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60分ほどの雑談にも似た対魔忍世界への知識力検定が執り行われ、アサギは彼女についてまとめた資料を眺める。
結果はある程度の知識力はあるという判断になった。日常生活における基本的な生活力、1990年から2020年代までの基本的な一般知識は有している。
ただ対魔忍の救助隊員として向かわせるには刻の現代科学や魔術に対する知識量が約半世紀ほど遅れている。
魔族に関する知識は一般人の知識量と差し支えないと過言ではない。つまり皆無のようだ。
「…………いかがでしょうか?」
「?」
「…………私は任務に出られそうですか?」
会話も一区切りついたところで、彼女はアサギ・ふうま・紫へにも顔を向け淡々と尋ねてくる。
外見的な様子や仕草としては落ち着いたものではあるが、相変わらずアサギから受け取ったプレゼントを離そうとしておらず。知識力が追いついていないにも関わらず危険地帯に踏み込もうとする先急ぎの未熟な対魔忍とそう変わらない雰囲気が滲み出ている。
アサギの視点に一種の迷いが見える。
対魔忍側が鑑定を結集して幾度となく分析をかけても、忍法込みの武闘派対魔忍6人を“単純に”こぶしで殴り倒しただけにしか見えない彼女を。最終的には対魔忍8人がかりでも抑えることのできなかった人物とはいえ軽率に任務への実戦投入してもよいものか。
実力を加味、そして彼女の手の内の解析が済むまで。済んだ後も有益なものであるならば秘密兵器としてその力を温存しておきたいという思惑も動いただろうが、その戦力の温存という選択肢は目前の彼女を納得させるには至らないことには違いない。
「ええ」
わずかな迷いののち、アサギの下した決断は肯定だった。
続けざまに彼女の表情も確認する。
ここで浮かれた表情を見せるなら、適当な理由でもこじつけてまずは最低限でも知識をつけさせてから救出任務へと駆り出させることもアサギとしては視野にいれていたのだろう。
しかし彼女としては、浮かれるどころかまるで始まってすらいないのにブリーフィングを受ける軍人のように気配が変化し、険しい表情を作っている。
「ただし単体での救出任務は出せません。貴女がふうま君を同行させることを認めるのであれば、初任務として相応しい任務が1件あるわ」
「…………構いません。ふうまさんのご意思は?」
「異論はありません」
ふうまの肯定も得て、アサギは任務を簡潔に伝え始める。
以前、対魔忍達が人身売買オークション会場を制圧した際に、入手したリストから行方不明となった対魔忍の足掛かりが記されているものを発見した。
本来であれば即座に救助任務に就く手筈だったのだが、その時に限って何者かの妨害による他の緊急性の高い任務が舞い込み、救助活動が後回しになってしまった作戦であった。
救助対象は優先順位が決して高いものではない下忍の出のものであったため、普段であればこの救助任務に人員を割いている余裕はないが、非公式で雇われた逸般人であれば任務に関わらず出撃は可能ではある。
上記の理由であれば、本来はふうま自身も対魔忍ではあるため別の任務に着かせるべきである。されど独立遊撃隊を構成している常駐メンバーの2人である上原 鹿之助と相州 蛇子が諸事情で任務へと参加できない事態にあり、ふうま単体では動かせず丁度手が空いているという次第だった。
逸般人にはこの対魔忍の救助を任務として告げられることになる。
「作戦内容は以上よ。それでは早急に任務に取り掛かってもらえるかしら」
「はい!」
「…………承知いたしました」
「それじゃ、よろしくな。
「…………こちらこそ」
探索者を1人見つけたら、1グループ4人はデフォルト。
最終的には24人は潜んでいると思え。