もしも袁術に妹がいたら   作:なろうからのザッキー

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う~ん、今回の出来はいまいちかな。
ちょっとご都合主義かな?

そんなことより龍が如く5クリアしました。
亜門は強いというより戦い辛い?って感じかな。
まともに強いと感じたのは桐生さんの相手の丈だけかな。
やっぱり亜門は見参の時の亜門が一番最強の敵としてよかったし強かった。
もちろん難易度はHARDでやりましたよ。
戦極姫4に関しては徳川ルートクリアしました。今は武田でやってます。
まあ、ようするにゲームやってるんで投稿は不定期ってことで。


魔性の女

姫羽と呉軍の激しい戦闘は終わった。

呉はまだ再起を諦めていないのだろう、少しでも被害を減らさんと周瑜の卓越した指揮のもと速やかに撤退していった。

その速さは孫尚香のことなどまるで気にしていないかのようであった。

 

そんな孫尚香は姫羽の指示で地下の独房へと入れられた。

この独房は囚人たちとは違い敵の将などそれなりに丁重に扱う者のための牢である。

だが丁重と言っても所詮牢でありその中は普段姫として暮らす孫尚香にはつらいものであった。

 

そして場所は変わりここは南陽の謁見用の大広間。

君主のための豪華な装飾のされた椅子に美羽は座っている。

これから捕まえた者たちの処遇を決めるのだ。

現在この部屋にいるのは美羽、七乃、姫羽そして下邳から戻ってきた華雄である。

 

「では連れて来るのじゃ」

 

「はっ」

 

美羽がその言葉を発すると広間の大きな扉を開けるために控えていた兵が扉を開ける。

そこには縄で拘束された呂布がいた。

 

「ひっ!?」

 

美羽が呂布の姿を確認した瞬間その体が恐怖で強張る。

 

「だ、大丈夫ですよ美羽様~・・」

 

そう宥める七乃の体や表情も強張っていた。

姫羽にも緊張の色が見て取れる。

この三人は呂布の恐ろしさを体の芯に叩き込まれているのだ。

 

縄で縛られた呂布は両側に二人、そして後ろに一人の兵が付き美羽の近くに連れてこられる。

呂布は大怪我もあってかその姿には抵抗する意思など一つも感じられなかった。

そして呂布の配下であった陳宮やその他の諸将も同時に連れてこられた。

 

「で、ではこれより呂布たちの処遇を決めるのじゃ。

うむ。全員処刑じゃな」

 

美羽は呂布を先頭にし、後ろに横一列に呂布軍の将たちを並べそしてすぐに厳しい判決を下した。

その判決に呂布は痛む体を鞭打ち異を唱える。

 

「・・どうして?ちんきゅたちは抵抗せず降伏した」

 

「妾たちに最初抵抗し多大な被害を出したのじゃ!

戦いが始まる前に素直に降伏すれば妾も少しは考えてやったのじゃ。

うむ。全員張りつけの後、打ち首なのじゃー!」

 

その答えに呂布はさらに異を唱える。

普段の寡黙な彼女と違いそこには強い意志が見られる。

 

「!?・・なら恋だけにすればいい。恋が自分の武に酔って勝てると思った。

だからちんきゅたちはただの被害者。ぜんぶ恋が悪い」

 

「知らん、知らんのじゃ!

おぬしらのことなんぞ妾には関係ない。

妾は呂布が嫌いなのじゃ、そんな呂布に付き従う者たちなんぞ同類じゃ」

 

「・・袁術!」

 

呂布が美羽の態度に怒りその体が激しく暴れる。

その行動に呂布の傍に控えていた兵が呂布の体を抑えつける。

 

「この!おとなしくしろ!」

 

兵が槍の石突きで呂布の頭を突く。

その一撃に呂布の額からは血が滴りおちる。

だが呂布の嘆願は止まらない

 

「・・せめてちんきゅは見逃して欲しい。ちんきゅは絶対役に立つ」

 

その必死な姿に七乃がやれやれといった表情で言葉を返す。

 

「呂布さん。見苦しいですね~これが天下の呂布ですか?

お嬢様はもう貴女たちを処刑することに決めたんですよ?

