◇◇◇
「お前、俺と人間にならないか?」
「えっ」
呪霊はコングの言葉を聞いた瞬間自身の聴覚の正常さを疑った。目の前の人の姿をした同類が、自分ら呪霊にとっては食物同然の人間に成り下がろうと言うのだ。この場の空気を和ませる為の彼なりの寒いジョークと言われた方がまだ納得がいく。
「………」
「フッ 感情を隠すのが下手だよ 何を考えているのか直ぐに分かった。
なんで自分達にとって食糧同然の人間に目の前にいる呪霊は退化しようとしているのかと考えているんだろう?」
「まぁ…えっじゃあやっぱり人間になるってマジの話なんですか?」
聞き間違いでは無いことの確信と困惑している自分を無視してコングは続けた。
「俺にとっては呪霊の方が上人間の方が上とかはどうだっていいんだ…俺はある人間をぶち殺したいんだよ、その為に人間になる必要がある。」
「誰ですか?五条s」
『違う、奴は…花沢喜一は俺にとっては五条よりも憎たらしく忌々しい人間なんだ、
俺よりも遥かに弱いが…奴に確実に負けてしまう不安要素があるんだ
呪霊の一番の弱点が何か、分かるか?」
「………」
グシャッ
「ぐぉぁ…っ?!ァ…アガ…ッ!?」
「おい黙ってじゃねぇぞ犬は理由を述べろよ」
コングが論じているのを黙って聞いていた呪霊は突如コングに片腕を引きちぎりられ悶絶する。生まれてから今日日まで自分の赴くままに生きてきた呪霊にとって、初めて命令された瞬間である。
「ご…五条、五条悟d『違うっつってんだろ』はうっ…あうっ………あっ!セイの!正のエネルギー!反転術式です!!」
「そうだ、よく分かったじゃないか流石だな特級ともなると…モノが違うよモノが、お前と今まで会ってきた
お前は特別に今は生かしといてやる。」
「あわ…あわわ…」
呪霊はコングに詳しく言及を求めなくとも、コングが自分より前にあった呪霊をほぼ全員皆殺しにしたという事実を認知することは容易かった。
流れる筈のない冷や汗が背筋を伝う不気味な感覚を呪霊は抱きながら、機嫌を損なわれないように一挙手一投足に気をつけた。
「花沢は反転術式も扱えていた。俺はインプットだけしか見ていないが、アウトプットも行える可能性は十分にある。一発流されれば俺とて雑魚キャラの如く瞬殺される。だからそうならない為に人間になる必要がある。」
「………成程」
「それに…俺は何も呪霊から人間への"変化"だけを話している訳ではない。
『えっ』
見ろ」
スッ…
コングが指さした先には先程コングが片手間に殺した一級術師の首無し死体が無生物かの様に転がっていた。奇妙なのはそのからモゾモゾとなにやらどす黒い塊がナメクジ程のスピードではあるが蠢き、膨張していることだ。
『俺はこの男を手を動かした際の風圧で殺した。呪力を用いていないのだ。だからこの男は呪霊になろうとしている。」
スタ…スタ…スタ…スタ…スタ…スタ…グチャッ
コングはそう言いながら塊に近づき、呪力を纏った踏みつけて塊を祓って処理した。
「この様に、"呪力を多く持っている人間"は呪力を用いずに死ねば"呪霊"に転じる事が出来る。そして、俺たち"呪霊"は、"呪力を多く持っている人間"になろうとしている。
…もう、俺の言いたい事がわかるな?」
……ゴクッ
「理論的に…輪廻転生を行うという事が可能という事ですか?」
「ビンゴだ!俺はお前に"永遠"の話をしているのだ。俺たちが人間になり、呪力を用いずに自害すれば…また呪霊となり、そして人間となるを繰り返す。並の人間では呪霊になる際意識が無くなるらしいが俺とお前なら問題ないだろう……
さて!そうと決まれば人間になる方法を一緒に模索しようじゃないか、皆で人間になるから尊いんだ、絆が深まるんだ」
「おおっ…なんか凄い壮大ですね、でもその発想俺、好きですよ…一緒にやりましょうコング!」
呪霊はかなり強引にコングに仲間にされたが、全く悪い気分では無かったという。
「お前の名前はそうだな…クソゴミに決定だ」
「えっ」
「冗談を超えた冗談だよ」
次回で"姉妹校交流会"を執筆します。