「七乃~暇じゃの~」
「そうですね~」
今日も袁術、そして張勲はいつものように二人で優雅な午後を過ごしていた。
時は後漢末期。
世は徐々に乱れ、人々の間では貧富の差が明確に分かれていた。
金があるものは贅沢を尽くし、貧しいものは草や木の皮でさえも生きる為に食していた。
だが裕福な者も貧しいものも共に同じ精神を持っていた。
それはその日一日を全力で生きる事。
いつ、どこで、何が起こるか分からないからだ。
今は裕福であっても賊が跋扈(ばっこ)するこの時代、いつ襲われるかわからないのだ。
貧富に差があっても家に火をつけられれば全てが灰に変わる。
どちらもゼロからのスタートとなるのだ。
だから人は全力で今を生きる。
死んでも後悔が無いように。そして今を生きるために。
だがここにいる袁術はのほほんと生活をしている。
今が遥か未来の平和な世に生きる女の子のように。
彼女の城下の民も苦しい生活をしているのに・・
そんな彼女の姿を家臣たちが眺めている。
「まったく袁術様はなにを呑気に・・」
「まったくだ。我ら家臣の苦労を知らず」
「見ろよあの顔、苦労の苦の字も知らないで。これだから無能は」
無能。
彼女は家臣たちにそう言われていた。実際彼女は何も出来ないのだ。
いつもいつもギャーギャー騒ぎ、ただ思いついたままの事を口にする。
そんな彼女に家臣たちはまったく忠誠心は無かった。
野心あるものは袁術にすりより、彼女を操ろうとするものも少なくない。
だが彼女の側近である張勲がそれを防ぐ。
普通の者は機械的に日々の仕事をこなし、その日を生きられればいいのだ。
「だがまさかあの袁術の・・」
「ああ・・いったい何が起こればあのような方が生まれるのか」
「同じ血が入っているとは思えんな」
彼らの頭に一人の女性が思い浮かぶ。
そしてその人物はちょうど袁術のもとへ近寄っていた。その人物とは
「お姉様、ただいま戻りました」
「おお!姫羽!ご苦労じゃったの!」
彼女の名前は
袁術の妹であった。
袁術の息子として登場する袁燿。
だがしかしこの外史というパラレルワールドでは袁術の妹であった。