おとなしく諦めることですね~」

 

「・・でも」

 

「呂布殿」

 

突如として声を発した陳宮。

その彼女は大粒の涙を流して呂布を見据えていた。

 

「もう・・いいですぞ呂布殿。

ねねはその気持ちだけで充分ですぞ。

ねねの目は間違っていなかった・・死ぬ前に最高の主君にめぐり合えた。

やはり呂布殿こそ天下のお人でしたぞー!」

 

ねねはぼろぼろと涙を流しながらもすがすがしい顔でそう高らかに叫んだ。

 

「俺たちもです!」

 

「ああ!最高の主君にめぐり合え、そして一緒に死ねる」

 

「この運命に感謝こそあれ、後悔などあるはずがない!」

 

「・・みんな」

 

ねねの言葉に続くように高順や侯成など他の将たちも声をあげる。

その言葉を聞いた呂布の瞳からツーッと一滴の涙が零れ落ちる。

感情などどこかに置き忘れたかのような普段の彼女を見ているその姿に呂布軍の将たちは驚きそして笑顔を浮かべた。

彼らの表情には恐怖などもうどこにも無かった。

 

「ぐっ・・くう・・」

 

そして不思議な声が聞こえた。

その声に反応するように姫羽が声が聞こえたほうに顔を向ける。

 

「華雄・・」

 

華雄であった。

彼女が下を向きポタポタと涙を流していた。

そんな彼女を見た姫羽は何か声をかけようとすると華雄はその場から急に走るように呂布の前へと向かった。

数秒呂布と視線を合わせるとその場で180度回転し美羽の元へ向いた。

 

「ど、どうしたのじゃ?」

 

「お願い申し上げます!」

 

大声で叫んだあと華雄は土下座し、勢いよく頭を打ち付けるように地面につけた。

 

「恐れながら申し上げます!どうか呂布たちを救ってください!」

 

「なんじゃと!?」

 

華雄の要求に美羽どころか七乃まで驚いた。

なおも彼女の言葉は止まらない。

 

「袁術様の判決に異を唱えるなど部下として出すぎたことと存じております。

ですがそれでも異を唱えたい。我が命をかけて」

 

「命をかけるとな?」

 

「はい、この命と引き換えに呂布。

そして彼女の部下たちの命を救ってください」

 

「華雄。何故じゃ?

妾は最近やっとお主のことを知り、そしてお主の功績も理解してきたのじゃ。

それなのに命をかけるとな?何故死に急ぐ」

 

「それは・・私が呂布の足元にも及ばない人間だからです。

武も。統率力も・・そして人望も。

 

これほどまでに部下を思いやれる主君がおりますか!?

死が決定しながらも涙を流しながら共に死ねることを喜ぶ部下がありますか!?

こんな主従関係を私は見た事がない!

 

彼らを死なせたくない・・私の心はただそれだけで一杯なのです」

 

華雄が頭を下げながら言葉を発する。

その姿は美しい。まっすぐな言葉であった。

この広間にいる全員が彼女の姿に見惚れている。

 

「どうか彼女たちを殺さないで頂きたい。お願いします」

 

「ううむ。おぬしの言いたいことはわかったが・・」

 

だが美羽の表情は曇ったままだ。所詮将一人の命。

何をするかわからない呂布を生かしておけば危険が伴うであろう。

彼女の部下たち全員を生かすことも危険だ。

それを華雄一人の命とでは釣り合わないだろう。

だがそこでまた一人の声が響く。

 

「華雄の命一つでは全員は救えないでしょう。

ならば私の命も捧げます。これで足りるでしょう」

 

華雄が横から聞こえた声に顔を向ける。

そこには同じように土下座の体勢をする姫羽の姿があった。

その行動に華雄は驚き目を見開く。

 

「き、姫羽様!?」

 

「なにをやっておるのじゃー!?」

 

「私の大事な部下が命を張っているのです。

ならば私も命を張るべきでしょう」

 

「何を言っているのかわかっておるのかや!?」

 

「華雄は私の一番の部下です。言うなれば子供。

そんな子が始めてだだをこねているのです、ならば答えてあげたいのが親心というものでしょう」

 

「か、華雄はお主より年上じゃぞ・・?」

 

「冗談みたいなものです。

本心は・・ただ良い上司でありたい。

華雄の心を打った呂布のようになりたいそれだけです」

 

「呂布のようにとな?」

 

「はい。彼らこそが真の主従でありましょう。

そして華雄がそれに感銘し命を投げ捨ててでも彼らを救いたいと思った。

華雄は私の部下として生きるよりも死を選んだ。

 

これはやっぱり悔しいですね。

だからこそ、私は華雄にとって最高の上司になりたい。そう思いました。

私は華雄を死なせたくない!」

 

その言葉の後姫羽は頭を地面につけた。そして華雄も再び頭を地面につける。

姫羽のこの行動に美羽は困った。

七乃もどうしていいかおろおろしている。

 

「き、姫羽~妾を困らせんでたもれ・・」

 

「お姉様!命をかけて私も諫言(かんげん)いたします!

