もしも袁術に妹がいたら   作:なろうからのザッキー

22 / 26
小説家になろうのころから私のもう一つの作品「うつけ無双」の復活を望まれる声が上がっていました。
そしてこちらでも復活の希望がありましたので近々、復活しようと考えております。
ですので宜しくお願いします。


お姉ちゃん

「ちょっと美羽何よその変な名前!」

 

「なんじゃと!?武成王のどこが変なのじゃ!」

 

「この子の名前は周々のほうがずーっとかわいいじゃない!」

 

この日城の中庭で美羽とシャオは言い争いをしていた。

その理由は一匹の白い虎の名前のことであった。

恋の家族にはたくさんの動物がいることは周知の事実であるが、最近ではおとなしいということもわかり、どの動物も城内で放し飼いをしていた。

最初こそ城内の者たちは怖がっていたが、どの動物も決して人に危害を加える事もなくむしろおとなしいのだ。

今では動物たちが廊下を歩いていたり、中庭で昼寝している光景は当たり前なのだ。

 

つまりシャオも動物を目にすることは必然だったのだ。

動物が好きな美羽はその日も中庭でたくさんの動物たちに囲まれ愛でていた。

シャオは美羽がたくさんの動物に囲まれている光景に興味をそそられ近寄っていき話をしたのだ。

そして話してみれば歳こそは離れているが精神年齢はほぼ一緒であるとわかりすぐさま二人は打ち解けたのだ。

二人はすぐに真名を交換し合い話を続けていくうちに感性の違いが発覚した。

 

「なによそれ!?ちっともかわいくなーい!」

 

「な!?かの武成王であるぞ!まさにこの白き虎に武成王の如き勇ましさを身に着けてもらいたいと思ったのじゃ!

それに善々よりはましであろう!」

 

「なんでよ!聞仲のほうがおかしいよ!」

 

二人は一歩も引かず互いに自分のつけた名前のほうがかわいいと言い合っている。

熊猫のことを美羽は聞仲と、シャオは善々と名づけ呼んでいた。

 

「むー!じゃあ勝負よ美羽!」

 

「妾に勝負を挑むか。おもしろいのじゃ!

妾は名門、袁公路である!いつなんどきでも受けてたつのじゃ!」

 

そして二人は動物たちから距離を置く。

その後、左右に分かれて立つ。

辺りはシンと静まり返り、先ほどまで騒いでいたのが急に静かになったためか動物たちも何事かと伺っている。

そして事態は動いた。

 

「ほーら周々こっちこっちー!」

 

「武成王!妾の元へ来るのじゃ!」

 

二人は手をパンパンと叩き、白い虎を呼ぶ。

だが肝心の白い虎は呆れているのか、困っているのか、ムクッと起き上がったまではいいがおろおろとしている。

 

「あー!ちょっと周々こっちよ!ほら!ほらほら~」

 

シャオは中庭に生えていた草を抜き猫じゃらしのようにフリフリと振って名前を呼んでいる。

 

「ぐぬぬ!ほれ武成王!干し肉じゃー!

太公望のために取っておいたがいたしかたないのじゃ!お主にやろう!

だからこちらに来るのじゃー!」

 

美羽も懐から干し肉をとりだし、それを白い虎に見せ付けるようにプラプラと揺らしている。

 

それでもまだ白い虎は動かない。

シャオの顔を見たり、美羽の顔をみたり。

あっちへふらふらこっちへふらふらと移動を繰り返す。

 

恋の動物たちは皆頭が良かった。

彼女のしつけがいいのか、決して害になるようなことはしない。

自分と人間たちの関係を理解しているのだ。

主であり、人間の恋。

人間に危害を加える事があれば恋に迷惑をかけてしまう。

そして恋は命がけで自分たちを守ったり世話をしてくれている。

人間より知能は少なくとも恩や義理というものを持ち合わせているのだ。

 

そして、今のこの状況。

片方に組すれば片方が傷つく。

だからこの白い虎は困っていた。

どちらかに必ず角が立ってしまうのだ。

 

