JUTOUGH   作:魚の肝

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BATTLE.23 悪魔

 

 

 ◇◇◇

 

 「足引っ張んなよ」

 

「こっちの台詞よ」

 

「う お お お お お お あ あ」

 

 構える姉妹の前にアギーラが頭の激痛を掻き消す様に急接近する。一見闇雲に動いている様には見えるものの的確に二人へ間合いを詰める。

 

 一方、銃がもう効かないと察した真依はホルダーに銃をしまい、近接戦に備えていた。

 

 「しゃあっ」

 

 

 ボボボッ ボボボウッ

 

 アギーラのラッシュが真依の方に向かう。炎が酸素を燃焼する音と拳が空気を引き裂く音が重なり、豪快な音を立ててデビル・ハンドの拳が迫る。

 ヒュッ

  ボアッ

 「なにっ」

 

 真依はアギーラのボディ・ブローを交わしたものの腹部が発火する。アギーラは拳の炎を打撃よりも一段階速く射出して繰り出していた。神速を超えた悪魔的速度の拳が火を吹いた。

 

 「チィッ」

 

 ビュッ

 

真希がアギーラの方に接近してアギーラに暗器のクナイで仕留めにかかる。しかし、アギーラは真希が近づいた瞬間に距離を取り、真希と交戦する。

 

 ヒュソヒュソ ボッ

 

 「効いてないヨォォォ」

「なにっ」

 

 真希がクナイをアギーラの首筋に叩きつけるも、アギーラの術式が発動、アギーラの炎でクナイを燃焼し、無力化する。

 

 「覚悟しろっ 炎を打ち込んでやるっ」

 

 

ジュアアアア

 

 「ぐあぁっ」

 

真希の一瞬の隙を縫う様にアギーラが拳を顔面に叩き込む。真希の顔が燃え盛っている。

 

 炎を振り払えばその隙を突かれて余計に炎を打ち付けられてしまう。しかし、アギーラは真依に撃たれてから戦闘スタイルが変わった。先程まで自身の薙刀を必死の形相で避けていたというのに今では銃弾やクナイ避ける素振りすら見せず、術式で焼き尽くしている。今素手で殴り込むのは逆に術式で焼かれる場合がある。

 

 そして、真希はアギーラの拳が自身の拳が加速している場合のみ術式が発動しているのをアギーラの纏っている炎の温度から察知していた。

 

 数回アギーラの拳が自分に直撃して炎が乗り移る瞬間アギーラの拳から炎が消えるのだ。

 

 自らの意思で術式を解いた様な感じではない…自分の意志であれば拳を打ち終えてから術式を解除するまでにそれぞれほんの0.0数秒ずつのズレがある。…拳が加速するのを辞めた瞬間まるでスイッチをoffにした直後の電灯の様に不自然な程に規則的に術式が解かれていた。

 

 クナイも加速した状態でアギーラに打ち込んだ結果炎で焼かれ、クナイの推進力が無くなった瞬間に完全にクナイが燃焼しきってないにも関わらず術式が解かれている。

 

 

 真希はすぐさま呪具による攻撃を辞めて素手の戦闘に切り替える。

 

 今から繰り出す攻撃が効くかどうかは分からないが現状他の攻撃を繰り出す危険性が高い以上、出し惜しみをしている場合では無かった。

 

 「フッ!

 

「なにっ」

 

スッ………ドゴォ

 

 「はうっ」

 

 ビューソ

 

真希のアギーラへの発勁がアギーラを建物までへと吹き飛ばす。アギーラの胸部に素早く…そして、接触する時のみゆっくりと手を動かし、押し当て、加速がほぼゼロの状態から衝撃を打ち込む。

 

 アギーラが吹き飛ばされた建物へ侵入する時手を見ると全く焼けていない。おそらくアギーラの現在の術式は『物体の加速度に比例した火力の炎の付与』と予測した。

 

 そして道中で、アギーラの炎を構築術式で消火剤に含まれているリン酸塩類と水の混合物を構築して消火していた真依と合流する。

 

 「殴る蹴る撃つは今のアギーラには効かねぇ、関節技か発勁で仕留めんぞ」

 

「えぇ」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 「おっ あったあった」

 

  時同じくして、呪胎から成長した陀艮を派手に暴れさせて、戦闘協力の為一時出所している夏油にぶつけて、その間に高専の倉庫に侵入した真人は、見張りの二級術師二名を殺害し、目的である呪胎九相図の1〜3番と宿儺の指6本を回収していた。

 

 (……ん?)

 

真人がふと他に見覚えがある特級呪物がある事に気づく。

 

 「ガルシア・ハートじゃん」

 

ガルシア・ハートの12番、そして29、30番が保管されていた。三つのカプセルの中、謎の液体で満たされたそれらはドクン、ドクンと摘出したてのドナーの心臓の様に綺麗に赤く、拍動を刻んでいる。

 

 (夏油が把握して無かったのかな?まぁ囮として使えるし、回収しとこ!)

 

そう嬉々としてガルシア・ハートに手を伸ばしたその瞬間であった。

 

 「……よう兄弟達、会いたかったぜ」

 

「なにっ」

 

 ドゴォッ

 

 「ぐはっ」

 

真人が突如として殴り飛ばされて倉庫の壁にぶつけられて吐血する。

 

 

 

(な、なんだこいつ?!魂を知覚してやがっッッッ?!)

 

 「ぐっ…ぐああああああっ!!」

 

 真人の頭を頭が爆散するかの如き激痛を襲う。そして真夏のアスファルトに解き放たれたミミズの様にのたうち回っている真人を他所に、左のバーコードに大きく十字の傷が刻まれている、白いパーカーで身を包んだ男は、ガルシア・ハート3つをカプセルから取り出して喉を鳴らして取り込んでいく。取り込む度に呪力が大幅に上がっていくのを真人は痛感した。

 

 「教えてくれ、人間の廃棄物同然の呪力の寄せ集めの お前ら(呪霊共)蛆虫が、俺達に触れられる程の価値があるのか?」

 

汚濁の血を浴び呪詛と怨嗟の声をあげ骸の山で覚醒した…"悪魔王子"がこの場に君臨したっ

 

 

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