三年以内に完結できたらいいなあ。
やっぱり二つ同時になんて無理でした。モチベーションがもたないし、内容がごっちゃになる。
ゆっくり書きたいときに書くのが一番だね。
「うう~・・」
「お姉様?何をしてらっしゃるのですか?」
「おお、姫羽か。いやちょっとな」
「美羽は背が伸びてないか計ってるんだよね~」
姫羽は廊下を歩いていると柱に背中をつけている美羽を見かけた。そしてその隣にいるシャオも一緒だ。
美羽は短刀で頭の辺りに切れ込みをいれていた。柱を見てみると一箇所の深い切れ込みが見て取れる。
「やっぱりあれから全然背が伸びてないね~」
「そうじゃのお・・」
どうやら先日の成長したと確信した日から何度もこうしているようだ。
だが結局背が伸びず同じ場所に何度も切れ込みを入れているためにその跡が深くなっているようだ。
「やはりあの成長は妾の最後の、けじめの成長のようなものじゃったか。
一度決別したこの体にはもはや成長など見込めぬ」
「美羽、やっぱり残念?年は私たち離れてるけど見た目は同い年みたいだもんね。
それってやっぱり大人としてかっこ悪いよね」
「いや、ならばこれでよい」
シャオにそう答える美羽。
その顔には悲壮などの負の感情は見て取れない。
「妾がこの幼き体を見るたびにあの日の光景が頭によぎる。
あの悲しさも、決意も一緒にの。
ゆえに妾は一生あの気持ちを忘れぬ!
己を己で戒めることができるのじゃ!
決してあの者等のような愚者にならぬ。
そして世に語って、知らしめるのじゃ。うぬらのような者がおるから妾のこの体があると、そして被害者がたくさんおると」
そう語った美羽の目はとても澄んでいた。
大人になることを決意したばかりの美羽にとって成長がもう見込めないとわかったということは出鼻を挫かれたようなものだ。
だが彼女はちっとも悲しんでいないようだ。
(お姉様・・貴女はもう弱く脆かったあの頃とは違うのですね)
少し物悲しい気持ちになったが姫羽はうれしくもあった。
大好きな姉が昔よりもずっと大きく見える。
叫び廻りたい気分だ、私の姉はこんなにもかっこよくなったのだと。
「さて、皆よ」
「はっ!」
美羽があたりの者たちに聞こえるように大きな声で呼びかける。
「軍議を始めるのじゃ!」
「了解しました!」
美羽自らの言葉により軍議が開かれた。
袁術軍始まって以来の君主からの言葉による軍議の開始。
確実にこの軍は進化して行っていた。
「妾に今後の方針などを教えてほしいのじゃ。
今までは全然興味がなかったからの」
美羽のあっけらかんとしながら照れたような表情に重苦しい空気のない軍議の始まりとなった。
「は~い♪美羽様お任せください。まずは私たち袁術軍の現状ですね。
軍備としまして兵力、兵糧、兵たちの装備すべて余裕があるほどに整ってます。
いつでも他国に戦を仕掛けることができますね。
この充実にはやはり姫羽様の政策による仕事屋が大きかったようです。
城壁の修理に始まり、町の清掃、矢の製作、畑作業の手伝いなどの雑用まで幅広く仕事として成立させたことで失業者を大幅に減らしたことで税収入が上がりました。
住みやすいということで人口も増加しており徴兵での集まりも非常にいい感じです♪」
「兵の錬度はどうなのですぞ?」
音々からの質問に順々に将たちが答えていく。
「我が華雄隊から言わせてもらおう。
錬度は完璧だ。今まで兵が受け持っていた仕事を民たちが一部受け持ってくれたことで訓練に集中できたようだ」
「・・恋の部隊も大丈夫」
華雄、恋の後にも将たちが答えていく。
どの部隊も兵の錬度は問題ないようだ。
とくに華雄の部隊はその言葉通り華雄自身の兵からの評判が高く兵がやる気になっているため現状は部隊として軍一番の統率力を持っているだろう。
「お姉様。ここはやはり他国へ攻めるべきでしょう」
「はい~♪美羽様。我が軍はこれまでとは違い将も充実してきました。
兵も将も軍備も整いまさに好機といえますね」
「うむ!ならば攻めるのじゃ。
袁家の力を見せ付けてやるのじゃ!」
袁術軍の今後の方針は他国への侵略と決まったようだ。
ならばどこに攻めるのか?