「ほら周々ー!どうしたのー?」

 

「武成王!妾とのあの日々を忘れたのかや?」

 

白い虎は悩んだ。

どうすればよいか。だが答えは決して見つからない。

ほとほと困り果てたとき、天よりの声が彼の耳に届いた。

 

「・・タマ」

 

その言葉に耳がピンとたち、その声の元へ一気に走り出した。

声の主の下へたどり着き、腹を見せ服従のポーズをとる

 

「あー!ちょっと恋!あんた何やってくれてんのよ!」

 

「そうじゃそうじゃ!これは妾たちの勝負じゃぞ!」

 

シャオと美羽が怒りの声を上げて恋の元へかけよる。

彼女たちからしたら勝負を邪魔されたのだ。

だが、タマを撫でるために座っていた恋はその場で立ち上がり二人がそばにくると

 

「・・めっ」

 

「あいたっ!」

 

「な、何をするのじゃ~」

 

恋は二人にゲンコツをした。

 

「・・タマ困ってる。いじめちゃダメ」

 

「うう・・困っておったのかのう」

 

「・・優しいから二人のうちどちらかなんて選べない。

タマはタマでもあり、周々でもあり、武成王でもある。

一つの体で二人のところにいけない」

 

恋は表情こそはいつもどうりだが二人を諭すように目をみて語りかけている。

その姿はさながらお母さんのようだ。

 

「・・二人にとって一番好きな名前で呼んであげて。

動物たちは皆答えてくれる。そんな優しいみんなを困らせるのはめっ」

 

「は~い、わかったわ。ちょっとシャオも大人気なかったかも」

 

「妾も少し、大人の女としての余裕がなかったのじゃ」

 

「はぁ?大人の女~?その体で」

 

「う、うるさいのじゃ!妾はもう少しすればきっと恋のようになるのじゃ!」

 

「やーい!ぺったんこ~!」

 

「うう・・そこに直れシャオー!」

 

「あはは!怒った怒ったー!」

 

シャオが美羽をからかいその場から逃げるように去っていく。

美羽はそんなシャオの後を追いかけるため走る。

 

「・・二人は仲が良い。みんな仲良しが一番」

 

恋はその場に一人取り残され、動物たちとその場で昼寝に興じる事にしたようだ。

 

建物の中に逃げこんだシャオ。

もちろん美羽もその後を追いかけていった。

もはや二人にとってただの追いかけっこになっていたようだ。

 

「やーい!ここまでおいでー!」

 

「待つのじゃー!」

 

美羽がシャオのあとを追いかけていたとき、扉が開き中から人がでてきた。

 

「ん?おっと・・」

 

「うわっぷ!?」

 

美羽は勢いよくその人物にぶつかった。

だがその人物はとっさに美羽を抱きかかえたようだ。

そのおかげで美羽は抱きしめられる形になり、ちっとも痛くなかった。

 

「まったく何をしているんですかお姉様」

 

「あー!姫羽姉様!」

 

「姫羽か、すまなんだな」

 

扉から出てきたのは姫羽であり、彼女はちょうど休憩を取るために部屋から出てきたのだ。

 

「あ~、妾を衝撃から救ってくれたのはうれしいのじゃが・・そろそろ離してくれんかのう?」

 

「い~え♪離しません!」

 

姫羽がぎゅっと力を込めて美羽を抱きしめる。

久しぶりに抱きしめたと姫羽は思う存分堪能する。

だが、そこで姫羽は衝撃を受けた。

 

(え・・?お姉様・・)

 

姫羽の力が弱まる。

 

「・・?」

 

急に弱まった力に不思議に思い美羽は姫羽の顔を見る。

その顔は不思議な顔をしていた。

困惑がまじったような顔であり、美羽は疑問に思う。

 

「どうしたのじゃ?」

 

「い、いえ・・なんでもありません」

 

なんでもないといいながらも何でもある顔であった。

シャオも異変に気がついたのか駆け寄ってくる。

 

「姫羽姉様?大丈夫?」

 

「ええ。大丈夫。二人とも気をつけてね」

 

