しむ件のタイトル変えないとだ」

「スローアフターを楽しむDEATH」

「キッズの考えた死神の語尾?」

 

間

 

「ところで成仏していい?」

「成仏って自分でできるんだっけ?」

「知らね、でももういいかなって思うと体からキラキラが出るよ」

「吐くなよ」

「誰が口からキラキラだっつったよ」

「もう、いいかな……キラキラキラキラ……」

「その感じでさっきの当てはめると諦めて吐いちゃった奴じゃねえか」

「泥酔した深夜じゃん」

「人生の中でマジの最悪の夜な」

 

間

 

「そういや私が死んでる事に驚いてないのはなんで?」

「別に驚くほどの事じゃなくね?幽霊に足があるのはビビったけど」

「私の死を軽んじるなよ」

「軽んじてるわけじゃ無いけどな」

「というかそもそも足ある以前に幽霊の方に驚けよ」

「まあ、幽霊はいるって知ってたからな」

「なんだお前霊感あるタイプ?まあ、無かったら話せてねえか」

「いや、全ッ然無いけどついさっき知った」

「それ私を見てじゃねえか」

「いやお前を見るちょっと前にな」

「ほーん、私以外にいたんだ。どんな奴だった?」

 

間

 

「ところで俺の足、なんであるんだろうな」

「いやお前かよ」


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