目標の話し合いとなったようだ。
「荊州は大陸の要。ここは激戦となるだろうな。
だからこそ平定しここで地盤を固めるべきだと私は思うが」
「しかし要であるからこそあらゆる勢力からの侵略をうけますね~
特に平和主義な劉表からは攻撃を受けるでしょうね。
薮蛇をつつくべきではないかと」
「下手をしたら益州の劉障、エン州の曹操とも戦うことになるわね。
三つの軍と戦うにはさすがに無理ね」
荊州はまだ無理だという結論に達したようだ。
ならばどこに向かうべきだ?その話し合いが続く
「今ここで曹操をつぶすというのはどうだ?幸い曹操はまだ豫州を平定しておらん。
青州で手一杯だ。ここは背後から攻め危険な敵を排除すべきだ!」
「曹操とは長い戦いになりそうよ。
長く戦えば戦うほど麗羽姉さまが公孫賛を倒してしまって南下してくる。
その時決着がついていなければ曹操と我が軍両方を倒されてしまう。
曹操を倒してしまっていたら、あの大軍団を我が軍が受け止めることになる。
曹操と戦い疲弊した我が軍で勝てるかしら?」
「やはり麗羽様には曹操の相手をしてもらうのが一番です~
逆に麗羽様と曹操が戦って勝ったほうを私たちが食べちゃうのが一番ですね♪」
姫羽や七乃の考えがもっともだということで曹操を撃破する案は却下された。
ではどうするべきか。だがここで思わぬ方向から声が上がった。
彼女は今まで黙っていたのだ。
「呉・・」
「シャオ?」
「雪蓮姉様や冥琳がこのまま黙ってるなんてこと絶対ないよ!
だからここは・・」
「確かに。このまま何もしてこないなんて絶対ないわ。必ず彼女たちは復活する。
だからここで確実につぶしておくのが一番かもしれないわね」
「と、なると・・やつらは呉へ帰るだろうな。江東の虎だ」
「・・楊州」
楊州。呉地方。そこは孫策たちにとってはとても馴染みの場所。
呉の民は孫家を支持している。孫策たちが袁術に敗れたのなら必ず兵力を回復するために向かうだろう。
そんな彼女らの土地を袁術軍が制圧してしまえばそれこそもはや詰みである。
「孫策だけでなく楊州はまだ勢力がひしめき合っている。
そこを平定すればかなり有利になるわね」
「今から攻めても孫策さんたちは一つの城を手に入れるごとに他勢力と戦うことになる。
かなり手間取っているはずですね~」
「ならば楊州の平定と孫策たちの殲滅。これできまりだな。
やつらは我らに反乱を起こした。これは十分な大義名分となる。
我らはどうどうと攻め入ることができる」
当面の目標はこれで決まっただろう。
追加の案として曹操との同盟を結ぶことになった。
こちらも背後を突かれるのはまずいのだ。曹操にも我等と戦って兵力を失うよりいずれくる袁紹との戦いのために役にたってほしいからだ。
だがこの目標を提案した本人はあの一言からずっと黙ったままだ。
「シャオ・・おぬし本当によかったのかの?」
美羽が彼女に声をかけた。
「しょうがないよ・・これが一番だもん。
北進、南進、西進がだめなんだし。
それにお姉ちゃんたちのことを放って置けないことも事実だし」
「じゃが・・おぬしは戦えるのかの?」
「・・戦う。私のことを見捨てたお姉さまなんて」
彼女の目は言葉とは違う色をしていた。
「・・・」
彼女の気持ちがわかるのか姫羽は何もいえなかった。
実の姉と戦うなど自分にはできるだろうか?
その難しさを彼女は誰よりもわかっていたからだ。
そして七乃も理解していた。
だが戦わなければいけないのだ。
この先の未来のために。