そういい残し姫羽はその場を去っていった。

二人は顔を見合わせる。

考える事は同じであった。

 

「のうシャオ」

 

「うん、おかしいよね。

美羽のこと大好きな姫羽姉様が自分から離れていくなんて」

 

「うむ。妾も長年姫羽のお姉ちゃんをやってきたがこんなこと初めてじゃ」

 

「じゃあ・・後をつけようよ!」

 

「それじゃ!妾もそう言おうと思っておったのじゃ!」

 

「ぶー!残念シャオが先に言いましたー!」

 

そう言ってシャオが先に走り出す。

美羽は少し心配した表情でシャオの背中を追いかけた。

姫羽の表情が気になっていたのだ。いったいどうしたのか?

 

 

 

 

 

 

「えー!?本当ですか!?」

 

「ええ。本当よ」

 

姫羽は七乃と二人で空き部屋にいた。

七乃を見つけ適当な部屋で二人で話がしたかったからだ。

そしてこの場にシャオと美羽も扉に聞き耳をたてて話を聞いていた。

 

「美羽様の胸が成長してきていると?」

 

「ええ。そして同時に身長も少し伸びた気がするわ」

 

「体が成長を始めるなんて・・いえ、再び始めたっていった方がいいかもしれませんね」

 

(・・・・・)

 

(ちょっと美羽。あんたの体が成長するのってそんなおおごとなの?)

 

どうやら美羽の体の発育が進んだようだ。

胸はわずかながら膨らみ、そして背もわずかに伸びたようだ。

シャオは美羽の方を見る。だがその本人の顔は全てを悟ったようであった。

先ほどまでの困惑顔ではなく、決意を秘めたような。

 

「お姉様の成長はあの日止まった・・」

 

「ええ。あの日から私たちは美羽様を見守り続け、手や体で必死に成長を見守ってきましたもんね」

 

「そうね。一月たっても、一年たっても、数年たってもお姉様の体の発育は決して進まなかった。

まさに、あの時のままお姉様の体は成長をやめた」

 

「大人になることを拒んだ・・ですね」

 

どういうことだ?シャオはまったくわけがわからない。

美羽のほうはもう確信したのだろう。だが何も語らない。

恐らくこの場で何も理解していないのはシャオだけだ。

 

「どういうこと!シャオにも教えて!」

 

たまらなくなったシャオは扉をあけた。

その事に中の二人は驚いていたようだ。

まさかあの姫羽が聞き耳を立てられていたことに本気で気づいていなかったとは。

それほどまで衝撃的なことなのだろうか?

 

「シャオは美羽の友達だよ!なのになんにもわかんない!

おっぱいが大きくなったり背が伸びたりすることがそんなに変なことなの!?」

 

「それは・・」

 

「よい」

 

美羽も部屋に入ってくる。

しゃべってもいいことなのだろうか?

姫羽と七乃は困惑顔で美羽の顔を見た。

 

「妾にとっては喜ぶべき事に変わりは無い。

それにシャオは言葉でもって妾を友と呼んでくれているのじゃ。

ならば友であるこちらもそれに礼を持って返すべき」

 

「まあ、機密事項でもありませんしね。

わかりました。お話しましょうか孫尚香さん」

 

「シャオでいいよ。大事な事を話してくれるんでしょ?

新参なシャオにそんな大事な事を話してくれるんだしね」

 

「では私の事も七乃って呼んでください。

そしてこれからも美羽様の友達であってください。

いつの日か、二人で昔のことを懐かしむような関係に」

 

「うん」

 

そして語られた。

なぜ姫羽や七乃がこれほどまでに美羽の成長におどろいているのかが。

 

時はさかのぼる。

その時、美羽の外見は年齢そのもの。

今の現在の外見と同じであるが年齢はまさに幼い子供といえるだろう。

姫羽にいたってはさらに幼い。

やっと物事を理解し始めたあたりだ。

七乃はもともと親が美羽の母、袁逢に仕えていたために将来的に美羽に仕えることになるため美羽の世話係となっていた。

 