今、この袁術軍は良き関係をもっておりますか!?

お姉様が処刑されるときに泣いてくれる部下は何人おりますか!

 

この何万といる城内のもので何人おりますか!

お姉様と一緒に死ねると何人の者が喜んでくれますか!お考えください!」

 

この言葉に美羽の言葉は止まる。

美羽自身もよくわかっていたからだ。

七乃や姫羽がいつも隣にいてくれる理由。

 

無能だといわれようとわかっていた。

袁術軍。自分の部下に命を狙うものがいるからだとわかっていた。

それがわかっている美羽は姫羽の答えなどすぐにわかった。

 

恐らく自分と死んでくれる者は七乃と姫羽たった二人しかいない事に。

多少良くなったとはいえ、今でも七乃や姫羽は交代で付いてくれているのだ。

そんな現状で呂布たちのような主従関係などあるはずもない。

その事を姫羽は命をかけて改めて突き詰めたのだ。

 

「お姉様・・もう終わりにしましょう?」

 

「終わり・・とは」

 

「生まれ変わるのです。

新しき、そして良き袁術軍に」

 

「良き袁術軍とな?」

 

「はい。お姉様の心にも響きませんでしたか?彼女たちの涙が」

 

「・・何も感じない人間など人ではない。妾は人形ではないのじゃ」

 

「そうです。お姉様は人形でも傀儡でもありません。

袁術軍の君主、袁公路その人です」

 

袁術軍の君主。

その言葉を美羽はかみ締める。

そうだ。自分はこの軍の一番上なのだ。

何をびくびくする必要がある。ありえないだろう?

こんな馬鹿げた軍・・終わるときが来たのか。

 

様々な言葉が美羽の頭の中を流れる。

時間にしてはわずかなものであった。

美羽はフーッと一つ息を大きくはいた。

 

「・・縄を解くのじゃ」

 

「はっ!」

 

その言葉を聞いた兵が呂布たち全員の縄を解く。

彼らも呂布たちに胸を打たれそして姫羽たちのやりとりを聞いてこの答えがわかっていたのだろう。

恐らくここで美羽がこの判断を下さなければ美羽を見切り何をするかわかったものではなかった。

 

「呂布よ」

 

「・・?」

 

「良き部下を持ったの。妾は心の底よりおぬしがうらやましい」

 

「・・恋も嬉しい」

 

「恋どのー!」

 

陳宮が呂布の腰のあたりに抱きつく。

他の将たちもお互いに抱き合い生きている事を喜びあっている。

 

「よもや・・よもやこの体温をもう一度感じれようとは・・」

 

「・・ちんきゅ」

 

呂布の表情にも笑みが浮かぶ。

そこには無表情ないつもの呂布はいなかった。

 

「姫羽、華雄」

 

「はっ!」

 

「妾にお主らを殺す事など到底出来ぬ。

なによりお主らがいなくなれば即座に妾の軍は崩れるであろう。

罰どころか妾に命を持って進言してくれたこと褒めて使わす」

 

「ありがたき幸せ」

 

彼女ら二人にも笑みが浮かぶ。

命をかけて諫言してよかったと。だが姫羽はこのままではいけないと思った。

 

「お姉様、妹とはいえ私は君主であるお姉様を暗愚と言ったようなものです。

罰がなければ軍として他の者にしめしがつかないでしょう。

なんなりと罰をお与えくださいませ」

 

その言葉に美羽はしばし考える。

そして再び口を開く。

 

「ならばお主がもうした通り妾を責任もってよき君主にするのじゃ」

 

「それは罰ではないのでは?」

 

「妾はまだ暗愚なのであろう?

ならばこれを最後のわがままとするのじゃ」

 

「わがままですか?」

 

「あたりまえじゃ!

なにより姫羽に罰など与えたくないのじゃ!