このころ美羽と七乃は歳が一つしか違わないこともあり、そして二人は底抜けに明るい性格であったためすぐに仲良くなった。

姫羽もたどたどしい足取りながらも二人に一生懸命ついていき三人でよく遊んでいた。

 

「袁術様~、そのお菓子はなんですか~?」

 

「これはもらったのじゃ~、きっと妾が良い子だからもらったのじゃー」

 

「おねえさまよくお菓子もらいますよね~」

 

美羽はよくお菓子や玩具などをもらっていた。

それもほぼ毎日貰っていたのだ。

武官や文官関係なく何故か貰っていた。

 

「みんな良い人なのじゃー!お母様もこの前はちみつ水を飲ませてくれたのじゃ!

とってもおいしかったのじゃ」

 

「へ~、よかったですね美羽様」

 

「うむ!早く妾も大人になって好きなだけ食べたり飲んだりするのじゃ!」

 

美羽は大人という存在に憧れていた。

いつもお菓子や玩具をくれる大人。安くないだろうに自分にくれる。

大人はきっと好きなだけ手に入れることができる。

それが子供の美羽にとってどれだけうらやましいことか、そして嬉しいことか。

 

だがある日、母が死んだ。

それは突然の死であった。昨日まで普通に話したり、仕事をしていたのにあっけなく死んだ。

美羽はそのことがなかなか理解できなかった。

 

「うう、何故じゃ・・お母様・・」

 

「美羽様・・」

 

「えーん!お母様ー!」

 

美羽も姫羽も酷く泣き崩れた。

だが家は待ってくれない、次の後継者の問題が上がった。

まだ幼い美羽にはできるはずがないという声も上がったが、直径の娘である美羽を圧倒的に支持する声が上がった。

そしてすんなりと美羽に決まった。反対していた者たちが次々に死んだのだ。

 

「うう・・なんだか最近家の空気が悪いのじゃ」

 

「そうですね」

 

後継者問題のおりに始まった家の不仲。

美羽反対派と賛成派に家が二つに割れていたのだ。

その時から家の空気は最悪であった。

だが美羽が君主に決まったため美羽は言われた通りの仕事をしていた。

 

「袁術様」

 

「む、おお!いつもおいしいお菓子をありがとうなのじゃ」

 

「いえいえ。それでですね・・」

 

「うむ。任せるのじゃ」

 

「は!」

 

美羽の仕事とは賛成するだけ。

意味などまだ幼い美羽にはぜんぜんわからなかった。

袁逢の唯一のミスであった。それは教育係をつけるのがあまりにも遅かったこと。

袁逢はまだ30代で死んでしまったのだ。

これからまだまだ生きる予定であった彼女は、美羽に後継を譲るのはずっと先であると予想し美羽をのびのびと遊ばせた。

美羽を溺愛してしまったがゆえに、勉強浸けにすることを嫌い、美羽がもう少し成長してから少しずつ学ばせれば良いと考えたのだ。

だがそれがいけなかった。

 

そして運命の日が訪れた。

その日、美羽、七乃、姫羽が3人で昼食をとるため城内を歩いていた。

 

「一日中椅子に座っているのは疲れるのじゃ~」

 

「美羽様頑張ってください。私も今はお世話係を外れて勉強ばかりなんですよ~」

 

「お姉様頑張って!」

 

美羽は玉座の間でずっと椅子に座っているだけ。

七乃は日々、勉強。姫羽はまだ何も学んでいない。

物事を理解し始めた姫羽にはまだまだ先であろう。

 

「む!お菓子のおっちゃんじゃ!

食後のお菓子でももらいにいくかのう!」

 

「美羽様いいかげん名前覚えてあげてくださいよ~」

 

三人は正面を歩く男を追いかける。

その男は部屋の扉を開け入っていった、正面の扉であったために後ろを歩く美羽たちに部屋の中が見えた。

中には数人の男や女。しかも全員裸であった。

 

「なんか様子が変じゃの」

 

美羽たちは中の様子を伺うため少し扉を開き中をうかがう。

中の光景に三人は目を疑った。

そこらじゅうに酒が入った器が転がり、数名の女が口に布を押し込まれ犯されているのだ。

女1人に対して男が2,3人で相手をしている。

 

「な、なんじゃこれは・・」

 

「美羽様、静かに」

 

男たちは本能をあらわにしているため次々に衝撃の言葉を放った。

犯されている女たちは後継者問題の時に反対派だった女たちであった。

今ではすっかりなりを潜めた反対派。完全に形成が賛成派であふれている。

あの時の問題がいまでも続いていたのか。

 

「袁術様は俺たちの言う事はなんでも聞いてくれる」

 

「お前たちの一族を逆賊にすることもできる。

なんでも信じてくれるからな」

 

そのような言葉も聞こえてくる。

美羽は呆然としているために何も考えることができない。

ただわかったことは女たちは何も抵抗する事ができないということだけだ。

 

そしてこの行為が汚いという事。

性に対してまだあまり知識がないのだ。

あの優しかったお菓子のおっちゃんが獣のように女の体を舐めまわし、腰を振っている。

美羽にはもう何がなんだかわからなかった。

 

「それにしてもやっと俺たちの時代がきたな」

 

「ああ、苦労した」

 

「袁逢は病死という事で片ついたからな」

 

「ああ。袁術様を幼子のころから釣ってきて正解だったな。

今では完全に俺たちのいうことに疑いをもつこともなく信用してるからな」

 

この言葉に美羽はついに理解した。

自分は騙されていたということに。

そして母の死はなにか仕組まれていたということに。

美羽はもうこれ以上この場にいられなかった。

 

「美羽様・・」

 

「お姉様・・」

 

七乃は悔しかった。

知識をつけてきた七乃は全てを理解していた。

美羽が騙され、傀儡とされていること。

袁逢が暗殺されたこと、そして現在この家は大変な状態であること。

 

姫羽はただ怒りが込み上げてきた。

大好きな姉を失望させているこの現状に。

そして何も知らない自分に。

 

美羽は自分の部屋で泣き叫んだ。

七乃と姫羽は後を追いかけてきて美羽を抱きしめた。

 

「うう・・嫌いじゃ嫌いじゃー!!

みんなだいっきらいじゃー!!

妾を騙しておったんじゃな!あの優しさは全て嘘だったんじゃな!

全てはこの妾を傀儡とし、自分たちの益とするために!」

 

「美羽様!七乃がおります!

私は決して美羽様を裏切りません。

この命尽きるまで美羽様のお傍を離れません!」

 

「お姉様泣かないでー!

悪い奴は姫羽がこらしめるから!」

 

七乃と姫羽が慰めるが美羽は一向に泣き止まない。

美羽の心は深く傷ついてしまったのだ。

 

「これが妾が幼き頃より憧れた大人か・・こんなにも醜き存在であったか。

ならば妾はもう大人になどならぬ!憧れぬ!拒む!

心も体も汚き大人という存在を否定するのじゃ!無垢なる子供のままでよい!

知りたくなかった!」

 

美羽の大人への憧れは全て砕け散った。

だが反対の者もいた。

 

「ならば七乃は美羽様の変わりに汚き大人になります。

やつらよりももっと汚い大人になります。

逆にやつらに復讐してやりましょう。騙すのが好きな奴らならば騙される事が最大の屈辱。

この家からいつの日か必ず排除してみせましょう」

 

七乃は大人になることを望んだ。

今の自分では圧倒的に知識が足りない。勉強不足であり、経験が足りなかった。

だからこそ彼女は必死に勉強した。

 

「姫羽はお姉様を守る!」

 

姫羽も大人に成る事を望んだ。

姉がこれほど泣いたのを始めてみたのだ。

いつも笑っていた姉が号泣しているのだ。

それが堪らなく悲しかった。もう泣かせたくなかった。

だからこそ彼女は力を望んだ。

姉を悲しませる全てを排除するために。

姉を悲しませる全てから守るために。

 