妾を困らせるでない!」

 

その言葉に姫羽はフフッと笑みを浮かべる。

やはりこの姉は甘い。だがそんな姉が大好きだ。

 

「わかりました。ならばお姉様をこの中土(ちゅうど)一の君主にしてみせます」

 

「うむ!姫羽にかっこいいところを見せるのじゃ!

お姉ちゃんは中土一の君主になるのじゃ!」

 

「み、美羽様ー!姫羽様ー!

七乃はこんなすばらしい姉妹愛を見れて幸せですー!」

 

こうして再びいつもの袁術軍らしい光景が復活した。

さきほどとは違うこの空気に華雄にも笑みが浮かぶ。

だが華雄もやはりこの空気になれてきたのか悪くないなと心の中で思った。

そんな華雄に呂布が近づく。

 

「・・華雄」

 

「恋」

 

「・・ありがとう」

 

「感謝するですぞ。

華雄のおかげでこうして恋殿と再び同じ時を過ごすことが出来るのです」

 

「構わんさ。お前たちのおかげで姫羽さまの器の大きさを再び感じることが出来た。

部下としてこれほど嬉しいことはない。

それに・・今日よりこの軍が変わる気がする」

 

華雄の視線はいつもの雰囲気でしゃべっている3人だ。

だがその時チラリとこちらをみる美羽と視線が交差する。

その後姫羽が美羽へと耳打ちをしている。

姫羽の言葉を聞きコクリとうなづいた袁術は呂布、陳宮の元へ歩み寄ってくる。

 

「の、のう呂布よ」

 

「・・?」

 

「その・・お主はもう住む家も路銀も全てないじゃろ?

じゃから、どうするすもりなのじゃ?」

 

その言葉を聞いた呂布は黙り込む。

美羽に開放された今完全な在野の身となったのだ。

今は彼女は一人ではない。

呂布のためなら皆、無給であろうとついてくるだろう。

だから呂布は悩んだ。

 

「お主を殺そうとした妾が言うのもなんじゃが・・妾のもとで働かぬか?」

 

「・・袁術の元で?」

 

「うむ。妾のことが嫌いでも構わぬ。

姫羽や華雄を主と思っても構わぬ。じゃがの妾はおぬしから学ぶ事が山ほどある。

お主にはここに留まって欲しいのじゃ。

その・・ダメかの?」

 

美羽が背の高い呂布を見上げるためか自然に上目遣いになる。

お願いするするように不安げに頼む。目は断られるのを恐れているのかキラキラと濡れている。

その姿に呂布の心は揺れた。

この日初めて、そしてついに傾国の美女の血が発揮された。

 

「・・かわいい」

 

「ほえっ!?」

 

呂布が美羽の頭をなでなでと撫でた。

突然の呂布の行動に美羽はとまどったが素直に撫でられる事にしたようだ。

 

「・・でもお願いがある」

 

「な、なんじゃ?」

 

「・・みんな一緒」

 

呂布が美羽をひとしきり撫でたあとにその手を止め後ろへと振り返った。

その視線の先には呂布軍であったものたち。

その中で陳宮が美羽のもとへ近寄る。

 

「不本意なのですがねねたちはもはや何も持たない身。

そして高順や他の将たちも呂布殿の傍を離れたくないのですぞ。

ですのでここは袁術の申し出を素直に受ける事にするのです」

 

「・・大丈夫?」

 

どうやら呂布軍の全員を雇えば受け入れてくれるようだ。

その答えに美羽は素直に喜んだ。

 

「うむ!名門袁家の財力があればおぬしたち全員を雇うのは容易なのじゃー!」

 

「いよ!お嬢様やりましたね!

これで我が袁家も安泰ですね!この子悪魔!魔性!美羽様!」

 

「わはは~もっと褒めてたも!」

 

その姿はもはやいつもの美羽。

先ほどの美羽はまさに魔性の女であった。

どうやら先ほどは無意識にやっていたようだ。

 

だがそのおかげで最強の武将とその参謀を手に入れることができた。

そのほかの将はやはり美羽を主君と見ることができないようであり、失った呂布の親衛隊として兵の活躍をするようだ。

こうして袁術軍の二つの戦は終わりを告げた。

 

孫尚香に関しては七乃になにか考えがあるようであり、今日処遇を決定する事をやめたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実はプロットとか何も考えないでこの作品投稿してるんですよね。
だからこの作品の最終的な結末も作者自身わかってないんですよね。
みんなやっぱり頭の中で完成図ができてから小説を投稿し始めるのかな?

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