そして大人に成る事を拒んだ彼女はその日から成長が止まってしまった。

精神年齢、そして体の発育が完全にその場で止まってしまったのだ。

まさに大人にならないように。

 

 

 

 

 

「それで美羽の体が成長したの・・?」

 

シャオはこの話を聞き全てを理解した。

美羽の体が成長したという事がどれだけおおごとなのかを。

 

「大人に成る事を拒んだお姉様が、大人に成る事を受け入れたということ」

 

「美羽様」

 

姫羽、七乃、シャオが美羽の顔をチラリとみる。

そこにあった美羽の顔は悩んでいるものではなかった。

受け入れているようであった。

 

姫羽は思い当たることがあった。

最近、姉がよくお姉ちゃんぶるのだ。

 

それは呂布を捕らえた辺りからだ。

事の始まりは姫羽が呂布の命を嘆願し、姉を中土一の君主にするといった日。

姉は確かにこういった。

 

 

(うむ!姫羽にかっこいいところを見せるのじゃ!

お姉ちゃんは中土一の君主になるのじゃ!)

 

 

ほかにもこんなことを言っていた

 

 

(どうしたのじゃ姫羽!

お姉ちゃんに話してみるのじゃ)

 

 

あれは確か仕事屋の政策の時。

乞食たちが訪れない事に悩み、姉に話したときだったか。

 

そうか、姉はもう大人になることを望んだのか。

それも私のためか。

私にかっこいいところを見せたくて、そしてお姉ちゃんでありたくて・・

もう私に守られるのではなく、守りたくなったのかもしれない。

そう思ってしまうと少し物悲しい気分になってきた姫羽。

 

それを見た美羽が姫羽のもとへと歩いてくる。

 

「これ、そんな悲しそうな顔をするでない」

 

「お姉様」

 

「妾は望むぞ、姫羽。姉は妹を守るものなのじゃ。

そして妾はこの大陸に覇を唱え、乱世に台頭してきたのじゃ。

ならば妾はもう子供であってはいかん。慕ってくれるもの全てを守らなければならぬ。

いわば、妾の膝元の者たちは全てお主のような妹のようなもの。

だからの、妾はみんなのお姉ちゃんになるのじゃ」

 

美羽は姫羽をなだめるように説得する。

美羽はこういった、みんなのお姉ちゃん。

そういわれた姫羽は少し寂しくなってしまった。

今まで自分だけの姉であった美羽が急に遠くにいってしまったかのような気持ちだ。

だが同時に嬉しくもあった。ついに花開いたのだ。

 

「美羽様・・ご立派になられて・・」

 

七乃はその場で泣き崩れた。

あれから長い年月がたった。大人になることを拒み泣き崩れた美羽がついに立ち上がったのだ。

自分のやってきた努力は無駄ではなかった。

かわいがってきた子供が大人になった母のような気持ちだ。

 

「うむ!世話をかけたの!

体が成長したのならもう妾は今までの妾ではない!

これよりこの袁術軍をもっと発展させていくのじゃ!

七乃!姫羽!これからも妾を頼むのじゃ!」

 

「はい!」

 

「シャオ!妾の友としてお主の助力を頼むのじゃ!」

 

「はーい!」

 

こうしてこの日は記念すべき日となった。

美羽の許可も出たことで七乃と姫羽は恋、華雄、ねねにもこの話をした。

よりこの軍を一枚岩とするためだ。

だが、皆驚くべきところはそこではなかった。

 

「ねえ美羽」

 

「シャオか。なんじゃ?」

 

「あんたって七乃と一つしか歳が違わないのね・・

見た目は私とそう変わらないのに」

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




私なりに美羽がロリな理由を考えてみました。
実は美羽はロリっ子ではなくロリBBA・・ではなくロリお姉さんだったんです!
違う言い方をするならば合法ロリ。
皆さん嫌いに成らないでね。
ちなみに七乃と歳が一つしか違わないというのは、七乃が一個上と考えています。
あと袁逢の死に関しては完全にオリジナルです。
袁逢は生没年がウィキでは乗ってなかったので好きなときに死んでもらいました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。